ガルーダDxD(仮)   作:挫梛道

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独自設定、解釈入ります。
 


交わらぬ感情(おもい)

▼▼▼

 

バキゥッ!

 

「がはぁっ!」

「…どうした? もう、お仕舞いか?」

…それは、一方的だった。

バラキエルが最初に放った極大の雷光の槍は、あっさりと大国主に捌かれ、その後は赤い光…神氣に包まれた刃がバラキエルの体を斬り刻む。

 

「でぇい!」

 

カァッ…!

 

それでも力を振り絞り、バラキエルは至近距離から雷光撃を放つが、

「当たらなければ どうという事は無い!」

「……??!」

 

バキィッ!

 

「ぐぁわっ!」

それも簡単に躱され、逆にカウンターの一撃を食らってしまう。

 

「ぐぬ…」

「ほう…今の一撃を耐えるとはな…」

しかし それでも、バラキエルは立ち上がる。

 

≪≪≪

グリゴリと…特にバラキエルと【日本神話】とは、浅からぬ因縁が有った。

事の起こりは【日本神話】に属する五大宗家の1つ、姫島家の娘がバラキエルと恋に落ち、駆け落ちした事に始まる。

その事について天照大神は、「小さい小さい。そりゃ無理矢理に拉致ったりしたのだったら大問題だけど そういう訳じゃないし。当人が…朱璃ちゃんが幸せなら、もう それで構わないだろ? 自由恋愛万歳!」…と、自分の(むすめ)が幸せなら それで良しと、寛大な姿勢を見せていた。

しかし、それでも堕天使との駆け落ちを"恥"として収まらなかったのが姫島家。

10年近い捜索の末、漸く この2人の住処を突き止めた姫島家は、バラキエル不在の時を狙って襲撃。

結果的に その2人の間に出来た娘には逃げられ行方不明となってしまうが、駆け落ちしていた娘…姫島朱璃を亡き者としたのだった。

…しかし それは、新たな火種となる。

堕天使側からすれば、幹部の妻を殺害されたのだ。

そして【日本神話】からしても、如何に相手が()()()()()()()()とは云えど、その1派閥の幹部の家族に、身内の者が手を掛けた点は傍観で済ます事は出来ず。

更にはアマテラスからすれば、自身が容認していたにも拘わらずの この襲撃は、己の考えを否定されたに等しく。

しかも当時、自らがグリゴリに向けて、「此方からは特に何も言う事は無い。でも朱璃ちゃん泣かしたら、その時は滅ぼすからね。」と宣言していた話。

自身の顔に泥を塗られたも同じな、この何の報告も連絡も相談も無しの勝手な行動を、看過する訳には往かなかった。

結果的に姫島家は、その襲撃を計画指示実行…関わった全ての者を、当時の姫島当主を除いて残酷に処刑され、賠償と共に その首をグリゴリに差し出された。

そして姫島家は五大宗家の中で…いや、【日本神話】の中でも最下に格され、発言力を失ってしまう。

そして その数年後には、次期当主だった者に正式に姫島を継がせた後、先代当主だった者を改めて処す事で、終わらせていたのだ。

…そしてバラキエルと姫島朱璃との間に生まれ、襲撃時に逃げた娘と云うのが、今はリアス・グレモリーの女王(クィーン)となっている、姫島朱乃だった。

 

≫≫≫

「き、貴様に朱乃は渡さん…!」

決して小さくないダメージを受けても、立ち上がるバラキエル。

只の挑発か本気だったか、戦闘開始時の大国主の『姫島朱乃を妾にする』の言葉を、少なくともバラキエルは本気と受け止めていた。

それは大国主の、伝承を含めた耳に入る数々の逸話故に仕方の無い事なのだが。

だからこそ、娘の為にと"雷光"の通り名で聖書に名を記す堕天使幹部は、父親として立ち上がる。

 

「面白い!ならば見せて貰おうか!

娘を思う父親の底力とやらを!」

 

▼▼▼

「流石は大国主様だぜ。」

「…でも、あの堕天使のオヂサマも、かーにゃーり、強いにゃ?」

「サト君が相手だったら、瞬殺されてます。」

「…まぁ、それは否定は しないさ。」

【日本神話】控え室で、この戦いを見て呟くサトルに、後ろから話し掛ける声。

 

「………………?」

とりあえずは受け応えしたが、その会話相手に、違和を感じたサトル。

 

「…………………………。

何故お前達が、冥界(ここ)に居る?」

振り向いた先に居たのは、駒王町に居る筈の、白音と黒歌だった。

 

「決まってるにゃ。

サトルが何時迄も帰ってこないから、戦争遊戯(ウォー・ゲーム)どうにゃっているかってネタバレスレ見てみたら、」

「まだ、漸く終盤戦に入ったばかりと言うじゃないですか。」

「だから1度 高天原に行って、其処から冥界に転移出来る人に、タクシーを頼んだんだにゃ。」

「タクシー?」

改めて猫姉妹の後ろをよく見てみるると、

「「…………………………。」」

「…どうも。」

其処には逞しい体躯の黒髪の男と金髪をポニーテールに結った少女、そして金色の仮面を被った少年が。

サイラオーグ・バアルと その女王(クィーン)のクイーシャ・アバドン、兵士(ポーン)のレグルスである。

 

「兄貴、ごめん。」

「転移魔法を使ったのはクイーシャだ。」

ぺこり…とりあえずサトルが頭を下げる。

 

「全く…折角のクリスマスの夜に、帰らないなんて、任務(しごと)と私達と、どちらが大事なんですか?

何ですか? サト君もバトルマニアですか?

こーんな美少女と〇〇〇するよりも、(ヤロー)とバトってる方が楽しいとでも言うのですk

「はい、猫缶。」

「にゃー♪♡…って、私は み〇くちゃんじゃありませんよ!?」

「知らねっての…って、昨夜(イヴ)に散々と自主規制だったろうが!

そもそもクリスマスって、俺達 日本神話所属(にほんじん)がキリストの祭式に乗っかるのは、どうかと思うぞ?」

「大丈夫だにゃ!

1年に1日だけキリスト教徒に、」

「それと4年周期で急に目醒めた様に、サッカーファンやラグビーファンになるのが日本人です。」

「日本中の似非や にわかを敵に回す発言は止めろ。

それと、純粋(ガチ)なファンの皆さんに謝れ。」

そしてクリスマスに帰ってこないサトルに ぷんすかな猫姉妹に対して、【日本神話】的に それは間違っていると諭すサトル。

 

がばっ…!

 

「きゃっ?!」「ふにゃっ!?」

その時、そんな猫姉妹をいきなり背後から纏めて抱き寄せる人物が。

 

「黒歌ー、白音ー!

私の応援に来てくれたのね、お母さん、嬉しー!」

「ちょ…離すにゃ!」

「お、お母様?」

髪の毛を金と赤のハーフ&ハーフに染め、藤色の猫耳を生やした美女。

白音と黒歌の母親の藤舞だった。

 

≫≫≫

あ…けの」  

 

シュゥ…

 

『勝負有り!

バラキエル選手、戦闘不能(リタイア)です!』

…その後の戦闘も、バラキエルが奮起するが それでも大国主の優勢は変わらず。

大した波瀾も無しに、最後はバラキエルが武舞台から…最後迄 自分の娘の身を案じながら姿を消して逝った。

 

 

「大馬鹿野郎が…

堕天使如きが"神"に敵う訳が無いだろうが…」

「…それでもバラキエルからすりゃ、未だ終わってなかったんだよ。

察してやれ、アザゼル。」

「んな事ぁ解ってるんだよ!

しかし それでも、あのバカが大馬鹿野郎には変わらねぇ!!」

その様子を堕天使領から観ていたアザゼルが、悔し気に呟いた。

 

▼▼▼

「まさか…これ程とは…」

ロンドンに在る小さな美術館。

その地下室で、戦争遊戯(ウォー・ゲーム)を観ている大柄な男が戦慄していた。

 

「何故 悪魔は、これ程までの者達を弱小と認識していたのでしょうか…」

それに もう1人、長い銀髪の男が同調する。

 

「いや、寧ろ何故 悪魔(じぶんたち)が世界で一番至高なんて考えに至っていたのか…そっちが疑問だよ。」

そう言っているのは、赤と青が入り乱れた頭髪に、赤と青のオッドアイの中年男性。

メフィスト・フェレス。

最古参の悪魔の1人で、人間界(ちじょう)の魔術師ギルド"灰色の魔術師(グラウ・ツァオベラー)"の長である彼は、自身の女王(クィーン)の龍王タンニーン(人間形態)、そして もう1人の悪魔とゲームを観戦していた。

…以前、【日本神話】からの遣いとして赴いた豊玉姫の、【日本神話】による冥界侵攻への不干渉要請の対価として、メフィストは とある転生悪魔と その家族・眷属の安全を申し出ていた。

その悪魔というのが、今 一緒にゲームを観戦しているリュディガー・ローゼンクロイツだ。

メフィストは灰色の魔術師(グラウ・ツァオベラー)と同じく、ヨーロッパ有力魔術師ギルド"薔薇十字団"(ローゼン・クロイツァー)の創始者一族出身のリュディガーを保護する事で、ライバルギルドにギルド運営者として"貸し"を作る事に成功。

この辺りは悪魔と云うより、人間の組織を治める人間らしかった。

 

「古い悪魔は、もう お仕舞いだよ。

そして残った者達が貴族無しで どう立ち直るか…

それで本当に、冥界の…悪魔の未来が決まる。」

「メフィスト様は、手を添えないのですか?」

「年寄りは もう、出るべきでは無い…出ては駄目なのさ。」

…姫島朱乃と藤舞が戦っている場面を観ながら、彼等は冥界の未来を思い案じるのだった。

 

≫≫ ≫

「雷よォッ!!」

 

バチィッ!

 

巫女服姿の姫島朱乃が放つ雷撃を、名前と同じく藤色の着物を桃色の帯で締めた藤舞が、難無く躱す。

 

「何だいアンタ、私を舐めているのかい?

私を仕留めたいなら、そんなチャチい雷で無く"雷光"で来な、バラキエルの娘!」

「だ、黙れ! その名前を出すな!」

 

バチィイッ!

 

その呼び方は朱乃にとっては禁句だったのか、鬼気な表情で より強力な雷を放つが、やはり藤舞には当たらない。

 

「そんなに自分の父親が憎いのかい?」

「当たり前よ!あの男のせいで、母様は!」

「いや、それって悪いのは、寧ろ【日本神話(こっち)】…姫島だろ?

少なくとも父親を怨むのは、筋違いじゃないのかい?

アンタの母親も、それは望んじゃいないよ?」

「…! 黙れぇっ!!

貴女に私の…母様の何が、分かっていると言うのですか!?」

 

ドッゴォッ!

 

藤舞の問い掛けに、朱乃は益々ヒートアップ。

今度は掌から放つで無く、暗雲を喚んでの超強力な落雷で攻撃を仕掛けるが、これも藤舞は その軌道を読み、楽々と避けていく。

 

 

 

ん~…、「何が分かる」って、朱璃とは同じ衆合地獄(しょくば)獄卒仲間(ともだち)で、アンタ達の事も度々聞かされてるからね~。

あのコが今のアンタと父親に、どんな想いをしているか、アンタの方こそ()()()()()でしょ?

 

 

 

藤舞は そう思いながら、妖氣と仙氣を練り始める。

 

ボゥッ…

 

そして大きさバスケットボール程の、7つ7色の氣弾を作り出すと、己の周りに旋回させた。

 

「??!」

それを見て警戒した朱乃に、藤舞が更に話し掛ける。

 

「アンタは1度、父親(あの おとこ)と面を向けて話すべきだと思う。

大国主様との戦闘前、アンタの無事を願いにした、あの男の(アンタ)の事を心底想う心情を、理解出来ない様な お子様じゃないだろ?」

「う、煩い! 私が あんな見え見えな御機嫌取りで簡単に靡く、子供だと思っているの?!

仮に あの男が勝ち、不戦勝となったとしても、私は その権利を跳ね退けていた!」

「……………………………………。」

この朱乃の言葉に、今まで笑みを溢していた藤舞の表情が変わった。

瞳は冷たい光を宿し、冷めた表情。

 

「そうかい、分かった。

子供子供だとは思っていたけど、此処まで餓鬼だとは思ってなかったよ。

もう一生、そうやって現実逃避してりゃ良いさ。

朱璃…悪いけどアンタの娘、潰すよ。」

「え? 貴女、もしかして母様を知っているの?」

 

ヒュゥウン…ッ!

 

その朱乃の質問に藤舞は応えない。

そして その応え代わりとばかり、7つの氣弾を朱乃に向けて飛ばすのだった。

 




 
人型タンニーン…バジウッド・ペシュメル(OVER LOAD)のイメージで。
 
 
次回
???「ウチの出番や!」
 
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