ガルーダDxD(仮)   作:挫梛道

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〇で先生、やっぱり複数ヶ所での戦闘を同時に表現するのは難いっスよ…
 



進撃の神々!②(仮)

▼▼▼

アスタロト城も他所同様、【日本神話】からの攻撃を受けていた。

攻めてきた神は1柱。

熊…いや、『クマさん』の表現が相応しい型状の機動兵器で城を半壊させ、現在は其から降り、城内の兵達を、蹴散らしていた。

 

「…邪魔、しないで。」

 

ゼバァッ!

 

「「「ぎゃんっ!?」」」

身の丈よりも長い薙刀を右手で振るい、一度に複数の敵を屠る、一見は幼い少女。

古事記にも登場している、木花咲弥姫命(このはさくやひめのみこと)だ。

 

「待て! それ以上は進ませんぞ!」

「さあ、掛かって来い悪者!」

「…誰?」

そんな彼女の前に、新手が。

現アスタロト当主の戦車(ルーク)ケィーチ・サンダーと、騎士(ナイト)のトラックス=ロビン・シーホースだ。

 

「…転生悪魔は、『敵対しないなら、別に殺らなくても良いぜ♪』と言われている。

命が惜しいなら、引っ込んでいて。」

「「巫山戯るな!」」

     

ダダダダッ…!

 

一目で2人を転生悪魔と見抜いた咲弥姫が、彼女なりの優しさを見せるが、この人獅子と黒覆面の男には、それが通じなかったらしく、戦闘に突入した。

 

≫≫≫

 

どずんっ…!

 

「かっ…はっ…?!」

「け、ケィーチ君!?」

そして先ずは、ケィーチ・サンダーが、腹部を薙刀で貫かれて脱落。

如何に悪魔と云えど、それが致命傷なのは明らかだった。

 

「ぐぬぬぬ…! 己れ悪者!

喰らえ、スクリュー・ドライバー!」

それにより、怒りを高めたトラックスが、携えていた細剣での攻撃。

刺突の際に手首を捻り、()()の要素を加えた一撃だ。

 

ズバァァッ!

 

「ほんげーーーーーーーーーっ!?」

しかし、この一撃も、咲弥姫には届かない。

切っ先は、彼女が盾の様に差し出した…左手に持っていた()()()()()()()()に突き刺さるだけだった。

 

「ぃ痛ってーーーーーーーっ?!

ななな、何してくれやがるんだ、クソアマァッ!?」

そして そのヌイグルミが、サクヤヒメに対して猛クレーム。

 

「ありがとう ぶっちー。

サクの事、護ってくれたんだよね?」

「…ぢゃ、ねーよ!(゚Д゚#)

こんな非道ぇ事、悪魔でも やんねーぞ!コラ゙ァッ!?」

どうやら『ぶっちー』と呼ばれる彼?は、彼女御付きの式神な様だ。

その会話口調から、単なる主従では無い事が、伺えた。

 

「私はジャパニーズ・マンザイに、興味を持っていない!」

そんな2人?に、トラックスが追撃。

距離を詰めて放つのは、刃に紫電を纏わせての、光速の剣。

 

「唸れ!ライトニング・ピアス!」 

「ぶっちーシールド!」

 

ズバッ!

 

「アババババババババパ??!」

しかし この一閃も、サクヤヒメはヌイグルミ(ぶっちー)を前に出しての防御。

 

「……………………………………。」

「…ぶっちー?」

そして この攻撃で、ぶっちーは死に…は していないが、気を失った様だ。

 

ごごごごごごご…

 

「よくも…よくも、ぶっちーを…

絶対に、赦さない…っ!!」

そして静かに、且つ、明ら様に怒気を昂らせるサクヤヒメ。

 

「ちょ、ちょーっと待ちませんか、小さな お嬢さん?!

今のは私が悪いんじゃ、ないでしょう??!」

それを察したトラックスが、慌てて弁明しようとするが、

「五月蝿い。

大切な親友を傷つけられて黙っていられる程、私はスィーツな性格じゃない。」

それは、怒りの化身と化した彼女には、聞き入れられない。

 

スッ…

 

「…大丈夫だよ、ぶっちー。

仇は、サクが絶対に取るからね…。」

そして動かなくなったぶっちー(ヌイグルミ)を床に優しく丁寧に置くと、薙刀を両手持ちに構え直すのだった。

 

「お前は もう、消えろ。

私は早く、この城の主を殺らないと いけないの。」

 

▼▼▼

悪魔領の南端に在る、バルバトス領。

 

「ハァハァ…ゼィゼィ…」

この地も例外無く、【日本神話】に襲撃されていた。

この領主の城も、土偶を象った量産型機動兵器の大群により、今は更地と化している。

そして、1人残った城の当主…褐色肌に長い水色の髪の偉丈夫…ナァゴ・バルバトスも、日本神の1柱…建葉槌命(タケハヅチノミコト)の前に、既に虫の息だった。

 

シュン…!

 

神速の踏み込みと同時、その姿を消す建葉槌命。

所謂『目にも止まらぬ』な超スピードは最初の一歩だけで、その後は文字通りに その身を消したのだ。

 

ズブァッ!

 

「…っかぁっ?!」

そして、突如として現れた三ツ又の矛の一撃により、脇腹を穿かれてしまうバルバトス。

この、神速移動と透明化からのトリッキーな戦法で、バルバトスは一方的に攻撃を受けていたのだ。

 

「…ふむ。

模造品(レプリカ)とは云え、なかなかの…」

「き、貴様ァッ…!」

手にした得物の出来栄えに、満足気な表情を見せる建葉槌命を、バルバトスが憎々気に睨み付ける。

実は、この神が持つ矛は、只の矛に有らず。

いや、矛だけで無い。

 

・ポセイドンの矛

・ヘルメスの羽靴(サンダル)

・ハーデスの隠れ兜

・???

 

経緯は割愛するが、大昔、オリュンポスから受け取った宝具(コピー)の一部を、建葉槌はアマテラスから渡されていたのだ。

 

 

 

…そんな訳で、建葉槌ちゃん。

前に下半神(ゼウス)から貰った、これ等のアイテムの性能、試してみてくれないかな?

返事は、『はい』か『yes!』か『うぃ まどもわぜーる』だぜ?

 

 

 

「…全てがチート級ですよ、アマテラス様。」

アイテムを渡された際の、主神の台詞を思い出し、苦笑しながら その感想を呟く建葉槌。

 

「ぶるぅああああああああああっ…!」

「お、驚いた?! まだ、生きている?

タッフね~?♪(笑)」

そんな日本神に対して、ナァゴ・バルバトスは満身創痍ながら、巨大戦斧を振りかざして突撃を仕掛けてきた。

先程の矛の一突きで終わったと思っていた建葉槌は、これには別の意味での苦笑。

 

「…ならば!」

そして建葉槌は、腰の袋に入れていた、4つ目のギリシャ製アイテムを取り出す。

 

「アイテムなど、使ってんj…」

 

ピシィッ…

 

そして ()()を、怒声と共に斧を振り落とすバルバトスに向けると、この大柄な悪魔は、瞬時に石化。

 

「アマテラス様…

中でも()()は、卑怯過ぎます。www」

そう言いながら、この悪魔を石と変えた、"メデューサの首(コピー)"を再び腰袋の中に直すと、

 

ドガァッ!

 

建葉槌は その雄々しく戦斧を構える石像となったナァゴ・バルバトスに向けて三ツ又の矛を突き刺し、粉々に破壊するのだった。

 

▼▼▼

悪魔領の東北側に広がる、山と森に囲まれた地域(エリア)

この地に【日本神話】から足を踏み入れたのは、神でも神兵でも無かった。

 

「我々の標的は、貴族だけです。

傍観を貫くなら、貴方を含む、この地の者には手を出しません。」

【日本神話】の派閥が1つ、『妖怪』。

その長である九尾狐 八坂の弟、銀髪の妖狐 蔵馬だ。

 

「………………………………。」

この蔵馬の言葉に、この地域を治めている巨大なドラゴン…からの転生悪魔である魔龍聖(ブレィズ・ミーティア・ドラゴン)タンニーンは、数秒間、無言の瞑目の後に、目を、そして口を開く。

 

「俺は…」

 

▼▼▼

 

「と、どうしたのだ?

ディハウザー・べリアル!!」

場面(カメラ)はアガレス城に。

大国主神(オオクニヌシノカミ)が率いる軍勢に攻め入られ、城の地下に追い詰められた、大公アガレスと、その家族達。

…其処に現れたのは、悪魔界 唯一 随一の娯楽と言って良い、レーティング・ゲームにて、トップの位置に座する、ディハウザー・べリアルだった。

  

「………………………。」

しかし、アガレス公からすれば、この場には己の救援に駆け付けた物だとばかり思っていたが、当人は大国主と対峙する素振りは、感じさせない。

 

「アガレス公、私が此の場に参ったのは、さしあたっては戦う為に有らず。

貴方に2~3、問い質したい事が有って、伺いました。」

「な…何を言っているのだ? こんな時に!?」

「…こんな時…だからですよ。」

「えぇい! あの男を片付けたら、20でも30でも、何でも答えてくれるわ!

さっさと殺ってしまえぃ!!」

「質問が、先です。

…大国主殿。もう少し、時間をくれないか?」

「…御自由に♪」

「ぐ…ぐぐぐ…!」

それ処か、戦いに…アガレス家の救援に来た事を否定。

その会話を黙って聞いていた大国主も、一先ずは剣を鞘に納めた。

 

≫≫≫

「ふ…ん!

それで、ディハウザー・べリアルよ。

一体 私に、何を聞こうと云うのだ?」

ディハウザーの態度に、多少の不満 苛立ちは残るが、とりあえず大国主の攻めが止んだ事は良しとして、アガレス公はディハウザーに、何用だと尋ねる。

 

「率直に…レーティング・ゲームのプレイヤーとして、お聞きます。

"王の駒"…は、実在するのですか?」

「…!??」

その問いに、アガレス公は一瞬、身体を硬直させ、顔色を変えた。

 

「貴様…どうして、その事を…?」

「その動揺振りは、肯定と解釈しますよ?」

そして、アガレスの態度(リアクション)から、其は実在すると、確信。

 

「ふぅっふふ…笑えるな…

私は今まで、そんな物に頼っていた卑怯者達と、真剣に競い合っていたと云うのか…

ふ…ふっふふふ…」

一般的に、チェスの駒をモチーフとされている悪魔の駒(イーヴィル・ピース)

しかし それは、(キング)たる主が下僕に授ける、女王(クィーン)から兵士(ポーン)までの5種15個が1セットで、"(キング)"の駒は存在しない筈だった。

…が、実は、そうでは無かった。

女王(クィーン)の駒の性能を更に強化した、魔力やスピード、攻防のパワーを最大で100倍以上にまでに跳ね上げる、"王の駒"は確かに存在していたのだ。

以前から薄々は分かっていた、その真実を改めて知り、ディハウザーは落胆した顔で、乾いた笑いを止める事が出来なかった。

 

「"駒"その物を、否定したりは しない!

在るなら有るで、何故、その事を公にしなかったのですか!」

そして一変、今度は激昂した表情口調で、恐らくは冥界上層部が結託した上で、その秘匿にしていた事柄について問う。

 

「ふ、ふん! 貴様等若僧には、それは関係の無い話だ!」

その迫力に一瞬 気圧されながらも、アガレスは強気な態度を立て直し、ディハウザーの追究を跳ね除ける。

 

「大方はゲーム運営に携わる者の、利権絡みが理由でしょうか…

しかし貴方達が それを秘密にしていなかったら、クレーリアは命を落とす事は、無かった…!」

「な…今更 何を言っているのだ?

あの小娘は、自業自得だろう?

我々に不信を抱き、探りを入れていたのだからな。」

「ほぅ? クレーリアが誅殺されたのは、天界に属する人間と繋がっていたからと…そう、聞いておりましたが?」

「…!?」

 

シャキ…ッ!

 

「な…?!」

此処まで話すと…知りたかった事を全て知り得たディハウザーは腰に差していた剣を抜き、青い魔力が通った刃を、大公に向ける。

 

「ななな、何をやっているのだ、貴様は!?

目の前には、敵が居るのだぞ?!

剣を向ける相手が、間違っている!」

予想の外な展開に、狼狽えるアガレス公だが、ディハウザーは そんな大公に、冷たく言い放つ。

 

「そもそも、私が此の場に現れたのに、何の違和も感じなかったのですか?

本来ならば、我がべリアルの地も【日本神話】からの攻撃を受け、他領へ赴く余裕等、無い筈。」

「………!!

ま、まさか…っ?!

ディハウザー殿…貴方、もしかして…?」

「御名答です、アガレスの姫君。」

此処で何か察したのか、シークヴァイラが会話に加わると、ディハウザーは彼女に優しく微笑み、話すのだった。

 

「既にべリアル家…いえ、べリアルの民は、【日本神話】に降っているのですよ。」

「な、何です…って!?」

「き、貴様…!」

「…それでは、アガレス公。

従妹(クレーリア)の無念、その身に受けて貰います。」

 

▼▼▼

「くそ…この俺の炎が、通じない…だと?!」

 

場面(カメラ)は切り替わり、此処はフェニックス領…フェニックス城。

この城も 今、たった1柱の神による攻撃を受け、現フェニックス当主は既に死亡。

その家族…城に居た者も悉く斃され、生き残っているは同家長男である、次期当主のみと なっていた。

そして その長男…ルヴァル・フェニックスも、この"神"の前に、為す術を断たれていた。

 

「ふん…それがフェニックスの炎か?

まるで、種火だな。」

 




 

木花咲弥姫命…もも先輩(食戟のソーマ)
建葉槌命…真宮寺さくら(サクラ大戦)
…のイメージで。
 
②【日本神話】がオリュンポスの宝具(アイテム)を譲り受けた経緯は、53話参照
 
 
【次回予告!】
サトル「……………………orz」
作者「だ、大丈夫だから!
次回は見せ場、有るから!…多分。」
 
次回『サトルの近接戦闘術!』
乞う御期待!
感想、評価よろしくです。
  

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