ガルーダDxD(仮)   作:挫梛道

60 / 114
 
?「待たせたな!」
 


冥界入り!

 

わーわーわーわーわーわーわー…

 

アグレアス・スタジアム。

まだゲームが始まる2時間前にも拘わらず、客席は既に埋め尽くされ、熱気に満ち溢れていた。

 

「凄い歓声ですね…」

「アレだにゃ~、悪魔って、娯楽が少ないから。」

「昨日のゲームも、かなり盛り上がったみたいだしな。」

その客席の中で会話を交わす、若い男女3人。

 

「あ、すいませーん、ポップコーンと、コーラ…で、良いよな?コーラ3つくださーい。」

「はいは~い。」

そのサングラスを掛けた若い男が、客席通路を歩いていた売り子に声を掛け、呼び止めた。

 

≫≫≫

「ほい、白音、サトル。」

売り子からポップコーンとコーラを受け取った少女が、隣の席の少年、その隣に座る少女に渡す。

 

「ふぅ…セイジョさんと会長さんのゲーム、ですか…」

そして そのポップコーンをパクつき、大会パンフレットに目を通しながら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が呟いた。

 

▼▼▼

≪≪≪

数日前。

 

「冥界…ですか?」

「ん。正式就任早々だけど、早速 任務だよ、サトル君。」

サトルの部屋(マンション)を訪ねて来たのは、セーラー服姿の天照大神。

少し前に、正式に『NIN=JA』の一員になったサトルに、【日本神話】の主神様が直々に、任務(しごと)の指示である。

 

「今は詳しく話せないけど、悪魔が やってくれちゃったらしくてさ~。

…しかも今回は、この前の八坂ちゃんの時みたいな大っぴらな証拠も無いから、堂々と乗り込む訳にも往かなくてね。」

尚、天照(トップ)直々の指令の為、既に新入り(ぺーぺー)のサトルには拒否権は無い。

 

「ブラック神話勢力だにゃ。」

「うっさい、自覚してるよ。

それで、現地入りした後、また指示を出すからさ。

それまでは悪魔社会の街並みとか調査…

どんな感じなのか、簡単にレポートに纏めるレベルで良いから、見学してたら良いさ。

…はい♪」

「これは…チケット?」

「黒歌ちゃんと白音ちゃんの分も、きちんと有るぜ?」

黒歌の台詞に苦笑しながら、アマテラスは話を進め、サトルに3枚の…若手悪魔のレーティング・ゲームのチケットを渡すのだった。

 

「成る程…私達も同行ですか。」

「そーゆー事。

まぁ最初はゲーム観戦とかして、冥界を堪能すれば良いよ。」

「しかし天照様、とりあえず問題が2点程、有りますが?」

「何だい、白音ちゃん?」

「姉様は兎も角、私とサト君は、学生なのですが?」

しかし此処で、白音がアマテラスに質問。

 

「ふっふっふ…それなら心配は要らないよ。」

 

ゴソゴソ…

 

「じゃ・あ~ん♪」

それに対しアマテラスは、持っていた鞄の中から、約15㌢程の、人形(ヒトガタ)の白い紙を2枚 取り出した。

 

「サトル君 白音ちゃん、この『☆』マークを指で押してみな?」

「「……………………。」」

サトルと白音はアマテラスに言われる儘、人形の額部分に描かれてある、『☆』のマークに指を押し当てると、

 

む゙ぅぅぅぅぅ…

 

「え゙?!」「は?」「にゃ?」

その人形は みるみる大きくなり、今のサトルと白音の姿、寸分変わらずに変化した。

 

「よっ♪」「どうも。」

「「「…………………。」」」

そして普段のサトル・白音と変わらぬ態度で、()()()達に挨拶。

 

「はっはっは!驚いたかい?

これぞ平賀君が作った、"影武者君DX"だ!

『☆』マークを押した者と、姿は勿論の事、知能知識に身体能力から記憶まで、完璧にコピーして、その当人の代理を務めてくれる優れ物だ!

しかも互いの額を重ねる事で、影武者してる間の記憶をダウンロード!

どうだ、参ったか!」

「参ったか!」「どやぁ!」

茫然としてるサトル達に、どや顔説明のアマテラスとサトルと白音のコピー。

 

「それってパー〇ンの、コピーロボ〇t

「しかも、指紋認証機能搭載で、"本物"が再び『(スイッチ)』を押すまで、何かの衝撃で勝手に人形に戻るって事も無い!

これでサトル君と白音ちゃんの、学園の方はクリアーさ。

…で、白音ちゃん、もう1つの問題って?」

「「「…………………。」」」

サトルの突っ込み的台詞を遮り、アマテラスは更に話を進めていく。

 

「わ…私と姉様は大丈夫ですが、サト君は冥界の空気って、アウトじゃないのでしょうか?」

「ふむ!良い質問だよ、白音ちゃん。」

この白音の疑問に、優しく笑顔で応じるアマテラス。

 

「確かに白音ちゃんの言う通り、冥界の空気は所謂"瘴気"が大量に含まれている。

普通に人間が冥界入りしたら、1分も持たないだろう。

残念だけどサトル君の神器(セイクリッド・ギア)も、瘴気には対応出来ていないみたいだし?」

そう。冥界には普通の人間にとっては有毒な、瘴気と呼ばれる成分が多量に漂っている。

旧魔王一派掃討の際に、()()()()には只の人間である『NIN=JA』でなく、素戔嗚尊(スサノオノミコト)や高天原在住の神兵達を起用したのも、その為だった。

因みにだが、7月に魔王レヴィアタンの城を襲撃した人間の魔法使い達は、何らかの処置が為されていたのだろう。

 

「心配しなくて良いよ。

何の備えも無し、舐めた服装で山登りに挑んで遭難、挙げ句ネットで『少しは考えろ、バカ!』とか『救助隊の皆さん大迷惑』とか『その儘タヒネバ良かったのに』とかの罵詈雑言大炎上させる様な真似は させないさ。

流石に其処まで、ブラックじゃない。」

そして きちんと、その対策は用意していると言うアマテラス。

 

「そ・ん・な・訳で、ちゅ~~~~っ♡♪」

「んんんっ?!…

#◇£@§‡∇(◎Д◎)∂∬♭☆¶Θ~!?」

「「「あ゙っあぁーーーっ??!」」」

そして どんな訳かは判らないが、いきなりサトルを抱き締めると、その唇を己の唇で鬱いでしまう。

それも、()()()()…しかも、かーなーり、ハードなヤツで、だ。

これにはサトルが目を白黒させて驚くのは勿論、白音と黒歌、更にはアマテラスと侍女として同行していたアーシアも、目を大きく見開き大絶叫だ。

 

「きゅぅう~…ん…」

 

バタッ…

  

「さ、サト君ん~っ!!?」

約30秒後。

その間 口の中で れろれろと、秒間推定50HITされ続けたサトルは、顔を赤く目を回してダウン。

 

「にゃにゃ…」

「はわわゎ…」

「なななな…何をしてるんですか、アマテラス様?!」

当然、いきなりの この行為に、白音が問い詰めるが、

「何って…僕の1京2858兆0519億6763万3875個のスキルの1つ、『如何地適応(ドコデモ・モーマンタイ)』を施す事で、冥界の瘴気にも耐えられる様にしただけさ。

有効期間は約300年。

因みに僕のスキルの譲渡は、『口写し(リップ・サービス)』でしか出来ないからね。

だから白音ちゃん黒歌ちゃん?

ついでにアーシアちゃんも その、『キスする意味、有ったんですか~?』…って顔、したりしない。」

「「……………………………。」」

この【日本神話】の主神様は平然と、悪戯っぽく微笑みながら応える。

 

「それにしても男の子とキスするのって、6年と357日振りだなあ。

…って、その時も相手はサトル君だったけど♪」

「「ぶに゙ゃーっ!!」」

更に唇に指を当て、火にガソリンを注ぐかの発言に猫姉妹が大炎上。

 

「…って、まるで女とは、何時も してるみたいな言い方だにゃ?」 

これに黒歌が、皮肉っぽく質問すると、 

「ん? まぁ~あね。

アーシアちゃんとは毎日、寝る時起きた時に ちゅっちゅちゅっちゅしてるぜ♪

ね、アーシアちゃん?」

「「「え゙…えぇーーーーっ?!」」」

「はぁぅっ?!」

…まさかの この応え。

猫姉妹は このタイミングで復活したサトルと一緒に、またもや絶叫。

アーシアは顔を赤くして、はわわ状態だ。

 

「ついでに言えば、僕の身体で、アーシアちゃんの指先と唇が触れてない箇所なんて、もう何処にも無いぜ…ぽっ♡」

「「「な、何だってーっ??!」」」

「あぁぁ、アマテラス様ぁ? それって今、言う事ですかぁ~っ??!」

何かを思い出すかの様に、顔を赤くして両手を頬に当て、嬉しそうに…それでいて少しだけ恥ずかしそうに語るアマテラス。…に、アーシアが やはり更に顔を真っ赤にして、慌てて止めに入った。

 

「驚きです…。

まさかのアーシアさんが、"攻め"の方でしたか…」

「いや、驚くの、其処じゃない!」

 

≫≫≫

▼▼▼

「はぁ…」

サトルが何かを思い出したかの様に、疲れた顔をしていると、

『皆様…本日は御来場、ありがとうございます!』

スタジアム中央の闘技台に、派手な色彩のスーツを着た悪魔(おとこ)が現れ、観客席に向けて話し出した。

 

うぉぉお~~~~~~~~~~っ!!

 

これに観客達も、大声援で応える。

 

「皆ホント、ノリノリだにゃ…」

 

▼▼▼

 

パタン…

 

「お嬢、失礼するぞ。」

丁度その頃、シトリー側の控え室に、白黒の仮面を着けた、タキシードの男が入ってきた。

 

「げ…?バ=ニル…さん…」

それを見て、匙元士郎を基、シトリー眷属の殆どが、隠す事無く、嫌そうな顔を浮かべる。

 

「どうして、此処へ?

関係者以外は立入禁止な筈ですが?」

「フハハハハハハ!

そんなに嫌な顔をしなくても良いわ!

今日は純粋に、吾輩が鍛えてやった小娘小僧達の、激励に来てやっただけだ。

尚、警備員には『シトリーの者だ』と身分証明を見せたら、すんなり通してくれたぞ。」

ソーナ・シトリーの質問にも、バ=ニルは嗤いながら応える。

 

「聞けば、今日の対戦相手のアスタロトの後継ぎとやらは、かなりマニアックな性癖を持っている以外は、かなりデキる男だと聞く。

勝負は時の運。

故に絶対に勝てとは敢えて思わぬが、貴様等は この吾輩が師事したのだ。

無様な真似だけは、勘弁願いたいと思ってな。

とりあえずは昨日、グレモリー令嬢が予想以上の健闘を見せて僅かながら評価が上方修正、これで自分がスカした時に件のサイトで何を書き込まれるかと、内心テンパっている お嬢は先日も言った通り…」

そして1人1人、アドバイスを言い始めた。

 

≫≫≫

「…次に昨日の金髪の小僧の戦闘を見て感動、そして それ以上に悶々とし、一晩中ベッドの中でナニに励んd

「「「わーーーーーーーーーーーっ!?きゃああ~~~~~~~っ?!!」」」

バ=ニルが次の者に助言しようとした時、その前台詞に何故か、女王(クィーン)の真羅椿姫と筆頭にした少女数名が、何かの心当たりが有ったのか、顔を真っ赤にして その発言を止めに入った。

 

「どーして貴方は!

何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も!!

そうやって余計な一言を言おうとするんですかっ?!」

「フハハハハハハハハハ!

貴様等の悪感情を頂く為に、決まっているだろう!

その羞恥の悪感情、美味である美味である美味であーる!」

「「「うぐぐぐ…」」」

そして真羅が代表して、バ=ニルに その発言について涙目で問い詰めるが、この仮面の悪魔は嗤いながら、己のが欲心(しょくじ)の為だと言い放ち、その弩ストレートな回答に、彼女達は それ以上は何も返せない。

 

「ねぇ、げんしろ兄ちゃん?

"励む"って、何を励むの?」

「…お前は まだ、知らなくて良い。」

「???」

 

≫≫≫

「…さて、最後に夏のゲームでは、その暴走と云っても過言でない戦闘スタイルで、その後お嬢にマジ泣きされながら説教されて、最高に凹んだ小僧よ。

貴様にも、先日に言ったが…

「だ・か・ら、その余計な一言 止めろ!…下さい。

絶対にアンタ、此処に来たの、摘まみ食いの為だろ!?」

バ=ニルがシトリー眷属メンバー其々にアドバイスを施し、残る1人、匙にも要らぬ一言を添えた助言をしようとした時、この兵士(ポーン)の少年から、怒声気味な突っ込みが入った。

 

「…解ってるよ。神器(セイクリッド・ギア)のバカな使用は控えろ…だろ?

…解っているさ。」

「ふむ?」

そしてバ=ニルに顔を背き俯き、慎重な顔で話す。

夏のシークヴァイラ・アガレスとのゲームでは、彼は自分の神器(セイクリッド・ギア)に、自分の生命力を吸わせる事でパワーアップ。

其処からの無双の快進撃。

最後は相手の女王(クィーン)と相討ちになる事で、チームの勝利に大きく貢献した。

実際、夏に行われた3ゲーム、運営が決める総合MVPには、匙が選ばれた程だ。

しかし その日の夜、主であるソーナからは痛烈な張り手と共に、涙ながらの説教を聞かされてしまう。

高が小さな勝利の為だけに、自分の命を軽視した その行動が、彼女には看過出来なかったらしい。

堪えた。

単なる説教でなく、本当に下僕(じぶん)の身を思っての 涙混じりの言葉が、匙には大きく堪えた。

そして その時その場で、2度と馬鹿な真似は しないと、自分の主に誓っていたのだった。

 

「…昨日の木場を見て、確かに最初は凄ぇと思った。

だが、冷静に思い直したら、ありゃ確かにバカな真似だと痛感したよ…。

大丈夫…もう、あんなバカは、絶対に やらねぇ。

会長の夢の為にも。

そして、俺自身の野望(ゆめ)の為にもな!」

「「匙…」」

「げんしろー…」

「「「元ちゃん…」」」

「匙先輩…」

「兄ちゃん…」

昨日のリアスvsサイラオーグのゲームの中で、木場祐斗が己の生命力を削って繰り出した技を自身と重ね、自分の命を顧みない行為は しないと、改めて力強く宣言する匙。

 

「…ふむ。」

それを見て感動、感激する仲間達の中、バ=ニルだけは微妙な反応をする。

彼からすれば、そう云う意味で神器(セイクリッド・ギア)の使用を控える様に言った訳では無いのだが、その場の空気からか、敢えて それを口には出さなかった。

 

▼▼▼

 

『…それでは御待たせしました!

東ゲートよりディオドラ・アスタロ、西ゲートより、ソーナ・シトリー、両チームの入場です!』

 

うおぉーーーーーーーーーーーっ!!!

 

それから少し経ち、視点(カメラ)はスタジアム内。

アナウンスと同時に起こる大歓声、派手なレーザー光線やスモークの演出、大音量且つ重厚なクラシカルな音楽と共に、ディオドラとソーナが其々、下僕を引き連れて入場してきた。

 




 
①前回の前書きにも書いたけど、サトル達が冥界入り出来た理由は…
 
②某チート人外さんより10個だけ、スキルを多く所持している天照大神様。
 
次回、ディオドラとソーナ、激突!
 
感想、評価よろしくです。
 
…活動報告、書きました。
此方も よろしくです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。