ガルーダDxD(仮)   作:挫梛道

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…云うならば、伏線回
 


若手レーティング・ゲーム~2ndステージ~

 

「くそ…だらがぁ…!」

 

リアス、並びにソーナ・シトリーと その眷属達は、明後日から行われるレーティング・ゲームの為、前日から冥界入りしていた。

シトリー領、そのシトリー城の中庭では匙元士朗が、強力な熱線か何かを浴びたかの様に、身体全身を焦がした煤塗れの姿で倒れていた。

 

「ふん。なかなか良い動きだったぞ、小僧。」

「…こんな状態で言われても、嬉しくないんス、けど・ね…!」

そんな匙に、ゲームの前の最終調整として特訓、彼をこの様な姿にした、タキシード姿の長身の男が声を掛ける。

 

「む?この前 新た眷属となった子供が ほぼ毎日、お嬢と一緒に風呂に入ってると知った途端、羨まけしからんと内心 怒り狂うであろう小僧よ、この吾が輩が褒めてやってるのだ。

素直に喜んだらどうだ?」

「悪いがアンタに言われたからこそ、素直になれないんスよ!

…って、会長とレオナルドが?!

何なんスか それ!??

俺 そんな話、聞いてないすよ?

今、初めて知りましたよ?!

…って、マジに何なんスかぁっ!!?

れ、レオナルドぉ~~~~~っ!!」

「ふははははははははは!

だから今、教えてやったではないか!

そして言った通り、その情報を得たと同時、その当人に その怒りをぶつける様な大人気ない真似をする訳にも往かず、脳内で色々と その光景を妄想(イメージ)、それで尚更 不毛に怒りを倍増させている…

その嫉妬の悪感情、美味である美味である美味であーる!!」

「喧しいわ!!…ですよ!」

…この男の名は、バ=ニル。

本人曰く、この世界とは別次元の別世界から流れてきた"悪魔"らしく、本来は人間の"負の感情"…私的には特に羞恥と嫉妬の感情を好んで糧とする、この冥界の悪魔とは全く別の"種"だとか。

しかし この世界に限っては、人間だけでなく悪魔(…や他の種族)の悪感情も「アリ」だとかで、様々な経緯を経て、今は魔王セラフォルー・レヴィアタンの僧侶(ビショップ)兼、シトリー家副執事長という位置に落ち着いていた。

 

「ふははは…

そう言うな、小僧よ。

詫びと言っては何だが、1つ、アドバイスをしてやろう。

今回のレーティング・ゲーム、貴様は その神器(セイクリッド・ギア)だったか?…の使用は、控えた方が吉。」

「はいぃ?!」

それだけ言うと、この白と黒のハーフ&ハーフなデザインの仮面を着けた男は この場を去って行った。

 

「先輩!」「兄ちゃん!」

それと入れ替わりで やって来たのはソーナの兵士(ポーン)で駒王学園1年の仁村留流子。

そして同じく兵士(ポーン)の…先日の修学旅行、【禍の団(カオス・ブリゲード)】の襲撃の際に最終的に保護、その儘ソーナの眷属に転生した元・『英雄派』の少年、レオナルド・ミリオンだ。

 

「先輩、大丈夫ですか~?

…レオ君? 先輩、回復させてあげて!」

「うん!」

ボロボロとなった匙に対しての仁村の言葉に、レオナルドは元気良く返事、自身の神器(セイクリッド・ギア)神滅具(ロンギヌス)の1つである魔獸創造(アナイアレーション・メーカー)を発動させて、1体の赤い海月の様な小型の魔獣を創り出した。

 

▼▼▼

場所は変わり、グレモリー領。

 

「う~ん、折角 禁手(バランス・ブレイカー)に至っていたのは良いが、それは危険過ぎる。

…敵で無く、祐斗…お前自身にな。」

領内中央から少し離れた場所に在る森。

その中に建つ、所謂 和風武家屋敷風の建物の庭で、浅葱色の羽織を着た男が、目の前で大の字で倒れ込んでいる木場に駄目出しをしていた。

 

「力や技の出し惜しみは…しかも、身に付けたばかりの技術なら尚更、本来は するべきでは無く、寧ろ より確実に自分の物とする為、ガンガン使うべき、なのだけどな…

()()だけは、お勧め出来ない。

禁手で無く()()()として、封印すべきだな…」

「………………………。」

木場の剣術の師である この男は、久し振りに顔を見る弟子の新たに習得していた…その破壊力以上のリスクを伴う技に、複雑な顔を浮かべてしまう。

 

▼▼▼

「宜しく お願いしますよ、ケィーチさん。」

「フッ…、宜しくな、若君。」

 

更に場所は変わり、アスタロト領のアスタロト城。

城内鍛練場に足を運んだディオドラと、その眷属数名を待っていたのは、彼の父親、即ち現アスタロト家当主の戦車(ルーク)であり、同家武術指南役を勤めている男。

ケィーチ・サンダー。

赤の闘衣の上に白い鎧を纏った、額と顳顬から計3本の鋭い角を生やしたライオン(ベース)の獣人の転生悪魔だ。

 

「…参ります!」

「さあ、どんと来い!」

 

ダッ…!

 

動きやすさを優先させた、格闘衣を着たディオドラが、獣人ケィーチに徒手での攻撃を仕掛ける。

基本、魔術至上主義の純血悪魔の中では珍しく、ディオドラは魔術だけでなく、近接の素手、或いは武器を使う格闘武術も、戦いに置いて不可欠との考えを持っていた。

それは偶々、自分の下僕に魔封(マジック・キャンセル)の術を持つ者が居り、魔力攻撃を無効化された時の、その必要性を理解しているからだ。

そして何より、現在 同世代で最強と呼ばれる男が、()()()()()()()()() その地位を築いているからに、他ならない。

 

≫≫≫

 

ずどん…っ!

 

「よし、今日は此れ迄だ。」

「…………………………………。」

暫くした後、ケィーチは本日の訓練の終了を告げると、ディオドラの返事を聞く事無く、その場を立ち去った。

 

「「「ディオドラ様っ?!」」」

「マスター!?」

その後、共に訓練をしていたジャンヌやゼノヴィア達が、()()()()()()()()()()()()()()()、身動きが取れないディオドラを、必死に掘り起こすのだった。

 

▼▼▼

翌日。

 

「「「これが、ラ〇ュタ…」」」

「ん、違うからね。」

「うむ。人間の転生悪魔"あるある"だな。」

「そーゆー貴女も、初めての時は同じ事を言っていましたね。」

「黙れ。」

ディオドラは眷属を引き連れ、大公アガレス領に来ていた。

夏休みに続く、若手悪魔レーティング・ゲーム2ndステージとでも言うべきか…の第2戦は、このアガレス領の上空に浮かぶ、浮遊島都市アグレナス…レーティング・ゲームの"聖地"と呼ばれる その地で、明日から3日連続で行われるのだ。

この年の6~7月に悪魔に転生したばかりのゼノヴィア、イリナ、祐理の3人は、初めて見る この浮遊島を見上げると、示し合わせた訳で無いのに揃って同じ台詞を口にして、それをジャンヌが軽く突っ込み。

ヨシコ、そしてイヴによれば、その反応は、人間の(特に日本人の)転生悪魔の様式美(おやくそく)らしい。

 

夏休みに行われた第1戦は、地上波で流すには問題が有る場面も有り、一部カットされていたにも拘わらず、高視聴率、高評判を得ていた。

大会運営管理者は当初、「所詮はプロデビュー前の若手のゲーム。大王家や大公家、魔王様の出身家系でなければ、こんな大々的にプロモートなんかしない。」…等と思っていたが、この結果に簡単に掌返し、「よし、次は聖地だ!」と、更なる利益を期待。

テレビ放送だけで無く、大量に観客を収容出来る、この聖地のスタジアムでの開催を決めたのだった。

 

≫≫≫

「お待ちしておりました、ディオドラ様。」

ゴンドラを利用して空中都市に到着したディオドラ達を、一足先に現地で待機していた大会運営のスタッフが出迎える。

このスタッフが運転するリムジンバスで、ディオドラ達はスタジアムすぐ側のホテルに向かう。

 

≫≫≫

…それから約30分後。

 

「「「こ…これが、ラピュ〇…」」」

「〇ピュタは本当に あったのデスネ、堀井君!」

 

▼▼▼

その後も若き(キング)達は次々と現地入り。

役者が全員揃った時点で、ホテルでの合同記者会見が始まった。

 

≫≫≫

「あ゙? 戦んのか?このクソガキ?」

「上等だ、このヤンキー野郎!

明日のゲーム、王様不在の不戦敗にしてやるよ!」

「んだとテメー!

むっ殺すぞ ゴラ゙ァッ!!?」

「ちょ…2人共、止めなって!」

「…静かにしろ。

この場は戦う場では無い。

それ以上 騒ぎ立てるなら、俺が無理矢理に黙らせるぞ。」

「「…………!!?」」

…明日からのゲームに対する意気込み等を答える中、一部の者による乱闘寸前、一触即発な空気にも一時なりはしたが、それでも何とか それは収められ、会見は一度は無事に終了した。

 

≫≫≫

会見終了後は各自、ゲーム運営側が用意した部屋に宿泊。

基本、(キング)は個室で、残る眷属達は数人ずつの部屋分けなのだが、

「「「「「「「「「「ディオドラ様~~♪」」」」」」」」」」

「「「「「マスター!」」」」」

「…主よ。」

「ちょ…ちょっと待って!

流石に皆 一度は無理だって!

僕は6人が限k…あっーーーー?!!」

ディオドラ眷属全員が、主の部屋に押し掛けたのは言うまでも無く。

 

▼▼▼

「…何だか顔色が悪いが、大丈夫か?

良かったらプロテイン、飲むか?

カレーとナポリタン、それとコンポタ、どれが良い?」

「あ、ありがとう…それじゃ、ナポリタン…」

「何なのですか…その、マニアックな味は?」 

 

翌日。

スタジアム内のVIPルーム、若手が集まった部屋にて、搾られたかの様に窶れたディオドラを、サイラオーグが心配そうに声を掛ける中、この日のゲーム、シークヴァイラ・アガレスvsゼファードル・グラシャラボラスの対戦が始まった。

今回は単に(キング)を撃破すれば良しの通常ルールでなく、『オブジェクト・ブレイク』と呼ばれる変則的ルール。

この、戦闘力よりも どちらかと言えば戦略が重視されるルールを、シークヴァイラが勝利を治め、2ndステージの初日は終了した。

 

▼▼▼

 

カチャ…

 

「「お邪魔しま~す♪」」

「よ。今日も失礼させて貰うぜ。」

更に次の日。

若手の部屋に眷属数名を連れ訪ねてきたのは、ライザー・フェニックス。

彼も昨日から招待されており、若手達とは別の部屋でゲーム観戦していたが、今日は元・婚約者が居ないからか、また若手悪魔の部屋に遠慮無く顔を出してきた。

 

「別に構いませんが、プロとしての解説、お願いしますよ?」

「フッ、任せておけ。」

 

 

▼▼▼

 

※※※

 

◇コヤス・サン◇

さあ、そんな訳でリアスvsサイラオーグのゲーム、地上波放送前の実況速報だ!

 

◇セイジョ☆スキー◇

ネタバレ注意!

テレビを観る前に結果を知りたくないヒトは、スルーしてね!

 

◇麗しの令嬢悪魔◇

続く!

 

 




 
①レオナルド君はソーナ眷属に。
アマテラス様の粛清は免れました。
 
②バ=ニルの容姿はバニル(このすば!)のイメージで
 
③ケィーチ・サンダーの名前の元ネタは、プロレスラーの山田恵一氏。
 
次回、ついにリアスとサイラオーグが激突!
感想、評価よろしくです。
 

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