改めて、サトルの
☆通常(腕輪状態)時☆
・あらゆる魔力や光術の干渉を
・
☆
…通常時能力に加え
・
・超高速飛行能力
・…その他色々
※前回の あらすじ※
兄貴!のアッパーブローが、サトルに見開きページ(笑)で炸裂しました。
グシャァッ!!
サイラオーグに天高く吹き飛ばされ、最高点到達した その後は、万有引力の法則に従い錐揉みで落下。
脳天から垂直に、地面に激突したサトル。
「うぅ…」
落下中、鎧の再生には辛うじて間に合い、ダメージの軽減は出来たが、それでも大きなダメージを受けたのには変わりなかった。
ダダッ!
フラフラと立ち上がるサトルに、サイラオーグが追撃。
「ふん!」
これで決めると言わんばかりな、渾身の右拳を繰り出すが、
ガシッ…
「ふっ…やはり そう簡単には、往かぬか!」
「そ、そりゃ、そうでしょ…」
サトルは咄嗟に両手を出し、それを受け止める。
≫≫≫
バシッ!…ドンッ!…ガゴッ!
その後も続く、蹴り合い殴り合い。
拳や蹴りを織り混ぜてのコンビネーションを放つサトルに対して、ほぼ拳による攻撃 一辺倒なサイラオーグ。
「オラオラオラオラ!」
シュ…シュシュシュ…!
そんなサイラオーグに、サトルは上中下の、弾幕の様な蹴りの連打を放つが、サイラオーグは それ等を全て躱し、ガードし、払い除ける。
「ちぃ!」
そして、それに触発されたのか、右の前蹴りを繰り出すサイラオーグだが、
ガシィッ!
「!??」
実は それは、サトルが蒔いた
何気無くだが、相手は脚での攻撃が不得手だと感じたサトルは、捌かれるのを承知で、挑発、或いは誘うかの様な蹴り技を連発。
これに脳筋気質なサイラオーグは、対抗意識からか、それに
不慣れな蹴り技…その脚は、簡単にサトルに
ヒュン…ダダン!
「ぅぐっ!?」
そこから、その脚を捻る形の投げ技…ドラゴンスクリューに移行。
普段から肉弾格闘を攻撃手段としているサイラオーグ。
自らも それを受ける事は、発想には入れていた。
…が、それも あくまでも、打撃や投げ技の話。
どちらかと言えば、投げよりも実は関節技の要素の方が強い この系統の技は、想定の外だった。
初めて見る、喰らう技にサイラオーグは対処が遅れ、受け身を失敗。
「が…ッ…?」
膝関節を大きく負傷してしまう。
そして これを、サトルが見逃す訳が無かった。
その儘、膝十字固めを狙うが、
バンッ!
「ちっ!」
これはフリーとなっている もう片方の足を突き出されて失敗。
しかし、サトルは焦る事無く、1度 数歩下がって距離を開けると、立ち上がろうとしているサイラオーグ目掛けてダッシュ。
相手の立てた片膝を踏み台の如く駆け上がると、
ベキィイッ!!
「ぐわぁっ!?」
その勢いの儘、顔面に強烈過ぎる飛び膝蹴りを撃ち込んだ。
「…今までの敵には、こんな戦い方をするヤツは、居なかったか?」
「が、ガルーダァアッ!!」
どや顔で話し掛けるサトルと、それを睨み付けるサイラオーグ。
この2人の差が、徐々に出始めた。
プロレス技の有無…では無い。
…細かく言えば、確かに
その闘法の幅の広さ、引き出しの数の差だ。
「さ、サイラオーグ様!」
「待て!」
サイラオーグ劣勢の色が出てきて、今まで静観していた彼の眷属の1人が、思わず加勢に飛び出そうとした処を、別の眷属が制し止めた。
「…どの様な結末になろうが、最後まで手出し無用だと言われているのを忘れたのか?」
「っ…!」
白銀の鎧の青年の言葉に、魔術師風な格好の少年は、悔しさを顔に隠す事無く、それでも引き下がる。
この青年も…いや、その場の眷属全員が、少年と心情は同じだと、口調や表情で察する事が出来た。
ガァン!
「ぐふぇっ!?」
そして その劣勢の中、それでも愚直に、フェイント等は混ぜない、サイラオーグの左の拳が、サトルの胸板にクリーンヒット。
鎧の破片をばら蒔きながら、サトルが またも、吹き飛ばされる。
スピードやテクニックはサトルに分が有るが、サイラオーグには それを覆せる程のパワーが有った。
この一撃だけで、また戦況は五分に引き戻される。
「こ・な・く・そ!」
しかしサトルも、直ぐに起き上がるとサイラオーグに特攻。
ガシッ!
両足タックルの要領で相手の足を捕まえると、股下に頭を潜り込ませ、
びゅぃん…!
その状態の儘、神鳥の鎧の翼を広げ、天高く飛翔。
そして、空中でサイラオーグの身体を上下反転させると、両手は両足を掴んだ儘、両足で相手の上腕を踏み付ける様に
「む…これは…動けん!?」
そして、急降下。
それは先程、ナベリウスの兵隊長を倒した時の大技…
「疾風…迅雷落としーーーっ!!!!」
ドッッガァアッッ!
これが、完璧な形で炸裂した。
「成る程…中々に恐ろしい技だな…」
「え゙っ??!」
しかし、サイラオーグは殆んどダメージを受けてないかの素振りで立ち上がる。
これにはサトルの方が驚きだ。
「ふっ…
同世代に、似た系統の技を使う男を知っていてな…
今となっては、もう それは無い話だろうが、ヤツと戦う日に備え、脳天や首回りは、常日頃から鍛えていた。」
ぽんぽん…
誇らし気に、常人離れな太さの首を軽く叩きながら、話すサイラオーグ。
「あ…あのクッソ
その「似た系統の技を使う男」とやらに心当たりが有ったのか、サトルの魂の雄叫びが、周囲に響き渡った。
▼▼▼
「あ…あれは…」
…その頃の、高天原。
冥界から亡命したソーナ・シトリー、ディオドラ・アスタロト、ライザー・フェニックスと その下僕達も、サトルとサイラオーグの戦闘を観ていた。
「神代君の あの技も大概だけど、サイラオーグの あのタフさは、チート過ぎるよ…」
モニター画面右上隅に、『LIVE』と表示されている映像を観ながら呟くのはディオドラ。
「サイラオーグはディオドラの
「ディオドラ様は やはり あの時、手の内を見せ過ぎました。」
「あれは…洒落にならない位に死ねました…」
「ん。そうかも知れないね。
それでも僕は、後悔も反省も、していない!」
夏の若手悪魔の会合の時は、同じく同世代の悪魔であるゼファードル・グラシャラボラスと その下僕達を。
そして少し前のレーティング・ゲームでは、ソーナの
その細身な体では想像が付かない程な、豪快な投げ技を繰り出す事で、悉く上半身を床、或いは地中に埋めるな前衛アートを大量生産してきたディオドラ。
その場面を知っている者からすれば、サイラオーグの あの鍛え方は、完全にディオドラ対策だと、信じて疑わず。
「やあ。盛り上がってるね。」
「「「「「「「「「「??!」」」」」」」」」」
そんな彼等に、後方から話し掛けてくる女の声が。
「あ、アマテラスさm…さん?」
それは【日本神話】の主神、天照大神だった。
「…サトル君も、僕から たった1度 食らっただけで、ほぼ完璧に あの技をマスターしてるのに吃驚だけど、アレをまともに受けて、全然 平気なサイラオーグ君にも吃驚だぜ。」
「あのパイルドライバーみたいな技って、アマテラスさんの技なんスか?」
「アマテラスさんも、あの神代聡琉の師匠の1人だと?」
「いやいや、僕は違うよ。
アレは以前、サトル君を〆る時に使ったのを、あの子が勝手に覚えただけさ。
それより皆、画面に注目だ。
決着は、近いぜ?」
淡々とサトルが使った技について、そして、この戦闘の行く末を話すアマテラス。
「あの…処でアマテラスさm…さん?」
「ん?どうかしたのかい?ディオドラ君?」
…尚、この時にディオドラが、アマテラスと同行していた金髪少女を見て、その彼女に対して全身全霊誠心誠意なDOGEZAを披露したのは、また別の話である。
▼▼▼
「チィ…ッ!」
実は、サトルのドラゴンスクリューによって負傷した膝は、限界に近付いていた。
「はぁぁあ…」
またも距離を空け、闘氣を集中させるサイラオーグ。
サトルも、この男が最後の勝負に出たと判断したか、その
一騎打ちの形だが、この戦闘は決して、試合に非ず。
あくまでも これは、『戦争』である。
別に敵が、自身を高めている最中に それを妨害すべくな攻撃をした処で、それは反則でも卑怯でも無く。
…不粋か どうかとなれば、是非は別れるだろうが。
そして、サトルが選んだのは『待ち』である。
これは決して、余裕等で無く。
サイラオーグという1人の漢に対しての、敬意であった。
「行くぞガルーダ!
これが俺の、最大の拳だ!!」
ダダダッ!
そして練った闘氣の全てを、右拳に集中させ、サイラオーグはサトルに突撃。
「うぉおおおおお~~~~っ!!!!」
間合いに入ると同時、全力の拳を振りかざす。
「…ッ!!」
「!!!」
しかし その瞬間、一瞬だが その拳の速度が落ちた。
踏み込みの際、痛めた膝から走る、激痛の為だった。
ガシィッ!
サトルは その拳を…その腕を確と両腕で捕らえ、
タンッ…ガチィッ!
そしてジャンプ、捕らえた腕に、自身の両足を絡ませ、その儘その腕を極める。
「ぐぉおおおっ?!」
スタンド式の、飛び付き腕ひしぎ逆十字固めだ。
「サイラオーグ・バアル!
ギブアップと骨折と、好きな方を選べ!」
「巫山戯る…な!!」
ぐぃ…
「…へ?」
サトルの最期通告とも云える問い掛けに、サイラオーグは その両方に"否"の応え。
そして その極められた腕1本だけで、サトルを頭上高く持ち上げると、
ズガァァン!
「がっ…?!」
「ぐあぁっ!!?」
ワンハンド・パワーボムで地面に叩き付けた。
その破壊力に、後頭部を押さえ、地面を転がり のたうつサトル。
しかし、その技の衝撃は、極められている腕にも伝わり、サイラオーグにも…いや、サイラオーグの腕の方が、逆に大ダメージを受ける事となった。
「く…!」
だらりと下がり、上がらなくなった右腕を押さえるサイラオーグ。
右膝もガクガクと震えており、既に戦える状態で無いのは明らかだ。
一方のサトルも、強烈な殴打で身体全身ボロボロだが、腕や足を故障した訳で無い。
…勝負は決したと言って良かった。
「これで、決める!」
そして それを見たサトルが、勝利宣言。
「コォォォオ…ッ!」
体内に流れる闘氣 心氣 霊氣 仙氣、そして
精神を集中させる事で、己が宿す、全てのエネルギーを高めるサトル。
「……………………………………。」
それをサイラオーグは只、不動で黙って見ているだけ。
それは、先程 自分が闘氣を高める最中、邪魔立てしなかった者に対する礼儀か、戦いの勝利者に対して、不様に抗う姿は曝さないと云う信念か。
ブォォオオッ!
そしてサトルの掌から放たれる、数種のパワーがブレンドされたエネルギー波。
「ぬぉおおぅっ!」
どん!
「きゃっ!?」「おゎっ?!」
その直撃をノーガード、無抵抗で受けたサイラオーグは吹き飛ばされ、後方に控えていた自分の眷属達と衝突してしまう。
ザザッ…
「………………………………。」
そんなサイラオーグに、サトルが無言無表情で歩み寄る。
「…ガルーダよ、俺の、敗けだ。
この首、落とすなり何なり、好きにしろ。
しかし、
「「「「「「「「さ、サイラオーグ様?!」」」」」」」」
そして、自身の命を対価に、下僕の無事を求めるサイラオーグ。
「ま、待って、ガルーダ!
私達の命をあげるわ。
その代わり、サイラオーグ様だけは!」
「頼む!」
「この通りだ…」
これに、下僕全員が…先程まで、
「ふっ…」
それに対してサトルは、一息 笑うと、
ヴォン…
「な…?!」
「これは…?」
「う、動けない!?」
「ガルーダ!一体、何を…?」
彼等の足元に、巨大な魔方陣を展開。
サイラオーグ眷属の反応からして、どうやら それは、捕縛系の魔方陣な様だ。
「何を好き勝手に言ってるんだ?
この場に のこのこ やってきた時点で…
兄貴が俺とバトり始めた時点で、お前等全員、地獄逝きが決定していたんだよ!!」
「「「な…?!」」」
そして、この一言。
キラッ…
同時に上空、一瞬 星が煌めいたかと思えば、
ゴォォォォオオッ…!
地上魔方陣目掛け、1羽の鳥が、急降下で迫ってきた。
白、赤、青、そして金色の羽根。
上半身胸元だけが、
「ガルーダ!…き、貴様ぁっ!」
サトルの台詞にサイラオーグが怒声を浴びせるが それが唯一出来る抵抗で、魔方陣のチカラにより、彼等は指1本まともに動かせない。
バサァ…
『さぁ…逝ってらっしゃい…』
そして降り立った巨鳥…精神体となったメァリュータが
カッ…!
次の瞬間、眩い光が周囲一体を包んだと思えば、その光が消えたと同時、メァリュータも そしてサイラオーグ達も、その場から姿を消していた。
メァリュータの外見はヴァルファーレ(FF-X)、中の人は、早見沙織さん(声優)のイメージで。
感想、評価よろしくです。