「みくちゃんと李衣菜ちゃん。最近レッスンもお仕事もずっと一緒なんですよね」
「CDデビューの前にチームワークを高めようってみたいだけど」
「5分に一回くらい喧嘩してるよ?」
「そんなにも仕事したいのか~。すごいなぁ」
「何でプロデュサーはあの二人をわざわざ組ませたのかな?」
一度その場で考えてみる
「何か深い考えが?」
莉嘉とみりあちゃんがプロデューサーにわけを聞きに行く
「陵さん。二人を仲良くさせる何かいいアイデアない?」
ギギギと機械のように首を動かし顔を未央のほうにむけると口を開く
「本気で言ってるのか本田」
「あ……」
いるだけでクラスの仲を悪くさせた男。友情を壊した男
「俺じゃ、力になれそうにないすまない……」
レッスンテレビ学校をこなしながら生活していると、二人の同居生活がスタートしたらしいがどうも思うように仲良くいかないらしい
「仲良く、か……」
先が見えないように空も雲に覆われ雨が降っていた
夏休みも近くなってくるとさすがに視線が減ってくる
「なあ、高長って夏休みの間休みって有るか?」
「ん~。あるとは思うけど、親の元に帰ったり、親の実家に顔を出すかもしれないから、そこまでかな」
「しかたないか。高長も仕事がんばれよ」
「ああ。ありがとう」
ぼーっとしながらふと思う
「親の実家か……」
仮面をつける前、祖父母の家に行ったときのことを思い浮かべる
ふわふわした髪の1つほどだったか年下の女の子
「元気かな」
小学校の時は兄妹のような関係だったのが懐かしい思い出だ
それからほどなくしてみくと李衣菜たちのイベントの日はやってきたが、大成功だったようだ。雑誌にも取り上げられ方々にも話が広まっていった
そして今プロジェクトのメンバーはフェスにむけての合宿に来ている。しかし練習量に差は出てくる。自分のステージの時間は全体曲のあるお姫様たちに比べれば少ない。彼女たちにしてやれることといえば飲み物を用意したり全体のダンスを見てズレを見つけるくらいしかない
「さあ、一度休憩だ」
そう言って飲み物を差し出すがどこか笑顔が少ない。全体曲で動きが合わないことから不安が出ているのだと様子から推測する
先に休憩を終えてレッスンをしているとお姫様たちが外で走っているのが目に入った。つい視線がそちらへと向いてしまうが、昨日や休憩前とは違い、明るい目をしていた。3人4脚まで見終えるとレッスンを再開する。自分の気持ちも少し明るくなっていた
それからお姫様たちが戻ってくる前にレッスンを終了させ、最後の大縄跳びの様子を見守り、この日のレッスンは終了となった
親からの電話だ
「はい。……え?」
家族からの電話は一言二言で終わってしまったが最後に大きなものを置いていった
「噂をすればなんとやらだな」
フェスは無事開始された。天気は晴れ、誰もかけることなく開始された
自分の出番は開始され数番目、メインはお姫様たちなので王子はすぐに司会にまわる
しかし問題は起きた。新田さんが疲労で熱を出してしまった。だが、止まることはできない。神崎さんを代役とし、そのまま開始することになった
途中で雨が降るというアクシデントもあったが天候は回復し、フェスは再開でき、新田さんも回復し、練習してきた全体曲を披露してシンデレラプロジェクト組は終了となった
「いやはや、まさか、彼女が来てるとは思わなかったよ」
「どうかしたの?」
「なに、従妹が来ててね」
「え!そうなんですか!?」
「ああ、あっちも驚いた顔してたよ」
後日、親から教えられた番号に電話を入れ、目的の人物と待ち合わせをする。相手側には連れがいるがそこは別に拒否する理由もないため、三人で行動する予定となった
「や」
「え…陵兄?」
「ああ、久しぶりだね。僕の顔忘れちゃったかな?」
「忘れるわけないよ!陵兄こそ、私が誰だかちゃんとわかってる?」
「もちろん。神谷奈緒だろ?」
「よし!ちゃんと忘れてないな!」
奈緒の連れであるもう一人の女の子の方を向く
「はじめまして。神谷奈緒の従兄の高長陵です」
「北条加蓮です。はじめまして」
「北条さん」
「はい?」
「普段の奈緒ってどんな感じなの?」
「ちょっ!陵兄!」
「まあ、どこかお店に入ってから続きを話そうか」
「…」
「大丈夫。僕の奢りさ」
そして、僕の知らない、従妹の普段の姿を聞いて盛り上がり解散となる
「良い友人に恵まれたね」
「陵兄は、その…」
「いいんだ。あれはあれで教訓になったし、心が幼かったから仕方ないんだ」
「陵兄がいいならそれでいいけど…」
「よし、解散としよう。また会おう。北条さんもまた一緒に」
「はい。今日はありがとうございました」
「硬いなぁ。もっと砕けていいんだけど」
解散し、それぞれの帰路へと歩き出す
事務所に出社するとプロデューサーが待ち受けていた
「陵さん、少しお話が」
「どうかしましたか?」
「実は……」
プロデューサーから話を聞き終わると、驚きとともに疑問が湧き上がる
「本当ですか?どうして自分が…?」
「動けること、激しいアクションが可能という条件で絞り、それから、そのそういった仕事ですのでビジュアルも考慮した結果相手方から陵さんを、それに新企画ですので、有名俳優を使うにも予算が、とのことです」
「なるほど。それで自分に白羽の矢が立ったと」
「はい」
「いいですよ。ただそうなると他の仕事を少し減らさないと厳しいですね」
「そうですね。学業もありますし、新規の撮影が開始するとなると他の仕事にはあまり参加できないと自分も思います」
今現在、企画の打ち合わせに来ており、監督やその他関係者と話し合っている
「陵くんは特撮番組見たことあるかな?」
「特撮ですか?小さい頃になら見たことは」
「特撮ではよくポーズをとってから変身するでしょ?その変身ポーズを陵くん自身で考えて欲しいんだ」
「変身ポーズを、ですか?」
「うん」
「わかりました」
「その時注意して欲しいのは、変身アイテムがブレスや手持ちじゃないってこと」
「え、じゃあ何で変身するんですか?」
「ベルトだよ」
「ベルトで変身…」
「変身」
何度かポーズをとってみるがどうにも良いと思う仕上がりにならない
「なかなか厳しい課題だ」
「あれ何してるの?」
「ああ、美嘉たちか」
「何してたの?」
「新作の特撮番組の変身ポーズの宿題を」
腕を前で交差、交差させると左手はすぐに腰に据えて、右手はその後に縦にして胸の前に移動させる。少し右手を前に突き出してから、変身と叫び両手を顔の前で交差させてからベルトのサイド部分に当てる
「これは結構ピッタリきたな」
撮影初日、まだ夏休みなので少しでも多く撮り溜めしていかないと。そして今は第1話のラストシーンである
「逃げるんだ!ここは危険すぎる!」
「じゃあ、刑事さんも」
「それは…だめだ。あのバケモノを放っておけない」
「死にますよ」
「市民を守ってなんぼだ」
「家族が悲しみます」
「……」
「俺はもう誰の涙も見たくない。涙は俺が止める」
青年の腰に金属質のベルトが出現する
腕を交差させ、左手を腰に、右手を胸の前に。右手を前に伸ばし肘が直角近くなった時に口を開いた
「変身!」
その言葉と同時に腕を目の前で交差させてから、ベルトのサイド部分を押す
青年の姿は変化し、頭部はクワガタの角もしくは龍の顔を模したような形状に変化する。身体も鎧のようなものが身につき脚部もそれに伴い動きを阻害しない程度に変化する
「君は……」
青年は燃え盛る炎を背に警察官の方向に顔を向けた
To be continued
「よし!いい仕上がりだ!まさか数日で1話を取れたのは良かった」
「俺は……」
「君は……」
「じゃあ、あれが」
「ああ、超古代の遺物だよ」
「最近の不可解な事件。それと同時に目撃されるバケモノ」
「もしかしたら超古代の……」
「変身!」
新たな伝説が幕を開ける
新番組〈仮面ライダー〉放送開始
「これ陵さんが主役の番組?」
「ああそうだよ。放送はもう少し先だけどね」
「高長さん」
「はい。あ、佐久間さんでしたか。自分に何か?」
「少しアドバイスをいただけたらと思いまして」
「アドバイス?」
「陵さ〜ん」
「今度はお姫様たちか。どうかしたの?」
「まゆちゃん見ませんでしたか?」
「佐久間さん?さっきまで話してたけど……」
「何話してたんですか!?」
「それは秘密かな?」
「え〜!」
陵は自分の口の前に人差し指を立てた手を持ってきて、内緒を示す
バケモノに拳をふるい、仰け反らせていく
「はっ!せい!」
連打の最後に大きく振りかぶった拳を当て、バケモノと距離をあける。両手を広げ、エネルギーを吸収するかのように右手を巻き胸の前へと移動させる
「はあっ!」
地面を両足で蹴り、跳躍するとバケモノに向けて右足を伸ばし蹴りを放つ
バケモノに蹴りが直撃すると、苦しみだし、少ししたのちに爆発する
「……」
「君は……」
どこからか来た特殊な形態のバイクに乗り青年、異形の戦士は警察官の前から走り去っていった
「お疲れ様陵くん!平地でのアクションは完璧だ!よくあのスーツを着たままあそこまで動けるねぇ。少しずつ高所やバイクアクションが増えるけど、あの動きが見れないのは残念だよ」
「お心遣い感謝します監督」
「いやいや、陵くんはまだ高校生だし、怪我されたらみんな大変だからね」
いつもの部屋に入るとなんだか少し普段と違う雰囲気を感じとる
「あれ?どうかしましたか?」
「あ。陵さん」
「常務が直接来た?それだけですか?」
「いや、それ以外にも……」
「期待はしているが結果が出なかったら解体、ね」
「そうなんです」
「別に。普通でしょ」
「え……」
「だって、誰も買わない商品をずっと置いておくわけにはいかないでしょ?常務は期待してるって言ったんだから仕事を頑張ってやって、結果を出せば全く問題ない」
「でも……」
「夏のフェスも頑張ったじゃないか」
「……」
「各々が出せるだけの力を出せばいい。それだけの話だよ」
不可能と思われるような殺人事件が起きた
「うわぁ……なにこれ……」
「不可能犯罪ね」
「雄介はどう思う?」
「どうって言われてもなんとも言えないよ専門家じゃないし、直接見たわけじゃないんだし」
「だよねぇ」
頭にバケモノのような気配が流れ込んでくる
「これは……」
前回遭遇したバケモノと同じようなタイプのバケモノがそこにいた。人を襲おうとする直前だった
青年の腰にベルトが現れる。そのまま両手を交差させ、左手を腰に右手を前に
「変身!」
そしてもう一度体の前で腕を交差させベルトのサイド部分を押す
クワガタの角にも、龍の顔に見える戦士へと変身するとバケモノへと肉薄する
「はあッ!」
拳をバケモノの腹へと打ち込む。襲われていた人を逃すとバケモノへと集中する
バケモノは武器を頭上の光から取り出して構える。形状からして槍や鉾といった印象を受ける
流石にリーチが違いすぎてまともに近づけないままバケモノから連続の突きを受け後方へと飛ばされてしまう
バケモノは待ってはくれずトドメを刺そうと倒れていた戦士の頭を執拗に突き刺そうと振り下ろす。間一髪躱すと、バケモノの腹を蹴り、距離をあける
「ふぅ……」
戦士が一息つくと、ベルトの左側を押す
ベルトが光ると戦士の姿が少しばかり変わって青く変化し、その他にはバケモノと同じようにリーチのある武器、鉾の形状の武器をその手に持っていた
互いに打ち合うと戦士はその武器を使いバケモノの武器を投げる
バケモノの意識が一瞬武器へと向いた隙に戦士は武器をバケモノの腹部めがけて投擲する。武器が腹部に当たるとそこから戦士の紋章が浮かび上がる。そのまま戦士は走り出し、バケモノとの距離がある程度の位置で跳躍すると紋章めがけて蹴りを放ちバケモノを蹴り飛ばす。武器は蹴り飛ばす瞬間に掴んで抜いておいた
バケモノは立ち上がるがすぐに苦しみだし爆発する
いつの間にか警察も来ており呆然としていたがその間に無人のバイクが戦士のそばに到着し、そのまま戦士はバイクに乗り走り出す
「陵兄…」
「奈緒じゃないか。どうかしたかい?」
少し曇っていた奈緒から話を聞く
「なるほど。奈緒のとこも俺のとこと同じようなことを言われたんだな」
「同じようなって陵兄のとこもそうなの?」
「ああ、この間言われた」
「陵兄はどう思う?」
「別に」
「何もないの?」
「まあ、結果さえ出ればいいんだし。俺たちは始まってるけど、奈緒たちはもう少し先なんだろ?先達のやり方を見て学べばいいよ」
そう言って陵は立ち上がり、移動しようと歩き始めた時、背後から声がかかる
「ありがとね陵兄」
「おう」
けっこう美城常務がマイルドになっておりますが独自展開なので多少はね?