連続投稿第1弾!
「「「ただいま戻りました。」」」
「やぁ、お疲れ様。」
南エリアに最奥に建つ、廃ビル。
其処が、今回のレーティング・ゲームに於ける、ディオドラの拠点である。
ビル最上階の一室に入ってきた、万里谷祐理、セリス・シェール、そしてゼノヴィア・クァルタを、ディオドラは笑顔で迎え、労った。
「それにしても、いきなり反対側からゼノヴィアさんが登場したのには、驚きました。」
「あぁ。私も、マスターから出動の指示をされた時は、吃驚したよ。」
「私は 何となくだが、誰かが やってくる、そんな予感は していたわ。
本当に単なる足止めで終わるとは、思っていなかったからね。
フッ…ディオドラ様も、
リアス眷属のスーザンと堀井の、足止めをしていた祐理とセリス。
その祐理の光の防御障壁に、手間取っていたスーザンと堀井に、奇襲を仕掛けたのはゼノヴィアだった。
障壁を大きく迂回しての、背後からの不意討ちに、先ずはスーザンがリタイア。
その後の堀井との一騎打ちにも、やはり悪魔で在りながら、"聖剣"を扱えると云う優位性、更には長年、カトリックの戦士として過ごしてきた経験は大きく、結果、堀井も最後は聖剣デュランダルの一閃で仕留めたのだった。
「ははは…ごめんごめん。
でも、昔から言うじゃないか。
『敵を騙すには…』ってね。
とりあえず僕達は、この場で待機だ。
西エリアはヨシコ達が進んでいる。
中央はシャルとララティーナが、木場君に敗れてリタイアみたいだけど、エルザとレイチェルが別ルート、敵と遭わずに進んでいる筈。
向こうの拠点攻めは、とりあえず、彼女達で大丈夫だよ。」
不敵に微笑むディオドラ。
「そして向こう側…
さて、リアス? 君は、どう出る?」
▼▼▼
「あらあらあらあら?」
「ゆ、祐斗?」
「部長?朱乃さん??」
…その頃の木場は、丁度、中央エリアと北エリアの境付近で、リアス・グレモリーと姫島朱乃と出会っていた。
「ど、どうして…」
「イッセーとスーザンのチームが撃破されて、残るは貴方だけになったなら、もう、拠点で大人しくしているよりかは、一気に攻めに転じた方がベストと思ったのよ。」
「祐斗君は守りの心算で、戻ってきてくれたのでしょうけど、お陰様で合流の手間は、省けましたわ。」
戸惑う木場に、リアスと朱乃が説明。
「し、しかし…拠点をがら空きにしてしまっては…」
「大丈夫よ!
拠点に着く迄の道には、様々な
「無理に通り抜けよう物なら、黒焦げになって、リタイア…ですわ♪」
「……………………………。」
「さぁ、ディオドラの拠点を目指すわよ!」
▼▼▼
「ちぃっ!」
「っ!」
「……………。」
同刻。
西エリアを抜けて、リアスの拠点が在る北エリアに侵入した、ヨシコ、エミ、イヴは、リアス眷属が仕掛けた、トラップの歓迎を受けていた。
巨大な落石群を避けたと思えば、無数の竹槍が取り付けられた岩が、ワイヤーに吊られ振り子式に勢い良く迫り、それを回避した先の足下には、深い落とし穴が。
「舐めた真似を…」
「大した事、無いわね。」
ひゅ~~~~~~~ん…
「…ぇぃ!」
バキッ!
そして その落とし穴を跳躍で躱した先、頭上に落下してきた金盥を、イヴが金髪を
「「ぉお~~~~~~~♪」」
パチパチパチパチパチパチパチパチ…
「「「??!」」」
この一連のトラップ・コンボを凌いだ時、喝采と共に、2人の少女が現れた。
エミと同じく、長い赤髪の軽装鎧の少女と、長い金髪を露にするデザインの覆面を被った、格闘衣姿の少女だ。
「エルザと、レイチェルか…。」
それは、敵と遭遇する事無く、北エリアに辿り着いたディオドラの
「この先、合流させて貰うぞ。」
「さぁ、行きまショウ!」
▼▼▼
ダダダダダダダダダダダダッ…!!
ちゅっどおぉ~~ん!
ドッカァーーーーーーーーーン!!!!
「うわゎっ?!」
「きゃぁっ!?」
「ひぇえぇ~~~~~~~っ??!」
…その後、リアス達も、ディオドラが待つ南エリアに到達。
ディオドラ眷属がエリア各所に仕込んだ、網の目の様に張った赤外線レーザーに触れる事で発動する、機関銃やロケットランチャー、更には それ等を避けた先に埋め込まれている地雷等の、数々の
「もぉ~、何なのよっ、これは!?
重火器とか爆弾とかって、反則じゃないの?」
≫≫≫
「「「ハァ、ハァ…」」」
そして
「このビルの中も、どんな罠が仕掛けられているか、分かりません。
十分に警戒して行きましょう。」
そう言う木場を先頭にして、3人の少年少女は、崩れかけたビルの中に足を踏み入れて行った。
「あ…」「え?」「あら?」
入って早々、リアス達が目にしたのは、
【この先、危険!】
【進めば死ねるぜ!】
【だんがー】
【引き返せ!】
【特に性犯罪者は来るな】
【性犯罪者は死ね】
【俗物禁止】
【えっちいのは嫌いです】
【胃薬、要る?】
…等と書き込まれた立て看板の数々。
そして大きさ、約60㌢角程の木箱。
蓋はアーチ形、縁枠が金属製な、よくRPGのダンジョン等で見られる、所謂『宝箱』である。
「あら、宝箱よ♪ 中には何が、入っているのかしら?」
「ぶ、部長お?!」
それを見て、何の疑いも無く、無防備に箱に近づこうとする紅髪の少女が約1名。
「ちょっと、リアス?」
「何やってるんですか、部長?」
そしてそれを必死で止める、
「貴女、お馬鹿なの? どー見てもコレ、罠にしか見えないでしょ?」
「ぅ…でも、もしかして、ゲーム運営側が用意した、伝説の武器が入ってる可能性だっt
「「有りません!」」
兎に角 必死で止める、
≫≫≫
「…とりあえず、魔力、そして生体反応は感じられませんわ。」
…それでも前に進むには、結局は箱の傍を通る為、その際に朱乃が箱を魔力を通して調べてみた。
「蓋を開けたら、『宝箱は、ミ〇ックだった!』とかの類じゃ、無いみたいですね。
…だとすれば、蓋を開けると爆発する…とか?」
「その程度なら大丈夫でしょ?
外なら兎も角、屋内で さっきみたいな大爆発レベルの爆弾なんて、仕掛ける筈が無いわ。」
「「………………………。」」
カチャ…
そして それ程の脅威は無いと判断…いや、用心より好奇心が勝ったリアスの押しにより、一応は箱全体に防護結界を施し、その蓋を開けてみると、
「これは…」
その中身は、ゴーグルの様な機械。
『ふふふ…リアス、聞こえてるかい?』
「「「!!!?」」」
それと同時、廃ビルの中に、ディオドラの
「ディオドラ!?」
『…対戦相手に向ける台詞じゃないかも知れないけど、リアス、君は もう少し、慎重に行動すべきだと思う。』
「何ですって?!」
『まさか、あんなに躊躇無く、箱を開けるなんて思わなかったよ。
少しは疑おうよ…いや、マジに…』
コクコクコク…
リアスの後ろ、それを聞いた木場と朱乃は、小さく頷く。
「大きな お世話よ!…って、貴方、見えてるの?」
『このビルの中は、罠だけでなく、至る所に監視カメラも設置している。
そして この先 君達は、此方が仕掛けた罠に四苦八苦する様を僕達が笑いながら観る中、進む事になる。』
「趣味悪いわよ!」
「バラエティ番組の心算ですの?」
『だからこそ…の、その赤外線スコープさ。
とりあえず、装着してみなよ。』
「…………………………。
一度装備したら外せない呪いのアイテムとか、着けた瞬間、内側にフラッシュが焚かれて、ムス〇大佐みたいに『目が、目があ!』…なーんて事になったりしないでしょうね?」
『あー、うん…。
それ、今 思い付いたよ。』
「…………………………………。」
カチ…
まだ少し信用出来ない迄も、このスコープには仕込みは無いと判断したリアスが それを装着、本体側面の電源スイッチを入れると、
「こ、これは…?!」
目の前の通路に張り巡らされている、赤外線レーザーがスコープ越しに視認出来た。
『ふふふ…気に入って貰えたかい?
しかし、それは只のハンディだよ。
僕達が用意した罠は、赤外線に触れるだけでなく、壁や床に仕込まれたスイッチでも作動する。
さあ、リアス!
僕に勝ちたいならば、数々のトラップを切り抜け、最上階まで来てみるが良いさ!
あーっはっはっはっはっは!!』
「何処の悪役よ?!」
≫≫≫
ズバッ!
ドシュッ!
ガシャァアアアアァッ!
どっどごこごごごごごごご…
「うわゎあっ!?」
「きゃっ?!」
「もう、いやぁあああ~~~~っ!!」
その後、リアス達はディオドラ・プレゼンツのスコープを利用して、赤外線が張られた通路は避けて進んで行った。
…が、その別ルートでも悉く、仕掛けられた罠を作動させてしまうのだが…
壁から突き出る槍に虎鋏、落ちてくる天井(棘付き)、果ては階段を転がり降りる巨大鉄球等を辛くも退け、
「「「ゼィゼィ…ハァハァ…」」」
漸くディオドラが待つ最上階に辿り着いた。
ザザッ…
「「「!!?」」」
「はぁい♪」
「久し振りだな、先輩殿。」
階段を上がり終えた通路、そこで待ち構えてのは、栗髪ツインテールの少女と蒼のショートカットの少女。
元・天界所属の聖剣の戦士、紫藤イリナとゼノヴィアだった。
ザッ…
「部長、副部長…此処は、僕が…」
「祐斗?」
それを見て、木場が一歩、前に出る。
「さぁ、君達の相手は、僕がしよう。」
「…ふっ」「クス…」
魔剣を構える木場に応える様に、ゼノヴィアとイリナも不敵な笑みを溢しながら、聖剣を構える。
タタタッ…ガシィッ!
「流石は
そして、瞬時に間合いを詰め、ゼノヴィアと刃を交える。
「私も居るのよ? 先輩君!」
ギィン!
「やっるぅ♪」
瞬間、イリナが横から斬り掛かるが、木場は もう1本 魔剣を創り出し、それを受け止めた。
「祐斗!」「祐斗君!!」
「この2人は僕が抑えます!早く、先へ!!」
「…と、先輩殿は言っているが?」
「心配しなくても、私達は先輩君にしか興味は無いわ、リ・ア・ス…様?
ディオドラ様は、この先の通路、最奥の部屋で貴女を待っておられます。
早く向かわれたら、どうですか?」
「な…!?」
刃を交えながら、それでも余裕が見られる、挑発とも受け止められる発言に、リアスは一瞬、顔を強張らせ、掌に魔力を集中させようとするが、
「部長ぉ!」
「…!!」
木場の一声で、クールダウン。
「祐斗、先に行ってるわよ!…朱乃!」
「はい、部長!」
タタタタタッ…
この場を木場に任せ、朱乃と共に奥へと走って行った。
「…………………。
ここは、お礼を言うべきかい?」
「気にする必要は無い。」
「元より私達に与えられた指示は、先輩君の足止めだけだから、ね!」
この場を走り去るリアス達に、何の手も出さない少女2人に、魔剣を振りながら、木場が話し掛ける。
カィィン…!
「…!? その、聖剣は…?!」
「ふふふ♪ 気付いた?」
そして改めて刃を交えた時に、木場がイリナの持つ聖剣の特異性に気付く。
イリナが今 持っている聖剣は、彼女が悪魔に転生後、冥界に向かう前、イギリスの実家のリビングに飾られてあった其を勝手に拝借した物である。
一見それは銘も無い、量産型の数打ちの1つに過ぎない筈。
だが、それを見たディオドラの
「名付けて"
ジャンヌさん命名よ!」
シャキィーン!
自宅のインテリアだった聖剣が、まさかの業物でしたと云うオチを、どや顔&決めポーズで解説するイリナ。
「ははは…こりゃ、参ったね。」
そして その
「さあ、お喋りは お仕舞いよ!
滅してあげるわ、先輩君!」
ダッ…
そして戦闘再開。
イリナが間合いを詰める。
「お逝きなさい!アァーメン!」
「!!!!」
走り込んでの鋭い横凪ぎを、木場に向けて放とうとするが、
ぴた…ガクッ…
「~~~~~~~~~~~…!?」
その途中、急に その剣を止め、その場に しゃがみ込み、苦しそうに両手で頭を押さえ始めた。
「え…?」
「ど、どうしたんだ?イリナ?!
何が有った?」
それを見てゼノヴィアは勿論、敵である木場も心配気な顔を見せ、
「うぅ…何時もの癖で、(居もしない)神なんかに祈ったりしたから…あ、
すってーん!x2
そして この台詞を聞き、その場で盛大にコケるのだった。
①今回登場のセイジョ☆スキー眷属
エルザ・スカーレット…エルザ・スカーレット(FAIRY TAIL)
レイチェル・スタンレー…レイチェル・スタンレー(ケンイチ)
…のイメージで。
②連続投稿第2弾は1分後!
つまり、