わが封印、これより解きます   作:ノイヨウ

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1話目を投稿してから30分経たずに評価に2票入っていたり、半日で感想2件、ルーキー日間38位、20時間で29位、23時間で25位は草ァ!(ありがとうございます)
それから感想ですが作者が確認したらgoodを押させてもらいます
また、これはコメント返した方がいいなとこちらで判断した場合はgoodに追加でコメントします


時代をゼロから始めよう

仕事が決まった。そうは言ってもスポーツ系としか話は聞いていない

今はその番組の打ち合わせとして話し合っている

 

「今日はよろしくお願いします」

「こちらこそよろしく」

人が集まりいよいよ番組に向けての待ち合わせが始まる

内容としてはいたって簡単。各業界の新人を見てみようといった旨の企画だ。自分はそのアイドル部門から選ばれたに過ぎない

 

「といった感じなんだけど、大丈夫かな?」

「はい、問題ありません」

「そうか。じゃあ、何か聞きたいことはあるかな?」

「この企画はネタをとるより全力で挑んで頑張りを見てもらうと解釈してもいいですか?」

「ああ、もちろんだよ」

「それから最後に、1つ。何故自分をこの企画に?こんな仮面で素顔を隠してるのに……」

 

すると番組のプロデューサーは回答に困ったような顔をするもすぐに笑い出す

 

「新人だから、じゃダメかな?」

 

この人にとって仮面なんて些細なことなんだな

 

「いえ。納得しました」

「そう。じゃあ、次は収録日に」

「はい!」

 

 収録日当日。前日にプロデューサーは朝早くの会議で向うことができないとのことで謝罪してきたが、そこまでしなくてもと思った。送迎が無理そうとのことだったのでかなり朝早くに自宅を出て今現在バイクで撮影地へと向かっている。仮面が目立つのでへたに公共機関を使えないのはこういった時はデメリットだな

 

「誰もいないか」

 

 渋滞を考慮してかなり早めに出発したが、思いのほか交通状況が良かったために、すぐ目的地についてしまったので、人が来てなかった

 曲を聴きながら、バイクやヘルメットを拭いていると視界の端に車が入ってくるのがわかった

 

「あれが進行役の人が乗った車か」

 

 挨拶へと向かうため拭くのをやめて道具をしまうと、駐車中の車のそばへと近寄った

 挨拶を終えた後、服を着替えるために更衣室へと向かう。着替えててわかったのは今回の撮影年上しかいないということだ

 

「集合時間までに各自準備運動を済ませておいてください」

 

 とりあえず、始まるまでは少し準備運動用の時間が設けられているようなので、大人しく時間の少し前まで準備運動をしておくことことにした。準備運動をしながらも同じ企画に参加した人たちと軽くコミュニケーションをとるのには十分だった

 やはりというか、最初は1本勝負の100m走。スタートラインでそれぞれ構え、それを見た番組スタッフがピストルを持った腕を上げ、よーいという掛け声の後に引き金を引く

 スタートダッシュは全員ほぼ同時といってもいい、そのあとは大きく違ってくる、最初の仕事の幕が上がった

 

「お疲れ様でした」

 

 今日一緒の仕事をした人全員にそう言って駐輪場のバイクのもとへ戻ると、今日の報告としてプロデューサーに電話をかける

 それも終わるとあとは帰るだけになるのでバイクを移動し、ヘルメットを身につけ周囲が安全かを確認して発進する。とりあえずこれからの予定も確認しないといけないので向かう先は事務所だ

 事務所に到着しプロジェクトのメンバーが使う部屋があるあたりの階を見るとまだ電気がついている

 

「まだ残っているのか?」

 

 少し疑問に思いながらも報告のためにエレベーターで上へと向かう。プロデューサーへの報告は比較的スムーズに行われた

 

「詳しいことはまた明日にお話しします。今日はお疲れさまでした」

「プロデューサーさんもお疲れ様です」

「仕事、ですので」

「自分も仕事ですよ」

 

 早く報告が終わったので電気がついていたプロジェクトの部屋の前に来てみると何やらメンバーが集まり何か言いあっている。メンバーのうち一人がこちらに気付いたのか駆け寄ってくる

 

「陵さん!杏ちゃんが閉じこもってしまって」

「ああ、どおりで電気がついていたわけだ」

「そういえば陵さんは今日いませんでしたね。何かあったんですか?」

「仕事の収録。バイクで朝早くに現地集合したから今日ここに来るのは初めてなんだ。それより早めに扉開けたほうがいいんじゃないか?」

 

 様子を見に来ただけっだったのでそのまま帰ろうとしたとき一人の女性がこちらに走ってきた。美嘉ねえ!と聞こえたからこの人は美嘉というのだろう

 

「やっと見つけた!もーどこにいたの?」

「仕事で離れてましたけど……」

「ねえ!バックダンサーやってみない?」

「バックダンサーですか?自分より彼女たちの中から選んだ方がいいんじゃないかな?」

「もちろん、君より少し前に入った3人も一緒にやるよ?」

「担当の人に許可は……」

「もう取ってあるよ」

「なぜ自分を?」

「ちょっとインパクトが欲しかったから!ダメかな?」

「自分でよければお受けしますよお姫様」

 

 後ろから驚きの声が聞こえるが気にしない、仮面をつけ始めたときに比べればこの程度どうってことはない

 

「わ、わかった!ありがとね!」

 

 なぜか急いで去ってしまった

 

「急ぐほどの用事があったのならプロデューサー経由で伝えてもらえばよかったのに」

「陵さんも一緒にバックダンサーやるの!?」

「自分を必要そうに見えたので。あそこで断ってはせっかく許可をとってくれた彼女に迷惑をかけてしまいますから。それより扉の問題は片付いたのかい?」

 

 思い出したかのように声を上げ、扉を開けようと奮闘を再開する。その様子がどことなく楽しく見えた

 

 そしてレッスン初日。信じられないことを言われる

「本気ですか……」

「うん!」

「自分が出演者全員と踊るなんてどうかしてますよ」

「仮面をつけた男性なんて条件当てはまるアイドルなんていないし舞踏会みたいな感じだからキミには頑張ってほしいんだ★」

「……」

「あ、やっぱり無理だったかな」

 

 多少落ち込んでいるのは見ればわかる。いくらなんでも無茶を言っているというのは相手も承知の上だ。それでもなお、自分しかいないと思って探し回って許可を求めてきたんだ

 

「いいえ。お姫様の期待に応えるのが王子様の務めですから」

「じゃあまずは流れを説明するね」

 

 簡単に言えば歌っていない人たちと踊る。難しく言えば歌詞と歌わない人とその順番を覚えた上でそれぞれ別の踊りをするというもの。それぐらいの期待には応えてみせるさ、お姫様

 

「ええ……」

「引かれるとつらいな」

「いやいや。ダンス初心者だよね?」

「ええ。学校の授業以外ではまったくやってませんね」

「なんでいきなりできるの!?」

「ちょっと未央。落ち着いて」

「しぶりんだって気にならないの?」

「そりゃまあ気にはなるけど」

「どうして陵さんはそこまで踊れるんですか?」

「これくらいできないと美嘉さんたちに迷惑がかかるでしょ?」

「そういうものかなぁ……」

「それに」

「それに?」

「僕は君たちの王子様だ。お姫様の期待に応えるのは当然だろう?」

 

 レッスンも終わり解散になる。バイクを持つ自分が駐輪場に向かうのは当然だがその後ろからは数人のプロジェクトのメンバーがついてきている

 

「みんな今日は親御さんの送り迎えなのかい?」

「ううん。陵さんのバイク見たことないなあって思って」

「ああ、見たいのね」

「そういうことです!」

「期待に応えられるものかはわからないよ?一応父親のお古だし」

「気にしない気にしな~い」

 

そんなこんなで駐輪場に到着する

 

「かっこいいじゃないですか!」

「それはよかった」

「2人乗りってできるんですか?」

「できるにはできるけど。今日はもう遅い、早めに帰宅すること。いいかい?」

「「はーい」」

「よろしい」

 

 バイクを移動し周囲を確認し終えると彼女たちにむけて口を開く

 

「それじゃ、お疲れ様」

 

 無意識にだが右手の小指薬指を折り、中指人差し指と親指を伸ばしたまま手首をシュッとスナップするとそのまま発進する

 

「変わったなぁ陵さん」

「そういえばしぶりんが一番最初に陵さんと関わったんだよね?最初はどうだったの?」

「最初はなんて言うか、優しいんだけど誰にも近づかないって感じだったかな」

「ちなみに事件があった時も見てたの?」

「うん。ほんとに突然目の前で起きたからね」

「その時はどうだったの?」

「少しだけこっちを見たと思ったら、犯人の顎にものすごい上段蹴りをお見舞いしてたよ。それだけで犯人動かなくなったし」

「うわぁ……」

「ずいぶん陵さんのことが気になるみたいだけど、どうかしたの?」

「いやぁ、気にならないほうがおかしいんじゃないかな」

 

 それからはレッスンの日々だった。自分の部分は問題なく一通り通す感じで数回練習している。3人は美嘉やトレーナーと一緒に頑張っているようだ

 そして数週間前に撮った新人スポーツの様子が編集されてとある番組内でVTRとして流れた。自分の結果に驚いている人が多く、どうやら出演者の予想をいい意味で裏切ったようだった

 その影響は自分が思っていたよりも大きいもので、学校では大勢の人が集まったり、プロデューサーからは数件仕事の依頼が入ったそうだ。まあライブと重なる仕事は断るしかなかったが。プロデューサーとの話も終わり部屋へ入ると数人が待ち受けていた

 

「見ましたよ陵さん!」

「見たって?」

「この間言ってた撮影したお仕事の様子ですよ」

「ああ。あれのことか。出演者さんたちの期待をいい意味で裏切れたのは良かった」

「そりゃ、全種目で1位を取ればそうもなりますって。個人的にはサッカーのボレーするはずが強風で逸れた球をオーバーヘッドキックしたやつがかっこよかったです」

「それは良かった。お姫様たちの前でかっこ悪い姿は見せられないからね」

 

 レッスンの内容はさほど今までと変わらない。相手と踊り一人一人その踊りを変えていく、相手のアイドル達からも問題ないとのことで調整も終わり、良い調子で本番へと臨めそうだ

 

 そう思っていたんだがね。やはり3人は緊張している。その緊張を仮面で素顔を隠した臆病者の自分が代われるなら代わってやりたい。だができない、3人には3人の自分には自分の仕事がある。一通りのリハも終わりあとは出番を待つだけ。それまでにどうにかするしかないか

 3人のいる部屋を訪れる。返事をもらい中に入ると一目でわかるぐらいの緊張ぶり

 

「どうした緊張してるのか?」

「「はい……」」

「まあ緊張するな、とは言わないよ。今日を楽しみにしてた大勢のお客さんの前でいきなり踊るんだ失敗が頭をよぎってプレッシャーになるのはわかる。でもね、君たちが楽しそうじゃないのにそれを見たお客さんは本当に満足できたと思うかい?」

「……」

「今お客さんのことを考えられればそれで十分。あとは自分たちが楽しんでどうとでもなれ、さ。もう、止まれないんだ、あとはゴールに向けて走り続けるだけさ」

 

 それだけ言うと向きを変えて自分の準備のために戻ろうと部屋を出る。出たところで言い忘れたかのように振り返り口を開く

 

「頑張ってくれお姫様。王子様は輝く君たちを支えるのが役目なんだ」

 

 今度こそ言い終わると返事を聞く前に自分の準備のために戻る。幕は上がる、あとは踊り続けるだけさ

 シンデレラで言うなら舞踏会の幕開け、ライブは今始まった。自分の役目は仮面をつけた王子様。お姫様が踊るのに合わせてひたすら踊り続ける

 さあ、シンデレラたち次は君たちの番だ。開幕からほぼぶっ通しで踊り続けた体に休憩を与えるも頭の中ではお姫様たちが気になって仕方がない。佐久間さんに疲労を少し心配されたけど問題ない、大丈夫かと彼女たちの様子を見に行くとどうやら杞憂だったようだ。彼女たちは勢いよく舞台へと飛び出し笑顔で踊り始めた

 

「お節介だったかな」

「いえ、そんなことはないかと」

「プロデューサー」

「陵さんのおかげでいくらか意識を変えることはできたと思います」

「聞いてたんですね」

「すみません」

「それくらい気にしなくてもいいですよ」

「ありがとうございます」

「いい笑顔ですね」

「はい」

 

 美嘉が3人に感想を聞き終わると舞台袖にやってきて自分の手を引いて舞台に立たせる

 

「陵くんも何かない?」

「何かですか」

「うん。最初からずっと頑張ってたからねみんなに覚えてもらわないと★」

「仮面をつけた僕がお姫様たちのお役に立てたのなら僕自身としては満足のいく結果でした」

 

 お客さんの歓声と拍手を耳に入れながら舞台袖に戻りライブは終了する。きれいに何もかもがうまくいき終了する。だからこそ頭に浮かぶものがあった

 

「今日はお疲れさまでした」

「プロデューサーもお疲れさまです」

 

 プロデューサーとの挨拶を済ませ向かうのは舞台にいる彼女たちのもと

 

「3人ともお疲れ様」

「「陵さんもお疲れ様です!」」

「うん。いいライブだった」

「陵さんのおかげで緊張がほぐれました。ありがとうございました」

「今から君たちに言わなきゃいけないことがある」

「どうかしましたか?」

「今から僕は君たちにひどいことを言う。でも聞いてほしい、何かあってからじゃ遅いんだ」

「「……」」

「今日のライブがよかったのは本当だ、これは心から言える。だけどね、お客さんが本当に見に来たのは彼女たち5人のライブなんだ。確かに、僕たちがいたことで盛り上がったかもしれない。だからこそ間違っちゃいけない、このライブだけがライブの成功例じゃないんだ。僕らの本格的なデビューはまだ先だし、場数も少ない、彼女たちに比べて圧倒的に知名度の低い僕らのデビューライブのファンの人数なんて高が知れてる。でもね、だからこそ僕らは笑顔で全力でファンの期待に応えないといけない、裏切っちゃいけない。お偉いさんにとっては人数も大事だけど、僕らからすれば応援してくれる人が一番さ。大事なのは人数じゃない、それだけはわかってくれ」

 

 彼女たちの反応がない。思い返せばずいぶんと僕は偉そうなことを言ったな

 

「偉そうなことを言ったね、ごめん」

 

 そのまま彼女たちから逃げるように舞台から降りようとすると足音が急いで近づいてくる。足を止めているともちろん足音の正体に追いつかれる。僕はそのまま後ろを振り向こうとするとそれより早く彼女たちが声を発した

 

「「ありがとうございました!」」

 

 その一言を聞き取るとなんだかホッとすると同時にむずがゆくなり振り向くことなく、背を向けたままゆっくりと歩きだし彼女たちに一度見せた右手をシュッとするスナップをするとそのまま自分の荷物を取りに向かった

 

「あー!」

「美嘉さん?」

「あ、陵くん!携帯持ってない!?」

「持ってるには持ってますが、昨日早く寝てしまったうえに使う暇がないと思いほとんど充電してなくてついさっき充電が切れました」

「もう少し早ければ!」

「どうかしたんですか?」

「親と連絡ができないから帰りが、ね?」

「よかったら送っていきますよ?」

「え?」

「僕の後ろでいいなら送っていきますよ」

 

 僕らはそのまま駐輪場に向かった

 

「いきなりごめんね」

「気にしないでいいですよ」

「バックダンサーの件もそうだけどキミには迷惑をかけてばっかりだね」

「お姫様たちを支えるのが王子様の役目ですから。ああ、それから、なにかあった場合言ってくださいね、ヘルメットについてるこのマイクを通じて僕に聞こえるようになってます」

「うん。ありがとう」

 

 お姫様をお城へ届けるべく夜の風が吹く街を走り出した

 

 




書いてて思った、くっそくさいせりふ回しだな、これ
ヒロインポジがマジで思いつかない。どうしよ
そういえば名前のことですが、蘭陵王の本名が高長恭なので高長+陵にしています。変に関係ない名前よりはね?
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