ガルーダDxD(仮)   作:挫梛道

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【前回の あらすじ】
性犯罪者が戦闘の場面に現れた!
 


ガルーダと灯と螢

「な…何だ? お前等?」

後から現れた男…兵藤一誠は、現場の状況に理解が追い付かずにいた。

自分を喚び出した人間の元に馳せ参じてみれば、

其処にはインドネシアを基とする、東南アジア諸国の神祭等で よく見られる、派手な色彩装飾が為された鳥の仮面を被った人物が1人。

ライ〇・セイバーの様な物を携えた、聖職者の格好をした男が1人。

 

「こ…今度は…何? 誰なんだよ?」

服装は ごく普通な、床に腰を落として震えている男が1人。

 

「うはっ! 金髪美少女!

それと、顔は分からないけど、2人共に なかなかな…♪」

「…?」「「!!?」」

そして、シスター服の少女が1人。

仮面で顔を隠したレオタード姿の女が2人。

そのシスター服の少女の顔立ち、そして仮面で素顔は確認出来ないが、レオタードから確認出来る黒歌と白音の体型(スタイル)を見て、兵藤は鼻の下を伸ばし、だらしない顔を浮かべる。

明から様に現状が、尋常な雰囲気では無いにも拘わらず…だ。

 

ずぶぼぉ…

 

「え゙…?!」

「隙有り…だ。」

そして この兵藤の登場で、一瞬だが、当人以外の時間が停まった僅かな隙を、サトルは見逃さなかった。

先程の台詞に対する皮肉か意趣返しかを添えて、フリードの胸に素手の手刀を突き刺し、その儘 背中を貫いたのだ。

 

「きゃぁぁぁぁぁああっ??!」

飛び散る鮮血を、僅かだが顔に浴びて、金髪の少女が またも悲鳴を上げる。

 

「な…何じゃぁ…こりゃぁああっ…!!?」

そしてフリードは、己が胸元から滴り流れる夥しい血を拭った掌を見て一言叫ぶと、

 

ガクッ…

 

「…………………………………………」

両膝を床に着け、その後は呼吸をしなくなった。

 

(う…うぅ~ん…)

 

ガクッ…

 

「ぉおっと。」

その様を見て、シスターの少女が気を失い、その場で崩れ落ちそうになるのを、仮面を被った()()()()()()()()が その体を支える。

 

「ハッ…! お、お前、何やってんだよ?!」

そして やはり、生まれて初めて遭遇したのだろう、殺人…人死にの場面を目の当たりにして、思考が停止していた兵藤が再起動、鳥仮面の男…即ちサトルに問い質した。

 

「…(あかり)。"彼女"を、安全な場所へ。」

「ちょ…無視かよ?!」

しかしサトルは その兵藤の問い掛けを無視、仲間の1人に指示を出す。

 

ヴォ…

 

「了解です。ガルーダ。」

サトルから灯と呼ばれた…サトルを"ガルーダ"と呼んだ小柄な仮面の少女…術式で()()()()()()()()()()()は、それに応えて転移魔方陣を展開。

 

「…では、ガルーダ、(ほたる)姉様、お先に。」

未だ意識を失っている金髪少女を抱き抱え、何処かに消えていった。

 

「なぁ? おぃ、お前?!

今の女の子、何処に連れて行ったんだ?」

「…さて、あんた。」

「ひぇっ?!」

2人の少女が消えるのを見て、驚きを隠せない兵藤。

サトルに説明を求めるが、サトルは またもや この男を無視、この部屋の主である大学生に話し掛けてる。

 

「…色々と突っ込みたい気持ちは解るが、とりあえず 死体(アレ)や床の血の痕の処理なんかは、そこの悪魔(アレ)か、その主にでも頼んでくれ。」

「ぁ…ぁあ…」

未だに腰を抜かした儘の男の前で片膝を着き ほぼ同じ目線の高さ、フリードの死体や後方に立っている兵藤を、背中越しに親指で指差しながら話すサトルの台詞に、大学生は頷きながら応えた。

 

「…って、お前!

さっきからシカトしてんなよ!!」

 

ガシィッ…

 

「聞いてんのかよ?

おら、こっち向けよ!!」

そして その時、先程からの態度が余程 気に入らなかったのか、怒鳴り気味な声で兵藤が背後からサトルの肩を掴み、自分の側に振り向かせようとするが、

 

バキッ! ベコォッ!!

 

「はごぉっ?!」

「何、ガルーダに触ってるにゃ?」

直後、去り際の(しろね)から"螢"と呼ばれた少女…黒歌の放つ、胸板への肘鉄から顔面への裏拳の連打を貰ってダウン。

 

「あが…が…が…」

「弱…いにゃ…

ホントにコレ、()()な、訳?」

かなり手加減した心算の攻撃にも拘わらず、しゃがみこんで血が流れ出ている鼻を押さえている兵藤を見て、(くろか)が呆れた口調で話す。

 

「仕方無いさ。

所詮は、()()駄肉姫の下僕悪魔…まぁ、この程度だろ?」

それをサトルは、諭す様な口調で返すが、

「ちょっと待てよ…?

『駄肉』って一体、誰の事だよ?!」

「ん?」「にゃ?」

この『駄肉』と云う単語(ワード)に、兵藤が怒りの表情で喰い付き、立ち上がった。

 

「…部長か? もしかしなくても、リアス部長の事を言ってるよな? お前!?」

「「………………………………。」」

「何、黙ってんだよ?!

不っ山戯んなよ!! 部長の おっぱいはなぁ、駄肉なんかで無く、とても素晴らしい御宝(もの)なんだぞぉ!!」

 

ガシャッ…

 

「ほぅ?」「にゃ?」

そう言いながら、兵藤は魔力を込めると、左腕に鋭角的パーツを幾重にも組み合わせた様な造形の、赤い手甲を具現化。

 

「でぇぇいやぁっ!」

そして その儘、左拳に魔力を集中させて、サトルに殴り掛かるが、

 

バガァッ!!

 

「ぐっふぁぁあっ?!」

如何に破壊力が有ろうが大振りな、しかもサトルからすれば、余りにも動きがスロー過ぎる その攻撃は簡単に見切られ、反撃の右ストレート…クロス・カウンターをまともに顎先に受けてしまい、またもダウン。

 

「ふっ…駄肉が気に入らないなら、無能姫の呼び名の方が好いか?

主をディスられて憤慨する、その気構えだけは認めてやる!

何だか、怒りのベクトルがズレている…そんな気もするがな…

しかし、今の貴様は、この俺と相対するには、余りにも貧弱! そして無力過ぎる!」

「てっ…メェえ…!?」

直接に受けた顎へのダメージも然る事ながら、その攻撃によって()()()()()()、立ち上がれる事が出来ない下級の転生悪魔は、目の前の鳥仮面の男を睨み付ける事しか出来ない。

 

「…茶番は終わりだ。螢、帰るぞ。」

「はぃにゃ!♪」

 

ヴォ…

 

サトルの言葉に、黒歌が転移の魔方陣を展開する。

 

「ま…待てよ! お前、何者だ?

先に お前の仲間と一緒に消えた、あの女の子は、何処に連れて行ったんだよ?!」

「……………………………。」

「…答えろよっ!!」

 

スゥゥ…

 

「く…クッソ! 最後迄 黙りかよ?!

嘗めやがって!!」

そして2人は、兵藤の問い掛けには何も応える事も無く、その場から姿を消すのだった。

 

▼▼▼

「とりあえず…依頼人の命を救ってくれた事()()は、感謝をしないと いけないわね…」

「……………………………。

それは、そうですけど…」

…あの後、兵藤一誠は直ぐ、主であるリアス・グレモリーに連絡。

報せを受け、残りの眷属総出で現場に赴いたリアス達は、鳥仮面の男に殺された神父の屍や、その戦闘の際の血痕の処理をしながら、兵藤と、そして依頼人だった大学生から事情を聴いていた。

神父と鳥仮面、そして仲間と思われる仮面の少女達との会話等から判明したのは…

 

・殺された神父は、()()、フリード・セルゼン

・それを殺ったのは、()()、『ガルーダ』らしき人物

・はぐれ悪魔祓いのフリードは、悪魔契約者である この大学生を殺害しようとした処、その場に現れたガルーダに阻止され、逆に斃された

 

…等である。

リアス達オカルト研究部の面々は現場であるアパートから戻った後、旧校舎に在る部室で、今回起きた事件について話していた。

 

≫≫≫

「クソッ! アイツ…いくら敵だからって…殺す必要有ったのかよ?!」

改めてガルーダ…サトルの行動に、憤りを見せる兵藤だが、

「いや、それは違うよ、兵藤君。」

「そうよ、イッセー…

あのフリード・セルゼンは"裏"では それなりに有名でね、過去に悪魔や天使は勿論、数え切れない程の人間も殺してきたの。

悪魔や天界と関わりを持った…って理由だけでね。」

「"裏"に関係する事ですから、捕まえて警察に付き出して終り…には行きませんわ。

ましてや改心を期待して見逃す…なんて、以ての他です。」

「…っ!!」

その考え方は、リアス達に否定される。

 

「で、でも…!

それにアイツ等、あの神父を殺した以外にも、シスターの女の子を、何処かに連れ去っt

「イッセー!」

「??!」

そして続ける兵藤の言葉も、リアスの やや怒気を孕んだ口調によって遮れた。

 

「解ってるの?私達は悪魔なのよ?

シスターが…教会に所属している者が どうなろうと、それは関係無い事だわ。」

「ぅ…」

「女の子だから心配…とでも、言う訳?

それでも駄目。

貴方も もう、悪魔なの。

"人間"だった時の価値観や常識は、もう棄てなさい。」

「…は…はい。」

リアスの言葉は、"悪魔"としては、当然な事。

それに納得出来なくとも、残念ながら理解は出来てしまった兵藤は、それに頷く事しか出来ず。

この後も兵藤は、リアス・グレモリーから色々と"悪魔"として、そしてグレモリー眷属としての心得を、深夜遅く迄 教え込れる事になった。

 

 

▼▼▼

「はい、Enter!…と。」

 

pon…

 

…その頃、駒王学園高等部の本校舎、生徒会執行部室に不法浸入したサトルが、その室内に有ったパソコンから()()()()()()()()()()()、新しい書き込みを終了させていた。

 




 
①フリード、物語離脱(リタイア)
 
②誰の所業なのか、身長の割に、以外と胸が………な、白音たん。

③白音たんと黒歌さんの任務時の呼び名(コードネーム)は、それぞれ(あかり)(ほたる)
 
④ラストのサトルの行為は、本来は普通に違法です(笑)
 
⑤サトルの仮面イメージ
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