早坂愛の奇妙な恋愛   作:qqw

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早坂愛の奇妙な恋愛1

秀知院学園ッ!

 

日本中、そして世界のリーダーの卵が集まるこの学校は当然、その校風も気品と規律にあふれ、どこぞの世紀末な学校と天と地ほどの差がある。

 

だが、この学校にも不良はいるッ!

 

名家に産まれようとも十代は十代。程度の差こそあれ、みなそれなりに反抗期を迎えているものなのである。

 

とある女子生徒が奮闘しているのにも関わらず、学校をさぼったり、校内で堂々とゲームをしたり、死にたくなったからと委員会の仕事を早退したりする者も、少なからずいるのだ。

 

その中でもとりわけ異彩を放つ不良が一人いた。

 

空条承太郎ッ!

 

二メートル近くある身長に彫りの深い険しい顔。

 

世界的なジャズミュージシャンを父親に、不動産王ジョセフ・ジョースターの娘を母親に持つ彼は、そんな輝かしい出自を踏みにじるかのように数々の問題を起こしてきた。秀知院学園始まって以来の大問題児と呼ばれていた。

 

承太郎「…やれやれだぜ」

 

ミコ「空条先輩いい加減にしてください!」

 

承太郎「…フン」

 

ミコ「中庭に寝っ転がってラジカセでCD流してジャンプ読むとか一体ここは何十年前ですか! 校則にも違反してますし、こんなの風紀委員として、生徒会として見過ごせません!」

 

ミコ「他の生徒も真似しますから今すぐやめてください!」

 

承太郎「……」

 

ミコ「無視ですか!」

 

ミコ「もう! このラジカセも止めますよ!」

 

ミコ「……」

 

ミコ(…止め方がわからない)

 

承太郎「…おい女」

 

ミコ「女じゃありません伊井野ミコです」

 

承太郎「このジャンプのこのページを読んでみろ」ジャンプサシダシ

 

ミコ「はぁ? なんですか急に」メヲオトシ

 

承太郎「……」ドギャーン!!

 

ミコ「…? なんですか? 別に特に面白くもないページですけど」ミアゲ

 

 承太郎の姿が忽然と消えていた。

 

ミコ「また消えた!」

 

ミコ「もうなんなのよ!」

 

――――――――

 

廊下

 

承太郎「やれやれ…。DIOを倒して元の日常に戻ってみれば、スタンドを使う機会なんて面倒くさい女を撒く時くらいしかねぇぜ」スタスタ

 

女子1「あ、見てっ。空条くんよ」ヒソッ

 

女子2「わっ本当だ…。こわぁ…」ヒソッ

 

女子1「えーでもわたしは空条くんみたいな人タイプかもー」ヒソッ

 

2-A教室

 

承太郎「……」ガラッ

 

かぐや「おっと」ポスッ

 

かぐや「あら、ぶつかってしまってごめんなさい」

 

承太郎「いや、いい」

 

かぐや「……」

 

承太郎「…おい四宮。そこに立ったままじゃあ教室に入れねーぜ。退きな」

 

かぐや「……」ニコッ

 

かぐや「ところで空条くん。あなた、三か月くらい休んでいたけど、なにかあったんですか? 病気? よかったら教えてくれないかしら」

 

承太郎「…おめーには関係のねぇ話だ」

 

かぐや「あらそう。それじゃあ勉強はどう? ついていけてますか?」

 

承太郎「…四宮、あんまり俺に関わるもんじゃあないぜ」

 

かぐや「わたしはあなたのために聞いているんですよ?」

 

承太郎「……」ドドドドドドドドドド

 

かぐや「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

生徒1「え、なにあの空気…」ヒソッ

 

生徒2「かぐや様と空条くんのオーラがめっちゃ怖いんだけど」ヒソッ

 

生徒3「え、喧嘩?」ヒソッ

 

生徒4「流石の空条も女子相手に喧嘩はしないだろ…多分」ヒソッ

 

承太郎「……」ドドドドドドドドドド

 

かぐや「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

早坂「はれぇ? 空条くんどしたしぃ~?」

 

承太郎「…早坂」

 

早坂「てかさ~、いまうちらマジ面白いソシャゲやってんだけどぉ、空条くんもこっちでやろ~」グイッ

 

承太郎「興味がないぜ」

 

早坂「見てるだけでいいからさぁ、いーじゃーん」グイグイ

 

承太郎「……」スゥー

 

承太郎「やかましいっ! いい加減うっおとしいぞアマッ!」

 

 シーン…。と場が急速に静まり返る。

 

早坂「……」キョトン

 

早坂「あはは! うっおとしいってなんだしぃ! いいからほらほら~」グイッ

 

承太郎「チッ…。やれやれだぜ」ヒッパラレ

 

かぐや「……」

 

――――――――

 

放課後 生徒会室

 

ミコ「もーーーう!」バンバン!

 

石上「なんだ、牛か?」

 

ミコ「あ゛?」ギロッ

 

石上「すいませんでした」

 

千花「ミコちゃんどうしたの? 今日は一段と荒れてるね~。コーヒーどうぞ」

 

ミコ「あ、ありがとうございます。……どうしたもなにもありませんよ。あの空条先輩のことです!」

 

千花「あー…」

 

ミコ「制服は改造するし学校に関係ないもの持ってくるしやりたい放題じゃないですか! 許せません!」

 

ミコ「まあ勉強できる分石上よりかはマシですけど!」

 

石上「……」ガーン

 

 石上、流れ弾的に傷つけられる!

 

かぐや「確かに、彼の素行には問題がありますね」

 

石上「あいつの事ならB組でも伝わってますよ。授業には必ず出席するクセに、半端ないDQNだとか」

 

かぐや「どきゅん…ってなんですか?」

 

石上「先輩は知らなくてもいい言葉ですよ」

 

かぐや「むぅ…」

 

ミコ「ほんと、なんで退学にならないのか不思議です」ムスー

 

ミコ「会長! ここは生徒会自らの手であの男を更生させるべきです!」

 

 伊井野ミコにはある打算があった!

 

ミコ(現生徒会があの超問題児を更生させれば同級生たちもわたしのことを見直すはず。そうすれば空条先輩を正し、来年の生徒会長選挙を有利に運ぶ功績にもできる。……わたしって天才では!?)

 

ミコ「……ムフー」ニマニマ

 

石上(なんか一人でにやついてる…こわ)

 

白銀「確かに…、空条の素行は目に余る…。このままでは周辺地域からの学園全体の評価に関わってくる。そうすると、公約にした文化祭の2日開催にも関わってくるかもしれないな…」

 

四宮「……」

 

四宮「…会長、こんな言葉があります。『味方は近くに置け、敵はもっと近くに置け』と。いっそ彼を生徒会に引き入れてみるのはいかがでしょう?」

 

石上「!?」

 

千花「えっ!?」

 

ミコ「四宮先輩…それは…」

 

四宮「……フフッ」

 

吊り橋効果ッ!

 

二人の男女が同じ危機に直面した時、その二人は恋に落ちやすいという話がある。

 

空条『……』ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

四宮『か、会長…』ビクビク

 

白銀『大丈夫だ四宮。俺がついてる』キリッ

 

四宮(ふふっこれだわ)

 

四宮かぐやは空条承太郎という危険な存在を利用し、自分に対する白銀の想いを引き出そうとしていたのだ。

 

四宮(さあその首を縦に振るのです会長。そうすればあなたはわたしへの想いを伝えやすくなるのですから)

 

白銀「……」

 

白銀(なんだ…なにを考えている四宮…。お前がただ生徒会の仕事として空条を更生させようとは思っていないんだろう? 考えている…)

 

白銀は不敵に笑うかぐやの真意を探っていた。

 

白銀(空条承太郎…。不良…。身長2メートル弱。イケメン。ゴリマッチョ…)

 

白銀(……)

 

白銀(……ハッ!もしかして!)

 

そして白銀はある結論に辿り着いた。

 

白銀(四宮は一向に告白してこない俺に愛想を尽かして空条に心が移ってしまったのでは!?)

 

筋肉は力の象徴。

 

筋肉という本能的な魅力にかぐやも虜にされてしまったのでは?

 

白銀「筋肉…筋肉こそ力…。筋肉イズジャスティス…」ブツブツ

 

千花「…長。会長…?」

 

白銀「…ハッ! すまない、少し考え事をしていた」

 

かぐや「それで、どうしますか? 最終的に彼をスカウトする権限があるのは会長です」

 

かぐや(ふふっ。とはいえ、生徒の更生という大義名分がある以上、会長は賛成するしか無いはず。さあ、早くうなずくのです)

 

白銀「そ…そうだな。みんはどう思う?」

 

ここで白銀、助け舟を出した!

 

空条承太郎は他を寄せ付けない威圧感のある一匹狼系の不良。彼に苦手意識を持つ人間は数多く、この生徒会も例外では無いはず。その人の意見を尊重する形を取れば、自然にかぐやと承太郎を引き離せると踏んだのだ。

 

千花「わたしは良いと思います! 彼のことを知るにはそれが最善だと思いますし、生徒会の仲間が増えるのは良い事ですから〜」

 

白銀(ふんっ! お前の答えなど既に予想がついていたよ。お前は頭ぱっぱらぱーだからな)

 

白銀「伊井野はどう思う?」

 

伊井野「……正直、神聖な生徒会室にあんなのを上げるのは気が引けます。でも、彼を更生させるには必要な犠牲でしょう」

 

伊井野「それに、空条先輩はこの学園の不良達にとって一種のカリスマ的存在、古い言葉で言うと番長のような存在です。彼を引き入れれば、彼個人だけではなく、学園全体の不良達を制御できる可能性もあります」

 

白銀(ぐ……っ! 伊井野も賛成とは…。まあ、伊井野は真面目だからな、そういう答えも想定内だ…)

 

白銀(本命はお前だ!)

 

白銀(石上!)

 

白銀「い…石上はどうだ? 反対だよな…?)

 

石上「えっ…? あー…」

 

困惑する石上。彼は白銀の期待から逃れるようにして目を泳がせた。

 

石上「ひっ!」

 

かぐや「…フフッ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

彼は見た。四宮かぐやの背後にいる金剛力士像のようなビジョンを。

 

石上「お…俺も賛成です…」

 

白銀「」

 

白銀(石上ィイイイイッ!!)

 

白銀は頭の中で頭を抱えた。

 

かぐや「あら、全会一致のようですね。さあ会長、いかがなさいますか?」

 

白銀「ち…ちょっと待ってくれ。一旦持ち帰って考えさせてくれ」

 

白銀に出来るのは、もはや時間稼ぎだけだった。

 

ーーーーーーーー

 

その晩。四宮邸

 

かぐや「ーーーてなことが今日あってね」

 

早坂「ほー。生徒会長というのも大変ですねぇ…」

 

かぐや「ところで今日は感謝するわ。空条くんと険悪になった時、助けてくれたでしょう?」

 

早坂「いえ、あの程度、どうということはないですよ」

 

早坂「しかし、かぐや様も気をつけてくださいよ。あの手合いは女性だろうと構わずボコボコにしてきたりしますから」

 

かぐや「そうね…以後気をつけるわ…。ーーところで、早坂はああいう人、どう思う?」

 

早坂「わたしは…」

 

早坂「ーー嫌いですよ。ああいう、周りの事を気にしない人は」

 

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