『NIN=JA』のターン!
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「ん~、よくもまぁ、こんなにも魔剣が揃ったもんだね~。」
地下牢から脱走した、【
その際に押収した、北欧神話由来の5本の魔剣を見て、天照は感心したのか呆れたのかな、複雑な表情を見せていた。
「何が凄いって、コレ等を1人で持っていて、一度に使ってたって事だよね。
全く、ロ〇ノア・ゾ〇も真っ青だぜ。」
彼女の言う通り、この魔剣の所持者は、
…尤も、その六刀流剣士も、
「え~と、蔵馬君。とおる君だっだっけ?
君の、北欧の お友達。
君と彼の遣り取りで
「分かりました。連絡しましょう。」
「…さ・て、それじゃ改めて、【
(…中略…)
あ、1つだけ。
神兵君達や『NIN=JA』の皆は、万が一、組織の大ボスのオーフィスと会った時は、無理しないで撤退して良いから。
そーゆーのは、スサノオ君やタケミカヅチ君に丸投げすれば良いよ。」
…この日、捕らえたテロ構成員達から、搾れるだけ情報を搾り出した【日本神話】は、主神・天照大神の命の下、【
「ふん、日の本の…僕の
…言いかい皆。さっきも言ったけど、これは もう単なる喧嘩じゃない。
これは戦争…英語で言うと"war"、ドイツ語で言えば、"Krieg"だよ。
【
皆、解ったね?」
「「「「「「「「「「クリーク!クリーク!クリーク!クリーク!クリーク!クリーク!!」」」」」」」」」」
「…絶対にコレ、俺達が地下で
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どっどぉ~ん!!
「な…何なんだぁ?!」
「て、テロか?」
「ひぇっ!?」
数日後の冥界の悪魔領。
その最端に在る、旧魔王と呼ばれる者、それに従う者達が住む辺境の集落が、いきなりの爆炎に包まれた。
「行くぞ!テロリスト狩りの時間だ!!」
「「「「「「「おっおおぉ~っ!!」」」」」」」
それは
彼等による、テロリスト討伐の進攻が今、始まった。
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「せ、セラフォルー様!」
「え?何なの、バイオレートちゃん?!
今 私、凄く忙しいんですけど!?」
「それが…辺境の旧魔王の集落が…」
「え゙?…え゙ぇえ~っ?!
ちょ…ついさっき、手紙が届いたばかりだよ~っ!?」
悪魔領主要都市の1つ、リヴァイアスの中心に建つ巨城、レヴィアタン城にて、その主にして四大魔王が1人、セラフォルー・レヴィアタンは、自分の執務室に、いきなりノック無しで入ってきた眷属の報告に絶叫した。
…約1時間前、彼女がデスクワークをしていた執務室内に、何処から入り込んだのか、3本脚の鴉が現れたと思えば、脚に持っていた封書を机に置くと、また何処かへと飛び去って行った。
そして、その封書の中身は、【日本神話】のトップである、天照大神による直筆の手紙。
それは外交向けな かなり堅苦しい文面であり、要約すれば、
『此の度【
それに伴い、冥界に住むテロリストを滅す故、我が家族が悪魔領に立ち入る事を報告する。
尚、此を拒む者、テロ討伐を邪魔する者は、其の者、そして それを束ねる者 与する者も【
…と云った内容だった。
「こ、これって、手紙を届けたと同時、あっちに攻撃していたって思って良いよね?
行動が早過ぎだよぉ?!
バイオレートちゃん、とりあえず、サーゼクスちゃん達に連絡を!緊急会議だよ!」
「は…はい!」
「何なんだよ…?
マイナー神話の癖に、勝手に冥界に入り込んだり、偉そうにしちゃってさ…」
手紙を受け取っていたセラフォルーからしたら、まさか その日の内…いや、報告と同時に行動するとは思ってもみなかった訳であり、後日、他の魔王達と対応を話し合う予定だった。
『所詮は【日本神話】』『極東の小さな島国のマイナー神話に何が出来る?』…等と軽く考えていた面も有った…が、想定外の急展開。
他の3人魔王を一同に呼び寄せ、緊急の対策の話し合いが行われた。
その途中、現場に確認に向かわせたセラフォルーの眷属から、『集落は壊滅状態。並びに旧魔王の血族の亡骸を確認』と云う報せを受け、4人の魔王は初めて、【日本神話】と云う勢力に戦慄するのだった。
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同刻。
地上はスペインの とある森の奥深く、今は誰も住んでいない筈の古城にて、
「Kill! Kill Kill Kill!」
「デストローイ!」
「な…何故、コイツ等、こんな一度に?!」
「知るかよ?と、兎に角、追い払ぇ
「クオレ・ディ・レオーネ!!」
ドッゴォ~~~~~~~~~ン!!!!
「「「「「ぎゃぽーっ!!?」」」」」
…複数の集団が入り乱れての、魔力飛び交う大乱闘が繰り広げられていた。
「まさか、"赤銅黒十字"に"青銅黒十字"、そして"灰色の魔術師"までも来てるなんて…な…」
グシァッ!
そう言いながら、刺突に特化した円錐型の刃の短剣で、暗紫のローブを着た人物に攻撃を仕掛けているのは、【日本神話】が擁す特殊部隊、『NIN=JA』のメンバーの1人、才橋雀である。
彼女の言う通り、城内は今、『NIN=JA』、ヨーロッパの魔術師ギルドの【
揃いも揃って同じタイミングで、『魔法使い』の拠点である この古城に、5つの集団が攻め入っていたのだった。
「かっ…ハァアッ…!!」
そして その才橋に攻撃を受けた女が直後、多量の血を吐いて倒れ、ピクリとも動かなくなった。
「ふん…はぁっ!」
ズガッ!
「ごぇほっ…!?」
それに動じず、才橋は更に、テロリストの魔術師が放つ魔炎弾を避けながら、単純作業の如く無表情で、円錐の刃を敵に向けて振るい、屍を量産して往く。
≫≫≫
「…にっしても、偶然過ぎよね?
確かに この『魔法使い』のメンバーって元々、ヨーロッパの魔術師ギルドからの溢れ者が中心らしいから、彼等も連中をマークしていたのは分かるけど!」
「ふん…
斬!…斬!
そんな会話をしながら、『魔法使い』の構成員を斬っているのは、『NIN=JA』の松本蘭と、日焼けした肌に、髪を金に染めている見た目30代半ばの男。
当然その出で立ちは、黒のスーツだ。
「ふはははははは!
戦闘の恐ろしさを、教えてやる!」
「ちょ、マジちょっと待って!
魔術師ギルドの奴等は兎も角、何故、ジャポンの『NIN=JA』が?!」
「…先に我等に仇為したのは、貴様等【
「いや、違…それ、私達じゃな…
そそそ、それ、どうせ自称英雄(笑)か戦闘バカ達でしょ?
私達じゃないわよ!!
…だ、だから…!」
「貴様等が奴等と同じ、【
死~ぃね~ぇい!!」
ズザッ!
「ぎゃああ~ぁっ!!?」
この男…野巉慶舞の戟が、弱った獲物に止めを刺す野獣の如く、「自分達は違う」と敵意が無いのをアピール、降参するかの構えを見せた魔法使いの体を躊躇無く貫いた。
女相手にも、一切の容赦無しである。
尤も、この場が戦場であり、相手がテロリストである故に、その様な"甘さ"は逆に己の命を落とす原因に為りかねないのだが。
≫≫≫
斬!!
「ぎょぇ…?!」
…こうした中、【
「何よ!? 美味しい処、ちゃっかり持っていってんじゃないわよ!」
「はぁあ?! 関係無いでしょ?
つまんない事に、拘ってんじゃないわよ!」
「はぁあ゙!?」
「あ゙っぁぁん?!」
…その後、この少女と【
「よぉーっし、撤収だぁ!!」
そんな光景を余所に、『NIN=JA』の面々は「もう此の場に用は無し」と、この古城から姿を消した。
▼▼▼
「ぎゃああぁっ!?」
「ぬわーーーーーーーーっ!!」
場所は移り、ベトナムの廃墟街。
この町は【
「ふん!」
べきっ!
「ぅゎらばっ?!」
『NIN=JA』が1人、蜷局嶢の豪快な拳がテロリストメンバーに炸裂し、
「貴様等…何者d…ぐはぁっ?!」
別の男が、襲撃者に何者かを問おうとしたが、その台詞を言い終わる前に、この男の体全身に、無数の鋭い刃…一般的に外科手術で使用される、"メス"が突き刺さる。
「クス…私達ですか?
貴方達、【
そして刻み跡が有る広い鐔の帽子を目深に被った男が、物言わぬ体となった質問せし者に、冷たい笑みを溢しながら応えた。
≫≫≫
「そら!」「はぁっ!」「てぃやっ!」
「ごっ?」「のぇっ?」「ぎょぴ?!」
そして彼だけでなく、廃墟街全域で、戦闘は繰り広げられていた。
「おぅらっ!!」
バキィッ!
「…っ??!」
蜷局が放った剛拳を鼻に絆創膏を貼り、サングラスを掻けた男が顔面に まともに受け、サングラスの破片を脳漿や肉片、頭蓋の欠片と共に散らしながら、吹き飛ばされる。
「ひぃえぇえっ?!」
「やってられるかよ!?」
その圧倒的な戦闘力の差を持つ者達の急襲に、逃げ出す構成員も少なくはなかったが、
「な…何だ、この壁は?」
「結界かよっ?!」
…ザクザクザクッ!
「「「…って、ぎゃあぁ?!!」」」
『NIN=JA』の面々は、其処まで甘くは無く、逃亡者達の背中に、無数のメスや苦無が突き刺さった。
バチィッ…!
「巫っ山戯ろよ!!」
そんな中、1人の男が、自身に飛び迫るメスに対し、長棍型の
更には同時に
ザクッザクザクザクッ…
「何…だt…」
無数のメスは その壁を物とせず すり抜け、この男の体に直撃。
信じられぬと言いた気な顔で、男は地に崩れ落ちた。
「クス…残念でしたね…。
過去に一度、貴方と同じ…いえ、貴方より遥かに格上の方でしたが、雷撃の使い手に不覚を取った事が有りましてね…
それ以来、私は電気の類いを通さない、特殊セラミック製のメスを使っているのですよ♪」
「~~~~~~~?!!」
そしてメスを投げた『NIN=JA』の説明に、男は地に伏せた儘 無念と怨念の表情を浮かべ、力尽きる。
「相変わらず えげつない殺り方だねぇ、赤屍先生?」
「フフ…君が言いますか?蜷局君。
まぁ、誉め言葉として受け止めておきますよ。」
自分の事は棚に上げた蜷局の皮肉に、『先生』と呼ばれた男…赤屍玄人は苦笑しながら、次の標的へと狙いを定め、歩を進めて行った。
≫≫≫
「結局、鈴木君達が話していた曹操とやらは、見付からなかった様だね?」
「俺達が出張る前から既に、逃げてたみたいだね?」
…数時間後、既に生きた人間は居なくなったかに見える廃墟の町並みを眺めながら、会話しているのは鈴木稔とサトルの義兄・田中充。
一応は、この廃墟に潜む『英雄派』の一掃は完了したが、鈴木が京都で顔を会わせていた、リーダー格の2人の
「それは、この2人の事かい?」
「「??!」」
その時、鈴木と充に、後ろから何者かが話し掛けてきた。
2人が振り返ると、
「「
其処には、今回の『英雄派』の攻めの指揮を執っていた【日本神話】の1柱、
ぼと…
「「!!!!?」」
そのタケミカヅチが、2人の前に手に持っていた、2つの
「これは…?!」
それは確かに鈴木からすれば、見覚えの有る顔。
それは恐怖に怯えたかの様な表情で無く、極々平常な面構え。
どうやら斬られた事に気付いてないかの様だった。
「この廃墟に着いたと同時、次元の歪みの様な違和を感じたからな。
現場指揮を赤屍に任せ、その違和の元を辿ってみたら、此奴等が隠れていた。
それで、容姿が鈴木や庵丈から聞いていた それと同じだったからな。」
「とりあえず、斬った…ですか…」
これにより、冥界の『旧魔王』、スペインの『魔法使い』、ベトナムの『英雄派』だけでなく、世界各地に散らばる、【
残るは所在を明らかにしていない、極々僅かな者達。
そしてテロ組織のトップとされる、
▼▼▼
「いや、本当にヤツは帰ってきとらんでの…
ついでに、何処に居るかとかは聞いとらんし…」
数日後、中国の とある山岳地帯に在る隠れ里では、黒のスーツを着た来訪者の問い掛けに、里の長である、サングラスを掻けた老いた猿妖は、煙管を吹かしながら応えていた。
「儂も、一族を抱えてる身じゃからの。
放蕩の馬鹿孫1人の為に、天照と敵対する様な愚かな真似は せんよ…」
「そうですか。
それでは、今日は失礼させて頂きます。
今回は急な訪問、申し訳有りませんでした。」
黒スーツの男は長に一礼すると、懐から名刺を差し出す。
「お孫さんが戻ってきた…または連絡等が有った時は、此方に連絡をお願い致します。」
「ふむ。これは…読み方は『かみしろ おと
「
言い終える前の訂正。
…どうやら彼は、 よく間違われる様だった。
①ぶっちゃけ英雄派は自業自得として、それ以外は完全に とばっちり(笑)
②
赤屍玄人…赤屍蔵人(Get Backers-奪還屋-)
…のイメージで。
③雄惇さん、どんまいです!
④今回 出番が無かった、その他の【
感想、評価よろしくです。