今更ですが、作者はプロレスが大好きです。
「…ヨシコさん、聞こえてる?
此方イリナ。如何にも…って感じの、怪しい洞窟を発見。
ソーナ・シトリー様の眷属が2人、その中に入っていくのを確認したわ。」
『その眷属とやらの、詳しい情報は?』
「私と同じくらいの女の子と、小さな男の子。
3本位…かな? 旗を持っていたわ。
どうする? 戦れって言うなら、戦るけど?
てゆーか これ、絶対にチャンスよ!
戦っちゃって良いよね?
こっちが人数多いし!」
ディオドラvsソーナのゲームが中盤戦となった頃、ディオドラの
『いや…その洞窟、何かの仕込みが有るやも知れぬし、既に敵の旗の保管場所…謂わば仮の拠点となっている可能性も有る。
その眷属達が次に洞窟から出るのを待ち伏せして奇襲を仕掛け、何らかの情報を得た上で旗を奪うのがベストだろう。』
そして通信術式で、今回のディオドラ陣営の"軍師"、ヨシコ・サマーに報告。
それを聞いたヨシコは、とりあえず様子見の指示を出すが、
「大丈夫よ! こっちは聖剣の使い手が2人も居るし!
魔法攻撃なんかも、セリスさんが封じてくれるから、問題無いわ!」
『ちょ…お、ぉい、イリナ!?
エミリア!セレス!そのバカ女を止めろぉっ!!』
「大丈夫よヨシコ。」
「あの少年は知らんが、女は確か、
前回のゲームでも、其れ程の脅威は、感じなかった。」
『お前等、ヒトの言う事を聞けぇっ!?』
しかしイリナと他2名も、「それは考え過ぎ」とばかりに、イリナの戦る気を支持してリョーコの指示を無視。
勇んで洞窟内に入っていった。
≫≫≫
「きゃああァッ!??」
「ひぇえっ?!」
「いやぁあああぁあっ!!」
…その数分後、洞窟内にて、恐怖に憑かれた少女達の悲鳴が木霊する。
「「「ギブギブギブ!
『ディオドラ・アスタロト選手の
そして その場から姿を消すイリナ達。
「やったね!お姉ちゃん!」
「ん…、偉いよ、レオナルド君?
だから
その結果に、素直に喜ぶソーナ眷属のレオナルドと、若干、笑い顔を引き攣らせている草下。
…実はこの2人は、洞窟に入る時から、イリナ達の存在に気付いていた。
イリナがヨシコと通信していた頃、此方も
洞窟内に誘い込み、確実にリタイアさせる様に指示を受けていたのだった。
そしてレオナルドはイリナ達と対峙した時、ソーナの指示通り、自身の
一般女性にとって、恐怖の対象の1つである
彼女達も、普段から戦闘に於ける耐恐怖の訓練は していただろうが、
『『『じょうじ…』』』
因みに その"G"型魔獣の迫力は、仲間である草下すら、どん引く程だったとか。
そして この後、このソーナ眷属の2人は、洞窟の最奥で、旗を入手した。
▼▼▼
「あれは…ある意味、卑怯だな…www」
「あんなの、絶滅したら善いんです。」
「だにゃ!」
その一連の攻防?を観客席で観ていたサトルは、何かツボに嵌まったのか、必死に笑いを堪えており、逆に白音と黒歌は、不快な表情を見せていた。
やはり彼女達にとっても、"G"は忌むべき天敵なのだろう。
「はっはっは!しかし、確かに あれは女性相手には、有効な手段だよ。
あれはセイj…コホン、ディオドラ氏の眷属が全員、女性で構成されてるのを見越した上で、ソーナ・シトリー嬢が予め あの少年に、あの様な場面に なった時、そうする様に指示を出していたのだろう。
それにしても、
ソーナ嬢も、かなりな人材を下僕に したみたいだね。
…って、む? また、ゲームに動きが有るみたいだよ?」
サトルの隣に座っていた、上級悪魔貴族?のティアブラッド(仮名)が、スタジアム上方を屋根の様に覆う魔力スクリーンを指差す。
フィールド内を動く出場選手に合わせ、幾つかに分割されていた画面の1つが拡大で表示され、其処には各々が大剣を携えた、黒髪と蒼髪の2人の少女が写し出されていた。
▼▼▼
カイ・ハンセムとゼノヴィア・クァルタ。
ディオドラの
「おぉ!カイ、あれを見ろ!」
「…当たりだね。」
そして2人は、街の中心部に位置する、コンクリート肌剥き出しの高いビルの屋上に立つ、1本の旗を発見。
「よし、行くぞ。」
「ぃゃ…行くは良いが、大丈夫なのか?
あのビルから、『オスオス』って、変な大声や太鼓の音が?」
「う~む。一応、
≫≫≫
タンタンタンタン…
「罠の類いは、無いみたいだね。」
「しかし、あの大声、近付くからか、益々大きくなってるぞ?…こりゃ、100人近いな。」
…その後、ゼノヴィアとカイの2人は、ヨシコの『シトリー眷属でなく、運営サイドが建物内部に
外からでも聞こえていた、あの『オスオス』と連呼される、多人数による大音量に不審を覚えながら、2人は屋上へと辿り着く。
そして、其処で2人が目にしたのは、
「押忍!押忍!押忍押忍!!」
ドーン!ドドーン!…
「「………………。」」
総勢約100名、日本式の黒の学ランを着込んだ強面の オッサン 青年が規則正しく整列し、正しく応援団の如く
そして、外から見えていた旗は、身長160弱のリーゼントの少年が1人、必死の形相で掲げている、推定 縦7㍍横10㍍、ポールの長さは20㍍を越える、超巨大応援団旗だった。
「カイ、これを!」
そして、この旗の傍には
【此ノ旗1本デ通常ノ旗10本分ノ価値有リ】
…と記された立て看板が。
「成る程。これは所謂、
「しかし これ、どーやって持ち運ぶのだ?」
「フッ…、
「うむ、私に任せろ…って、出来るかっ?!」
≫≫≫
『…成る程。』
結局2人は、ヨシコに連絡して、指示を仰ぐ事に。
『ふむ…。流石に
「ちょっと待て!?
今、話し方に違和感が有ったぞ?」
『… チィ、無駄に鋭いわね?! 気の せいだ。
よし、ならば そのビルの屋上を、保管場所として…
そうだな…ゼノヴィア、貴様は其の場で待機。
旗を見張っていろ。』
「…??? どーゆー事だ?」
『その旗は其の儘、その応援団とやらに持っていて貰う。
それをソーナ眷属が見付け、屋上に来た処を…』
「成る程。この旗を餌に するわけか。
それで やってきた連中を私が討ち、あわよくば連中が持っていた旗もゲットする…と。」
「そういう事だ。…が、1人で大丈夫か?」
「ふん!誰に物を言っている?」
結果、ゼノヴィアが この場で旗の番人となる事が決まり、
「「「「「「「「「…!!?」」」」」」」」」」
それを聞いた…プレイヤーが到着、旗を入手と同時に御役目御免となる筈だった…応援団の面々、特に旗を持ち上げている小柄な少年が、この世の終わりの様な、青い顔をする。
「心配するな。タイムアップ寸前には、フラグGETをアピールして解放やるさ。
さぁ、それまでは気合いと根性で頑張れ~!!」
▼▼▼
「「………………………。」」
一方その頃。
草原エリアで、ソーナの
「先輩ぃ~、これって…?」
「応、怪しさ120㌫だな。」
その旗は見通しの良い草原の地面に、ただ ぽつんと刺さっているだけなのだが、2人は その旗の入手を躊躇していた。
【俺、この戦が終わったら、故郷に帰って恋人と結婚するんだ】
…その旗に刻まれている その文章に、2人は何となく嫌な予感が。
それこそ、入手をカウントされたと同時に、何か…
「絶対にフラグですよね?」
「…ですよねー。」
結局2人は、この旗を手にする事無く、此の場から離れて行った。
▼▼▼
「さァ、始めましょうカ。」
「…仕方、無いわね。」
そして同じ頃、更に別のエリアでは、ディオドラの
必然的に、
「バトル開始の前に、1つ、聞いておきマス。」
「む?何だ?」
「アナタ、プロレス好きデスか?」
「はぁ?」
「…ハぁっ!」
びゅん!
「!!?」
この少しの会話の後、口火を切ったのはレイチェルのニールキック。
いきなりの大技だが、モーションの大きな それを由良は あっさりと躱し、
「てぃや!」
ビシッ!
「フッ!」「…!」
着地前の覆面少女に魔力強化された右拳を放つが、空中での不安定な体勢にも拘わらず、彼女は不敵に笑いながら、それをブロック。
ババッ!
互いにバックステップで距離を空けて、ファイティングポーズを構えて仕切り直しだ。
「シッ!」
シュン…ドシッ!
そして今度は、由良が仕掛ける。
高速の片足タックルでダウンを奪いマウントポジションを取った。
「…プロレスに限らず、格闘技は基本、大好きだ!」
そこから先程のレイチェルの質問に応えながら、袈裟固めに移行…しようとするが、レイチェルは体を反転させて、これを脱出。
「ハッ!」
ひゅん…どん!
「うわっ!」
そして立ち上がると同時、その場で跳躍。
空中で体を大きく回転、弧を描いてのボディアタック…ラ・ケブラーダを炸裂させた。
これも最初のニールキック同様に、動きの大きな派手な技なのだが、由良は一瞬だが、レイチェルの その華麗な動きに魅せられて反応が遅れてしまい、躱しきれなかったのだ。
「ハァッ!」
「ぐ?!」
ぐぃぐぃ…
更にレイチェルは由良の体を起こすと、そこからコブラツイスト→卍固めで絞め上げる。
「さぁ!素直にギブアップするのデス!」
「誰が…するかぁっ!!」
ぶん!
これを由良は、腰投げで切り返した。
「「ちぃっ!」」
そして互いに舌打ちした2人は、今度はロックアップからの力比べに。
これは、単純なパワーで勝る、
「ハァアッ!」
レイチェルの身体を軽々と担ぎ上げると、
どすんっ!
「きゃぁあっ?!」
ハイアングルのボディスラムで、地面に叩き付ける。
だが、由良の攻撃は、これだけで止まらない。
ヨロヨロと立ち上がったレイチェルに対して、腹部へ膝を打ち込むと、身を屈めた彼女の頭部を股で挟み、その状態で体を持ち上げ、
「これで、終わりだ!」
フィニッシュとばかりに、豪快なパワーボムを繰り出した。
「…ふっ!」
ガシッ!
「っ!?」
しかし この技は決まらない。
落下中で、レイチェルは自らの脚で由良の頭を挟み捕まえると、
ぶぅん!…どどん!
「ぐゎあっ!?」
そのパワーボムの勢いを逆に利用しての投げ技…フランケンシュタイナーで、逆に由良の脳天を、地面に突き刺したのだった。
「く…手強い…!」
「その硬さ…流石は
この攻防も決着には至らない。
苦悶の表情を浮かべ、頭頂を押さえながら立ち上がる由良に、レイチェルも そのタフさには覆面の下で、呆れた表情を浮かばせた。
「しかし! ダメージは小さくない筈!
これで終わらせマス!」
「??!」
ダッ…
そしてレイチェルが勝負に出る。
ダッシュで間合いを詰めると、由良の正面で一度 身を屈ませ、そこから突き上げる様な…しかもドリルの様な回転を附けたドロップキックを、由良の顎先にヒットさせた。
更には立ち上がるも、足下が覚束無い由良の背後に回り込みジャンプ、両脚で頭部をキャッチすると、体をバク転させての脚での投げ…先程の それとは前後が逆の、リバース・フランケンシュタイナーを繰り出す。
「がぁぁあっ!!」
「な?!」
だん!
だが、これを由良は、投げられながらも空中で強引に体を捻らせ、自ら身体側面から地に落ちる様にして、頭部の痛打だけは避ける。
「ば、馬鹿ナ…」
これに、仕留める気満々だった自身の最大必殺技で十全に決める事が出来ず、レイチェルが動揺。
「隙有り!」
「…しまっt?!」
その一瞬の動きの停止を、由良は見逃さない。
今度は彼女がレイチェルの
「でぇぇいや!!」
ずどん!
「きゃん!?」
見るからに迫力十分な、ジャーマン・スープレックスをお見舞い。
「まだまだぁ!」
ガシッ!
更には無理矢理にレイチェルの体を起こすと、
「やっ!」
裏投げで後方へと ぶん投げる。
「ハッ!」
そして続く由良のターン。
再びダウンしている覆面少女の両足を掴み、
ぶんぶんぶんぶん…ぶんっ!
今度はジャイアント・スィングで大回転…からの投げ棄て。
「ぐぅう…」
これでも まだ、由良の攻撃は止まらない。
三半規管にダメージを受けて、フラフラと立ち上がるレイチェルに対して次は、
「おっらぁ!」
ずどん!
「カハァッ!」
強烈過ぎる、DDT。
レイチェルの脳天が、地面に突き刺さった。
ガシィッ!
そして由良が、締めに入る。
うつ伏せとなったレイチェルの足を、片逆エビ固めに捕らえ、同時に更には顔面締め…
「ぎゃあぁあ~っ!!」
STFをがっちりと極めたのだった。
「さぁ、素直にギブ・アップしなさい!」
「だ…誰がぁっ?!」
先程とは話し手が逆転した、同じ会話。
ぐぃぐぃ…
由良がレイチェルの足と顔面を締め付ける。
技は完全に極っており、既に自力では脱出不可な状態だ。
「チッ!」
しかし、意地でも
ぐったりとしたレイチェルの頭を掴むと、またも無理矢理に立たせ、改めて
「…甘いデス!」
「???!」
しかし此処で、これを狙っていたのかレイチェルが瞳に光を灯らせると、体を回り込ませ、逆に由良の
「どっちがぁ!?」
「ちぃっ!」
「このっ!」
「しつこいデスね!?」
だが、由良も再び、レイチェルの背後に。
そして この後、幾度かの
「ぅおっりゃあぁっ!!」
バキィッ!
「…っ!!?」
最後に これを制したのは由良。
背後からレイチェルの腕を掴むと それを独楽回しの紐の様に引っ張る事で体を反転させ、両者が正面で向かい合った処に、相手の顔面目掛け、強力なショートレンジ・ラリアットを叩き込んだのだ。
『ディオドラ・アスタロト選手の
退場を告げるアナウンスと共に、その場から姿を消した。
「あ、危なかった…
もし、私と同じ
そしてレイチェルの退場を確認した由良は、彼女が所持していたのを含む、合計8本の旗を手に持つと、
「流石に これだけの数を持って動き続けるのは、得策じゃないわね…
…会長。此方、由良。ディオドラ眷属との戦闘を経て、現在、8本の旗を入手。
これより一時、アジトに帰還します。」
通信術式で
▼▼▼
「ふん…
今回は戦闘よりも旗取りがメインなのだが、それでも敵と遭ったならば、戦わず見過ごす等の選択肢は無いな。」
「「…………!!」」
そして、また別の場所でも、ディオドラとソーナの眷属が遭遇。
戦闘が始まろうとしていた。
ディオドラ眷属については、43話~47話の後書き参照で。
次回『Sの悲劇!(涙)』
乞う御期待!