今迄で、一番 重いッス…(当社比)
重いの苦手な人は、次の前書きで簡単に説明するから、今回はブラウザバックを。
「そう。そして僕達は、そのチカラの事を、こう呼んでいる…
…
▼▼▼
グシャアッ!!
…アマテラスが呟いていたと同刻、サイラオーグが放った光閃の拳により、闘技場の上空高く吹き飛ばされたミルたんは最高位に迄 達すると、今度は真っ直ぐ急降下、その儘 頭から武舞台に激突。
「あ…悪魔さ…ん、ごめんな、さい…にょ…」
シュゥゥ…
そして謝罪・無念の言葉と共に身体を光の粒子に変えて、魔法乙漢は その場から姿を消した。
『勝負有り!
≫≫≫
「ははは…
こりゃ、勝てないね。」
この戦いをテレビ観戦していたディオドラは、乾いた笑いを溢す。
12月25日。
本来なら冥界では この日、若手悪魔レーティング・ゲーム第3戦として、ディオドラとサイラオーグの試合が予定されていた。
10月に行われた第2戦の段階で、2勝無敗同士の激突は、関係者やファンだけで無く、当人も楽しみにしていたのだ。
…が、このサイラオーグの戦いに…その途中で大いに
「加藤さん…今から手合わせ、お願い出来ますか?」
「ふむ、良いだろう。」
「仕方無い…
俺も、付き合ってやるさ。」
しかし彼からすれば、それは あくまでも
意外に?負けず嫌いな少年は、その場に居合わせていた男相手に修行を申し出で、それに便乗した金髪の青年と共に、外に出て行くのだった。
▼▼▼
「お疲れ様です、サイラオーグ様!」
「見事な勝利でした!」
「あぁ、ありがとう…」
控え室に戻ったサイラオーグを、彼の
「兄貴、ナイスファイト!」
「ふっ…」
パシィンッ!
そしてサトルもハイタッチを交わす。
「…って、神代サトル、何なのだ?
その にやけた顔は?」
しかし その後、サトルの…どう見ても戦いを労うで無く、かと言って勝利を祝福するでも無い…まるで何やら嗤いを堪えている様な顔に、違和を感じるサイラオーグ。
「む…?」
しかも よく見ればサトルだけで無く、他にも控え室に居る者の何人かが、似たような表情をしている。
パチパチパチパチ…
「サイラオーグ君、見事な戦いだったよ。」
其処に後ろから、柏手と共に話し掛けてきたのはアマテラス。
「はい、ありがとうございます、アマテラスさ…m…ッ!????」
振り向き その言葉に応えようとして その途中、サイラオーグは言葉を失う。
正確にはアマテラスの後ろに立つ、見た目 妙齢の女性を見て…だ。
「あ…あぁぁ…?」
「強くなりましたね、サイラオーグ…」
優しく微笑む女性に対して、驚きを隠せないサイラオーグ。
ガクッ…
「う…うぉぉぉおぉぉっ!!」
そして崩れる様に両膝を着き、両手で顔を覆っての雄叫びと共に号泣。
…周りの人目を一切 気にせず…のだ。
「うふふ…泣き虫なのは、変わらないみたいですね?」
「う…ぅぅう…うん、うん…」
そして そんな彼に、女性も涙を流しながら、優しく抱擁するのだった。
▼▼▼
ざわざわざわざわ…
スタジアムの観客席。
招待された他神話神や【日本神話】関係者のVIP席を除けば、その7割近くが空席となっていた。
その中、武舞台の上では魔王セラフォルー・レヴィアタンの処刑執行の準備が着実に行われている。
ずどっ…
巨人タイプの日本妖怪が、巨大な十字架を武舞台中心に打ち付け設置。
更に その根元には、多数の薪が敷かれた。
≫≫≫
ギギィイ…
全ての準備が整い、北側の鉄格子の大扉が開き、姿を見せたのは身の丈約3㍍程、暗青色の毛皮の猪顔の鬼。
そして この鬼が持つ鎖で引かれる様に登場したのは、『魔封の首輪』を付けられたセラフォルー・レヴィアタンだ。
ツインテールは解かれ、少しだけボサついたストレートの髪。
日本の死者が纏う白装束の装い。
疲れ果てた様に痩せ痩けて血色を失った肌。
思考を放棄したかの様な、光無き虚ろな瞳。
嘗ての魔王、魔法少女を自称した人物と同一とは、彼女を知る者 誰もが そう思えなかった。
そして その後ろからは、長槍に戦斧に松明、そして瓶を持つ神兵や巫女達が続いていく。
ガチィッ…
「あ、あぁぁあっ?!」
猪鬼や有翼の妖怪によって、十字架に…約5㍍の高さの位置に鎖で縛られるセラフォルー。
興味深々で眺める神々や、仮に彼女に直接の怨みは無くも、貴族に対する負の感情から目を向ける冥界の
『はい、此処で解説します。
先ずは魔王レヴィアタンが架けられた十字架は、天界の大神殿から拝借した、聖銀製の逸品!
下に敷かれた薪も、
神兵の皆さんが携えている槍や斧も、当然聖銀製。
巫女さん達が持ってる瓶の中身は、勿論 聖水。
そして手足と首を縛り付けている鎖は、北欧神話から提供された、
更には松明の炎は、オリュンポスから贈られた聖火!…です!
この度、北欧神話とオリュンポスからの貴重なアイテムの提供、改めて この場で【日本神話】が主神・天照大神に代わり、この
ありがとうございました♡
…あ、ついでにアクシズ教も聖水、ありがとねー。』
≫≫≫
「HAHAHAHAHA!
爺っ様達、随分と太っ腹だNA!」
「ふん、『魔王をシバクから』と言われたら、応じぬ訳には往かぬぢゃろうて。」
「全くぢゃ。…てゆーか、ウズメ!
本当に感謝しとる言うなら、この場でリアルに一肌二肌脱いで見せい!」
「全く以て、その通りぢゃわい!」
「…ま~た
「だから下半神 言うな!…って、ロキ!
貴様、何処に…誰に電話しようとしている?!
そのスマホ、仕舞えぇぇえっ!!」
「…って、ちょっと待ってよ!
何だか、私に対しての感謝が、ゼウスやオーディンと比べて凄く ぞんざいなんですけど?!
敬って!もっと私を敬って!」
「そりゃ、オメーさんの聖水は、確かに効果は絶大だが、貴重品じゃ無いからな?」
「コップの水に数秒 指入れてるだけで、出っ来上っがり~♪」
「随分と安い、上質聖水だNA!www」
「何でよーーーーーーーーーっ?!!」
…そんな会話をVIP席の神々がしている中、遂にセラフォルーの公開処刑が始まった。
ぼぅゎ…
「きゃぁぁ…ケホッ、ケホッ…!」
聖なる十字架が肌を焼き、本来は"神喰いの獸"を捕らえる為に作られた魔法の鎖が、体を裂くように締め付ける。
其処に聖火に焼べられた聖木から立ち込める煙も、悪魔には有害な聖なる属性を持ち合わせていたか、魔王から呼吸を奪い、苦しめる。
どうして、こうなったの…?
…此処で、セラフォルーの瞳に僅かながら光が灯り、思考する意志が宿った。
どうして こうなった?
【日本神話】に喧嘩を売ったから?
マイナー弱小と、馬鹿にしたから?
日本の民を、転生悪魔にしようと、拐ったから?
日本の神具や宝具を、強奪してきたから?
日本の地を、勝手に縄張り主張したから?
どうして…どうして他の神話勢力は誰も助けてくれないの?
何故 皆、面白そうに見ているの?
日本同様に、拉致や略奪を繰り返してきたから?
そんな
どうして? どうして…?
しかし その正に悪魔らしい思考…自問自答も、
≫≫≫
ボォォォゥワッ!
「ぎゃぁあああっ?!」
そして薪の火は何時しか炎となり、煙だけでなく直接に その聖火が、セラフォルーの足元に届き始め、その身を焼き焦がす。
それは正に、中世時代に聖書の徒が行使していた、魔法少女ならぬ魔女を裁く場面を連想させる。
ザシュッ!
そして聖火がセラフォルーの腹部迄に達した時、長槍を構えていた2人の神兵が、その槍を脇腹から上に向けて突き刺した。
右脇腹から刺さった穂先は左肩から、左脇腹から刺さった穂先は右肩から…2本の聖なる槍は、魔王の体内で交差する形で突き出でる。
「コ…フッ…!?」
この突きで、夥しい程の吐血をするセラフォルーだが、これで終わった訳では無い。
バシャァアッ!
「ぅきゃぁぁぁあああっ!?!」
身を焼く聖火が首元に届いた時、巫女から渡された瓶の中の聖水を、神兵達が浴びせ掛ける。
それにより、確かに炎は消えたが、水を司る女神自らの手で作り出された聖水により、身を焼かれるにも等しい…或いは それ以上の苦痛が、彼女の心身を襲う。
≫≫≫
ドサッ…
「ぎゃ…っ?」
聖火を
両足、腰、両肩、両腕、そして首筋を神兵や妖怪に うつ伏せに押さえ付けられ、
ぐい…
そして無理矢理に頭を上げられ、
「ヒッ…?!」
その両目に映ったのは、巨大な銀の斧を両手で持つ、血塗られた様な真朱の鎧武者。
『…………………………。』
憤怒を表現するかの造型の仮面から覗ける眼には、まるで この世の全てを憎み否定するかの様な、呪われた光が。
体全体から
その甲冑を着た亡鬼が、巨大戦斧を高々と ゆっくりと上方へ掲げる。
そして その斧が勢い良く…首筋目掛けて振り降ろされた。
「………………!!」
この次の瞬間、セラフォルーの眼に映る世界が変わった。
見えたのは、自宅庭園で草花と無邪気に戯れる、幼い頃の自分自身。
次に見えたのは、冥界の紫の空の上、自分と魔力戦を展開させている、銀髪の女。
…その女と共に、幸せ真っ盛りと言わんばかりな
「これ、は…?」
次々と高速で、自分の過去?を第3者視点で観ていくセラフォルー。
しかし其処に、恐怖も戸惑いも無い。
単に流れる様に移り変わる映像を、既に現実逃避したか懐かしそうに眺めるだけだ。
「あはは☆ こんな事も、有ったよね☆」
セラフォルーの過去の映像は止まらない。
映し出されるのは、難しい顔をして、携帯端末を操作、何かを創ろうとしている緑髪の青年。
怠惰全開で壇机に突伏する、スキンヘッドの男。
地上のテレビアニメを観て感銘、何かに目醒める自分。
…そして その自分の降るまいに、苦笑し呆れ叱咤し、微笑む少女。
「ソーナ…ちゃん…」
その
…晴れる事の無い、永遠の"黒"に。
次回で【日本神話】vs『聖書』は締めます。
感想よろしくです。