久し振りの…
9月。
近年の一部の学校では、8月後半には新学期がスタートする学校も有るが、駒王学園では9月1日が、2学期のスタートである。
「ん~、今日から新学期が始まるに伴い…と言う訳でもないが、新しい仲間を紹介しようと思う。
とりあえず女子!期待して良いぞ!」
ざわざわざわざわざわざわざわざわ…
1年E組の教室では、その最初のホームルームにて、担任教諭が、新しく このクラスに加わる編入生を紹介しようとしていた。
それを聞き、ざわめく教室。
教室前側の扉の磨りガラスに目を向けれ見れば、確かに廊下で待機している人影が映っている。
担任の言葉からして、男子生徒の様だが、
「よし、アカバネ君、入って来なさい。」
ガラ…
「「「「「「「「おおおぉ~~っ!♪」」」」」」」」
担任に呼ばれ、扉を開けて入ってきたのは、整った顔立ちの赤髪の少年。
「へ?」「え?」
その彼を見て、クラスの殆んどの女子生徒が歓声を上げる中、間の抜けた顔で間の抜けた声を出した生徒が、約2名。
カッカッカ…
そんな中、この編入生は黒板に自分の名前を書き込み、
「この度、父親の仕事の関係で〇〇市から此方に引っ越してきた、
皆さん、気軽に『カルマ』って、呼んで下さーい。
よろしくお願いしまーす。♪」
…と、明るく自己紹介。
「あー、それから そこのサトル君と東條ちゃん?
人の顔を見て、間抜けな顔をしない。」
「「………………………。」」
そして、この一言。
どうやら このカルマという少年、サトルと白音とは、知り合いの様だった。
≫≫≫
「…で、どーゆー事だ?」
「いや、最初の挨拶で言ったじゃん?
親父の『表向き』の仕事の都合で、引っ越してきたって。
駒王町に来たのは、本当に それだってば。」
「でも、この学校はカルマ君が決めて、編入試験受けたんですよね?」
「まぁね~。やっぱり、知ってる人が居る方が良いじゃん?」
「…任務とかじゃ、ないのですか?」
「いやいや、今回は本当に、そーゆーのは無いから。」
「「……………………。」」
新学期初日は、始業式の後、掃除をして終了。
サトル、白音、そしてカルマは、一緒に下校していた。
赤屍かるま。
彼の父親は、表向きは大手商社勤務のサラリーマンだが、その正体は【日本神話】の特殊諜報部『NIN=JA』の一員である。
サトルの家族も、『NIN=JA』に所属している関係から、この3人…黒歌を含めた4人は、幼い頃からの親しい仲だった。
今回のカルマの編入は、本当に『NIN=JA』とは関係無く、純粋に父親の"表"の職場での転勤が理由らしい。
「俺は てっきり、烏丸さん達と交代で、俺等のガードに就いたかと思ってたぜ。」
「ん、全く関係無いね。」
因みにカルマも一応…まだ新人だが、『NIN=JA』の一員である。
尚、サトル達の護衛の任務に就いていた烏丸達は、夏休みの間、
「…でも、引っ越しとか編入とかは、前から分かってたんだろ?」
「連絡くらい、してくれても良かったんじゃないですか?」
「ん~、サプライズ?」
「「……………………………。」」
2人の問い質しにも、惚けた笑みを浮かべて応えるカルマ。
どうやら この男、中々に悪戯等が好きそうである。
「まさかとは思うが…
お前の登場って、何かの
「ははは…俺は別に、"知り合ったら それが死亡フラグな、蝶ネクタイで眼鏡の小学生"なんかじゃないよ?」
▼▼▼
そして時は過ぎ、今は10月半ば。
駒王学園では中間試験も終わり、2年生は京都方面へ修学旅行に向かっている この週末の夜、サトルは白音、黒歌と共に、某県某市の、観光名所にもなっている、とある仏閣寺に足を運んでいた。
≫≫≫
「どうしたどうした?
逃げてばかりじゃ、修行にならないぞ?」
「しゃあらぁっぷ!」
ひゅん…
「ちぃいっ!」
その本堂内は今、結界と転移の複合術式により、外観よりも遥かに広い、別世界と繋がっている。
謂わば、レーティング・ゲームの舞台の様な、"創られた世界"である。
其処でサトルは、白装束を着た、銀髪獣耳の男が繰り出す、棘の鞭の攻撃を躱し続けていた。
ひゅぃん…
「ちゃーっんす!」
ダッ…!
その鞭が射程最大にまで伸びたと同時、それが戻るより速い踏み込みで、間合いを詰めるサトル。
「てぇいやぁっ!」
「お?♪」
ダンッ!
其処から、半捻りバク転での跳びから、この銀髪の美丈夫の脳天目掛け、踵落としを狙うが、
「"振り"が大き過ぎる!」
どん!
「ぅげ?!」
この大技は、駄目出しと同時に簡単に躱されてしまい、鞭を手離してのカウンター、仙氣が込められた掌打を逆に脇腹に貰い、その場に片膝を着いてしまう。
そして、この銀髪男…妖狐・蔵馬の攻撃は、それだけで終わらない。
サトルが立てている片膝を、踏み台の様に駆け上がると、
「哈っ!」
バキッ!
「あじゃしぃ!?」
その勢いの儘に顔面目掛け、強烈な飛び膝蹴りを炸裂させた。
「ふ…ん!」
「!!!!!!?」
そして大の字になっているサトルの首筋に、今度は長く赤い髪の男が膝を落としてくる。
ずどんっ…
「あ…
「流石…だ。…しかし!」
これを寝転がる事でギリギリ回避、起き上がって体勢を立て直したサトルに、この鍛え抜かれた筋肉の持ち主は何処から取り出したのか、迸る紫電を纏う、戦槌を構えて猛追。
「頼むから…死ぬなよ!」
「殺る気満々で、言う台詞ぢゃねーよ!」
どん!
「…がっ?!」
その巨体にさえ不釣り合いな、より巨大な槌による一撃。
この叩き付けた床を完全に破壊、巨大なクレーターを作り上げる程の強力な直撃は辛うじて避ける事が出来たが、槌を覆う雷に体を掠めてしまい、サトルは一瞬、動きを止めてしまう。
「はぁあッ!!」
ビュンッ…
「おわぁっ!?」
其処に今度は入れ替わる様に、白のワンピースドレスの上に金色の鎧兜を着込んだ紫銀の髪の毛の少女が、黄金の杖で追撃。
「まぁだまだぁ!…ですよぉ!」
「次は、アンタかよ?!」
その鋭い刺突も寸での処で避けた先、間髪入れずに攻撃を仕掛けてきたのは、駒王とは別の学校の制服を着ている少女。
ぶぅんぶん…!
「…っと!」
サトルは触角の様な1本の長いアホ毛が特徴的な銀髪の少女が持つ、バールの様な形状の得物の二刀流フルスィングを躱し、バックステップで距離を大きく開けるが、
「甘いです!」
スチャ…
この少女は懐から手榴弾を取り出すと、そのピンを銜えて引き抜き、
「大リーグ・ボ~ル…1号お~ぅ!」
ぽぉ~い…
大きく振りかぶっての投球モーションで、サトル目掛けて投げ付けた。
どっかぁーーーーーーーっん!
「ぬわ~~~~~~~~~??!」
これもサトルは直撃は避けるが、爆風により上空へ大きく吹き飛ばされ、
「カーカカカカカカカ!」
「……!」
ガシ…
その儘 空中で、青い肌の三面六臂の男に捕まり、体を上下逆さの形で頭を肩口に乗せられ、更には6本の腕で両腕 両腿、そして両足首を極められた状態で、地面目掛けて急降下。
「甘いよ!アシュラ師匠!」
しかしサトルは慌てる事無く、
「何度も同じ技、喰らうかっての!
実は この技って、首のロックが甘いんだよね!」
そう言って、首の固定を外し、其処から この技の脱出を図るが、
「カカカカーッ!
甘いのは貴様だ、サトル!
お前が そう動く…それも既に、想定済みだ!」
ガチッ!
「な…?!」
サトルから『師匠』と呼ばれた このインド神話所属の魔神・阿修羅は、その外された頭を、自らの両脚で改めて がっしりとロック、
「阿修羅式・究極漆所蹂躙絡みー!!」
どどどんっ!
「キャビホーーーーーー!!」
完全に身動きが取れなくなったサトルを捕らえた儘、自身は尻餅を撞く体勢で
「あ…が…がが……」
身体全体、極められた箇所が、この着地の際の衝撃で更にダメージがプラスされ、完全に体を動かせなくなったサトルが、異空間の真っ白な天を仰いだ。
≫≫≫
「アシュラさんアっシュラさん~、サトルさん、死んでないですか~?」
つんつくつん…
これを銀髪少女が小枝の様な棒で、死に体のサトルをつんつんと突つきながら尋ね、
「大丈夫だ、ナイアよ。
きちんと手加減は、しているぞ。」
それに対し、阿修羅は涼しい顔で、何の問題も無いかの様に応える。
「「………………………………。」」
その様子を猫姉妹は、色々と突っ込みたい気持ちを押さえて見学していた。
「それにしても…インド…阿修羅様だけでなく、北欧の雷神にオリュンポスの戦女神。
ついでに、クトゥルーの邪神…
こっちの3柱は初めて会ったけど、お師匠様の交友関係は、本当に幅広いにゃ…
そして やっぱりのDV師匠ズ…」
「…てゆーか、今日は、近接戦闘の特訓だった筈…
それで あの手榴弾は、どうなのでしょうか?」
ЯЯЯЯЯЯЯЯЯЯi…
「ん?」「にゃ?」
そんな中、姉妹が座っている脇に置かれている、スマホが鳴り出した。
「お師匠様、電話だにゃ~。」
「ああ、ありがとう。」
そう言って、蔵馬はスマホを受け取り、
「もしもし………………はい、………………そうですか、分かりました。…………はい、直ぐに其方に向かいます。」
電話の向こう側の相手と話し出す。
そして、
「皆すまない。
急用が入ったので、今日の拷m…修行は終わりだ。」
「ぃ…今、何て言おうとしたぁ?!」
サトルに修行を漬けるべく、各勢力から集まった面々に、今日の修行の中止を告げると、サトル、そしてサトルを介抱している白音、黒歌に向けて口を開いた。
「今から直ぐ、京都に向かうぞ。
赤屍かるま…赤羽業(暗殺教室)のイメージで
≫≫≫
※※※
◆スレ主◆
【悲報】久し振りの登場と思ったら いきなりフクロでズタボロ、しかも新キャラ多数登場で結構な空気となっている件 orz
◇セイジョ☆スキー◇
どんまい!(笑) 胃薬、いる?
(;・ω・)つ(胃薬)
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