ヤマトの宅配便   作:黒っぽい猫

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魔○宅見てたら書きたくなった。勢いとノリとちょっとした設定だけで書いたため反省はしている。
でも本作は魔女○は関係無いので悪しからず。

○女宅は良いぞ(ダイマ)





1.プロローグを0にすると話数と番号はズレる

 現実と同じ体格。現実と同じ姿。現実と同じ声。

 

 ならば、人数が一万にも満たない、隔離されたこの世界で、知り合いを見つけるのは難しいことではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2023年2月13日

 

 第15層 首街区《ルイン》転移門広場

 

 

 現在の最前線、第15層は廃都をモチーフとした層だった。不気味さを強調するためか常に夜で、空──あるいは天井──では三日月が笑っていた。出て来る敵はスケルトン系のモンスターばかりで、一部の攻略組からは毛嫌いされる類の層だった。

 

 第1層で色々とやらかした結果、『ビーター』というなんとも厨二臭い通り名で呼ばれる俺も、攻略組としてこの層の攻略勤しんでいる。翌日に迫る聖ヴレンティヌスの処刑を嘆き悲しむ日を気にかける余裕など無い。

 故に、今日も迷宮区へと潜りマッピングを行う──予定だったのだが、昨晩届いた一通のメッセージによって、その予定は少し遅延することとなった。

 

 

『from.Algo

 

 久しぶりだね、キー坊。オネーサンに会えなくて寂しかっただろうけど、元気にしてたかい? 有り余る青春の情熱から、アーちゃんに手を出して黒鉄球行きにはなっていないだろうね?

 

 まあ冗談はこのぐらいにしておいて、明日の9時頃に時間はあるかい? 一人、キー坊に会わせたいプレイヤーがいる。多分今後の攻略に一役買ってくれるだろうプレイヤーだから、損はさせないと思う。大した時間を取らせないつもりもない。良ければ返信を寄越してくれ』

 

 

 前半はともかく、後半についてはかなり気になる。俺の方から生産職のプレイヤーを紹介してもらった事は何度かあり、アルゴは情報屋であると同時に、コネクションを繋ぐ役割も果たしている事は知っている。しかし、β版の二ヶ月、本サービスの約三ヶ月半を合わせても、アルゴの側からの人の紹介は一回も無かった。

 

 と、つらつらとこんな話をこねくり回しても、メッセージへの承諾の理由なんて結局は『好奇心』の三文字で十分であったのだが。

 

 そういうわけでアルゴへと承諾の返信をした翌日、指定された転移門広場の端、薄暗い軒下のベンチに座ってアルゴを待っていた。

 予定の時刻よりも二十分ほど早く着いた俺は、アイテムの整理やステータスの確認などをしつつ時間を潰していた。よく分からないアイテムや、売れそうな情報などを頭の中で整理しておいて、紹介が終わった後にまとめてアルゴと話すのも丁度いい。そろそろボス部屋が見つかるだろうし、そのために装備等の情報を売ってもらった方がいいかもしれない。

 

 あーだこーだと思考を巡らせていると、ふと俺に影が差した。視界に映る時刻は9時ジャスト。前に誰かが立ったのを条件反射で理解し、その誰かはアルゴだろうとあたりを付けて目線を上げた。

 

 ──仮面のプレイヤー。

 

 そこにいたのは、座っている俺がさほど首を上に向ける事なく顔を見ることが出来るほどの小柄なプレイヤーだった。ローブの上から判別できる範囲でも華奢だと分かる線の細さ、肩口でバッサリと切られたサラサラとした明るい金髪。それら全ての特徴よりも、プレイヤーが着ける頭部装備として珍しい仮面による印象が勝っていた。

 その仮面は口と鼻等の凹凸も模様も存在せず、目の部分だけがくり抜かれていた。真っ白な下地に、左目の下の部分に小さく一匹の黒猫が歩いているような模様がある、非常にシンプルな仮面。

 目の部分の穴は、システムの阻害が掛かっているのか真っ黒で、中に見えるはずの目を見る事は出来ない。

 

「キリトさんですね?」

 

 変声期前の少年のような声が、仮面越しにくぐもって聞こえた。体格は似ているが、髪の色と声から少なくとも目の前のプレイヤーはアルゴでないという事は分かった。

 しかし、目の前に突然思いもよらないプレイヤーに現れた驚きから、少年の質問に答える事は出来ない。

 

 仮面は、返答を何も返さない俺を感情の読めない仮面越しに眺めながら首を傾げた。

 

「あのー、キリトさん、ですよね」

 

「……君は?」

 

 思考停止の脳をどうにか働かせたものの、疑問に疑問を返す形になった。目の前のプレイヤーは誰で、なぜ俺を知っていて、なぜ俺に声をかけてきたのか等々、様々な疑問が頭の中でごちゃごちゃになった頭では、それで精一杯。

 仮面は今度は逆側に首を傾げた。表情が読めないことを気にしてか、いちいち感情を行動で表している。なら仮面を取れよと益体も無い事が頭をよぎる。

 

「あれ、もしかしてアルゴさんから聞いてませんか?」

 

 待ち人の名前を聞いたと同時、頭の中に昨晩のメッセージの内容を思い返す。そのメインの内容の紹介したい人がいるという言葉に行き当たり、混乱が少し収まり、一つの解答を思いつく。

 

「アルゴ……って事は、アルゴが言ってた紹介したいプレイヤーって」

 

「その通りダ」

 

 突然横から聞こえた声に二人揃ってそちらを向いた。そこにいたのは件の人物、アルゴだった。髭のペイントを歪めながら、楽しそうに顔を笑みを浮かべた鼠の情報屋は俺の横に腰を下ろした。

 

「アルゴさーん、キリトさんに説明してなかったんですか? 説明はしてあるからーって聞いてたんですけど」

 

「いやー、キー坊には敢えて説明してなかったんだヨ。ヤマトみたいなインパクトたっぷりのプレイヤーを見たら、ビックリするだろロ? サプライズってやつダ」

 

 ニャハハハと笑うアルゴと、ガックリと肩を落とす仮面の、多分『ヤマト』というプレイヤーに戸惑っていると、ひとしきり笑い終えたアルゴが一つ咳払いをした。

 

「んじゃ、改めてキー坊にヤマトの紹介でもするかナ」

 

 俺が一つ頷いたのを見て、アルゴは説明を始めた。

 

「コイツの名前はヤマト。オレッチの同業者、情報屋の一人さ」

 

「情報屋……?」

 

 情報屋が情報屋を紹介するという状況がうまく飲み込めない。アルゴは言うまでもなくトップの情報屋のため、正直なところ同業者を紹介されても頼る事は無いと思う。アルゴからしても稼ぎが減る事に繋がる。その上で紹介するということは、何か情報屋以上に攻略に貢献する要素が存在するということか。

 疑問が尽きない様子の俺を気にする様子もなくアルゴは言葉を続けた。

 

「そ、情報屋。と言ってもオレッチとは役割が違ってナ。オレッチが持つ情報は、全部が全部直接仕入れてるわけじゃない。ヤマトみたいな情報屋から纏めて仕入れる事もあるんだヨ。逆にヤマトの場合は、情報屋じゃないプレイヤーからだけ情報を集めて、自分で裏付けを取る。

 分かりやすく言えば、オレッチは情報屋の情報を纏める立場みたいな立ち位置にいるわけだ。一人で全部の層の情報を集めるのは、多分層が進むごとに無理になっていくからネ。

 ま、オレッチ自身も当然キー坊みたいなプレイヤーから直接買い付けしたりもするケド」

 

「あー、確か前線が進んでから解放されるクエストとかもあったな」

 

 有名なクエストだと、8層の小型の竜の討伐クエストは14層攻略時に解放された。難易度は8層に見合ったものだが、報酬はそれよりもやや上のレベルのものが貰えるようになっていた。一人一回しか報酬を受け取れないが、実入りの良いクエストとして有名になっていた。

 

「キー坊からすればオレッチから情報を買うので十分だろうとも思うだろうケド」

 

 俺の思考を見透かしたような言葉に、ヤマトがいる手前表には出せないが内心同意する。俺からすれば、やはり今まで通りアルゴから情報を買えば良い話だ。

 

「ヤマトが情報屋ってのは一側面に過ぎない。ヤマトは『輸送屋』でもあるのサ」

 

「輸送屋?」

 

 耳慣れない、というよりも初めて聞く単語だった。思わずヤマトを見上げると、相変わらず仮面で表情は読めない。しかしながら仮面の上から顔をかく動作から、どう喋ろうかと悩んでいるのが分かった。

 

「あー、ざっくり言うと、現実世界での運送業と変わらない事やってるんですよ。誰まで何を運んで欲しいみたいな依頼を受けてるんです。

 例えば違う層にいる人に何かを届けたい時、わざわざ場所と時間を合わせて集合するのって、都合がつかなかったりして結構大変じゃないですか。あとアイテムの買取も、プレイヤー相手にお願いしたい時はその層まで行くのって大変でしょう?」

 

 ヤマトの言う事には納得する部分が多い。一つ一つの街が遠く、しかも層の違いも存在するこの世界(アインクラッド)において、例に挙げられたような場面では確かに時間を食うし面倒だと感じる事も多い。いくら転移門があると言っても、だ。

 

「でも、フレンド同士のメッセージなら別です。層を跨いでも、時間を合わせなくても話をする事が出来ます。というわけで、予め話を諸々済ませて貰って、その間の物の運搬を代わりに受け持つってわけです」

 

「でもそれだと、相手に変なものを送り付けたりも出来るよな?」

 

「あー、嫌がらせ系ですね。その辺については、発送元と発送先で五桁の番号を予め設定してもらっておいて、それが符号して初めて受け渡す形式になってます。まあ一応そんな人がお客様にならないようにするつもりなんですけどねー」

 

 なるほど、と納得の相槌を打つ。この方式はなりすましの防止も兼ねていて、様々な方面で有効だ。

 

 

 それから運送屋について気になった事を尋ねたりして何度かの会話を挟むと、アルゴはベンチから立ち上がってヤマトに時間だと告げた。どうやらこの後に何か用事があるらしい。ヤマトもそれに頷くと、一度居住まいを正して俺に向き合った。

 

「まだ始めたばかりなので、色々と問題は出て来ると思うんですけど」

 

 ヤマトは俺の方に片手を差し出して来る。灰色の指抜きグローブのような装備から覗く指は白く細い。不気味なルインの街の雰囲気のせいか、その白さは病的にさえ見えた。

 

「改めて、情報屋兼運送屋のヤマトです。ヤマトの運送屋をよろしくお願いしますね、キリトさん」

 

 握手に応じると何度か上下に手を振られた。仮面の表情は相変わらず読めないが、なぜか照れくさそうな笑みを浮かべているのだろうと想像出来た。

 

 その後ヤマトとフレンド登録をした後、三日月を背に、アルゴとヤマトは並びながら転移門へと去って行った。二人を見送って俺はいつもの攻略へと戻ろうと街の外へ向かおうと体の向きを変えた時、ふと思い出した。

 

「ヤマト、なんで仮面なんだ……」

 

 

 

 これが俺とヤマトの出会いだった。初めて会った印象は、よく分からない、の一言に尽きる。けれどアルゴの紹介という事もあり、悪いやつでは無いとぼんやりと感じた。あくまでも、ぼんやりと。

 

 

 この繋がりが案外長く、それなりに深いものになるとは、まだ知る由もなかった。




説明くさい。許してくださいお願いしますなn(ry

正直な話、書いてて別に運送屋あっても運送屋と会わなきゃいけないから労力変わらなくね? とは思った。後々上手く帳尻合わせよう(雑)

次はいつになるか不明。
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