ガルーダDxD(仮)   作:挫梛道

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今回は、かなりマジメです。(当社比w)
 


木場裕斗は復讐(リベンジ)したかった

「か…はっ…?!」

全身をズタズタに斬り刻まれながら、木場が魔剣を杖代わりにして立ち上がる。

彼が その身に宿すのは、己が意識と魔力の続く限り、魔剣を無限に創り出す神器(セイクリッド・ギア)魔剣創造(ソード・バース)

これにより、地面から無数に生やした刃を盾の如くにして、イクラエルの攻撃を耐え凌いだ。…心算だったが、『斬鉄』の二つ名を持つ堕天使は、其すら難無く紙の如く斬り棄て、周りの悪魔達と一緒に、彼に決して少なくないダメージを与えていた。

 

「ぐ…」

「これ程…とはな…」

「これが…斬鉄…!」

「防御に集中してなくば、正に身体が両断されていたぞ…」

そして木場同様、魔王レヴィアタンの直属部隊も、ダメージを負った体をよろめかせながら、立ち上がる。

 

「…リアス様、御無事で?」

「え…えぇ…」

「ぁ、貴女の、お陰ですわ…」

「ゎ、ゎゎゎ…」

そして、バイオレート。

 

「フッ…セラフォルー様から授かった鎧が無ければ、死んでいたやも知れぬな…」

 

シュゥウ…

 

リアス…そして そのついでとばかり、朱乃、ギャスパーを護るべく、肉壁となっていた彼女も また、ボロボロとなった黒の鎧を再生させて、前に出た。

 

「お前…どうして…?」

「私達、エクソシストなのよ?!」

リアス達同様に、大したダメージを受けてないのは、ゼノヴィアとイリナだ。

量産型の聖剣を構え、木場の両脇に立っていた2人は、このリアス・グレモリーの騎士(ナイト)の「ごめん!」の一言と同時、首根っこを捕まれ、彼の背後に放られていたのだった。

 

「ごめん…女の子に対して、少し乱暴だった…ね…」

「そういう意味じゃない!」

それは結果として、イクラエルの攻撃を回避した事に、木場自身が彼女達の盾となり、エクソシストの少女2人のダメージも、肩代わりした事に繋がっていた。

その行動に対してゼノヴィア達が問うが、返ってきたのは彼女達からすれば、的外れな応えだった。

 

「…僕達は今、悪魔とかエクソシストとかで無く、"先輩後輩"として、この場に立っていた筈だ。

だったら後輩(きみたち)を守るのは、先輩(ぼく)の役割だ。」

「フッ…言ってくれる!」

「悪魔なのに、"男の子"してるじゃないの!

…ったく、何処かの役立たずな変態とは、えらい違いだわ。」

「…だが、私達も戦士だ。

先輩面は構わんが、保護者面は勘弁して戴きたいな。」

「これは、失礼。」

そう言って、ゼノヴィア達は続く言葉に、不敵な笑みを浮かべ、理解しつつも やや納得は往かずな表情で、保護者面な先輩と共に、再び剣を構える。

しかし一方、平静を装っていながら、木場の心中は、決して穏やかでは無かった。

 

 

 

 

…切り替えるんだ!

バルパーは死に、エクスカリバーも砕けた。

ならば後は、目の前の敵を倒す事に集中しろ!!

 

 

 

嘗てカトリックに所属していたバルパー・ガリレィが、天界が所持している聖剣(エクスカリバー)の使い手を人工的に造り出そうとした、通称『聖剣計画』。

その非人道的な実験や訓練を強いられる被験者の中には、()()()()()()()木場も居た。

だが、その計画は、結果から言えば失敗に終わる。

その後に不適合、"失敗作"として、施設地下の密室に閉じ込めた被験者達。

彼等に待っていたのは、毒ガスでの処分だった。

同じ被験者だった仲間達の犠牲と協力により、辛うじて施設を逃げ出した木場。

しかし、やはり毒ガスに体を蝕まれ息絶える寸前に、彼の前に現れたのが、リアス・グレモリーである。

神の信徒に捨てられ、悪魔に拾われた木場は、彼女に忠誠を誓い、彼女の眷属として生きるも、己の人生を狂わせた者達への復讐を忘れた事は無かった。

復讐の大義名義に決して、同士の名を利用、持ち出す事は無く、あくまでも個人の復讐として。

しかし今、その復讐の最たる対象である人物は、目の前で用無しとして堕天使に殺され、最たる破壊対象だったエクスカリバーもまた、己の眼前でガラクタと見なされ、堕天使に破壊された。

結論から言えば、木場の復讐の対象は、この世から失せた事になる。

しかし それが自身の手で為し遂げられなかった事での心の整理が直ぐに出来るには、彼は まだ、若過ぎた。

 

「くそ…!僕…は、一体…!?」

 

▼▼▼

「ふむ…龍機兵は全滅、エクスカリバーも壊れたか。

おい、コカビエル。

我が輩的には、既に この場には用が無いので、もう帰らせて貰うぞ。

エクスカリバーは兎も角、龍機兵の戦闘データの解析をせねばならぬのでな。」

その頃、上空では一連の流れを観ていたサハリエルが、コカビエルに自らの帰還を宣言。

 

「ふん、好きにしろ。」

コカビエルの この言葉の後、白衣を着た堕天使は、この場から姿を消した。

 

「さて、俺も、好きにするか。」

そして、1人 空に残った堕天使が そう呟くと、ゆっくりと地上に降り立つ。

 

≫≫≫

「コカビエル…!!」

「「「「「「!!?」」」」」」

「ふ・ん…貴様等とて、1人1人相手するより、一度に纏めた方が、早いだろう?

文句は無いよな?イクラエル?」

「ふん…勝手にしろ。」

イクラエルと改めて対峙しているバイオレート達の前に、更に もう1人、堕天使が参入してきた。

堕天使幹部が2人となり、戦慄するバイオレート達。

 

「…最初に、あの(にんげん)が言った通り、あの魔方陣の内部は今、エクスカリバー合体で生じた魔力の余りが燻っている。

あと30分足らずで それは暴走、光の柱の障壁を突き破り爆発。

この町を消し飛ばす事になる。

本当は、この学園が崩壊するだけだがな。 (笑)

さて、貴様等は どうする?」

「な…?!

そ、そんな事は、させないわ!

滅べ!!」

「り…リアス様?!」

 

ボォゥワッ!

 

そしてバルパーの亡骸を指差しながらの説明(ハッタリ)

それを聞き、真に受けたリアスが、魔方陣に向けて自らの唯一にして最大必殺である、滅びの魔弾を撃ち放つが、標的に変化は見られない。

 

「な…どうして?

魔力を吸収してるとでも言うの!?」

「ふははははははっ!

そんな訳が有るか!サーゼクスの妹!

確かに お前達の()()()()()()()()は、脅威と言って良かろう。

しかし お前の それは、明らかに火力不足だ!

例えるなら、氷山に一滴の湯を注いだに過ぎん!

サーゼクスならば、余裕で どうにか出来ただろうがな!」

「な…何ですってぇ?!!」

それについて、コカビエルが解り易く?解説するが、その内容はリアスからすれば、お気に召さなかった様で、

「な、舐めるなぁっ!!」

感情の高ぶりと共に、魔力が ()()上昇し、

 

ボボォォゥッ!!

 

先程より、僅かながら威力の増した…渾身の魔弾を、今度はコカビエルに向けて放つ。

 

ズバンッ!

 

「な…馬鹿な…!」

しかし、堕天使幹部の肩書きは伊達で無く、コカビエルは それを涼しい顔で片手で受け止めると その儘、上方へ弾き飛ばした。

 

「リアス様、御下がり下さい!

この場は我々が!!」

「ちょ…勝手に仕切らないで!

私達だって、戦えるわ!!

行くわよ、朱乃!!」

 

ダッ…!

 

「り、リアス様ぁっ!??」

それを見たバイオレートが、やはりリアスは この場では戦力外と判断、後方へ下がる様に促すが、プライドの高い彼女からすれば、それは とても受け入れられる物でなく、自分の女王(クィーン)と共に、更に前へ飛び出して行く。

 

「なぁあ?!か、仮に参戦するにしても、貴女達は寧ろ、後衛でしょうに!

ぃい、1班! お前達はリアス様達の御守り(えんご)を!

2班は私とコカビエルに、3、4、5班はイクラエルに仕掛けろ!!」

「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」

 

▼▼▼

「ディオドラ様。この町が滅ぶ、そうですが…逃げないのですか?」

「ん~、それだけどね…」

校庭で始まった堕天使幹部2人と魔王直属部隊+αの戦闘を、校舎屋上から眺めているのは、"野暮用"とやらで地上入りしていたディオドラ・アスタロトと、彼の女王(クィーン)の少女である。

 

「この学園全体に、強力な結界が張られているのは、気付いているかい?」

「え、えぇ…」

「それなら、話は早い。

それについては、堕天使共が何故?…って疑問が残るけど、大丈夫。

多分、この町が壊滅する事は、無いと思うよ。

尤も、この学園は…だけどね。」

「はぁああ??!

で、でしたら尚の事、この場から…!」

穏やかな表情で、とても大丈夫とは思えない発言をするディオドラに、金髪の少女は呆れ顔、且つ若干慌てた口調で、この場所からの撤退を勧めるが、当人は自身のスマホを見せつけ、

「駄目駄目。

今の僕は、この場の実況をしなければならないと云ふ、原因不明意味不明正体不明な使命感に狩られているんだ。

退くなんて、有り得ないよ。」

…と、どや顔で力説。

 

「仮に此処で、『危険が危ないから逃げます』とかアップして実況中断した日には、『ヘタレ』とか『根性無し』とか『使えねー』とか『駄肉レベルな無能』とか、散々と言われるのは目に見えているからね。

そうなると、僕は泣くよ?」

「勝手に好きなだけ泣いて下さい!

その時は、後で私達が幾らでも、慰めて差し上げますから!

えぇ!セーラー服でもブルマでもスク水でも(…中略…)ナースでもCAでもケモ耳メイドなプレイでも!!

どんな 鬼畜ど変態な リクエストでも、応じてみせますよ!」

「ん~、それも確かに魅力的だけど…

でも、既にキミも気付いているだろ?

僕が今、キミに何を期待(リクエスト)しているか…は?♪」

「ハァ…やれやれです。」

「胃薬、いる?」

「…戴きます。」

 

▼▼▼

「ふ…ん、動きに迷いが見える。

そんな心構えで この俺と刃を交わそうとは、笑止千万!」

 

バキッ!

 

「うわぁっ!?」

バイオレートの指示により、悪魔勢+αはコカビエルとイクラエルの分断には成功、2組みの"1vs多"の局面を作り出していた。

その片面…イクラエルとの戦闘に入っていた木場が、魔剣で斬り付けるが、イクラエルは逆に手刀で その剣を両断、

「てぇいやっ!」

「この堕天使!神に伏しなさい!

アァーーーッメン!!」

そして直後にゼノヴィアとイリナが、同時に斬り掛かるが、

「小娘が、甘いわ!」

 

バキィッ!!

 

「きゃあぁっ?!」「ぅがっ!!」

木場の魔剣同様、2人の聖剣も手刀で断ち斬り、そこから発生する真空の刃で、3人纏めて吹き飛ばした。

 

「我が拳、手刀は如何なる物をも断つ剣!

そんなオモチャ等、紙にも等しいわ!」

「「「く…っ!!!」」」

大見栄を切っての台詞に、少年少女は何も言い返せない。

 

「リアス様の眷属殿、ついでに人間の小娘!

この場は我々に任せて頂きたい!」

 

ザザ…バサッ…!

 

そして、やはりイクラエルと戦闘を行っていた魔王の兵達が木場達を制し、漆黒の鎧姿の堕天使を取囲むと、翼を広げて飛翔、

 

ダッダッダダダダ…

 

上空から魔弾による全方位攻撃を仕掛ける。

 

「ふっ…空中戦を挑むか!?面白い!」

 

バサァ…ッ…

 

それに対してイクラエルも、背中の5対10枚の黒い翼を広げて応え、上空へと飛び立った。

 

≫≫≫

「くっ…流石に空の上では、私達には打つ手が無いな。」

「いや…君達の任務は、エクスカリバーの奪還、若しくは破壊だろ?

あの堕天使が代わりに行ったとは云え、既に お役目御免なんじゃ?

必要以上に悪魔(ぼくたち)と関わらない方が良い。

あの聖剣の残骸を回収して、立ち去るのを勧めるよ?」

空中での堕天使と悪魔との戦闘を見ながら呟くゼノヴィアに、木場が撤収を勧めるが、

「馬鹿にするな。

この町が滅ぶと聞かされ、それで『後は頑張って』とばかりに退散する程、私達は薄情じゃない心算だ。」

「例え、悪魔が管理している土地だからって、それを知っているのは ほんの一部の人達だし、この町に住んでいる人達に罪は無いわ!

この町を見捨てて帰還したりしたら、それこそ破門よ!」

ゼノヴィアとイリナは、それを拒否。

 

「とりあえずは…堕天使と悪魔が戦り合っている間に、魔方陣(アレ)を、何とかしてみよう。」

 




 
また、主役登場せず(笑)
次話こそは…?
 
感想、評価、よろしくです。
 
※偶に本来ならば「~は」な文章を「~わ」と表現している事が有りますが、あれ等は全てワザと、意図的ですので、それで理解と納得、お願いします。
 

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