?「待たせたな!」
わーわーわーわーわーわーわー…
アグレアス・スタジアム。
まだゲームが始まる2時間前にも拘わらず、客席は既に埋め尽くされ、熱気に満ち溢れていた。
「凄い歓声ですね…」
「アレだにゃ~、悪魔って、娯楽が少ないから。」
「昨日のゲームも、かなり盛り上がったみたいだしな。」
その客席の中で会話を交わす、若い男女3人。
「あ、すいませーん、ポップコーンと、コーラ…で、良いよな?コーラ3つくださーい。」
「はいは~い。」
そのサングラスを掛けた若い男が、客席通路を歩いていた売り子に声を掛け、呼び止めた。
≫≫≫
「ほい、白音、サトル。」
売り子からポップコーンとコーラを受け取った少女が、隣の席の少年、その隣に座る少女に渡す。
「ふぅ…セイジョさんと会長さんのゲーム、ですか…」
そして そのポップコーンをパクつき、大会パンフレットに目を通しながら、
▼▼▼
≪≪≪
数日前。
「冥界…ですか?」
「ん。正式就任早々だけど、早速 任務だよ、サトル君。」
サトルの
少し前に、正式に『NIN=JA』の一員になったサトルに、【日本神話】の主神様が直々に、
「今は詳しく話せないけど、悪魔が やってくれちゃったらしくてさ~。
…しかも今回は、この前の八坂ちゃんの時みたいな大っぴらな証拠も無いから、堂々と乗り込む訳にも往かなくてね。」
尚、
「ブラック神話勢力だにゃ。」
「うっさい、自覚してるよ。
それで、現地入りした後、また指示を出すからさ。
それまでは悪魔社会の街並みとか調査…
どんな感じなのか、簡単にレポートに纏めるレベルで良いから、見学してたら良いさ。
…はい♪」
「これは…チケット?」
「黒歌ちゃんと白音ちゃんの分も、きちんと有るぜ?」
黒歌の台詞に苦笑しながら、アマテラスは話を進め、サトルに3枚の…若手悪魔のレーティング・ゲームのチケットを渡すのだった。
「成る程…私達も同行ですか。」
「そーゆー事。
まぁ最初はゲーム観戦とかして、冥界を堪能すれば良いよ。」
「しかし天照様、とりあえず問題が2点程、有りますが?」
「何だい、白音ちゃん?」
「姉様は兎も角、私とサト君は、学生なのですが?」
しかし此処で、白音がアマテラスに質問。
「ふっふっふ…それなら心配は要らないよ。」
ゴソゴソ…
「じゃ・あ~ん♪」
それに対しアマテラスは、持っていた鞄の中から、約15㌢程の、
「サトル君 白音ちゃん、この『☆』マークを指で押してみな?」
「「……………………。」」
サトルと白音はアマテラスに言われる儘、人形の額部分に描かれてある、『☆』のマークに指を押し当てると、
む゙ぅぅぅぅぅ…
「え゙?!」「は?」「にゃ?」
その人形は みるみる大きくなり、今のサトルと白音の姿、寸分変わらずに変化した。
「よっ♪」「どうも。」
「「「…………………。」」」
そして普段のサトル・白音と変わらぬ態度で、
「はっはっは!驚いたかい?
これぞ平賀君が作った、"影武者君DX"だ!
『☆』マークを押した者と、姿は勿論の事、知能知識に身体能力から記憶まで、完璧にコピーして、その当人の代理を務めてくれる優れ物だ!
しかも互いの額を重ねる事で、影武者してる間の記憶をダウンロード!
どうだ、参ったか!」
「参ったか!」「どやぁ!」
茫然としてるサトル達に、どや顔説明のアマテラスとサトルと白音のコピー。
「それってパー〇ンの、コピーロボ〇t
「しかも、指紋認証機能搭載で、"本物"が再び『
これでサトル君と白音ちゃんの、学園の方はクリアーさ。
…で、白音ちゃん、もう1つの問題って?」
「「「…………………。」」」
サトルの突っ込み的台詞を遮り、アマテラスは更に話を進めていく。
「わ…私と姉様は大丈夫ですが、サト君は冥界の空気って、アウトじゃないのでしょうか?」
「ふむ!良い質問だよ、白音ちゃん。」
この白音の疑問に、優しく笑顔で応じるアマテラス。
「確かに白音ちゃんの言う通り、冥界の空気は所謂"瘴気"が大量に含まれている。
普通に人間が冥界入りしたら、1分も持たないだろう。
残念だけどサトル君の
そう。冥界には普通の人間にとっては有毒な、瘴気と呼ばれる成分が多量に漂っている。
旧魔王一派掃討の際に、
因みにだが、7月に魔王レヴィアタンの城を襲撃した人間の魔法使い達は、何らかの処置が為されていたのだろう。
「心配しなくて良いよ。
何の備えも無し、舐めた服装で山登りに挑んで遭難、挙げ句ネットで『少しは考えろ、バカ!』とか『救助隊の皆さん大迷惑』とか『その儘タヒネバ良かったのに』とかの罵詈雑言大炎上させる様な真似は させないさ。
流石に其処まで、ブラックじゃない。」
そして きちんと、その対策は用意していると言うアマテラス。
「そ・ん・な・訳で、ちゅ~~~~っ♡♪」
「んんんっ?!…
#◇£@§‡∇(◎Д◎)∂∬♭☆¶Θ~!?」
「「「あ゙っあぁーーーっ??!」」」
そして どんな訳かは判らないが、いきなりサトルを抱き締めると、その唇を己の唇で鬱いでしまう。
それも、
これにはサトルが目を白黒させて驚くのは勿論、白音と黒歌、更にはアマテラスと侍女として同行していたアーシアも、目を大きく見開き大絶叫だ。
「きゅぅう~…ん…」
バタッ…
「さ、サト君ん~っ!!?」
約30秒後。
その間 口の中で れろれろと、秒間推定50HITされ続けたサトルは、顔を赤く目を回してダウン。
「にゃにゃ…」
「はわわゎ…」
「なななな…何をしてるんですか、アマテラス様?!」
当然、いきなりの この行為に、白音が問い詰めるが、
「何って…僕の1京2858兆0519億6763万3875個のスキルの1つ、『
有効期間は約300年。
因みに僕のスキルの譲渡は、『
だから白音ちゃん黒歌ちゃん?
ついでにアーシアちゃんも その、『キスする意味、有ったんですか~?』…って顔、したりしない。」
「「……………………………。」」
この【日本神話】の主神様は平然と、悪戯っぽく微笑みながら応える。
「それにしても男の子とキスするのって、6年と357日振りだなあ。
…って、その時も相手はサトル君だったけど♪」
「「ぶに゙ゃーっ!!」」
更に唇に指を当て、火にガソリンを注ぐかの発言に猫姉妹が大炎上。
「…って、まるで女とは、何時も してるみたいな言い方だにゃ?」
これに黒歌が、皮肉っぽく質問すると、
「ん? まぁ~あね。
アーシアちゃんとは毎日、寝る時起きた時に ちゅっちゅちゅっちゅしてるぜ♪
ね、アーシアちゃん?」
「「「え゙…えぇーーーーっ?!」」」
「はぁぅっ?!」
…まさかの この応え。
猫姉妹は このタイミングで復活したサトルと一緒に、またもや絶叫。
アーシアは顔を赤くして、はわわ状態だ。
「ついでに言えば、僕の身体で、アーシアちゃんの指先と唇が触れてない箇所なんて、もう何処にも無いぜ…ぽっ♡」
「「「な、何だってーっ??!」」」
「あぁぁ、アマテラス様ぁ? それって今、言う事ですかぁ~っ??!」
何かを思い出すかの様に、顔を赤くして両手を頬に当て、嬉しそうに…それでいて少しだけ恥ずかしそうに語るアマテラス。…に、アーシアが やはり更に顔を真っ赤にして、慌てて止めに入った。
「驚きです…。
まさかのアーシアさんが、"攻め"の方でしたか…」
「いや、驚くの、其処じゃない!」
≫≫≫
▼▼▼
「はぁ…」
サトルが何かを思い出したかの様に、疲れた顔をしていると、
『皆様…本日は御来場、ありがとうございます!』
スタジアム中央の闘技台に、派手な色彩のスーツを着た
うぉぉお~~~~~~~~~~っ!!
これに観客達も、大声援で応える。
「皆ホント、ノリノリだにゃ…」
▼▼▼
パタン…
「お嬢、失礼するぞ。」
丁度その頃、シトリー側の控え室に、白黒の仮面を着けた、タキシードの男が入ってきた。
「げ…?バ=ニル…さん…」
それを見て、匙元士郎を基、シトリー眷属の殆どが、隠す事無く、嫌そうな顔を浮かべる。
「どうして、此処へ?
関係者以外は立入禁止な筈ですが?」
「フハハハハハハ!
そんなに嫌な顔をしなくても良いわ!
今日は純粋に、吾輩が鍛えてやった小娘小僧達の、激励に来てやっただけだ。
尚、警備員には『シトリーの者だ』と身分証明を見せたら、すんなり通してくれたぞ。」
ソーナ・シトリーの質問にも、バ=ニルは嗤いながら応える。
「聞けば、今日の対戦相手のアスタロトの後継ぎとやらは、かなりマニアックな性癖を持っている以外は、かなりデキる男だと聞く。
勝負は時の運。
故に絶対に勝てとは敢えて思わぬが、貴様等は この吾輩が師事したのだ。
無様な真似だけは、勘弁願いたいと思ってな。
とりあえずは昨日、グレモリー令嬢が予想以上の健闘を見せて僅かながら評価が上方修正、これで自分がスカした時に件のサイトで何を書き込まれるかと、内心テンパっている お嬢は先日も言った通り…」
そして1人1人、アドバイスを言い始めた。
≫≫≫
「…次に昨日の金髪の小僧の戦闘を見て感動、そして それ以上に悶々とし、一晩中ベッドの中でナニに励んd
「「「わーーーーーーーーーーーっ!?きゃああ~~~~~~~っ?!!」」」
バ=ニルが次の者に助言しようとした時、その前台詞に何故か、
「どーして貴方は!
何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も!!
そうやって余計な一言を言おうとするんですかっ?!」
「フハハハハハハハハハ!
貴様等の悪感情を頂く為に、決まっているだろう!
その羞恥の悪感情、美味である美味である美味であーる!」
「「「うぐぐぐ…」」」
そして真羅が代表して、バ=ニルに その発言について涙目で問い詰めるが、この仮面の悪魔は嗤いながら、己のが
「ねぇ、げんしろ兄ちゃん?
"励む"って、何を励むの?」
「…お前は まだ、知らなくて良い。」
「???」
≫≫≫
「…さて、最後に夏のゲームでは、その暴走と云っても過言でない戦闘スタイルで、その後お嬢にマジ泣きされながら説教されて、最高に凹んだ小僧よ。
貴様にも、先日に言ったが…
「だ・か・ら、その余計な一言 止めろ!…下さい。
絶対にアンタ、此処に来たの、摘まみ食いの為だろ!?」
バ=ニルがシトリー眷属メンバー其々にアドバイスを施し、残る1人、匙にも要らぬ一言を添えた助言をしようとした時、この
「…解ってるよ。
…解っているさ。」
「ふむ?」
そしてバ=ニルに顔を背き俯き、慎重な顔で話す。
夏のシークヴァイラ・アガレスとのゲームでは、彼は自分の
其処からの無双の快進撃。
最後は相手の
実際、夏に行われた3ゲーム、運営が決める総合MVPには、匙が選ばれた程だ。
しかし その日の夜、主であるソーナからは痛烈な張り手と共に、涙ながらの説教を聞かされてしまう。
高が小さな勝利の為だけに、自分の命を軽視した その行動が、彼女には看過出来なかったらしい。
堪えた。
単なる説教でなく、本当に
そして その時その場で、2度と馬鹿な真似は しないと、自分の主に誓っていたのだった。
「…昨日の木場を見て、確かに最初は凄ぇと思った。
だが、冷静に思い直したら、ありゃ確かにバカな真似だと痛感したよ…。
大丈夫…もう、あんなバカは、絶対に やらねぇ。
会長の夢の為にも。
そして、俺自身の
「「匙…」」
「げんしろー…」
「「「元ちゃん…」」」
「匙先輩…」
「兄ちゃん…」
昨日のリアスvsサイラオーグのゲームの中で、木場祐斗が己の生命力を削って繰り出した技を自身と重ね、自分の命を顧みない行為は しないと、改めて力強く宣言する匙。
「…ふむ。」
それを見て感動、感激する仲間達の中、バ=ニルだけは微妙な反応をする。
彼からすれば、そう云う意味で
▼▼▼
『…それでは御待たせしました!
東ゲートよりディオドラ・アスタロ、西ゲートより、ソーナ・シトリー、両チームの入場です!』
うおぉーーーーーーーーーーーっ!!!
それから少し経ち、
アナウンスと同時に起こる大歓声、派手なレーザー光線やスモークの演出、大音量且つ重厚なクラシカルな音楽と共に、ディオドラとソーナが其々、下僕を引き連れて入場してきた。
①前回の前書きにも書いたけど、サトル達が冥界入り出来た理由は…
②某チート人外さんより10個だけ、スキルを多く所持している天照大神様。
次回、ディオドラとソーナ、激突!
感想、評価よろしくです。
…活動報告、書きました。
此方も よろしくです。