妖精王国編が終わるまでは今の投稿ペースを維持したいです。
13.ロリコン覚醒!?
『拠点内? 会話 男たちの悲哀 』
「よいしょ、よいしょ」
「わーい、ごろごろでちー!!」
「わぁ、でち子、お前なにしてやがる!!」
俺がその日、調達していたドラム缶を拠点の前に運んでいると、新しいオモチャを見つけたかのようにデーリッチがその中に入って転がって遊んでいた。
「危ないだろ、こんなかに入って遊ぶのは止めなさい」
「えーッ、マルちゃんこんな楽しい遊びを独り占めするつもりでちかー!!」
「こらッ、いい加減にしないとマリちゃんを呼ぶぞ」
俺はドラム缶の中からデーリッチを引っ張り出すと、子供特有の柔らかさと硬さの混じった体を持ち上げるように堪能しつつそう言った。
「ぶーぶー!! そもそも、こんなところにドラム缶なんて積んでなにをするんでち?」
「あん? そんなのお前らの為に決まってるじゃないか」
「えッ、それじゃあ先にデーリッチにも遊ばせてくれたっていいじゃないでちか!!」
「なんで遊ぶことを前提なんだよお前は。
これは俺やマッスルやアルフレッドがドラム缶風呂にして使うの」
俺がデーリッチに用途を説明してやると、彼女はきょとんとした顔になった。
「どうしてでち? お風呂なら拠点にあるじゃないでちか」
「気を使うんだよ!! 男女が同じ風呂場を使うとなると!!
この間、仕事探しに行った帰りの深夜に風呂に入ったら、湯船にピンクの長い髪の毛が浮いてたんだよ!!
気まずくなってそっとシャワーに切り替えたわ!!」
「あー……」
デーリッチもそろそろデリカシーを理解する年頃なのか、何とも言えずに目を逸らした。
「だからって男女別に時間を分けてお湯を張り替えるのも効率が悪いし、今の風呂場を拡張するのも限界があるしな」
「う、うん、気遣いは大事でちからね」
先に入っても後には入っても気を使う男の悲哀を感じ取ったのか、デーリッチは俺の涙ぐましい努力を肯定するのだった。
「いやぁ、こういうのも案外いいもんだなぁ」
「だろう? 湯加減はどうだ?」
「いい感じです、マルースさんも早く入った方が良いですよ」
「そうだな」
俺達男三人は、早速その日の夜にはドラム缶風呂を堪能していた。
一つ計算外だったのは、ドラム缶は人数分用意したが火加減の調整に一人が付きっきりになる必要があったことか。
「うおッ、あちっちち!! こっちは熱すぎるな、水で埋めないと」
俺は自分の分のドラム缶に水を投入し、温度を調整する。
そうして俺もドラム缶風呂の中に入ってみたのだが、少々水を入れ過ぎたようだ。
「うーん、ちょっと水を入れすぎたかなー」
しかも火は俺がドラム缶の中に入った拍子にあふれた水で消えてしまった。
「ばうばう!!」
俺が顔を顰めていると、拠点前でこっちの様子を興味深そうに見ていたベロベロスが近づいてきて、俺のドラム缶風呂に小さく火を吐き始めた。
「おおう、ベロベロス。サンキュ!! あー、いいお湯だ。
そう言えばお前も男だったな。こっちに来るか? 体洗ってやるよ」
「ばうばうばう!!」
「ははは、今どきは男も身だしなみに気を使う時代だからな」
俺はベロベロスを引っ張り上げると、胴体を抱き上げて一緒にドラム缶風呂に浸かった。
「夜空を見上げて、こうしてドラム缶風呂に入るってのも案外風情があるなぁ」
「どうせなら、美人のねーちゃんと一緒に風呂に入りたかったけどな!!」
「なんだマッスル、お前風俗で女遊びしたことないのか?
何なら今度連れて行ってやろうか? 帝都の繁華街に馴染みの店が有るんだよ」
「えッ、マジですかい!? マルースさん!!」
「そうだ、アルフレッドお前も来いよ、お前もそろそろ色を知る年頃ってなもんだ」
「え、ええ!? 僕はいいですよ!!」
「はははは、遠慮するなって。よし思い切って明日行くぞ、明日だ!」
「えー!!!」
アルフレッドが湯船の熱以外で赤くなっているのを見て、俺はけらけらと笑った。
「ばうぅ……」
「なんだベロベロス、お前もお嫁さんが欲しくなる年頃か?
なーに、お前もドッグレースに勝ち続ければ嫁さんなんて星の数ほど寄ってくるさ、この星空みたいにな!!」
俺達がこうして男の友情を深め合っているのを見て、ベロベロスは大丈夫かなぁと言う風に見ていたのを俺は気付かなかった。
今にして思えば、こいつはこの後起こる惨劇に対して、薄々気づいていたのかもしれなかった。
§§§
そして、その翌日の深夜。
俺達三人は、拠点の玄関口で正座させられていた。
「まったく、呆れ果てて物も言えないよ」
と、俺達三人を見下ろしそうぼやくのは我らがハグレ王国の母、ローズマリーだった。
「君たち三人がデーリッチに頼んで帝都まで行ったって聞いて探しにいかなかったら、どうするつもりだったんだい」
「「「…………」」」
俺達三人は無言だった。
無言で耐えることしかできなかった。
「聞いたよ、女の子をお持ち帰りできるお店で飲み食いして、帰り際に財布を揃って忘れて衛兵に突き出される直前だったんだって?」
俺達の惨たんたる有り様に、普段表情を滅多に変えないジーナも笑いをこらえてそう言った。
「くッ」
アルフレッドが恥ずかしさで死にそうになっているのを横で見ながら、俺は意を決した。
「俺だ、俺が誘ったんだ!!」
「マルースさん!?」
「俺が嫌がる二人を強引に誘って連れて行ったんだ!!
支払いも俺が持つつもりだった!! ちゃんと財布はいつものバッグに入れていた、落とすはずないんだ!!」
俺がそう主張して二人を庇った。
女性陣からの冷たい視線が突き刺さる。
「でも実際に財布はどこにも無かったんでしょう?
私が立て替えた分はあとでちゃんと返してくださいね」
「それは、それは勿論だ!! でももうちょっと待ってください!!」
俺は出来るだけ惨めに見えるように土下座をした。
そうして二人が助かるのならば、と道化になった。
「おー、マルっち、帰ってたんだ」
その時、夜中だと言うのにハピコが現れ、俺達の前にやってきた。
「これ、マルっちの財布だろ? 廊下に落ちてたぜ」
「は、はぁ!?」
俺は驚いてハピコから財布をむしり取ると、中身を確認した。
……大丈夫だ、1ゴールドも減っていない。
「廊下に落ちてた? そんな、バカな……」
「ハピコ君、もしや君、この三人が風俗に行くのを知っててマルースさんから財布をスッたな?」
震える俺を尻目に、何か察した様子のローズマリーがそんなことを口にした。
「またまたぁ、姉御ったら何を仰るんだか。
いかがわしいことをしようとしたダメ男たちに天罰が下っただけの話でしょう?」
そしてハピコは何やら上機嫌のまま戻って行った。
「はぁ、君たちも男性だから、まあ、その、持てあますのはわかるし、外で発散しようとするのは、まあ理性ある行動だと思うよ?
ただこうして痛い目を見たんだから、しばらくはこういう行動は控えて――」
「なぜだ!!」
俺はローズマリーが恥じらいながら男の性欲に理解を示そうとしているのを遮って、叫んだ。
「なぜ俺達、男だけが咎められ、笑われる!!
この王国に将来ハグレの娼婦が入りたいと言っても、夜の商売はいかがわしいからと追い出すのか!!
俺が一体どれだけの女を抱いたと思っている!! 女性に性欲など無く、迫る男が全て悪いとでも言うつもりか!!」
「ああいや、そこまで言うつもりは……」
「もう放っておいてくれ!! しばらくここには戻ってこないからな!!」
俺は立ち上がって、踵を返す。
驚き俺の顔を見上げるマッスルとアルフレッドに、にやりと笑ってみせると、二人の心の中の敬礼が見えた気がした。
そして俺はそのまま拠点を飛び出し、夜道を駆けだした。
さーて、ほとぼりが冷めるまで何してようか。
『 妖精王国にて 』
「と言ったことが、先日ありまして」
「ぷっははは!! あっはははははははは!!!」
ローズマリーの話を聞いたビルーダーは手を叩いて可笑しそうに大笑いした。
「あなた達の気持ちもわかるけど、これはどちらも悪いわ……ふふッ」
「ああ、やっぱりそうですよね……一応ハピコにはもうあんなイタズラをするなとは軽く叱っておきましたけど」
ぽりぽり、と気まずそうに頭を掻くローズマリー。
「食欲、睡眠欲、性欲の三大欲求は国が管理すべき事柄よ。
特に性欲は国が汚らわしいものだと決めつけてしまうと治安の悪化に繋がるわ。
国家の性質に清廉とか純潔だとかは害悪にしかならない。清濁を飲み干してこその国家であり、統治なのよ」
「……ええ、仰る通りです」
今回の一件は、色々と反省点もあった。
マルースの言う通り、夜の商売に身を落とすハグレも一定数居るだろう。
そんな人たちが頼ってきて、そう言う商売をハグレ王国でするなと言うのはあまりにも酷なのだから。
「今回の場合、それをどうにかできる体制が無かったこの国に問題が有り、年頃の女の子にそんなことそう言った生々しいことをぶちまけて逃げ出すバカにも問題があったということね」
「いやまあ、実際、結構彼は我慢していた方だと思いますよ。
福ちゃんから、かなり好色だと聞いてますし」
実際マルースはここ二か月近く、ずっとハグレ王国の発展に尽力していた。
女遊びをする暇なんて、それこそなかっただろう。近隣にそう言った場所も無いわけだし。
「かと言って、簡単に歩み寄ってはダメよ。
あれは狼よ。隙を見せたら押し倒して、次の日には更なる食欲を満たすように次の得物を探すの」
「ははは、気を付けます」
「ええ、そうしなさい」
「はい。ところで」
気を取り直して、ローズマリーは本題に入った。
「この妖精王国について、どう思いますか?」
「不自然ね。猿が少し見ない間に人間と同じように生活しているかのようよ」
「なるほど、ビルーダー様はそれぐらい違和感を覚えますか」
彼女の率直な意見を聞いて、思案に耽るローズマリー。
今、彼女らの現在位置は先日王国が支援した南に有るユノッグ村の更に南の湖の近く。その名も、妖精王国である。
その名の通り、妖精たちが興した国らしく、ここ最近になって台頭してきたようだ。
ハグレ王国とは客足が競合しており、客の取り合いは既に始まっているらしい。
しかし妖精とは本来森の奥でひっそりと自給自足している連中で、人間相手に商売するどころか森の外に出てくることすら稀だという。
もしかしたら誰かが裏に居るのかもしれないという懸念から、ローズマリーたちは本日偵察にやって来ていた。
そしてもちろん、妖精が興した国とやらに興味を引かれたビルーダーも同行していた。
「ただ勘違いしないでほしいのだけど、私は妖精と言う種族を軽くは見ていないわ。
世界や妖精の種類にも依るけど、彼らの技術は時に神話の神々にも引けを取らないもの。
だけどこんなマナの薄い世界で彼らがそんな能力や技術が発達できる環境に居るとは思えない」
「ではやはり、第三者の介入が有ったと見るのが妥当でしょうか」
「最初はこの世界に無秩序に溢れた技術の影響かと思ったけど、どうやらそうではなさそうだもの」
と言ったやり取りをする二人は、一緒に偵察に来ていた面々と合流しに向かう。
合流した一行は、責任者も見当たらない為帰ろうと提案するローズマリーに対し、デーリッチとエステルが名物の温泉施設に行きたいとだだをこね始めた。
結局二人のわがままに折れたローズマリーだったが、妖精温泉はシーズン中は完全予約中のようで宿泊どころか入浴すら不可能だった。
それを見かねた同じ境遇らしい宿泊しようとしてあぶれた女冒険者が、親切にも妖精王国の北の森の中に妖精たちが秘密にしている秘湯が存在していると教えてくれたのだ。
「温泉、……ああ、なるほど、そういうこと」
「ビルーダー様は何か気づきましたか?」
「確証は無いわ、興味が有るのなら行ってみましょう」
ビルーダーはそんな名探偵みたいなはぐらかし方をするので、ローズマリーも興味を引かれデーリッチ達と共に妖精の秘湯へと目指すこととなった。
§§§
「まったくもう、ヅッチーったらスマートじゃないんだから!!」
妖精王国の北の森、秘湯へと続く道中で一人の妖精がぷりぷりと憤慨していた。
彼女はプリシラ。妖精王国を実質的に取り仕切る、妖精女王ヅッチーの右腕だった。
なぜ彼女が憤慨しているかと言うと、前々から警戒していたハグレ王国が妖精たちの秘中の秘たる秘湯に向かって侵入しようとしてきたのである。
それに対するヅッチーの対応がことごとく裏目に出たりするので、結局彼女は武力で排除を試みようとしているのだ。
プリシラは思う。もっと上手い手はあるんじゃないのかと!!
自分たちが、ヅッチーが戦わなくたって、あいつらを追い返す方法はあるんじゃないか、と。
そう主張する彼女にヅッチーは、大丈夫だこのヅッチーに任せておけ、と笑顔で笑いかけるので、結局不満はへにゃりとしぼんでしまったのである。
ヅッチーはプリシラの、妖精たちのカリスマで、光だった。
妖精たちは皆、彼女の前向きに物事を引っ張っていく力に惹かれていたし、心のどこかで崇敬を抱いていた。
だからと言って打てる手を打たない訳にはいかない。
そんな時、がさごそ、と近くの茂みが動いた。
魔物か、ハグレ王国か、と警戒したプリシラは慌てて樹の裏に隠れた。
しかし、何も現れない。ホッとした彼女が息を吐くと……。
「おっほー!! ラッキー!!
こんな森の中でロリ妖精ゲットだぜ!! 君可愛いから俺のジョークグッズにしてやろうかなぁ!!」
「き、きゃあああぁぁぁ!!!」
突如として背後から現れた変質者に捕まったプリシラは悲鳴を上げた。
「た、助けてヅッチー!!」
「おう、任せなプリシラ!!
おのれハグレ王国め、プリシラを人質に取るとは卑怯者め!! 喰らえ!!」
プリシラの悲鳴を聞き付け、颯爽と現れたヅッチー。
「「んぎゃあああぁぁぁ!!」」
「あ、しまった……」
しかし彼女の放った電撃は彼女と変質者を一緒にビリビリさせた。
「ぐふ、ナイスな電撃だ……惚れたぜ、うん?」
そこでその変質者、もとい我らが主人公マルースはヅッチーの姿をハッキリと認識した。
「そこの妖精ちゃん!! カワイイね!!
俺のジョークグッズになることを前提に付き合ってくれ!!」
「うん? ほほう、このヅッチーの可愛さが分かるとは、あんた人間なのに見る目があるな!!」
これが彼と妖精王国の、もっと言えば長い付き合いになるプリシラとの出会いだった。
未来の魔王にセクハラをして恐ろしい負債を重ねて行くマルース君。やべぇよやべぇよ。
もうこの時点で大抵の人はゼニヤッタちゃんを仲間にしているでしょうが、妖精王国編が終わる次々回まで未登場です悪しからず。アンケート結果のお題反映もそのくらいで。
色々吹っ切れた主人公のマルース君、彼の次の行動派?
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ローズマリーに求婚する
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こたつちゃんのこたつに入ろうとする
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性欲を爆発させ手当たり次第に抱き着く
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もういっそ全部やる