ん、前回は悟られない様に、敢えて平仮名表記だったんですけどね…(汗)
ドッドッドッドッドッドッ…
「「「「「「「「??!」」」」」」」」
魔方陣爆発迄、残り約10分と迫った時、突如 学園結界内に、まるで大型作業重機が駆動する様な重低音が鳴り響く。
その音に、学園敷地内に居る者全てが驚愕、その音源の方向に目を向けた。
≪≪≪
…刻は少し巻き戻る。
「ふはははははは!
愉しいぞ!魔王・セラフォルーの眷属よ!」
「話には聞いていたが、本当に戦闘…いや、戦争狂な様だな!」
ガシッ!
コカビエルと交戦しているのは、バイトレートと その指揮下の兵達(+α)。
魔王兵達が距離を空けて魔力弾を撃ち、その間を縫っての近接距離、バイトレートが鎧の
「ふん!」「ちぃっ!」
直後、両者は共にバックステップで間合いを取り、
「ふ…」「??」
次の瞬間、コカビエルが左手を上方に掲げると、夜空に無数の小型魔方陣が、煌めく様に浮かび上がった。
「ま、不味い…!全員、防御だ!!」
バイトレートの言葉と同時、悪魔の兵は
ドス…ドスドスドスドスッ…!!
「「「「がはっ?!」」」」
「「「ぐぇっ!?」」」
「「「「「うご…」」」」」
その魔方陣から雨の如くに撃ち出された無数の光の矢は、その防御力を上回り
これにより数名の兵がリタイアするが、コカビエルの本命は、実は別に有った。
「ぁ…ぁあ…?」
「これ…は…!?」
「ぁゎゎ…」
バイオレートの部下数名が
無論、これはコカビエルが、その場の者達が、空から降り注ぐ光の矢に注意が向けられた隙に、背中の翼から飛ばした物である。
羽根に麻痺性の毒が仕込まれていたのか、これによりリアス達は、何が起きたか理解出来ない表情で、倒れる事無く、その場で硬直したかの様に立ち尽くしていた。
「り…リアス様っ??!
…貴様ァッ!!!」
それを見たバイオレートが、憤怒の表情でコカビエルを睨むが、
「心配するな、
「何?!」
この堕天使幹部は、不敵に嗤いながら、それを受け流す。
「さっきから雑魚の分際で、ちょこまかと鬱陶しかったので、少しだけ痺れて、この戦の場から退場して貰っただけだ。
…まぁ、あっさりと殺っても良かったのだが、どうやら貴様は激昂すると、力も上がるだろうが、それ以上に冷静さを喪うタイプみたいだからな。
折角の、久々に遇えた上等な獲物だ。
そんな、己を見失った者と戦っても、面白くないのでな。」
「この…戦闘狂が…!」
「挑発の心算か?
残念だが俺にとっては、誉め言葉だ!
さぁ、
心逝く迄 殺り合おうぞ!!」
≫≫≫
斬!!
「「「「ぉゎあ~っ!?」」」」
その一方、魔王直属兵の約半分、そして木場、ゼノヴィアは、もう1人の堕天使の幹部、イクラエルと戦闘を繰り広げていた。
…唯一の武器である聖剣を破壊され、攻撃の術を失ったイリナは、既に後方待機である。
そして この"斬鉄"の二つ名を持つ堕天使が繰り出す手刀…直に受ければ身体だろうが得物だろうが両断され、躱したとしても其から生じる衝撃波…否、衝撃"刃"が襲い掛かる。
コカビエルと交戦している悪魔同様に、此方も戦闘離脱者が出ていた。
魔力暴走して町が滅ぶ程の爆発を起こすという、巨大な魔方陣をそうなる前に消すには、先ずは堕天使幹部2人を打倒しなければならないと云う、高難度な条件が設定された中、時間だけが過ぎていく。
≫≫≫
「ふはははははは!
どうした、デュランダルの使い手よ!
まだまだ剣に、真の持ち主と認められてない様だな!」
「だ、黙れぇ!」
ぶぅん!
イクラエルの挑発染みた台詞に覚えが有るのか、ゼノヴィアが顔を赤くして、聖剣のフルスィングを放つが、その大振りは簡単に高く跳躍して躱されてしまう。
「甘い!先代の使い手は、本当に"人の子"かと、疑う程の強さだったぞ!」
「!?」
ずさぁっ…どん!
「ぐぉ…?」
そして返しとばかり、彼女の背後に着地したイクラエルは その場で再びジャンプ、自らの両足をゼノヴィアの両脇の下に引っ掛かると、その儘バク転の要領で、蒼刃の聖剣使いを"脚"で投げ飛ばした。
「ぐぐ…ぐ…」
咄嗟に受け身を取り、頭からの落下を免れたゼノヴィアだが、そのダメージは決して小さくなく。
「「「堕天使がぁっ!!」」」
そこに数人の悪魔が、三ツ又の矛を、巨大な戦斧を、特大の鋼棍を構え、同時の突撃を試みるが、
「むん!」
斬!
「ぁ…が…」「ぬゎs…」「…っ?」
その攻撃は一度に其々の得物を断たれ、更には身に纏っていた鎧をも斬られ、逆に その場で倒れてしまう。
バイオレートの鎧よりは やや強度に劣るが、それでも魔王レヴィアタンが支給していた鎧が無ければ、命を落としていたのは間違い無かったであろう。
「まだまだァッ!」
「ほぅ!」
次に飛び込んできたのは、細剣型の魔剣を持った木場である。
その構えは、一直線に突進から、間合いに入ってからの刺突の姿勢。
…に、しては、体の重心が僅かながら、左に傾いている。
…つまり!その突きの体勢はフェイク!
本命は右に回り込んでの斬撃か!!
甘いわ!
敵の狙いをそう読み、気付いている事を気付かせず、正面からの迎撃の
「クス…」
そしてイクラエルが
ダッ…!
「堕天使、覚悟! アーーッメン!!」
「何ぃ?!」
そして その真後ろから姿を見せ、横凪ぎの斬撃を放ったのは、
斬!
「あ、浅かった!」
「いや、今のは なかなか、見事な連携だったぞ!」
しかし、その一瞬の虚を突いた筈の攻撃も、イクラエルの頬を掠めたに過ぎなかった。
だが当のイクラエルは、頬から流れる血を拭いながら、その攻撃を純粋に誉め称える。
「全く、貴様らは よく戦っている!
特にエクソシスト!
貴様等の健闘は、称賛に値する!
拠り所とする"主"を失っているにも拘わらずにな!!」
「な…何ですって?」
「どういう意味だ!?」
そしてイクラエルの この台詞に、イリナとゼノヴィアが過敏に反応。
「イクラエル!」
そして、バイオレート達との戦闘をしているコカビエルも、その発言は芳しくないと思ったか、それを制する様に促すが、
「…そう言うな、コカビエル。
真実を語るには、良い機会だろう?」
イクラエルは それを受け流し、言葉を続けた。
「神は、死んだ。
先の大戦、三つ巴の戦で死んだのは四大魔王だけに有らず!
その時に神も また、死んでいたのさ。」
▼▼▼
「ん…、
「ディオドラ様?!」
校舎屋上から、イクラエルの…勢力に関係無く【聖書】に属する者からすれば、絶句物必至なカミングアウトを聞いたディオドラだが、冷静に…文字通りに それを冷めて静かに聞き入れていた。
「ぃいや…そんな、馬鹿な?」
逆に、やや動揺しているのは、彼の
「…良いかい、ジャンヌ?」
「?」
そんなジャンヌに、ディオドラは持論を話す。
それは要約すれば、この3大勢力三つ巴の争いに、何時まで経っても『神』が、全く顔を出そうとしないのが、その証拠だと言う。
「少なくとも
「………!!?」
「君が
「あ…ぁああ…?」
このディオドラの仮説に対して、ジャンヌは更に驚き、更に動揺しながらも、"神の死"に納得してしまう。
「…そ、それで、ディオドラ様は、その事をサイトには…?」
「いや、これは流石に事が大き過ぎる。
僕なんかがネットを通じたりで、気安く公言して良い事柄じゃないよ。」
「…先程に堕天使が言っていた、魔方陣爆発による、この町の崩壊の件は?」
「その事もスレ主氏や、BSADB★総督(笑)も知ってる情報だろうし、彼等が何も言わない限り、僕が実況する事じゃない。」
≫≫≫
「な…出鱈目を!!?」
「馬鹿、言わないでよ!!」
『神は死んだ』…このイクラエルの発言に、ゼノヴィアとイリナが紅潮しながら反論。
「やれやれ…アイツ、マジに言っちまいやがったぜ…」
その宣言は、エクソシストの少女2人だけでなく、バイオレートを筆頭とする魔王直属兵達の動きさえも止め、コカビエルも頭痛を訴えるかの様に、頭を抑える。
…が、その口元は、「よくぞ言った!」…とでも言わんばかり、ニヤリと つり上がっていた。
「コカビエル!…今のは…?」
「あぁ。ヤツが今 言った事は、
攻撃を一時中断し、バイオレートがコカビエルに問うと、この堕天使幹部は肯で それに応え、
「前回の大戦で、3大勢力は人間の信仰心や対価に依存せねばならない程に、疲弊したからな。」
「…人間に それを知られるのは、どの勢力からしても、非常に都合が悪い。
故に この真相は、各勢力トップの…その中でも極々一部の者だけの極秘情報としたのだよ。」
そしてイクラエルの隣に移動すると、続けて その詳細を2人で語りだす。
「嘘!嘘よ!主は健在よ!
イリナが聖剣の切っ先を堕天使2人に向けて反論。
今回の任務に際して、教会から支給された量産型の聖剣をイクラエルに砕かれ、後方待機していたイリナだが、そんな彼女の眼前に、不意に一振りの剣が浮かび出るかの様に現れた。
その剣から発する聖氣は、紛れもなく聖剣。
それを迷わず、神からの思し召しと解釈した彼女は、それを握り締め、戦列に復帰していたのだった。
「…それは何処かの物好きの、気紛れ…或いは小さな親切…じゃないのか?」
「な…?!」
しかしイクラエルは、自身の背後に建つ、校舎の屋上に一瞬 目を向けると、再びイリナの顔を見て、それを否定。
イクラエルは…コカビエルも そうだが、それが何者か迄は分からずとも、既に校舎屋上のディオドラ達の存在には気付いていた。
殺気も何も感じなかったから、手出ししなかったに過ぎずが、まさか其処で、サイトへ戦闘の実況をしていたのは、流石に想定外であろう。
そして事実、イリナの聖剣は、イクラエルの言葉通り、ディオドラの
「そんな…」
「嘘…だ…」
ガクッ…
そして緊張の糸が切れたかの様に、ガックリと両膝を地面に落とすイリナとゼノヴィア。
「主が…死んでいる?」
「…だったら、私達に与えられる愛…は…?」
更には共に顔を青くして、放心状態で神の存在について、譫言の様に呟く2人。
それは、人生の大半を神に捧げてきた彼女達からすれば、無理は無く、
「神が、居ないだって…
そ、それじゃあ、僕達は何を信じて、
今は悪魔に身を転じているとは云え、木場も同様に、彼女達程では無いにしろ狼狽え、動揺を隠せなかった。
≫≫≫
ドッドッドッドッドッドッ…
「「「「「「「「「「!??」」」」」」」」」」
そして刻は、現在に至る。
学園に いきなり響き渡る大型作業重機のエンジン音の様な轟音に何事かと、その場の誰もが音のする方向を見ると、学園正門前に、1人の背の高い人物が、肩に何かを担いで立っていた。
「………………………………。」
そして その男が、無言で一同に歩を進め始めると、
「まさか、
チィ、アザゼルのヤロー…!」
「いや、ある意味、必然だ。」
その男を知っている様な口振りをする堕天使幹部2人が顔を顰め、
どさっ…
一同の目の前まで やってきた人物は、肩に担いでいた
「……………………………。」
それは、白の全身鎧を着た、銀髪の少年だった。
顔の左半分が大きく腫れ上がっている この少年は、白眼を剥いて気を失っている。
「何だ?コイツ…?」
「ぃゃ…彼…は…」
唖然とした表情のイクラエルの問いに、長い金髪をオールバックに固め、左目側に猛獣の爪で抉られた様な、縦3本の深い疵を刻んだ眼光鋭い男は、少し自信無さ気、申し訳無さ気に、呟くかの如く応える。
「つい先程、学園に入ったと同時に其処で出会したのだが、俺の顔を見た瞬間に、『俺と勝負しろ!』って襲い掛かってきたから…つぃ、その…」
「「……………………………。」」
ドッドッドッドッドッドッ…
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【悲報】作者、感想にて
感想、評価、よろしくです。
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