ガルーダDxD(仮)   作:挫梛道

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改めて、サトルの神器(セイクリッド・ギア)神鳥の羽ばたき(ガルーダ・フラップ)】の能力説明
 
☆通常(腕輪状態)時☆
・あらゆる魔力や光術の干渉を無効化(キャンセル)する『絶対魔法防御』
()()さえ分かれば、それが知らない場所、行った事の無い場所でも移動可能な『高等転移術』
 
禁手(バランス・ブレイカー)(神鳥の鎧(ガルーダ・フェザー・アーマー))時☆
…通常時能力に加え
超々硬質物質(ロンズデーライト)の3倍硬い程な(アマテラス:談)物理防御力
・超高速飛行能力
・…その他色々
 
※前回の あらすじ※
兄貴!のアッパーブローが、サトルに見開きページ(笑)で炸裂しました。
 


サトル vs サイラオーグ②

グシャァッ!!

 

  

サイラオーグに天高く吹き飛ばされ、最高点到達した その後は、万有引力の法則に従い錐揉みで落下。

脳天から垂直に、地面に激突したサトル。

 

「うぅ…」

落下中、鎧の再生には辛うじて間に合い、ダメージの軽減は出来たが、それでも大きなダメージを受けたのには変わりなかった。

 

ダダッ!

 

フラフラと立ち上がるサトルに、サイラオーグが追撃。

 

「ふん!」

これで決めると言わんばかりな、渾身の右拳を繰り出すが、

 

ガシッ…

 

「ふっ…やはり そう簡単には、往かぬか!」

「そ、そりゃ、そうでしょ…」

サトルは咄嗟に両手を出し、それを受け止める。

 

≫≫≫

 

バシッ!…ドンッ!…ガゴッ!

 

その後も続く、蹴り合い殴り合い。

拳や蹴りを織り混ぜてのコンビネーションを放つサトルに対して、ほぼ拳による攻撃 一辺倒なサイラオーグ。

 

「オラオラオラオラ!」

 

シュ…シュシュシュ…!

 

そんなサイラオーグに、サトルは上中下の、弾幕の様な蹴りの連打を放つが、サイラオーグは それ等を全て躱し、ガードし、払い除ける。

 

「ちぃ!」

そして、それに触発されたのか、右の前蹴りを繰り出すサイラオーグだが、

 

ガシィッ!

 

「!??」

実は それは、サトルが蒔いた(たね)だった。

何気無くだが、相手は脚での攻撃が不得手だと感じたサトルは、捌かれるのを承知で、挑発、或いは誘うかの様な蹴り技を連発。

これに脳筋気質なサイラオーグは、対抗意識からか、それに()()()しまった。

不慣れな蹴り技…その脚は、簡単にサトルに捕獲(キャッチ)されてしまう。

 

ヒュン…ダダン!

 

「ぅぐっ!?」

そこから、その脚を捻る形の投げ技…ドラゴンスクリューに移行。

普段から肉弾格闘を攻撃手段としているサイラオーグ。

自らも それを受ける事は、発想には入れていた。

…が、それも あくまでも、打撃や投げ技の話。

どちらかと言えば、投げよりも実は関節技の要素の方が強い この系統の技は、想定の外だった。

初めて見る、喰らう技にサイラオーグは対処が遅れ、受け身を失敗。

 

「が…ッ…?」

膝関節を大きく負傷してしまう。

そして これを、サトルが見逃す訳が無かった。

その儘、膝十字固めを狙うが、

 

バンッ!

 

「ちっ!」

これはフリーとなっている もう片方の足を突き出されて失敗。

しかし、サトルは焦る事無く、1度 数歩下がって距離を開けると、立ち上がろうとしているサイラオーグ目掛けてダッシュ。

相手の立てた片膝を踏み台の如く駆け上がると、

 

ベキィイッ!!

 

「ぐわぁっ!?」

その勢いの儘、顔面に強烈過ぎる飛び膝蹴りを撃ち込んだ。

 

「…今までの敵には、こんな戦い方をするヤツは、居なかったか?」

「が、ガルーダァアッ!!」

どや顔で話し掛けるサトルと、それを睨み付けるサイラオーグ。

この2人の差が、徐々に出始めた。

プロレス技の有無…では無い。

…細かく言えば、確かに ()()も差の要素の1つだが、誰にも師事せず、完全に我流で己を鍛えてきたサイラオーグと、妖狐・蔵馬を筆頭に、その彼の交友の広さから、複数の神話に属する神々からの修業を受けてきたサトル。

その闘法の幅の広さ、引き出しの数の差だ。

 

「さ、サイラオーグ様!」

「待て!」

サイラオーグ劣勢の色が出てきて、今まで静観していた彼の眷属の1人が、思わず加勢に飛び出そうとした処を、別の眷属が制し止めた。

 

「…どの様な結末になろうが、最後まで手出し無用だと言われているのを忘れたのか?」

「っ…!」

白銀の鎧の青年の言葉に、魔術師風な格好の少年は、悔しさを顔に隠す事無く、それでも引き下がる。

この青年も…いや、その場の眷属全員が、少年と心情は同じだと、口調や表情で察する事が出来た。

 

ガァン!

 

「ぐふぇっ!?」

そして その劣勢の中、それでも愚直に、フェイント等は混ぜない、サイラオーグの左の拳が、サトルの胸板にクリーンヒット。

鎧の破片をばら蒔きながら、サトルが またも、吹き飛ばされる。

スピードやテクニックはサトルに分が有るが、サイラオーグには それを覆せる程のパワーが有った。

この一撃だけで、また戦況は五分に引き戻される。

 

「こ・な・く・そ!」

しかしサトルも、直ぐに起き上がるとサイラオーグに特攻。

 

ガシッ!

 

両足タックルの要領で相手の足を捕まえると、股下に頭を潜り込ませ、

 

びゅぃん…!

 

その状態の儘、神鳥の鎧の翼を広げ、天高く飛翔。

そして、空中でサイラオーグの身体を上下反転させると、両手は両足を掴んだ儘、両足で相手の上腕を踏み付ける様に固定(ロック)

 

「む…これは…動けん!?」

そして、急降下。

それは先程、ナベリウスの兵隊長を倒した時の大技…

「疾風…迅雷落としーーーっ!!!!」

 

ドッッガァアッッ!

 

これが、完璧な形で炸裂した。

 

「成る程…中々に恐ろしい技だな…」

「え゙っ??!」

しかし、サイラオーグは殆んどダメージを受けてないかの素振りで立ち上がる。

これにはサトルの方が驚きだ。

 

「ふっ…

同世代に、似た系統の技を使う男を知っていてな…

今となっては、もう それは無い話だろうが、ヤツと戦う日に備え、脳天や首回りは、常日頃から鍛えていた。」

 

ぽんぽん…

 

誇らし気に、常人離れな太さの首を軽く叩きながら、話すサイラオーグ。

 

「あ…あのクッソ糸目男(セイジョ☆スキー)がぁああっ!!」

その「似た系統の技を使う男」とやらに心当たりが有ったのか、サトルの魂の雄叫びが、周囲に響き渡った。

 

▼▼▼

「あ…あれは…」

 

…その頃の、高天原。

冥界から亡命したソーナ・シトリー、ディオドラ・アスタロト、ライザー・フェニックスと その下僕達も、サトルとサイラオーグの戦闘を観ていた。

 

「神代君の あの技も大概だけど、サイラオーグの あのタフさは、チート過ぎるよ…」

モニター画面右上隅に、『LIVE』と表示されている映像を観ながら呟くのはディオドラ。

 

「サイラオーグはディオドラの ()()()を見て、それに対抗すべく、鍛えてきたのでしょう。」

「ディオドラ様は やはり あの時、手の内を見せ過ぎました。」

「あれは…洒落にならない位に死ねました…」

「ん。そうかも知れないね。

それでも僕は、後悔も反省も、していない!」

夏の若手悪魔の会合の時は、同じく同世代の悪魔であるゼファードル・グラシャラボラスと その下僕達を。

そして少し前のレーティング・ゲームでは、ソーナの兵士(ポーン)の匙元士郎を。

その細身な体では想像が付かない程な、豪快な投げ技を繰り出す事で、悉く上半身を床、或いは地中に埋めるな前衛アートを大量生産してきたディオドラ。

その場面を知っている者からすれば、サイラオーグの あの鍛え方は、完全にディオドラ対策だと、信じて疑わず。

 

「やあ。盛り上がってるね。」

「「「「「「「「「「??!」」」」」」」」」」

そんな彼等に、後方から話し掛けてくる女の声が。

 

「あ、アマテラスさm…さん?」

それは【日本神話】の主神、天照大神だった。

 

「…サトル君も、僕から たった1度 食らっただけで、ほぼ完璧に あの技をマスターしてるのに吃驚だけど、アレをまともに受けて、全然 平気なサイラオーグ君にも吃驚だぜ。」

「あのパイルドライバーみたいな技って、アマテラスさんの技なんスか?」

「アマテラスさんも、あの神代聡琉の師匠の1人だと?」

「いやいや、僕は違うよ。

アレは以前、サトル君を〆る時に使ったのを、あの子が勝手に覚えただけさ。

それより皆、画面に注目だ。

決着は、近いぜ?」

淡々とサトルが使った技について、そして、この戦闘の行く末を話すアマテラス。

 

「あの…処でアマテラスさm…さん?」

「ん?どうかしたのかい?ディオドラ君?」

…尚、この時にディオドラが、アマテラスと同行していた金髪少女を見て、その彼女に対して全身全霊誠心誠意なDOGEZAを披露したのは、また別の話である。

 

▼▼▼

「チィ…ッ!」

(サトル)には聞こえない程に、小さく舌打ちするサイラオーグ。

実は、サトルのドラゴンスクリューによって負傷した膝は、限界に近付いていた。

 

「はぁぁあ…」

またも距離を空け、闘氣を集中させるサイラオーグ。

サトルも、この男が最後の勝負に出たと判断したか、その()を攻撃する事無く、反撃の…カウンターの構えを取って待ち受ける。

一騎打ちの形だが、この戦闘は決して、試合に非ず。

あくまでも これは、『戦争』である。

別に敵が、自身を高めている最中に それを妨害すべくな攻撃をした処で、それは反則でも卑怯でも無く。 

…不粋か どうかとなれば、是非は別れるだろうが。

そして、サトルが選んだのは『待ち』である。

これは決して、余裕等で無く。

サイラオーグという1人の漢に対しての、敬意であった。

 

「行くぞガルーダ!

これが俺の、最大の拳だ!!」

 

ダダダッ!

 

そして練った闘氣の全てを、右拳に集中させ、サイラオーグはサトルに突撃。

 

「うぉおおおおお~~~~っ!!!!」

間合いに入ると同時、全力の拳を振りかざす。

 

「…ッ!!」

「!!!」

しかし その瞬間、一瞬だが その拳の速度が落ちた。

踏み込みの際、痛めた膝から走る、激痛の為だった。

 

ガシィッ!

 

サトルは その拳を…その腕を確と両腕で捕らえ、

 

タンッ…ガチィッ!

 

そしてジャンプ、捕らえた腕に、自身の両足を絡ませ、その儘その腕を極める。

 

「ぐぉおおおっ?!」

スタンド式の、飛び付き腕ひしぎ逆十字固めだ。

 

「サイラオーグ・バアル!

ギブアップと骨折と、好きな方を選べ!」

「巫山戯る…な!!」

 

ぐぃ…

 

「…へ?」

サトルの最期通告とも云える問い掛けに、サイラオーグは その両方に"否"の応え。

そして その極められた腕1本だけで、サトルを頭上高く持ち上げると、

 

ズガァァン!

 

「がっ…?!」

「ぐあぁっ!!?」

ワンハンド・パワーボムで地面に叩き付けた。

その破壊力に、後頭部を押さえ、地面を転がり のたうつサトル。

しかし、その技の衝撃は、極められている腕にも伝わり、サイラオーグにも…いや、サイラオーグの腕の方が、逆に大ダメージを受ける事となった。

 

「く…!」

だらりと下がり、上がらなくなった右腕を押さえるサイラオーグ。

右膝もガクガクと震えており、既に戦える状態で無いのは明らかだ。

一方のサトルも、強烈な殴打で身体全身ボロボロだが、腕や足を故障した訳で無い。

…勝負は決したと言って良かった。

 

「これで、決める!」

そして それを見たサトルが、勝利宣言。

 

「コォォォオ…ッ!」

体内に流れる闘氣 心氣 霊氣 仙氣、そして神器(セイクリッド・ギア)に備わる魔力。

精神を集中させる事で、己が宿す、全てのエネルギーを高めるサトル。

 

「……………………………………。」

それをサイラオーグは只、不動で黙って見ているだけ。

それは、先程 自分が闘氣を高める最中、邪魔立てしなかった者に対する礼儀か、戦いの勝利者に対して、不様に抗う姿は曝さないと云う信念か。

 

ブォォオオッ!

 

そしてサトルの掌から放たれる、数種のパワーがブレンドされたエネルギー波。

  

「ぬぉおおぅっ!」

 

どん!

 

「きゃっ!?」「おゎっ?!」

その直撃をノーガード、無抵抗で受けたサイラオーグは吹き飛ばされ、後方に控えていた自分の眷属達と衝突してしまう。

 

ザザッ…

 

「………………………………。」

そんなサイラオーグに、サトルが無言無表情で歩み寄る。

 

「…ガルーダよ、俺の、敗けだ。

この首、落とすなり何なり、好きにしろ。

しかし、下僕達(コイツラ)の命は、助けて貰えないか?」

「「「「「「「「さ、サイラオーグ様?!」」」」」」」」

そして、自身の命を対価に、下僕の無事を求めるサイラオーグ。

 

「ま、待って、ガルーダ!

私達の命をあげるわ。

その代わり、サイラオーグ様だけは!」

「頼む!」

「この通りだ…」

これに、下僕全員が…先程まで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()も揃って、己の命を差し出す事での、己の主の助命を嘆願。

 

「ふっ…」

それに対してサトルは、一息 笑うと、

 

ヴォン…

 

「な…?!」

「これは…?」

「う、動けない!?」

「ガルーダ!一体、何を…?」

彼等の足元に、巨大な魔方陣を展開。

サイラオーグ眷属の反応からして、どうやら それは、捕縛系の魔方陣な様だ。

 

「何を好き勝手に言ってるんだ?

この場に のこのこ やってきた時点で…

兄貴が俺とバトり始めた時点で、お前等全員、地獄逝きが決定していたんだよ!!」

「「「な…?!」」」

そして、この一言。

 

キラッ…

 

同時に上空、一瞬 星が煌めいたかと思えば、

 

ゴォォォォオオッ…!

 

地上魔方陣目掛け、1羽の鳥が、急降下で迫ってきた。

白、赤、青、そして金色の羽根。

上半身胸元だけが、女性(ヒト)の形な、巨大な鳥だ。

 

「ガルーダ!…き、貴様ぁっ!」

サトルの台詞にサイラオーグが怒声を浴びせるが それが唯一出来る抵抗で、魔方陣のチカラにより、彼等は指1本まともに動かせない。

 

バサァ…

 

『さぁ…逝ってらっしゃい…』

そして降り立った巨鳥…精神体となったメァリュータが優しい(つめたい)(セリフ)と共に、翼を広げ、サイラオーグ達を優しく抱きしめる様に包み込む。

 

カッ…!

 

次の瞬間、眩い光が周囲一体を包んだと思えば、その光が消えたと同時、メァリュータも そしてサイラオーグ達も、その場から姿を消していた。

 




 
メァリュータの外見はヴァルファーレ(FF-X)、中の人は、早見沙織さん(声優)のイメージで。
 
感想、評価よろしくです。
 

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