ヤマトの宅配便   作:黒っぽい猫

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『宅急便』という言葉はクロ○コヤマトが商標登録しているため、総称では『宅配便』が正しい。らしい。
ほへー。
というわけでこの小説では宅配便としてます。

一週間もかかった理由は、書いてるうちに『攻略組』についての解釈違いに気付いたので諸々書き直ししたため。なお書き直してもまだガバ。これだから駄作者から抜け出せねえんだよ(自傷癖)

あ、今回は原作に改変入れました。


3.ネタは大抵寝る直前に思い浮かぶ

 2023年5月10日

 

 第28層 南西の村《ベイアーク》

 

 

 第27層が攻略された次の日の夜、夕食を村で済ませた後、俺達は村の広場で集まっていた。約束の時間の二十二時の十分前、未だに待ち人の姿は見えない。

 仲間と雑談を交わしながら時間を潰していると、約束の二十二時のぴったり五分前、待っていたプレイヤーが現れる。

 

「どもー、輸送屋です」

 

「おうヤマの字。毎回悪いな」

 

「いえいえ、ちゃんと対価を貰ってやってる事ですから。クラインさん、受け取り番号お願いします」

 

「おう」

 

「……はい、間違いないですね。では品物の受け渡しますねー」

 

 Yamato から 以下のアイテムの譲渡申請が届いています。

 ・夕闇の刀+6

 ・朝焼けのバンダナ

 ・炎熱の大盾+4

 ・パルスメイス+6

 受理しますか?

 

YES or NO

 

 目の前にウィンドウが開く。迷わずYESのボタンを押すと、エギルと予め交渉しておいたアイテムがストレージに入る。大盾とメイスをトーラスに譲渡し、俺は刀とバンダナを装備する。

 

 頭に淡い赤のバンダナ、腰には暗い橙の鞘に入った刀が現れた。艶のある鞘は街灯に照らされて、その美しい橙の表面に俺の顔を反射している。

 やっぱり良い装備だ。エギルから教えてもらった通りステータスも申し分無いし、なによりも侍ロールを目指す上で見た目が良い。

 顔がにやけてしまいそうな高揚感を人前だからと抑え込む。

 

「おぉ、なかなか似合いますね。武士っぽいです」

 

「お、そうか? いやぁ、俺もやっぱり侍を芯とする者として──」

 

「野武士面と相まって、幕府にクビにされて山賊に成り下がりかけの武士みたいです」

 

「どんなたとえだよ!」

 

 俺に対するヤマトの暴言に、ヤマトと風林火山メンバーは大きく笑いを上げた。くっそ、キリトと言いヤマトと言い、俺はそんなに野武士面か。

 目の前の仮面を恨みがましく睨むが、意にも介せず笑い続けるのを見ると文句を言う気も失せたので仕方なく肩を落とす。

 

「へいへい、どうせ俺は野武士面だっての。もう良いだろこの話は」

 

「いやー、すいませんでした。冗談抜きでも侍みたいでカッコいいですから、自信持って下さいって」

 

「さっきのオメエの発言からマイナスにしか捉えられねぇよ」

 

 ギルメンとヤマトが再び小さく笑う。それにつられて俺も何かおかしくなって笑ってしまう。

 

 それから情報を交換と軽い雑談を挟んだ後、用事を終わらせたからもう行くと言ったヤマトに待ったをかけた。

 

「ヤマトはこれからどうするんだ? 俺たちは新装備の試しも兼ねてフィールドに夜狩りに行くんだが、良かったらどうだ?」

 

「良いんですか?」

 

「ああ。オメエらも別に良いよな?」

 

「おうよリーダー」「構わねえよ」「全然良いぞー」「ま、しゃーねーな」「お、ツンデレか?」「誰がツンデレだ」

 

 前もって言っていた訳ではなかったが、案の定仲間は全員が同意する。アクトも口ではしょうがないと言っていても、顔は笑っていて歓迎しているのが丸わかりだ。

 

「おお、まさかの好感触。ではお言葉に甘えても良いですか?」

 

「おう。パーティは前と同じで良いよな?」

 

 ヤマトの同意を得てから俺はパーティを一度解散し、俺、トーラス、アクトで第一パーティ、カルー、オブトラ、ジャンウーで第二パーティを組み、ヤマトには第一パーティに入ってもらう。視界の端に《Yamato》の文字が浮かんでるのを確認しつつ、一度全員を見回す。

 

「んじゃまぁ、行くか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘。そこはピリピリとした空気に支配された、敵との命のやり取りを行う場。そこは緊張感という糸が張り詰め、相手の動きの全てを観察し、次の動きを予測し合う駆け引きの場。敵の猪達は牙を剥き出しにして鼻息荒く低く唸り、俺達は武器を構えて静かに相対する。

 

 一瞬の油断が文字通りの命取り。少しでも隙を見せた方が食われ、相手の糧となる。

 

 

 

 わけもなく。

 

「クラインさーん」

 

「なんだーヤマトー」

 

 四匹の猪を相手取りながら、俺とヤマトはのんびりと会話を始めた。ヤマトは猪のタゲを持ち、向かってくる攻撃を軽業師もびっくりの挙動で避け続ける。突進して来た猪は側転で避け、踏みつけを行おうと前脚を上げる猪には腹に蹴りを入れてひっくり返し、頭で突き上げをする猪の頭に手を当ててその反動で空中に飛び上がり、同時に短剣で切りつけて行く。俺はヤマトにひっくり返された猪を新調した刀で両断してポリゴンへと還す。

 この間、当然のようにノーダメージ。

 

 ここは最前線から5層も下の層、第23層のフィールド《疾風の草原》。新しい装備の具合の確認のためにここまで下がって来たわけだが、敵が弱すぎる。このゲームで気を抜いて戦うという事は無く、現在進行形で一応真剣に戦っている──が、流石に無言で戦うほど必死でもない。

 

「最近、前線でキリトさん見かけないですよねー」

 

「そうだなー。ここ二週間くらいは見かけてねえなー」

 

 攻撃を受けた猪の悲鳴をBGMにした俺とヤマトの間延びした声に、自分のことながら緊張感がないと笑う。

 装備の調子も一時間ほどやれば十分に試し終わったし、夜も遅くなって来た。明日から最前線に戻る事を考えると、そろそろ宿に戻って明日に備えた方が良いかもしれない。

 ヤマトからの合図で一度距離を空けた際に頭の片隅でそんな事を考える。

 

「どうしたんでしょう、ねッ!」

 

 ヤマトが二匹の猪を誘導して俺の方へ突進を仕掛けさせ、俺は夕闇の刀でカタナ下位ソードスキル《絶空》を発動し、一振りで纏めて倒す。

 猪の突進をバク宙で回避したヤマトはその勢いを利用し、残る一匹の背に乗って首筋に短剣を押し込む。暴れる猪を大盾でトーラスが押さえ込み、横からアクトが頭を槍で一突きして戦闘は終了した。

 

 第二パーティの方も難なく四匹の猪を片付けたようで、笑いながらこっちを見ていた。

 

「相変わらずすげえ機動だなヤマト」

 

「一人だけ違うゲームやってるみたいだ」

 

「AGI特化の変態機動しか出来ませんからねー」

 

「それが出来たら十分じゃないか?」

 

「今度のボス戦出てみろよ」

 

 オブトラの軽口にヤマトを含みギルメンは笑う。……が、俺はそれを笑う気にはならなかった。

 

 

 26、27層とキリトが不在のまま、この数週間はボス攻略が進められている。いくら攻略組トップクラスの戦力であるキリトがいないとは言え、当然攻略が進められないということは無い。

 

 しかし、キリト不在の穴が大きいのもまた事実。

 ボス攻略は基本的に六人パーティが八つという編成で行われるが、その割り振りは毎回ある程度決まっており、キリトはいつもソロ組を集めた遊撃に回されている。

 キリトがいなければ他のボス戦参加志望のプレイヤーを新しく組み込めば良い──とはならないことが問題。

 

 まずボス戦参加は基本パーティ単位での申請となる。理由としては、各パーティの連携をボス戦でも応用するためと言うのが表向きの理由で、実のところいがみ合いをしているギルド同士が組む事を減らすため、と言うのが本質だ。

 しかしそうなるとソロプレイヤーが参加出来ないため、毎回一、二パーティはソロ専用のパーティ枠が用意される。

 

 ではキリトが抜けた穴は他のソロプレイヤーで埋めればいいかと言うと、これまた今はタイミングが悪い。記憶に新しい悪夢のボス戦、第25層の影響だ。

 

 25層、つまりクォーターポイントのボスは過去最高の難易度だった。それに対応できず、多くのプレイヤーが命を散らし中でも『アインクラッド解放軍(ALF)』とソロプレイヤーの被害が大きかった。

 

 元々このデスゲームにおいてソロのボス攻略に参加するプレイヤーは少ない。最前線の層に出る攻略組と呼ばれる約500人のうち、たった20人弱がソロだ。

 ソロは状態異常や不測の事態には弱く、文字通り命の危険が大きい。常に未知が待ち受ける最前線では尚更のこと。故に、ソロの数は少ない。

 何度か他のソロの勧誘を試みるも、25層以降「レイドボスの戦闘に慣れていないから」「他人と馴れ合いたくないから」「前情報の揃っていない戦闘はしたくないから」「興味がないから」と断られる始末。結果、最近ではボス戦に参加するソロは5人しか集まらなくなった。

 

 かと言ってどこかのギルドから一人を出すとなると、攻略組内のパワーバランスが崩れる等の声があって上手く決まらない。俺個人の意見は『このゲームから抜け出すための攻略に、ギルド同士のパワーバランス(そんなもん)を気にすることは必要ない』だが、誰もが俺と同じように思うような都合のいい状況ではない。

 

 結局26、27層では最大手のギルドの《聖竜連合》と《ALF》から一人ずつを出す事でフルレイドで挑む事は出来たが、この層ではどうするか、また小競り合いが起こっているらしい。

 

 

 話が若干逸れたが、詰まる所キリトの分の穴を埋めるちょうど良いプレイヤーがおらず困っている、ということだ。

 

 さて、ここでヤマトの戦闘に関する情報について整理してみよう。

 

 

 複数パーティで受けるクエストボス戦にも何度か参加し、レイド形式には問題なく対応できるだろう。

 

 手数の多い短剣と自他共に認める変態機動でタゲ取りと攻撃を並行して行う、実力も申し分ないソロプレイヤー。

 

 事前情報なしでもクエストの情報を集めるために培われた、現場での臨機応変な対応力と技量。

 

 本人曰く輸送屋と情報屋の仕事がない時はずっとレベリングをしている──しかも輸送屋の仕事はまだ殆ど無い──とのことで、レベルも攻略組の平均と大差なく40。さらに装備も最前線で情報を集める事が多いため、仮面を除き一級品。

 

 フロアボス戦に参加しない理由は確か『現状で上手く回ってるならわざわざそこに入る必要はない』と消極的なものだったはず。

 

 

 つまり目の前に今、『ちょうど良いプレイヤー』がいる。

 

 その事に気付いたのは俺だけでなく、他のメンバーも次第に笑いを引っ込めながら真剣な顔つきでヤマトを見る。

 ヤマトは笑いが収まって全員から見られる状況にたじろぎ、一歩後退して周りを見返す。話の流れから周りから何を期待されているのか察するのには十分なようで、仮面越しに小さく、くぐもった声が聞こえた。

 

「……え、マジですか?」

 

 仮面の下の引き攣った顔を幻視したのは、俺だけではないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局。

 

 別に本人もボス戦が嫌と言うわけではないらしく、キリトがいない現状のゴタゴタを諸々話すと参加は構わないと言った。

 

 しかし現在ボス部屋どころかフィールドボスすら見つかっていないため、実際に攻略会議が設けられてから話を受けるかどうか決めるそうだ。キリトが参加しないゴタゴタを鑑みて、ヤマトが参加する事で攻略が少しでも円滑になるのならば是非とのことだ。

 

 

 ちなみに。

 

「うへへ。新規顧客開拓、新規、新規! ビジネスチャンスはすぐそこに、今掴まなければいつ掴む!

 ……あー、でもその前に調査しなきゃ……いや攻略組なら要らない……うあー《レジェンド・ブレイブス》の前科があるし、やっぱり調査は必要かぁ。

 アルゴさんとアシュレイさん、それに北海いくらさんは最低ラインとして、出来ればあの辺の人達からも情報を買って……あと実際に観察するために尾行して……

 装備を整えて、アイテム類の補充とレベリングもしなきゃいけないし……何時間寝られるかなぁ」

 

「お、おいヤマト、大丈夫か? なんか雰囲気がどんよりとしてるぞ。顔は見えないけど」

 

「あー、はい。大丈夫です。今後の睡眠時間の削り方を考えてただけなので。

 クラインさん、睡眠時間保守のために今の攻略組の大体のメンバーを教えてください。あとその中で信頼出来そうな人のリストアップと、可能ならばその仲介もお願いします。しんけんにお願いします」

 

「お、おう」

 

 どうやらヤマトは次のボス会議までかなり忙しくなるらしい。




原作だと風林火山って40層の時点(デスゲーム開始から約一年後)で新興のギルド扱いされてたんですけど、ヤマトを一度ボス戦に絡めたかったので早めに攻略組に上がってもらいました。合流が上手く行ったんでしょう。(適当)
40層ではレベル条件に漏れたカルーとオブトラも含めて風林火山全員攻略組入りです。
やったね! これでユナ&ノーチラスの改変フラグが立ったよ!(変わるとは言ってない)
まあOS関連は書くか未定なのですが。

正直「ソロプレイヤー入れるPTどうすんねん」「一パーティ七人じゃなく六人なのかよ」「そもボス戦メンバー決めってどうやるんだよ」と思いながら書きました。と言うわけで捏造。
タンク隊みたいに職ごとに分けた方が良くね? とも思ったので、その辺は後々出てくるケツメイ○シ団にうまく纏めていただきましょう。(雑)

後書き長いし、そろそろ女性キャラ視点やれよ(自分の首を絞める)

次もいつになるか未定。




以下文中に出てきた個人的にあまりメジャーではないと思ってるプレイヤーの超ざっくり説明。不要ならどうぞ飛ばしてくださいな。

《風林火山メンバー》

・カルー
ねじり鉢巻がトレードマークの巨漢のプレイヤー。幅広剣を使う。アニメSAOの74層では赤で統一した和装をしていた。

・オブトラ
痩せぎすの刺股使いのプレイヤー(ホープフル・チャントより推測)。逆立った髪型が特徴。74層では茶色の軽装をしていた。

・アクト
黒髪で顎髭のあるプレイヤー。槍を使う。74層では赤いズボンと濃い青の鎧を装備し、緑の布を襷掛けにしていた。

・ジャンウー
口髭のプレイヤー。片手剣と小さい盾を使う。74層では赤いバンダナと赤いプレートを装備していた。

・トーラス
74層では全身黒い鎧、その上から黒いマント着けていた、青年プレイヤー。大盾とメイスを使う。重装備から判断するにおそらくタンク。
……74層の時からトーラスさんイケメンじゃね? と思っていたら、OSで顔出し&肩出ししてた。イケメンだった。肩出しってやばない? え、好きです。

唐突な個人の感想失礼しました。


その他のプレイヤー

・アシュレイ
アインクラッド内でトップクラスの裁縫職人で、最初に裁縫スキルをカンストさせたプレイヤー。小説ではアスナの知り合いとして名前だけ登場していた。

一応調べてみた所、漫画のガールズオプスには姿が描かれてるらしいのですが、作者はSAO関連の漫画を持ってないので真偽を知りません。


・北海いくら
小説ではGGO編の死銃事件の犠牲者『薄塩たらこ』の話の関連でちらっと登場していた。

こちらも調べてみた所、第一層ボス戦に参加していた攻略組らしい。武器は三叉槍らしい。書かれていたのかすら覚えてない不出来なSAO読者なのに二次創作書いてて、川原礫様本当に申し訳ありません。


終わり! 長い! ごめんなさい!

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