私が霧島です   作:アサルトゲーマー

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夕立ちゃんがなかなか改二にならないからむしゃくしゃして書いた。
今はぽいぽいしている。


5 ぼくのなかやすみ

 提督に言われたとおりに食堂のスケジュール表を見てみると、一人二日の休みが当たる様に三日間の割り振りがされていた。

 休みは以下の通り。私と榛名が一日目と二日目。金剛が一日目と三日目。比叡が二日目と三日目。

 わかり易く書くとこうだ。

 

┌──┬─┬─┬─┐

│日付│1│2│3│

├──┼─┼─┼─┤

│金剛│×│○│×│

│比叡│○│×│×│

│榛名│×│×│○│

│霧島│×│×│○│

└──┴─┴─┴─┘

×=休み  ○=勤務

 

 みんな揃ってお休みとはいかないようだ。まあ、金剛型はうちの一番の主力だからね。一隻は置いとかないと拙いんだろう。

 

「うーん…これじゃあミンナでお出かけ出来ないデスネー」

 

 そうなんだよねぇ…。比叡省いたら一日目からお出かけできますけど。

 

「じゃあヒエイ抜きで家族サービスしちゃいマショー!」

「ひえっ!?お姉さま酷いですぅー!」

 

 比叡ハブられた。見た目からひどく落ち込んでいる。まあ、比叡は私にも金剛にも榛名にもベッタリだったからね。姉妹離れさせようという金剛の粋な計らいなんだろう。

 

「まーまー、ヒエイは三日目にデートしてあげるから我慢してネー」

「それなら我慢しますっ!」

 

 ワーオ!ミイラ取りが既にミイラだった!

 これでいいのか金剛型!

 

 しかし、みんなでお出かけか。私が霧島になってから任務以外に鎮守府から出たこと無いし楽しみだなー。

 美味しいものいっぱい食べて欲しいものいっぱい買おう!

 …そういえば金ってどうなってんだ?艦娘に給料なんてあるのだろうか…。

 

 

 

 あ り ま し た 。

 自室に戻って貯金通帳見てみたらウッハウハですわこれ。ゼロがいっぱいあって目がショボショボする。しかも今回被害が少なかったから提督から皆にお小遣いも出るらしいし金には困らんな!ウハハ!

 あ、でも考えてみたらこれ正確には霧島の金じゃん。勝手に使うのは気が引けるなぁ。

 うーん…じゃあ提督からのお小遣いでなんとかするかぁ。

 ところでお小遣いっていくら貰えるんだろ。五千円くらいか?

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 その日、提督は珍しいものを見た。それは目を点にした霧島である。

 

「…………」

「どうした、霧島」

 

 封筒の中身を見て固まっている霧島に声を掛ける。霧島はハッとして提督に向き直った。

 

「この金額は一体…」

「少なかったか?」

「とんでもない!」

 

 霧島の手に握られた封筒には5万円の紙幣が入っていた。提督にしてみればこれはあまり多い金額ではない。

 艦娘達の艤装はグレードにもよるが、一人あたり一千万円はするのだ。修理にしても最低十数万はかかる。

 出撃毎に資金や資材は支給されているがそれでも足りないことは多く、足りずは提督の懐から出るような仕組みになっている。

 代わりに提督の給料はかなり大目に設定されていた。つまり金が欲しければ有能になれと政府から暗に言われているのだ。

 

 そして今回。被害が全くと言っていいほどなかったので提督の懐に余裕がこれでもかと言うほど生まれ、大判振る舞いという訳に相成った。

 

「皆にはいつも無茶をさせているからな、お姉さんと美味しいものでも食べてこい」

 

 ポンポンと頭を撫でる提督。霧島と提督の背の高さはあまり変わらない…というよりは霧島の方が若干高いので微妙に無理な姿勢をしている。

 任務娘、大淀は隣で微笑みながらそれを見ていた。霧島の目には若干背伸び気味である提督を笑っているようにも見える。

 霧島は提督に注意した。

 

「提督、女の子の頭は撫でちゃだめですよ?髪型が崩れちゃいます」

「そうなのか?雷たちは喜んでくれるんだけどな…」

「それと背が低いんですから無理はしないでください」

「お前たちが大きいんだよ」

 

 霧島には自覚が無かったが、実は戦艦クラスの艦娘は長身の者が多い。大きな装備を運用するには、やはりそれだけの体格が必要になるのだ。

 しかし霧島にとっては提督が自身が小さいのを正当化しているようにしか聞こえなかった。隣で立っている大淀の背が提督より高いのも相まって。

 

「提督、小さいことは悪い事ではありませんよ?」

「私は至って普通だ!」

 

 結局霧島の認識はついぞ払拭されることは無かった。

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 うーむ、提督はただの小さいヒゲのオッサンだと思ってたけど考えを改めたほうがよさそうだ。

 今度からは太っ腹な小さいヒゲのオッサンと思う事にしよう。

 

「到着デース!」

 

 で!やってきました商店街!

 金剛に連れられるままやってきたが、中々にぎやかな場所だ。パッと見ただけでバーガー屋やら喫茶店に人だかりが出来ている。たこ焼きの屋台も出ているようでソースのいい匂いが腹を直撃していた。

 

「お姉さま!榛名はたこ焼きが食べたいです!」

「じゃあマズはたこ焼き食べマショー!」

 

 榛名も同じことを考えていたようで先ずは屋台に行くことになった。ていうかうちの姉妹はテンション高いのばっかりだね。

 たこ焼き屋に行ってみると小さな行列が出来ていた。そしてそこに独特のシルエットの軽空母さんが。

 

「あー、金剛たちやん。君らもたこ焼き食いにきたん?」

 

 龍驤は頭の変な帽子をサンバイザーに変えて、服装はいつものそのままで。商店街ではやや浮いた格好ではあったが別段変ではない程度の見た目でたこ焼きの列に並んでいた。こっちは腋モロだから着替えにゃならんかったというのに。

 

「ソースの匂いにやられまして。せっかくだから寄ってから商店街を回ろうと思ったんです」

「うわ、おもいっきりうちと同じやん」

 

 私の返答に龍驤はタハハと笑っていた。遠目から立て看板を見てみるとチーズ味やらスペシャルねぎ盛の隣に大きくたこ焼きルーレットと書かれているものがある。

 説明を読んでみるとどうやらひとつだけ超すっぱいらしい。…なるへそ。

 

「姉さま、あれ面白そうじゃありませんか?」

「ンー?Oh!いいかもしれマセンネー!」

「なになにー?なんかええもんあったんー?」

「はい!龍驤さんも榛名と一緒にたこ焼きルーレットしましょう!」

 

 たこ焼きルーレット?と龍驤が言うので看板の方を指さすとにんまり笑って乗ってくれた。

 1分もしない内に龍驤と私たちの順番になって、ふつうのたこ焼き(8個)とチーズたこ焼き(8個)とたこ焼きルーレット(4個)を買い、近くのベンチに陣取る。

 せっかくなので龍驤とご一緒することになったのだ。8個入りは龍驤には少し多かったので一人4+1個たこ焼きが当たるようにした。

 

「先に普通のたこ焼きを食べてからルーレットにしませんか?」

「せやなー。もしすっぱいんが当たったらたこ焼きの味わからんようになるかもしれんし」

 

 という訳で最初にたこ焼きをパクついた。うむ、最高の焼き具合だ。たこも大ぶりで申し分なし。そして龍驤が幸せそうな顔で食べてるのを見て癒される。天使って意外と身近にいるもんなんだな…。

 お次はチーズたこ焼きだ。チーズが中に入っているタイプらしい。こういうのは中身が激熱だから注意しないと。

 

「あちゅい!?」

 

 と、考えたそばから榛名の悲鳴が上がった。そんな抜けたところも榛名の可愛いポイントですよー。

 …はっ、いかん!これではどこぞのヒエーと同じシスコンではないか!

 頭をブンブン振って榛名に水を渡す。榛名は全力で飲み下してペットボトルを空にしてしまった。

 

「うう…ひゅみまひぇん…」

「大丈夫です。こんな事もあろうかと水は沢山用意してますから」

 

 そう、水は残り三本ある。あと三回榛名がドジしてもいい計算だ。

 さてお待ちかね、たこ焼きルーレットである。

 

「恨みっこなしやでー?」

「泣き言は聞きませんヨー?」

「私は…コレで」

「じゃあ榛名は余ったコレですね」

 

 みんなが一個ずつたこ焼きを手に取る。

 酸っぱい匂いはしない。フッ…勝ったな。

 

「では、いきます!」

 

 同時にたこ焼きを食べる。

 …うむ、至って普通のたこ焼きだ。しっかり敗北フラグ立てたのに。

 龍驤はこれまた幸せそうな顔で食べている。君、その顔は反則やで。

 それで榛名は普通に一生懸命咀嚼している。くっ…いちいち全力なのが可愛いんだよ!いい加減にしろよシスコンになっちゃうだろうが!

 で、金剛はというと…うん。酸っぱいのが当たったみたいだ。顔を青くしてプルプル震えている。

 

「ほほー、これは金剛ちゃん大当たりとちゃうかー?」

「金剛姉さま、おめでとうございます」

「…ッ!……!」

「あわわわ!お姉さま、大丈夫ですか!?」

 

 声にならないのか目を瞑ってジタバタする金剛。これはこれで可愛いな…はっ!?

 反シスコンを脳内で宣言しながら金剛に水を渡す。金剛は全力で飲み下してまたもペットボトルを空っぽにしてしまった。

 

「ううー。酷い目に遭いマシた…お水ありがとネ、キリシマ」

「お気になさらず。金剛姉さまがあと二回酸っぱいのに当たっても大丈夫ですよ」

「ほなあと二回ルーレットできるでー!」

「うわーん!もうこりごりデース!」

 

 涙目の金剛も可愛いな…はっ!?

 

 

 もはや重度のシスコンかもしれない私は内心絶望しながら龍驤と分かれた。別れ際に「ほななー!」と手をブンブン振る龍驤にキュンときたのは秘密だ。

 小腹も起きたのでレッツ散策!しばらくウインドショッピングを楽しむことにした。

 二人は茶葉やら服やらを買っていたが、私が主に買ったものと言えば本である。

 

「ま、キリシマらしい買い物ネー」

 

 と金剛に言われた。まあ買ったものの内容が内容だからなぁ、世界の格闘技500選。それとJUDO。さらに古牧流指南書。その他モロモロ。

 格闘はいいぞォ!的な事を金剛に言ってみたが「(フィスト)(キャノン)に勝てるワケないネー」なんて返された。今度演習があったら遠慮なくボコると心に誓う。

 途中でアニメショップらしき場所から夕張が出てきたような気がするけど見なかったことにして、今日は最後にある場所に訪れた。

 居酒屋である。

 

 暖簾をくぐるとまあ当然というか、テーブル席に足柄がいた。一緒に座っている羽黒は意外だったが。

 

「アシガラ、ハグロ、飲んでマスかー?」

「あら、金剛じゃない。一緒にどうかしら?」

「それじゃ、お邪魔しマース!」

 

 相変わらず金剛のコミュ力高すぎである。榛名と共に続いて座ると、目の前の羽黒が目を回していた。

 

「はやや~、いい気持ちですぅ~…」

 

 明らかに飲みすぎである。見れば日本酒を5合くらい開けていた。…意外と大酒呑みなのかな。

 

「ヘイ、タイショー!とりあえずギムレット三つネー!」

「はいよー!ギムレット3ー!」

 

 そしていつの間にか金剛が酒を注文していた。ギムレットとはなんぞや?

 

 

 さて、しばらく雑談しながら飲み食いしていると羽黒が問いかけてきた。

 

「なんれきりひまひゃんは、ひえぇひゃんのことを呼びしゅてにひてるんへふか~?」

 

 ベロンベロンである。まさかの日本酒7合目。たぶん何で私が比叡だけを呼び捨てにしているのか聞いているんだろう。

 

「榛名も気になります!」

「ワタシも気になってたんデスよねー」

 

 そしてお姉さまズに言い寄られる私。

 

「実は私も気になってたのよねー」

 

 アシーガラ、お前もか。でも何でだろう?気が付いたら呼び捨てにしていたな、そういえば。

 

「なんとなくです」

「こひゃえになっひぇまひぇんよぉ」

 

 なんと酔っ払いに指摘された。でもホントになんとなくなんだよなぁ…。

 私が頭を悩ませているとデンと酒を置かれた。置いたのは金剛。見てみれば同じものが榛名と金剛の所に置かれている。

 

「言いたくないならエールで勝負ネ!」

「勝負ですっ!」

 

 なるほど、比叡とだったら殴り合いの勝負になってしまってるけど金剛&榛名だったらお酒の勝負で解決するのか。多分このあたりが関係しているんだろうな。

 そのまま答えてもいいけど私は負けず嫌いだ。拳でも酒でも私は負けん!

 

「いいでしょう。では勝負です!」

「わらひもいきまひゅよぉ~」

 

 羽黒は休んでて。

 

 

 

 さて、勝負の結果はというと。

 金剛と榛名弱すぎワロタ、である。

 エールとやらを2杯飲んだあたりから顔が真っ赤になっていて、二人とも4杯目でダウン。ちなみに羽黒は1杯目でダウンした。

 

「き…きもひわるいれひゅ…」

「あーあ、もう羽黒ったら」

 

 足柄さんはレジに向かって清算した後、羽黒を抱えた。お姫様抱っこか…。うむ!

 

「ごめんなさいね、羽黒が潰れちゃったから先に帰るわ」

「いえ、お気になさらず。お気を付けて」

「ありがと、じゃあね?」

 

 足柄はそのまま店を後にした。さて、金剛と榛名は復活してるかな?

 

「すぴー」

「ふにゃ…」

 

 ……。

 つんつん。

 

「んにぇ…」

 

 むにむに。

 

「くぅくぅ」

 

 びしばし。

 

「ふえぇ」

 

 …………。

 こいつら寝入ってやがる!

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 とある鎮守府付近にある臨海商店街。ここは様々な都市伝説にあふれた不思議な場所である。

 

 稀にしか出店しない伝説のたこ焼き屋。

 凄まじい勢いでラーメン屋台を引いていくおじさん。

 TTTと注文すると三段重ねの豆腐をパンに挟んで出すバーガーショップ。

 見た人全てに幻覚を見せるエラー猫。

 店の在庫が空っぽになるまで食べる二人組の美女。

 後ろ向きに跳ねながら物凄い勢いで駆けていくマッハ男。

 

 そんな都市伝説に一つ、また伝説が追加された。

 曰く、酔っ払い二人を軽く抱えて歩く怪力女である。




・ぼくのなつやすみ
古き良き昭和を体感するゲーム。ラムネがすっごく美味しそうに見える作品は多分他にない。
なおこのゲーム、とあるバグで8月32日以降が出てくる。この恐ろしいバグこそがこのゲームを伝説とせしめているのだ。

・古牧流
龍が如くで登場する武術の一つ。無手での戦闘に特化しており、武器を持った相手を返り討ちにするものが多い。
このゲームではピストルで撃つより殴った方が敵を素早く倒せる。銃が弱いのか、主人公が強いのか…。

・凄まじい勢いのラーメン屋台
チャルメラというゲームでおじさんを走らせるとこうなる。おじさんとは当然明星チャルメラのパッケージに描かれているおじさんのことである。なおヒゲは有る。
ゲーム自体はそれなりに楽しいが、ラーメンとパフェを融合させるのは無いと思うんです。ちなみにおじさんは一切喋らない。

・TTT
バーガーバーガーというゲームで豆腐を三段乗っけたバーガーの通称。なぜそう呼ばれるようになったかは「そうざい バーガーバーガー」で検索するとよくわかる。
ちなみに続編が出ており(バーガーバーガー2)メロンパンに生クリームを挟むなど到底バーガーと呼べない物まで作ることができる。もはや惣菜パン。


















羽黒≒雪歩
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