伏線回収、及びストックネタ消費回です。
1月3日。
【日本神話】が興した、新年を祝う宴の翌日。
招待された他神話の神々は、宴が終わると その日の内に、自陣へ戻る者も居れば、高天原に泊まる者も居た。
「やあ、オーディン。昨日は よく眠れたかい?」
「ふん。布団については文句は無いわ。
これで誰ぞ、伽の相手を附けてくれれば、完璧だったがの。
何なら そっちの嬢ちゃんが相手でも、良かったんじゃz
「殺すぞ?!
それともテメーも、"Eien ni Damessu"になりたいのか!?」
「ぅうっ!?」
不用意な一言。
本人(本神)は軽いジョークな心算だったのだが、その発言を真に受け、身を竦めるアーシアを護るかの様に前に立ったアマテラスからの強烈な本気の殺気を浴び、たじろぐ北欧の主神…オーディンも、そんな1柱だった。
「…で、儂をわざわざ呼び
「ああ、それだけど、もう少しだけ待ってくれないか?
あと、30秒…。」
「ぬ??」
但しオーディンに至っては、宴の翌日…即ち今日に、何やら用件が有ったらしく、アマテラスが引き留めていたのだ。
…尤も、オーディンも酒を少し呑み過ぎ、まともな転移が出来る状態で無かったから、どちらにしても泊まる心算だった様だが。
そして陽も高く位置した現在、アマテラスに呼ばれ、彼女の私室を訪れたオーディンが尋ねる。
現時刻、AM11:59。
そして これが、PM12:00ジャストとなった時、
ピカァッ…
「む?」
「ん。時間ピッタリだね。」
室内中央に転移魔方陣が現れ、それから姿を見せたのは、
「ミルたん、きたにょ!」
魔法少女の
≪≪≪
『聖書』側で飛び入り参加したミルたんには、特にペナルティは課せられなかった。
そして駒王町に送り帰される際、アマテラスから あるメモ用紙を渡されていた。
【魔法少女に興味があるなら、来年1月3日の正午、この紙の魔方陣に祈ってみな♪】
ミルたんは この用紙の内容に従い、この日の この時刻、拝む様に祈りを捧げた事で、魔方陣に封じられていたチカラが発動、アマテラスの待つ部屋へと転移してきたのだった。
≫≫≫
「ふむ、先のゲームで悪魔の若者と戦った人間…じゃな。」
長い顎髭を擦りながら、ミルたんを眺めるオーディン。
「成る程…儂を高天原に留ませたのは、此奴に会わせる為か。」
そして北欧の主神は、一応は納得する表情を見せる。
「その通りさ。流石はオーディン。
このミルたんの、
「まぁの…」
「資質…にょ?」
「そう、簡単に言えば…」
続く会話の流れに乗れないミルたんに、アマテラスが説明を始めた。
「残念だけどミルたん…キミには、『聖書』流の魔力の才能は全くの無しなんだ。」
「そ、そんな?!
でもミルたんは、ミルたんはっ!」
「おっと、話は最後まで聞けよ。
僕は『
「つまり…?」
「ミルたん…と、言ったかの?
お主は北欧流…ルーン魔術の資質を宿しとるんじゃよ。」
「!!?」
このオーディンの言葉に、ミルたんの目の色が豹変。
「どうするミルたん?
ルーン魔術、覚えてみたくないかい?
…キミが思っている魔法少女とは少しだけ、ニュアンスが違ってくるけど。」
「是非とも宜しくお願いしますにょ!」
「ん…、ちょっとだけ、近いかな?」
そして続くアマテラスの囁きに、ミルたんは顔面どアップで喰い憑く。
魔法を修得する為ならば、宿敵?である悪魔さえも その手段として使おうとしていたミルたん。
魔法が使えるなら、その辺りの拘りは持っていない様だった。
「つまり、アマテラスよ。
お主は此奴をアースガルズに連れて帰り、
「惜しい!ミルたんの修行を見てくれる人材を、
勿論、対価は払うぜ。…ってゆーか、既に用意してある。」
「ほう?何かの?」
「この僕が頭を下げて お願いして撮らせて貰った、藤舞ちゃんの花魁衣装、サクヤちゃんのスク水、ウズメちゃんのバニーに豊玉姫ちゃんの
「よーし、任せい!
指示指導には うってつけな、飛びっきりな人材を寄越しちゃるわい!」
アマテラスの示した対価に、簡単に釣れる北欧主神。
「しかし、良いのか?
このミルたんとやら、確かにルーンの資質も有るが、それよりも あの戦闘で見せた、
「確かに あの直後、サイラオーグ君が
「あれは紛れも無く、K.K.Dじゃったぞ?
「神で持ってるのは阿修羅君とアヌビス君。それから
…でもミルたんは、魔法のが良いんだろ?」
「にょ!」
アマテラスの問いに、力強く肯で応えるミルたん。
ミルたんとしては如何に それが強大なチカラであろうと、魔法の方が至上な様だ。
「まあ、過去に魔法を求めて異世界転移した事が有るって位だからね~。」
「転移魔法は、使えるんじゃな…」
≫≫≫
数日後。
「こ、この度、オーディン様の命を受け、ミルたんさんにルーン魔術の手解きをする事になりました!
ふふっふ、不束者では在りますが、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いしますにょ、先生!」
…駒王町に、ダークグレーのスーツを纏った銀髪の美少女な
▼▼▼
…その後日の高天原。
「でぇぃやっ!」
シュィンッ!
「おわっと?!」
亡命若手悪魔達にとっては恒例?となりつつある集団訓練。
現在 手合わせをしているのは、サトルとライザー・フェニックス。
ライザーが放つ、炎を纏わせた鋭い手刀を、サトルが寸での間合いで躱していた。
「……………………………。」
その様子を、無言で見ている男が1人。
背中に十字刃の槍を携え、赤い甲冑を着込んだ若い男だ。
「まさか
「まだまだビックネームが居そう…」
「蘭丸様とか、居ないかしら?」
その彼を見て小声で話しているのは、生徒会(元)の面々である。
ドゴッ!
「…ッ!?」
そんな遣り取りの中、サトルの左リバブローがライザーの脇腹に突き刺さった。
苦悶の表情を浮かばせるライザー。
これにサトルは間を置かず、直ぐに次の攻撃に移行。
ガシッ…ぶぅん!
逆羽交い締めで捕らえると、勢い良く後方に ぶん投げる。
ダブルアーム・スープレックスだ。
ぐぃ…
そしてサトルのターンは まだ終わらない。
ライザーの頭を掴んで引き起こすと、今度は またもプロレス技…
「ぐぉっ?!」
コブラツイストの体勢から倒れ込み、自身の頭を支点にして高速回転。
主に脚関節と三半規管にダメージを与える技、ローリング・クレイドル。
自分の知らない、初めて貰う技…しかも三半規管を攻める、攻められると云うのが自身の発想の外だったライザーは、技の対処が遅れて完全に捕らえられてしまう。
「うらっ!」
どんっ!
「ぐえっ!?」
そして この回転地獄を抜け出し、ふらふらと立ち上がったライザーに対して、今度はパイルドライバー。
「しかも、み〇る式かよ!?」
「あれはエグいな…」
「ついでに言えば神代君の
当然、体を炎にしての
…って、ライザー、死んでないよね?」
これにプロレスには詳しい匙と由良、そしてディオドラが口元を引き攣らせながら、周りの者達に解説。
そんな中、仰向けでダウンしているライザーに、サトルが締めに入った。
膝裏を踏む形で両足を絡め、
ぐる…
更には両腕も捕らえての1回転。
これもプロレス技の
「ふん!何かと思えば、『実は大して痛くない技』で有名な、ロメロ・スペシャルではないか!
こんな技、普通に凌いでみせるわ!」
偶にバラエティ番組等で、プロレスラーが お笑いタレント等に仕掛ける場面が見られる技。
この対・素人?の技に、余裕を取り戻すライザーだが、
「「「甘ぇーよ。」」」
ぐぃ…
「あ痛゙だだだだだだっ?!」
匙達の呟きと同時、サトルが少しだけ腕を捻り、脚を開くと またも…先程以上な苦痛な声と顔を浮かべ…
「がはっ!?」
ライザーは その儘 倒れてしまった。
「まぁ、そうなるよね。」
「テレビの あれは、素人向けの"痛くないversion"だから。」
「プロレス技は、痛いんだよ!」
パチパチパチ…
「素晴らしい!
まさか口伝だけで、御館様の必殺技を完全に再現してしまうとは!」
そして この模擬戦を見守っていた、甲冑の男が拍手と共にサトルを賞賛。
「いえ、幸村さん…1つ1つは元からの持ち技だったり、知っていた技でしたから。」
それにサトルは照れ笑い。
この男は真田幸村。
戦国の世、あの関ヶ原の合戦にも参戦していた この男も死後、源頼光や河上彦斎と同様に【日本神話】のスカウトに応じ、高天原の民となっていた。
そして今回 彼がサトルに教えたのは、曾ての彼の主である、武田信玄が得意としていた必殺の技。
確かに1つ1つは現在の普通のプロレス技だが、それ等を繋いで繰り出す事で威力が通常の足し算以上の
「この前の戦いを見て、神代殿なら扱えると思っていましたよ。」
技を十全に体現したサトルに曾ての武田信玄の姿を重ねたのか、真田幸村も満足気な顔を見せる。
「か、カミシロサトルゥッ!絶対に耐え抜いてやるから、次は私にも、今の技を仕掛けてみりょ!
何なら最後の関節技だけでも構わないぞ?!
さぁ、はりーあっぷ!」
「え?えぇっ?!」
そして強力な技が披露された後、その技の使い手に金髪ポニーテール少女が顔を赤らめ目を血走らせ、己にも同じ技を要請するが迫るのも また、若者達の鍛練の恒例な光景となっていた。
「ごめん神代君、マジに ごめん!
ウチの変態が本っ当~に、すいません!」
▼▼▼
同刻の都内某所。
とあるカラオケ店に、黒のスーツで身を固めた、1人の男が来店してきた。
「…3時間。」
「か…かしこまりました。
で、では、此方の個室になります…」
カウンターで「
「はぁ…」
そして溜め息を1つ。
ヴィン…
「やあ、烏丸君。何を『1人でカラオケに来させるなよ…』みたいな顔をしているんだい?」
そんな時 突如、室内の巨大モニターな画面が切り替わり、黒髪の少女の顔がアップで映し出された。
「実際に そうだからですよ、天照さm…さん。」
この少女…では無く、アマテラスの問い掛けに男…『NIN=JA』の一員である烏丸雅臣は、脱力全開な表情で応える。
実は このカラオケ店も【日本神話】直営で、時折『NIN=JA』に指令が下される等な時に利用されていた。
「それで、何が有ったのです?
私1人を
それを理解している烏丸は、早速アマテラスに本題を求める。
「ん。実は昨日、〇〇県で1人の男の子が産まれたんだけどね、その子が
「成る程。それで私に、その子の保護…いえ、確保を命じると…」
…『聖書』との戦争の後、【日本神話】は国内での
「いぐざくとりーで御座います。
ただ、この子は勿論だけど、家族も
決行の人選や手段等は、君に全て任せるよ。」
「了解しました。」
その管理方法は、日本在中の日本人で未覚醒の
堕天使が編み出した、
今回は その指令が、烏丸に下された形である。
「日本国内の話で、まだ他所の神話連中も知らない事だろうけど、なるべく早く頼むぜ。
何しろ今回の
「は…はい?!」
そして まさかの超レア
▼▼▼
更に同刻の冥界、グレモリー領。
「り、リリティファさん!?」
「ふん…私としても手荒な真似は、したくないのだよ。」
曾ての領主が住んでいた城から少し離れた場所に在る館で、事は起きていた。
…現在の悪魔社会は貴族の殆どが【日本神話】に殺された事で、その貴族による統治が ほぼ不能となっていた。
そして人間社会に習い、血筋で無く能力有る者による政治運営を試みているのが現状。
しかし、それを好ましく思わない者も、当然 居る。
運良く?日本の神からの侵攻は受けるも その神の裁量故に殺されなかった貴族達だ。
彼等は各々が自分達の権威を取り戻さんと「平民に政治の何が解る」と主張するが、「今迄の貴族の行いが、今の社会だ」と、新しい社会を模索していた その平民に跳ね返される。
…すると彼等は、以前は派閥絡みで反発し合っていた者同士でも手を取り合い、動き出した。
自分達の意見を主張するには有力な『家』の助力 発言が必要と、最初はベリアル家に話を持ち掛けたが、戦争開始時には既に【日本神話】に降っていたベリアル家が、それに応じる事も無く。
そして次に目を着けたのが、グレモリーだった。
確かに次期当主は無能で、現在は行方知れずとされているが、生存確認されているグレモリーで、魔王の息子であるミリキャス・グレモリーは才児として名が知られていた。
このミリキャスを旗頭…傀儡…として、貴族制の復権の話を持ち掛けるが、ミリキャスの応えは否。
幼い自分を体の良い看板として利用しようとしているだけなのは明らかな上に、権威だけを欲する貴族が、まともな統治をするとは思っていない…現状よりも更に冥界が乱れるのはわかったからだ。
何よりも今の自分には、【日本神話】従属の呪が施されている。
彼等への協力を、【日本神話】が どの様に解釈するかを恐れたからだった。
そんな事情を知らない悪魔貴族は、ミリキャスの対応に納得する筈も無く。
そして自分の言う事を聞こうとしない、生意気な子供に対して、この貴族は強行手段に出た。
ミリキャスの保護者代わり…世話役となっていた少女、リリティファ・ウェパルを捕らえると、その首筋に刃物を当てたのだ。
「さあ、もう一度、質問しますよ、ミリキャス・グレモリー。
我々と共に立ち上がり、貴族の、貴族による、貴族の為の社会を再建させましょう!」
「……………!」
最初の挨拶の時はミリキャスに対して『様』を付けていた悪魔貴族が、今はフルネーム呼び捨てで再び赤髪の少年に脅す様に問い質す。
にゃ~ぁ?(ΦωΦ)
…その様子を部屋の角で、何時の頃からか館に住み着いていた黒猫が窺っていた。
真田幸村…戦国無双シリーズのキャライメージで。
感想、よろしくです。