GATE 枢軸国軍 異世界にて、斯く戦えり   作:スパイス

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 連載再開です。


第2話 ドイツの対応

 1941年 5月15日

 ドイツ第三帝国 ベルリン郊外 ポツダム ツェツィーリエンホーフ宮殿

 

 

 ベルリン郊外に位置するポツダム、その名所の一つであるツェツィーリエンホーフ宮殿の周りには、今日に限ってものものしい警備が敷かれていた。

 全ての門や詰め所にはナチス親衛隊員が目を光らせており、庭では万が一の空襲に備えて高射砲が設置されている。また駐車場や外の道路には装甲車が待機しており、どんな事態にも対応できるようになっていた。

そのような厳戒体制の中、陸軍や海軍、空軍等の国防軍や親衛隊の所属ペナントを付けた高級乗用車が次々と宮殿の中に乗り入れてゆく。

 このような警備体制が敷かれている理由を地元住民は知らされておらず、多くの住民は不安そうな視線を兵士たちにむけていたが、一部の目ざとい人間は気が付いていた。

 『あの中で重要なことが起こっている』と。

 

__________

 

 

「つまり君はこう言いたいのか?『ベルリンのど真ん中に出現した門は、異世界への入り口である』と?」

「その通りです総統閣下。捕らえた蛮人を我が親衛隊情報部(SD)の方で丁重に『おもてなし』した結果、ドイツ語はおろか英語、フランス語、イタリア語も通用せず、中にはとても人間とは思えない種族も混じっていました。このことから見ても、連中がこの世界の人間ではないことが推測できます」

 

 ドイツ第三帝国、その総統たるアドルフ・ヒトラーに向かって自身の考えを披露しているのは、親衛隊全国指導者のハインリヒ・ヒムラーだった。

 

「総統、私もヒムラー長官と同じくそう思っています。あれは間違いなく異世界への入り口であり、我々はそれを手に入れる権利を得たのですよ!これは古代北欧神話の神々が総統閣下と我が帝国に与えられた贈り物と言ってもいいでしょう!」

 

 ヒムラーに負けず劣らずの弁舌を珍しいほど振るっているのは、副総統のルドルフ・ヘスであった。

 根っからのオカルト好きである彼らにとって、今回の『事件』はまさしく福音に等しいものであり、自分たちの持論を好きなだけ展開できる絶好の機会であったのだ。特にヘスはこれを機に総統の興味を自分に向けようと必死であり、その努力は周囲の人間をうんざりさせるほどであった。

 

「うーむ、信じられないことだが、私もこの目でドラゴンをはっきり見たからな。君たち二人の説はおそらく正しいのであろう。

諸君、私はこの際『門』の向こう側に軍を送り込み、獲得したその土地を、第二の『レーベンスラウム(民族生存圏)』にするべきであると考える。少なくとも蛮族どもの首魁に対し、我が第三帝国を敵に回せばその代償が如何に高くつくか、奴らの血をもって教育しなければならない!!」

 

ヒトラーはそう声を張り上げると、高ぶる気持ちを抑えきれずに拳でテーブルを叩いた。

脳裏には、蛮族によって破壊されたベルリン市街や総統官邸の姿が生々しく記憶に残っている。特に自ら設計したバルコニーを破壊された時には怒りの感情で頭が一杯になり、一晩中寝付けなかったものだ。

―蛮族の首領を捕らえたら、必ず一族郎党全員を強制収容所に叩き込んで、死さえも生ぬるいと思えるような屈辱と苦痛を味わわせてやる―ヒトラーはそう考えることで何とか高ぶる気持ちを落ち着かせた。

 

「しかし『もてなし』とはね…。さぞかし丁重なもてなしをしたんだろうねぇ、親衛隊長官殿?」

 

ドイツ第三帝国のNo.2として、そしてドイツ空軍のトップとして君臨しているへルマン・ゲーリング国家元帥がニヤニヤ笑いを浮かべながらヒムラーに問いかけると、ヒムラーはそれに対し、微笑みを浮かべてヒトラーに向かって言った。

 

「ええ、勿論です。彼らの大半は今頃ダッハウで、我が第三帝国式の『ご挨拶』を受けているはずです。このことに関してはハイドリヒがいい仕事をしてくれましたよ」

「そうか、奴らへの対応はそれでよい」

 

ヒトラーはそう言ってヒムラーとヘスから視線を外し、会議場の中をぐるりと見渡す。

 

「総統閣下、『門』の向こうに送り込んだ特殊部隊『ブランデンブルグ』の報告によれば、向こうの世界には未知の土地が広がっていることは確実であります。

この際、我が国防軍部隊を『門』の向こうに送り込み、周辺の地域を占領してはいかがでしょう?

連中の文明レベルはたかが知れておりますし、万一にも敗北することは無いと思われます」

「それがいいと私も思います。連中の武器を見ましたが、せいぜい剣と槍、盾ぐらいしかありません。

最新兵器と先進的戦術、戦略を保有する我が国防軍が出向いていけば、勝利は確実かと」

 

国防軍最高司令部作戦部長のアルフレート・ヨードル砲兵大将が立ち上がって意見を述べると、総長であるカイテル元帥もこれに同調する。

彼らが着席すると、外務大臣のヨアヒム・フォン・リッベントロップが代わって立ち上がった。

 

「私も派兵に賛成です。これは外務省筋の情報なのですが、同じ連中に攻撃を受けた日本側も大規模な派兵を検討中であるとのことです。

既に駐独日本大使の大島大使より、三国同盟の盟約に基づいての共同出兵の要請が来ており、同盟関係上これを無視することは出来ません」

 

リッベントロップがそう言って着席すると、他の政府、党、軍の関係者も次々と賛成意見を述べていく。

しかし、それに異を唱える者もいた。

 

「総統閣下、派兵の件に関しては、我々陸軍総司令部と参謀本部は賛同出来かねます。

我が陸軍は来月22日に開始する予定の『バルバロッサ』の準備に忙殺されており、もし『門』への派兵がなされれば、作戦開始日時は更にずらさねばならなくなりますが…」

 

陸軍総司令官のブラウヒッチュ元帥が渋い表情で慎重な意見を述べるが、ヒトラーの考えは決まっていた。

 

「では元帥、『バルバロッサ』の発動は延期することとしよう。陸軍は全ての努力を派兵に向けたまえ。これは総統命令だ」

「…ハッ、承知致しました」

 

ブラウヒッチュ元帥は表情を変えずに首肯したが、内心ではホッとしていた。

隣では、参謀総長のハルダー上級大将も安堵したような表情を浮かべている。

この二人は元々対ソ戦に消極的であり、『イギリスという背後の敵を先ず片付けるべきだ』と考えていたからであった。

出席した軍人の一部には『「門」を破壊するべきでは』との意見も出たものの、大部分の出席者が賛成したことと、ヒトラーが派兵への意思を固めていたことから、最終的には『「門」の向こう側への派兵』が決まった。

 

「よろしい。では―」

 

ヒトラーは参加者全員の顔を見回しながら、強い意思のこもった声で命令した。

 

「国防軍と武装親衛隊は直ちに部隊を選抜、『門』の向こうに軍を派遣し、存在する敵性勢力を排除せよ!

諸君の奮戦と勝利を期待する! ジーク・ハイル!!」

「「「ジーク・ハイル!! ハイル・ヒトラー!!!」」」

 

ヒトラーの魂のこもった叫びに、参加者全員がナチス式敬礼で応える。

ある者は陶酔した表情で―

ある者は満足げに―

ある者は無表情かつ事務的に―

またある者は心の中で反発しつつ―

 

それでも皆、ナチス式敬礼を行っていた。

 

_______________________________

 

ドイツ国防軍はこの会議の後、直ちに派遣部隊の選定を行った。

その結果『少しでも「門」の軍勢との交戦経験がある部隊が望ましい』との結論に達し、第67歩兵師団を派遣部隊の編成表に加えた。

その中には勿論、ハンス・シュミット少尉の名前も記載されていた―




いかがでしたでしょうか?
仕事が忙しく、とうとうこんな時期になってしまいました。
申し訳ない思いでいっぱいです。

これからは投稿を増やしていきたいので、これからも宜しくお願い致します。
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