最初は「グレモリー領、どうなった?」から。
▼▼▼
グレモリー領。
その領主が住むグレモリー城には既に、誰も居ない状態だった。
月読命の来襲の後、グレモリー夫人が衛兵を含む使用人全てに、暇を与えたからだ。
そして その城から少しだけ離れた場所に在る、小さな屋敷。
小さな…と言っても、平均的な日本人からすれば、十分に立派過ぎる豪邸なのだが…
「ミリキャスさんは、あのゲームは御覧に ならないのですか?」
「うん…」
その屋敷の
人間感覚で言えば、10代後半の美少女だ。
リリティファ・ウェパル。
車椅子に乗ってるのは足を怪我している訳で無く、彼女は下半身が魚…即ち人魚、陸上の移動では それが不可欠だからだ。
彼女は過去の悪魔の内乱の時期に没落した貴族悪魔の末裔でも有り、現在はグレモリー領の湖で ひっそりと暮らしていた。
それ故に今回は【日本神話】からはノーマークとされ、難を逃れていたのだった。
「僕が あのゲームを観て、姉様を応援したり、【日本神話】負けろとか思ったら、それが反逆行為って思われるかも知れないから…」
それに対して少年…ミリキャス・グレモリーは自分の右の人指し指の蒼い爪を見た後、俯きながら応えた。
「…だからリリティファさん、僕は、ゲームは見ない。
結果も、知りたくない。」
「そう、ですか…」
そしてミリキャスは、部屋の壁際に置かれている水槽の前に足を運ぶ。
単に水をいれているで無く、浄水機や ろ過砂利に水草等、色々と凝った内装である。
「GEKO…」
その中に居るのは
「さあ、今日の ご飯だよ…」
そう言って少年は、市販の専用餌を適量、水槽の中に。
「………………………。
ミリキャスさん…」
そんなミリキャスに、リリティファは掛ける言葉が見付からない。
只、その様子を哀し気に見守る事しか出来なかった。
「GEKO…」「GEKOGEKO…」
そして水槽の中では
▼▼ ▼
「喰らえっ!」
ダダダダダッ…
ルシファード・スタジアムでは、サトルと白龍皇ヴァーリ・ルシファーの戦闘が始まっていた。
距離を開け、無数の魔力弾を撃つヴァーリだが、絶対魔法防御の特性の前に、それ等はサトルに着弾する寸前に霧散してしまう。
「だから、効かないって…?!」
バシッ!
しかし そんな中、その1つの弾をサトルは両腕でクロスガード。
「…考えたな。」
「チィッ…
成る程…魔力以外は、通じるみたいだな。」
小さく舌打ちしながらも、納得顔のヴァーリ。
ヴァーリは今の攻撃、無数の魔弾の中に1つだけ、魔力で無く
結果はサトルに それも見破られ防御されてしまうが、彼からすれば通用する手段を確認出来ただけで、収穫だった。
ヴァーリの
触れた敵の戦闘能力を、文字通りに半減してしまう能力だ。
しかし これは、
つまり これも魔力を源とした能力故に、先日のナベリウス領での急襲では、それが通じずに返り討ちに遇っていたのだった。
ダダダダダダダダダダッ…
そしてヴァーリは空中で間合いを開けながら、龍氣弾を弾幕さながらに撃ちだす。
「ちぃっ!」
サトルが魔剣グラムで これを捌きながら飛翔、距離を詰めようとするが、無数の龍氣弾が それを簡単には許さない。
そしてヴァーリは自分の理想の距離を保ったと同時、龍氣と闘氣を瞬時に高める。
両手首を重ね合わせ、両手をドラゴンの顎を象どる様に前に出し、それから放つのは、龍氣と闘氣を融合させた破壊のエネルギー波。
「喰らえ! ドラゴニック・オーラ!!」
ドッゴォオオオォッ!!!!
「!??」
このドラゴンの
グラムを盾代わりに構えたが、それでも そのパワーを完全に躱す事は出来ず、
「うごぁっ!」
どんっ!
闘技場の地面に墜落してしまう。
「ぐく…」
「ちっ、仕止め切れなかったか…」
それでも立ち上がるサトルに、ヴァーリは顔をしかめる。
彼としては、今の一撃で終わらせる心算だったのだろう。
このドラゴニック・オーラという技は、本来は龍氣と魔力を融合させて撃ち放つ技である。
しかし、サトルには魔力は効かない事を理解したヴァーリは今回、その代わりに闘氣を使用。
…が、ヴァーリは普段から魔力戦闘を主体としていた。
闘氣を使った戦法は不慣れで、威力として上手く乗せられなかったのが、サトルが これを耐え凌ぐ事が出来た要因の1つだろう。
「なかなか近づかせてくれないか…」
空中より、雨の様に多量の魔弾を放つヴァーリに、サトルが呟く。
ヴァーリも恐らく
サトルの
「…ならば!
とりあえず撃ち墜とす!!」
そう言うと空間に穴を開け、取り出すのは…
「クトゥルー式近接戦闘術!
ダダダダダダダダダダ…!!
「飛び道具には飛び道具」と言わんばかりな、
尚、今回の
重火器の使用も、特に禁じては いない。
「くっ…ぬぎぉわらっ?!」
先程の龍氣弾に対する意趣返しも込められているのか、ヴァーリが繰り出す以上の弾幕を展開。
その全て躱す事は出来ず、
グシャァッ!
「ぐ…」
聖銀の弾丸を被弾したヴァーリが墜落。
「おらっ!」
「??!」
これにサトルがダッシュで駆け寄り、グラムの一閃を振るうが、これはヴァーリに躱されてしまう。
≫≫≫
「おおっ!」
「良いぞ!もっと殺れ!」
この攻防にコロシアムのVIP席、【日本神話】から招待された神達も興奮。
「凄いのう! やはり、生の迫力は違うのう!
互いに まだまだ青さが見られるが、それでも若者同士の ぶつかり合いは、面白いのう!」
「オーディン様、他の神話の方々も来られているのです!
もう少し静かに観戦して下さい!」
特にレーティング・ゲームのファンを自称する北欧の主神は、満足気に叫び、御付きの
ガィンッ!
「ぐゎっ?!」
その頃 闘技台の2人は頭突きの応酬。
鎧の硬度はサトルの方が上なのか、ヴァーリの兜が砕け散り、素顔が露に。
きゃあ~~~~~~~~~っ!!(♡∀♡)
その、ダメージで多少 歪んでは いるが、モニターにアップで映された銀髪の整った素顔に、客席の女性達による、悲鳴にも似た黄色い声援が飛び交う。
「きゃーきゃーきゃー!
オーディン様、イケメンです、超イケメン!
しかも私と お揃いな銀髪です!
きゃー、きゃーっ♡!」
「こ、これ、ロスヴァイセ落ち着かんか!」
これはオーディンの御付きの
≫≫≫
「白龍皇も強いが…」
「…やはり凄いな、カミシロサトル。」
「只の鬼畜ドSセクハラ男じゃ、なかったのね!」
「イリナ…流石に その表現は酷いと思うぞ?
確かにソーナ様やララティーナに
「ハァ、ハァ…(*゚∀゚)=3」
「あいつ、あれで学園では"英雄"扱いだったからな…」
「でも神代君って白音ちゃんと白音ちゃんの お姉さん限定で、本当にド変態らしいわよ?
ソースは白音ちゃん。」
高天原で この中継を観ていた亡命悪魔組も、この戦闘に各々が各々の感想を述べていた。
バゴォッ!
「………………っ!」
そしてサトルが放ったグラムの一撃が、遂にヴァーリを捕らえた。
この
ぐぃ…
ダメージが快復出来てないヴァーリの頭を自分の脇に捕らえ、その儘 縦方向に持ち上げるサトル。
「あ、あの技は、僕の?!」
その技…自分の必殺技の姿勢に、ディオドラが叫ぶ。
「ぐぉあっ!」
「え、ぇえ?!」
しかし、ヴァーリも これに必死に抵抗。
体全体を振るわせ、両者の体勢を反転させると、
「でぃやっ!」
ばんっ!
「ぐへらっ!」
逆に後方に倒れ込み、サトルの背中と後頭部を床に痛打させた。
「ん、あれは駄目だね。
きちんと真っ直ぐに落とさないと。
あれじゃ普通のブレーンバスターだよ。」
「いや、あれはアレで、普通に効くと思うが?」
「と、トラウマが…」
≫≫≫
ブレーンバスターを返した後、ヴァーリが鎧を復元させて飛翔。
起き上がろうとしているサトルに、両手を向ける。
「これで終わらせてやる!
ドラゴニック・オーラ!!」
ドッゴォオオオォッ!!!!
そして再びの大技、龍闘氣弾。
「…………っ!」
ビュンッ!
しかし この攻撃はサトルも嫌がったか、飛翔して回避と同時にヴァーリに突撃。
ガンっ!
頭部目掛けての回転蹴りを放つが、これはヴァーリが防御。
しかしサトルは それも想定していたかの様に敵の背後に回り込むと、
ぐぃ…
「な…何を…?」
相手の股下に己の頭を潜らせ、肩車で持ち上げる。
くる…
そして空中で体勢を上下を逆転させると、その儘 急降下。
ガシィッ!!
「…ガハァッ!!?」
しかし、ヴァーリの脳天が、武舞台に突き刺さる事は無く。
地面激突の直前、ヴァーリはフリーとなっていた両手を下に付き出し、倒立の形で着地。
そして同時、自らの両足をサトルの首筋に首4の字固めの形に極めたのだった。
リリティファ・ウェパル…メローヌ・ローレライ(モンスター娘のいる日常)
…のイメージで。
次回、サトルvsヴァーリ決着!
感想よろしくです。
サトルvsヴァーリ。 結末を察せた人は察せたと思いますが(笑)、決め技は何にしましょう?(どんな技か分からない人は、ウキか画像検索を)
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垂直落下式ブレーンバスター
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エメラルド・フロウジョン
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九龍城落地
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阿修羅稲綱落とし