ベルさんは馴染めない。   作:杜甫kuresu

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一日で三話書いてた程度には適当な進行をしていきます。


アレンくんは教えれない。

「ねえアレン、これとこれの違いって何?」

 

 さて。観念して絵本と格闘を始めたベルであったが、徐にアレンを膝の上に乗せて絵本を指差す。

 ベル曰く「手っ取り早い」らしいのだが、ひょいと持ち上げられて妙齢の女性の膝に乗せられる――――――というのは十一の彼には正直堪える。

 

 毎度辞めるように言っているのだが辞める気配もなく、アレンのほうが最近折れ始めたところだ。

 アレンは指の滑る先を追う。

 

「何って――――全然違うだろ。おじいさんと、子供だ」

「だから、何が違うの?」

「歳」

「どうやって見分けるの?」

「顔見れば一目瞭然だぞ、これは」

「全部一緒じゃない」

 

――全部、一緒? はい?

 思わずアレンは眉間に皺を寄せてベルを睨む。

 

 怒っていると思ったのか、冷や汗を流しながら焦った調子で弁明(?)を始めるベル。

 

「だ、だってね? 2つとも同じ形をしてるわ、むりむり」

「体型も身長も顔付きもきっちり書き分けられてるじゃん、後服も」

「でも同じ骨格だもの…………アレンは見分けられるの?」

「当たり前だろ?」

「凄いわ!」

 

 にぱーっと笑ったベルがアレンの頭を撫でくり回す。嫌な気分ではないが、馬鹿にされてるんじゃないかとつい疑ってしまう内容だ。

 

「わたしには無理よ、ぜったいむり」

「悪いけど何を言ってるのか冗談抜きでオレにはわからない」

 

 骨格で見分けるのは生き物の種類である、人間の個体識別で骨格を外見から判断するのは無謀と言っても良い。銀と銅が置いてあるとするなら、色ではなく硬さで見分けをつけると言うぐらい非効率でも有るだろう。

 

――待て、まさか。でもな、幾らベルがおかしいからってそれは。

 引き攣った顔でアレンが尋ねる。

 

「な、なあベル」

「何?」

「例えば、オレが友達連れてくるだろ?」

「お友達が居るのね、てっきり居ないのかと!」

「余計なお世話だ!」

 

――居ないけどさ!

 アレンは見ての通り、歳にしてはませているというか、しっかりしすぎている。どうしても同年代の子供と反りが合わないのは当然でも有り、また賢しさ故の不幸でも有る。

 

 それはともかく。怒鳴られてしゅんと萎縮してしまったベルを余所に怒ったようにアレンが話を戻す。

 

「オレとソイツが並んだとするだろ? 同じ髪型、同じ身長だとしようか」

「うん」

「見分け――――――つかないのか?」

「つく訳ないじゃない」

「つけろよ!?」

 

 ベルがむーっと頬をふくらませる。

 

「アレンは意地悪よ、どうしてそうやって無理難題をわたしに押し付けるの!?」

「む、無理難題? えぇ? オレが悪いの?」

 

 困惑するアレンにベルが本をぺちぺち叩きながら畳み掛ける。

 

「そうよ! 絵本を読めるようになれとか、人間の見分けをつけろとか、スプーンとフォークでご飯を食べろとか! 難しいことばっかり!」

「ちょっと何言ってるかオレには分かんないな」

「単純明快よ! もっと簡単な事から始めて頂戴!」

 

――これ以上簡単って、何だ?????????

 アレンはこれ以上無く、簡単で、単純で、親切に教えているつもりだった。

 普通自分より十は年上に見える女性にスプーンとフォークの持ち方を教えたり、文字を一文字ずつ読んでやったり。そんな事をする機会はないし、しなくていいし、しろと言われれば顔を顰める。

 

 それでも彼が付き合ってやったのは、偏にベルが文句を言うなりに真剣に取り組む姿を見せたからだというのもまた一つの事実。

 彼はそんな無意識下での理解のもとに、これまでベルに付き合っていた。

 

 故に、今のベルの一言は金槌で殴られた気分だ。今風に言うと、かるちゃーしょっく。

 

「………………なるほど」

「――ッ! やっとアレンも分かって」

「オレには無理そうだ。ごめんなベル、もっと頭の良い人に教えてもらってくれ」

「アレン!?」

 

――そっか。オレじゃ教えれそうにないな、自信なくしたと言うか。

 本気で沈んだ面持ちになってしまったアレンをその後ベルは一生懸命説得したのだが、結局神経を逆撫でして忘れさせる形になってしまったことだけは間違いないことを此処に記す。




アレンくんの見た目はさっぱり描写されませんが、たぬま氏の「おねしょた詐欺!!!!!!!!」って感じのイラストが元ネタなので、それを見れば分かります。
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