私が霧島です   作:アサルトゲーマー

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たくさん食べる子って可愛いよなとか考えながら書いた。
今はどっかの人の影響でキラーイズデッドやってる。


あ…ごめんなさい。バトルは次回からなんですよ。


9 神奈川県横須賀鎮守府の焼きサバ定食

「ふふふっ♪」

 

 榛名は笑っていた。

 それは霧島がよく笑うようになったから。

 

 霧島は深海棲艦となり、そして生還した頃から少し積極的になった。

 それまではいつも一歩引いたあたりで姉たちを見守っていただけなのが、なんと一緒にたこ焼きルーレットをしないかと提案するまでになったのだ。一緒にコスプレなんてのも当時では考えられないような事である。それが榛名には嬉しかった。

 メイド姿の比叡を一緒にイジって遊んでいる時など、嬉しすぎて提督の執務室に突撃してしまったほどだ。それは暴走しやすい姉妹のブレーキ役になる榛名には珍しいことだった。

 

「あはははっ♪」

 

 またも榛名の口から笑い声が零れた。それを見た龍驤がドン引きする。

 しかしそれは普通の感性を持っていれば当たり前の事。

 なぜなら今、榛名は龍驤を僚艦に据えて砲弾と艦載機の飛び交う演習場でドンパチしているのだから…。

 

(あかん、榛名も霧島のご同類さんや)

 

 龍驤がそう思うのも止む無きことであった。 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 艦娘の朝は早い。

 

 現時刻、7時ちょっと前。私は食堂で榛名と共に朝食を食べていた。朝食を食べているということは作る人もいるという訳で。

 

「どーお、美味しい?」

 

 朝の当番は雷と暁と羽黒だった。味噌汁めっちゃうまい。

 

「ええ、とても美味しいです」

 

 そうにっこり笑いながら返事すると暁もニコッと笑いながら「良かったー」って言ってくれた。天使か。

 隣で食べてる提督もなんか「優しさが身に染みるなぁ」とか言いながら焼き魚をおかずに米を食べてる。

 味噌汁ばっかり飲むのもあれなので改めて朝食を見てみた。

 

 

<味噌汁>

 雷の愛情がこもった味噌汁。さつまいもが入っている。

 

<ライス>

 どんぶり。うどん鉢とよく似ている。霧島専用。

 

<サバの塩焼き>

 パリッと皮に焼け目が入っている暁の自信作。骨はすべて抜いてある。

 

<大根おろし>

 量多し。

 

<浅漬け>

 妙高と羽黒の特製。白菜ときゅうりとかぶの三種類。

 

<煎茶>

 渋味の強い緑茶。氷が浮いている。

 

 

 

 …まあ、あれだ。どんぶり飯なのはご容赦願いたい。榛名達だっておんなじくらい食べるしこれが戦艦のスタンダードなのだ、うん。

 お口直しにご飯を一口。ここのお米はお釜で焚くのですごく美味しい。これと塩だけでもどんぶり一杯はいける。

 次にサバの身を裂き、パクリと一口。皮がパリッとしていてこれまたご飯が進む。もう一口、二口と続けている内に大根おろしが使われていない事に気が付いた。これはいけない。

 

「提督、お醤油を取って頂けませんか?」

「ん、いいぞ」

 

 ひょいと渡された醤油を受け取ってお礼を言い、大根おろしに掛けていく。そしてサバと一緒に一口。うん、美味しい!

 もりもりとご飯が進む。…しかし食べ過ぎたか、どんぶりの中にお米が僅かにしか残ってない。あちゃあ、ペース配分を間違えたか…。

 

「おかわり?じゃあ私がよそってきてあげるわね!」

 

 お困りの所に雷がやってきて、どんぶりを私から受け取ると厨房に引っ込んでいった。エプロンも似合ってるし将来いいお嫁さんになるに違いない。

 米がないのでお茶を飲んで時間を潰す。うん、ほどよく渋くて私好みだ。

 はふぅ、と一息つくと提督がこちらを見ていたので「何ですか?」と聞いてみると「相変わらず良く食うな」と苦笑いされた。ほっとけ。

 話してる間に丁度良く雷が帰ってきたのでどんぶりをうけとってお礼を言い、再びご飯に集中する。

 そういえばまだ浅漬けを食べていないことを思い出して白菜をつまんでみる。うん、予想通りの味だ。しゃきしゃきして歯ごたえも申し分ない。またお米が進む。

 再び味噌汁を飲み、具をつついてみた。すると中からさつまいもが出てきて少し驚く。なるほど、甘い味噌汁だと思っていたがこんな仕掛けがあったのか。皮も剥かれて食べやすく、雷の甲斐性が如実に表れている。

 夢中になって食べていると、サバも味噌汁も無くなってしまっていた。仕方ないので浅漬けでお米を食べるとしよう。

 さて…このかぶの横の葉っぱみたいなものはなんだろう?大根の葉に似てるけど…

 

「ええい。食べればわかりますよ」

 

 口に含むとさきさきした食感に心地よい苦み。そうか、これはかぶの葉だな!そういえばこれは妙高達が漬けた物だ。葉っぱまで使うあたりが彼女らしくてつい微笑んでしまう。

 となりにあるきゅうりも期待大だな。やや分厚いが味は染みているのか…。

 箸でつまみ一口。うん、すばらしい歯ごたえだ!漬ける時間を調整してあるのか味にムラがない上、辛くも薄くもない。

 

「はは…ほんとうに良く食べるな」

 

 見れば提督のお茶碗は普通のサイズだった。なんだか私は女としてこれでいいのかと思ってしまったが、こんな美味しい漬物を作る方が悪いんだと心の中で言い訳をしながら浅漬けに箸を伸ばす。

 くっ…くやしい!でもお箸が進んじゃう!モグモグ。

 

「榛名もおかわりください!」

「はーい、ちょっと待っててね」

 

 向かいの榛名が遅れておかわりした。どんぶりのサイズは私とほぼ同じ。榛名はゆっくり食べるタイプなのでおかずはまだそこそこ残っている。

 隣を見ると提督がまたも苦笑い。たしかに榛名がおかわりするのは珍しいが、そんなに困ることなのだろうか。

 私はどんぶりに残った最期のごはんの塊を口に含む。…ああ、終わってしまった。

 

「ごちそうさまでした」

 

 両手を合わせて感謝を口にする。少し離れた位置にいた金剛と比叡も食べ終えたのか、食器を返しに行っていた。

 むっ!羽黒が金剛に褒められてなにやら頬をそめて嬉しそうにしている。可愛い!私もやるー!

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 日下提督は金剛と霧島と比叡に撫でられてる羽黒を見て癒される。そしてお茶を口に含んで席を立った。

 彼には昨日の問題でやらなければいけないことがある。それは「深海棲艦艦隊殴り込み作戦」について。

 昨日の段階から支援として駆逐艦夕立、初雪が既に来ている。さらに幌筵(北海道のさらに北)から戦艦陸奥も来る…が、それでも戦力は不足していた。

 問題となる深海棲艦艦隊、資料によるとなんと五十を超える数が確認されている。いくらこちら側の練度が高かろうと数の不利は覆しがたい。戦争は数だとどこかの人も言っていた。

 そんなわけで目下不足している空母を支援として送ってもらえないか他の鎮守府に打診をしなければならないのだ。それに夕立と初雪の連携訓練もしなければ。さらにさらに装備が旧式化してきているので大本営に報告…等々。

 やることは山ほどある。普段から秘書艦をしてもらっている夕張にも限界はあるのだ。だから人手を増やさなければ。

 

「榛名、霧島。この後執務室に来るように」

「あ、はい」

「はい。了解しました」

 

 提督は榛名と霧島の返事を聞いて執務室に向かう。さて、何から手を付けるかと考えながら。

 執務室に入ってカーテンを開ける。外は今の提督の心情を表すような曇り空だった。

 少し待つと夕張、霧島、榛名の順番で執務室に入室してきた。大淀は所用のため昼までいない。

 霧島と榛名が何をするのかと聞いてきたので今日夕張にやってもらう書類の幾つかを二人に渡した。向こうは三人にまかせて作戦を組み立てなければ…。提督は自分の椅子に座り、資料を読み始める。

 ある程度作戦を組み立てた時点で初雪と夕立の戦闘能力や練度を知らなかったことを思い出し、立ち上がる。

 提督は集中して気が付かなかったが霧島たちは既に書類の整理を丁度終えていた。

 先ほどの書類は現在提督の頭を悩ませている「深海棲艦艦隊殴り込み作戦」について深く関係している。要請した資材について見れば優秀な彼女たちは一発で分かるだろう。

 そう考え、提督は「深海棲艦艦隊殴り込み作戦」について切り出した。

 

「資料を見て分かったと思うが、近いうちに大きな作戦がある」

 

 しかし、切り出しただけ。何を話すか、何を伝えるか。そこまで考えが至ってなかった為に次の言葉に詰まってしまった。

 正直に全て話せば艦隊の士気を下げることになる。

 

「司令」

 

 どうすべきか悩んでいるところで霧島が提督に声を掛けた。眼鏡を外した彼女を見て提督は驚いた。彼女が眼鏡を外すという事は何かに対して本気になったということだ。その瞳は提督の目を見据えていた。

 彼は霧島が何に対して本気になったのかが分からなかった。彼女が今まで本気になることなど戦場以外では無かったというのに…。

 その瞳はただひたすら、怒りを含んでいた。

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

 羽黒撫でてたら提督に呼びつけられたでござる。そして山ほどある書類とにらめっこ。これ全部計算すんのか…?

 

「はい、電卓」

 

 夕張から無慈悲な一言。そうですか、計算しなきゃいけないんすか。

 何々?消費した資材?えーっとその資料ならここに…。何?資金繰りについて?ならこっちの…。弾薬ゥ?こまけえこたぁいいんだよ。大目に要請しちゃろ。

 あれ、結構簡単じゃん。マッハで仕上げて榛名の方をみるとまだにらめっこしていた。仕方ねぇ、榛名姉様に手取り足取りおしえてやんよ!

 そんなこんなであっという間に終わってしまった。元OLを舐めるでないよ。

 しかしさっき夕張がやってる奴をチラ見したが、呉鎮守府に赤城さんの支援を要請するっぽいね。舞鶴のほうにも加賀さんとか要請してる。空母の支援を要請するってことは近いうちに大きな作戦でもあんのかな。

 

「…資料を見て分かったと思うが、近いうちに大きな作戦がある」

 

 ここで突然のネタバレ。提督はなんだか複雑な顔をしている。作戦の成功の見込みが薄いのだろうか。でもそれって提督のしていい顔じゃないよね。それは榛名も思ったようで眉尻を下げて提督をみている。

 ここはひとつ、ひと肌脱ぎますか!

 

「司令」

 

 すかさず自分の眼鏡を外す。目の悪い人は眼鏡を外すと基本的に目つきが悪くなるからね、これで睨んでやれば提督もイチコロっすよ。

 

「…っ。どうした」

 

 明らかにうろたえた提督の目を見据える。日下提督が優しい人なのは知ってるが、優しいことと臆病なことは違うぞ。

 

「司令はもっと堂々としているべきです。そんな顔をされては、皆が不安がりますよ」

 

 そういって榛名を見る。つられて提督も榛名を見て、はっとした顔になった。

 多分さっきまでの自分の態度を態度を恥じているんだろう。深く帽子をかぶり直し、真っ直ぐな目で私を見てくる。心なしか提督が大きく見えるぞ。

 

「すまなかった。私がこんなのでは皆も失望してしまうな」

 

 提督がなんだかキリッとしたヒゲ面のイケメンになった。なんだ、思ったよりかっこいいじゃん。

 私は目を伏せて眼鏡を装着。私は再び提督を見て薄く笑った。彼の丸まりかけていた背中はぴしっと伸びている。うむ、拳を使った矯正は必要なくなったみたいだ。よかったよかった。

 

「ではさっそく、堂々と命令させてもらおう…霧島と榛名には初雪たちと演習をしてもらう。次の作戦では連携が鍵となる。そのためしっかり確認して、報告書にまとめてもらいたい。できるな?」

「もちろん」

 

 時間をチラリと見る。…ふむ、まだ8時半か。準備が済むのが多分9時ごろだからお昼まで3時間もある。確認くらいならすぐ済ませれるな。

 私は眼鏡をくいと直し、提督から受け取った演習メニューを見ながら久しぶりに暴れられるなーと考えていた。




今回特にネタは無し。次回に持ち越しです。
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