ガルーダDxD(仮)   作:挫梛道

106 / 114
 
今迄で、一番 重いッス…(当社比)
重いの苦手な人は、次の前書きで簡単に説明するから、今回はブラウザバックを。
  


終末④

 

「そう。そして僕達は、そのチカラの事を、こう呼んでいる…

小宇宙(コスモ)…と。」

 

▼▼▼

 

グシャアッ!!

 

…アマテラスが呟いていたと同刻、サイラオーグが放った光閃の拳により、闘技場の上空高く吹き飛ばされたミルたんは最高位に迄 達すると、今度は真っ直ぐ急降下、その儘 頭から武舞台に激突。

 

「あ…悪魔さ…ん、ごめんな、さい…にょ…」

 

シュゥゥ…

 

そして謝罪・無念の言葉と共に身体を光の粒子に変えて、魔法乙漢は その場から姿を消した。

 

『勝負有り!特別試合(リアル・ファイナル)の勝者、サイラオーグ・バアル!!』

 

≫≫≫

「ははは…

こりゃ、勝てないね。」

この戦いをテレビ観戦していたディオドラは、乾いた笑いを溢す。

12月25日。

本来なら冥界では この日、若手悪魔レーティング・ゲーム第3戦として、ディオドラとサイラオーグの試合が予定されていた。

10月に行われた第2戦の段階で、2勝無敗同士の激突は、関係者やファンだけで無く、当人も楽しみにしていたのだ。

…が、このサイラオーグの戦いに…その途中で大いに成長(レベル アップ)した仲間(ライバル)を見て、現時点での負けを潔く認める。

 

「加藤さん…今から手合わせ、お願い出来ますか?」

「ふむ、良いだろう。」

「仕方無い…

俺も、付き合ってやるさ。」

しかし彼からすれば、それは あくまでも()()()での話。

意外に?負けず嫌いな少年は、その場に居合わせていた男相手に修行を申し出で、それに便乗した金髪の青年と共に、外に出て行くのだった。

 

▼▼▼

「お疲れ様です、サイラオーグ様!」

「見事な勝利でした!」

「あぁ、ありがとう…」

控え室に戻ったサイラオーグを、彼の女王(クィーン)兵士(ポーン)が出迎えた。

 

「兄貴、ナイスファイト!」

「ふっ…」

 

パシィンッ!

 

そしてサトルもハイタッチを交わす。

 

「…って、神代サトル、何なのだ?

その にやけた顔は?」

しかし その後、サトルの…どう見ても戦いを労うで無く、かと言って勝利を祝福するでも無い…まるで何やら嗤いを堪えている様な顔に、違和を感じるサイラオーグ。

 

「む…?」

しかも よく見ればサトルだけで無く、他にも控え室に居る者の何人かが、似たような表情をしている。

 

パチパチパチパチ…

 

「サイラオーグ君、見事な戦いだったよ。」

其処に後ろから、柏手と共に話し掛けてきたのはアマテラス。

 

「はい、ありがとうございます、アマテラスさ…m…ッ!????」

振り向き その言葉に応えようとして その途中、サイラオーグは言葉を失う。

正確にはアマテラスの後ろに立つ、見た目 妙齢の女性を見て…だ。

 

「あ…あぁぁ…?」

「強くなりましたね、サイラオーグ…」

優しく微笑む女性に対して、驚きを隠せないサイラオーグ。

 

ガクッ…

 

「う…うぉぉぉおぉぉっ!!」

そして崩れる様に両膝を着き、両手で顔を覆っての雄叫びと共に号泣。

…周りの人目を一切 気にせず…のだ。

 

「うふふ…泣き虫なのは、変わらないみたいですね?」

「う…ぅぅう…うん、うん…

そして そんな彼に、女性も涙を流しながら、優しく抱擁するのだった。

 

▼▼▼

 

ざわざわざわざわ…

 

スタジアムの観客席。

招待された他神話神や【日本神話】関係者のVIP席を除けば、その7割近くが空席となっていた。

その中、武舞台の上では魔王セラフォルー・レヴィアタンの処刑執行の準備が着実に行われている。

 

ずどっ…

 

巨人タイプの日本妖怪が、巨大な十字架を武舞台中心に打ち付け設置。

更に その根元には、多数の薪が敷かれた。

 

≫≫≫

 

ギギィイ…

 

全ての準備が整い、北側の鉄格子の大扉が開き、姿を見せたのは身の丈約3㍍程、暗青色の毛皮の猪顔の鬼。

そして この鬼が持つ鎖で引かれる様に登場したのは、『魔封の首輪』を付けられたセラフォルー・レヴィアタンだ。

ツインテールは解かれ、少しだけボサついたストレートの髪。

日本の死者が纏う白装束の装い。

疲れ果てた様に痩せ痩けて血色を失った肌。

思考を放棄したかの様な、光無き虚ろな瞳。

嘗ての魔王、魔法少女を自称した人物と同一とは、彼女を知る者 誰もが そう思えなかった。

そして その後ろからは、長槍に戦斧に松明、そして瓶を持つ神兵や巫女達が続いていく。

 

ガチィッ…

 

「あ、あぁぁあっ?!」

猪鬼や有翼の妖怪によって、十字架に…約5㍍の高さの位置に鎖で縛られるセラフォルー。

興味深々で眺める神々や、仮に彼女に直接の怨みは無くも、貴族に対する負の感情から目を向ける冥界の(あくま)が視界に入るが、身体を襲う痛みに それ処ではなかった。

 

『はい、此処で解説します。

先ずは魔王レヴィアタンが架けられた十字架は、天界の大神殿から拝借した、聖銀製の逸品!

下に敷かれた薪も、楽園(エデン)の聖木を伐採して作った物。

神兵の皆さんが携えている槍や斧も、当然聖銀製。

巫女さん達が持ってる瓶の中身は、勿論 聖水。

そして手足と首を縛り付けている鎖は、北欧神話から提供された、魔狼縛鎖(グレイプニル)

更には松明の炎は、オリュンポスから贈られた聖火!…です!

この度、北欧神話とオリュンポスからの貴重なアイテムの提供、改めて この場で【日本神話】が主神・天照大神に代わり、この天鈿女命(アメノウズメ)が御礼申し上げます。

ありがとうございました♡

…あ、ついでにアクシズ教も聖水、ありがとねー。』

 

≫≫≫

「HAHAHAHAHA!

爺っ様達、随分と太っ腹だNA!」

「ふん、『魔王をシバクから』と言われたら、応じぬ訳には往かぬぢゃろうて。」

「全くぢゃ。…てゆーか、ウズメ!

本当に感謝しとる言うなら、この場でリアルに一肌二肌脱いで見せい!」

「全く以て、その通りぢゃわい!」

「…ま~た(ヘラ)にシバかれるぞ? 下半神殿?www」

「だから下半神 言うな!…って、ロキ!

貴様、何処に…誰に電話しようとしている?!

そのスマホ、仕舞えぇぇえっ!!」

「…って、ちょっと待ってよ!

何だか、私に対しての感謝が、ゼウスやオーディンと比べて凄く ぞんざいなんですけど?!

敬って!もっと私を敬って!」

「そりゃ、オメーさんの聖水は、確かに効果は絶大だが、貴重品じゃ無いからな?」

「コップの水に数秒 指入れてるだけで、出っ来上っがり~♪」

「随分と安い、上質聖水だNA!www」

「何でよーーーーーーーーーっ?!!」

…そんな会話をVIP席の神々がしている中、遂にセラフォルーの公開処刑が始まった。

 

ぼぅゎ…

  

「きゃぁぁ…ケホッ、ケホッ…!」

聖なる十字架が肌を焼き、本来は"神喰いの獸"を捕らえる為に作られた魔法の鎖が、体を裂くように締め付ける。

其処に聖火に焼べられた聖木から立ち込める煙も、悪魔には有害な聖なる属性を持ち合わせていたか、魔王から呼吸を奪い、苦しめる。

 

 

 

どうして、こうなったの…?

 

 

…此処で、セラフォルーの瞳に僅かながら光が灯り、思考する意志が宿った。

 

 

 

どうして こうなった?

【日本神話】に喧嘩を売ったから?

マイナー弱小と、馬鹿にしたから?

日本の民を、転生悪魔にしようと、拐ったから?

日本の神具や宝具を、強奪してきたから?

日本の地を、勝手に縄張り主張したから?

どうして…どうして他の神話勢力は誰も助けてくれないの?

何故 皆、面白そうに見ているの?

日本同様に、拉致や略奪を繰り返してきたから?

そんな()()()()()だけで?

どうして? どうして…?

 

 

 

しかし その正に悪魔らしい思考…自問自答も、真実(こたえ)には届かない。

 

≫≫≫

 

ボォォォゥワッ!

 

「ぎゃぁあああっ?!」

そして薪の火は何時しか炎となり、煙だけでなく直接に その聖火が、セラフォルーの足元に届き始め、その身を焼き焦がす。

それは正に、中世時代に聖書の徒が行使していた、魔法少女ならぬ魔女を裁く場面を連想させる。

 

ザシュッ!

 

そして聖火がセラフォルーの腹部迄に達した時、長槍を構えていた2人の神兵が、その槍を脇腹から上に向けて突き刺した。

右脇腹から刺さった穂先は左肩から、左脇腹から刺さった穂先は右肩から…2本の聖なる槍は、魔王の体内で交差する形で突き出でる。

 

「コ…フッ…!?」

この突きで、夥しい程の吐血をするセラフォルーだが、これで終わった訳では無い。

 

バシャァアッ!

 

「ぅきゃぁぁぁあああっ!?!」

身を焼く聖火が首元に届いた時、巫女から渡された瓶の中の聖水を、神兵達が浴びせ掛ける。

それにより、確かに炎は消えたが、水を司る女神自らの手で作り出された聖水により、身を焼かれるにも等しい…或いは それ以上の苦痛が、彼女の心身を襲う。

 

≫≫≫

 

ドサッ…

 

「ぎゃ…っ?」

聖火を()()され、十字架の拘束を解かれたセラフォルーが乱暴に武舞台の床盤に()()()()()

両足、腰、両肩、両腕、そして首筋を神兵や妖怪に うつ伏せに押さえ付けられ、

 

ぐい…

 

そして無理矢理に頭を上げられ、

「ヒッ…?!」

その両目に映ったのは、巨大な銀の斧を両手で持つ、血塗られた様な真朱の鎧武者。

 

『…………………………。』

憤怒を表現するかの造型の仮面から覗ける眼には、まるで この世の全てを憎み否定するかの様な、呪われた光が。

体全体から()を撒き散らす その姿は、どう見ても生者では無く。

その甲冑を着た亡鬼が、巨大戦斧を高々と ゆっくりと上方へ掲げる。

そして その斧が勢い良く…首筋目掛けて振り降ろされた。

 

 

 

 

 

「………………!!」

この次の瞬間、セラフォルーの眼に映る世界が変わった。

見えたのは、自宅庭園で草花と無邪気に戯れる、幼い頃の自分自身。

次に見えたのは、冥界の紫の空の上、自分と魔力戦を展開させている、銀髪の女。

…その女と共に、幸せ真っ盛りと言わんばかりな雰囲気(オーラ)をばら蒔いている、紅髪の青年。

 

「これ、は…?」

次々と高速で、自分の過去?を第3者視点で観ていくセラフォルー。

しかし其処に、恐怖も戸惑いも無い。

単に流れる様に移り変わる映像を、既に現実逃避したか懐かしそうに眺めるだけだ。

 

「あはは☆ こんな事も、有ったよね☆」

セラフォルーの過去の映像は止まらない。

映し出されるのは、難しい顔をして、携帯端末を操作、何かを創ろうとしている緑髪の青年。

怠惰全開で壇机に突伏する、スキンヘッドの男。

地上のテレビアニメを観て感銘、何かに目醒める自分。

…そして その自分の降るまいに、苦笑し呆れ叱咤し、微笑む少女。

 

「ソーナ…ちゃん…」

その幻影(ビジョン)と呟きを最後に、魔王セラフォルー・レヴィアタンの視界(せかい)は、完全なる"黒"に覆われた。

…晴れる事の無い、永遠の"黒"に。

  




 
次回で【日本神話】vs『聖書』は締めます。
 
感想よろしくです。
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。