殆ど伏線を張ったり説明回となります。
『拠点内会話 神々の茶会 』
「いやぁ、私のような新参者が格式の高そうなお茶会に参加を許されても良いんですかねぇ」
かなづち大明神がヅッチーに付いてきてハグレ王国に参加したのが数日前。
彼女はティーティー様によって神々のお茶会に誘われていた。
「そう畏まることはないぞ。
正直わしも参加者が増えると助かるからの」
「はぁ、そう言うことなら」
かなづち大明神はティーティー様の物言いに引っかかる物を覚えたが、断る理由も無いので頷くことにした。
そしてお茶会が始まり、すぐに参加したことを後悔した。
「聞きましたよ、ビルーダー様。
最近、この世界の天界の方でも活動をされているとか」
「ええ、天界と言うのだから神々ばかりが住んでいるとばかり思っていたから驚いたわ。
普通に人間たちも住んでいるみたいだし、彼らと交流を持ってみようと思ったのよ」
「……最近、人々の生活のレベルが向上していると聞きました。
あなたの仕業だったんですね」
「だって彼らの生活、地上より質素だったのよ?
多少の不便を解消してあげるくらい、構わないじゃない」
「もう既に、貴女を崇める集団が現れたとも聞きましたよ」
「だって私の恩恵に与るってことは、私を崇拝することと同義じゃない。
他の神々だって多かれ少なかれそういうところはあるじゃない」
その福ちゃんとビルーダーの会話を聞き流しながら、はむはむとリスのようにクッキーの破片を頬張るティーティー様を見てかなづち大明神は現実逃避気味に癒されていた。
「もう既に、あなたの信者と小競り合いをする勢力もあったとか」
「それは私も聞いていたわ。私のことを馬鹿にする者が居て、私の信者が怒って喧嘩をしたそうね。
私の方からもきつく言い含めておいたわ。そんなことで怒る必要はすぐに無くなるって」
「ではやはり、これから天界で勢力を伸ばしていくと言うことでよろしいんですね?」
「天界で最大派閥の主が何を恐れているのよ。
まさか私が、天界で暴力的な侵略をするとでも?」
「あなた、もしくは貴女と同じ分体が存在すると思しき世界から来たというハグレの方から話を聞きましたわ。
その方の故郷で、貴女がどう呼ばれていたか分かりますか?」
「――侵略の女神とか、そんなところでしょう?
私、敵対者には容赦しない主義なのよ」
しん、とした張りつめた空気になり、かなづち大明神は察した。
今、いつもなら談話スペースでごろごろしている者が一人か二人か居るのに、今は人が寄りつく気配すらない理由を。
「そのハグレの居た世界では、貴女が現れてから全てが変わったそうです。
文化も、生活も、信仰も。特に貴女に敵対した神々は見せしめのように皆殺しにしたとか」
「ああ、だから福ちゃん、貴女そんなに怖い雰囲気なのね」
「否定や言い訳はしないんですね」
「私の本体の分体は私と同じ思考パターンを持っているわ。
だったら、その私も多分こう思うはずよ。――こいつら邪魔だなって」
ビルーダーは飲む必要のない紅茶を口にして、当たり前のようにそう答えた。
「敵対した神々も、その信者と家族も、土地も文化も信仰も歴史も全て焼き払った筈よ」
「なぜ、そこまでする必要があるんです?」
「私の考え以外の思想と信仰があると、人々は迷うからよ。私の思う統治に支障をきたすのもあるし、悔恨を残さず報復を防ぐという意味合いもあるわね」
「だから、虐殺を肯定するんですか?」
「私は人々に文明や知恵を与える者よ。戦争やその災禍を否定するほど偽善者じゃないわ。
そして可能な限り犠牲を減らす為に、一度で必要な全ての残虐をやり遂げたはずだわ。
そのハグレ、きっと生活が良くなって喜んでたでしょう?」
「……ええ、そしてこの世界に召喚されて、元の世界での生活に戻りたいとも」
福ちゃんは複雑そうな表情で、その言葉を絞り出すようにそう答えた。
「ええ、そうでしょうとも」
「私には理解できませんわ。なぜあなたがそこまでするのか。そんな選択を取れるのか」
「むしろ私は、貴女のそんな有り様が不思議なのだけど」
ビルーダーの疑問に、福ちゃんは無言を貫いた。
「私の使徒へ与えた我が加護を破った貴女の力が、まさかただの福の神だとでも?
貴女が私に抱く不信感の正体を言い当ててあげましょうか?
“同族嫌悪”……考え方が違うだけで似た者同士なのよ、私とあなたは」
「……そんなことはありませんわ。決して、そんなこと」
「なあ、二人ばかりで話しておらんで、わしの話も聞いてはくれんか」
頃合を見て、ティーティー様が口を挟んだ。
息も詰まるような雰囲気が断たれ、かなづち大明神はほっと息を吐いた。
「ああごめんなさい、どうぞ」
「ええ、何でもおっしゃってください」
「実は先日、こんなことがあったんじゃよ」
そしてティーティー様は語り始めた。
ついこの間の話である。
お悩み相談所で、ある一人の男性が相談にやってきたのだ。
その相談というのが恋の悩みで、ティーティー様は真摯に相談に乗った
高嶺の花過ぎるらしいその相手に、勇気を出して告白してみたらどうだと彼女は助言をした。
それを受け、彼は意を決してこう言ったそうだ。
――ティーティー様、結婚を前提にお付き合いしてください!!
「……いや、わしにどうしろと」
遠い目になるティーティー様。
これには他の三人も無言になった。
「ええと、それで結局どう返事したんですか?」
かなづち大明神が神妙な様子で尋ねてみた。
「それがその時わしの付き人をしていたマルースがそいつを相談室から摘まみ出して、こう言ったんじゃよ。
――てめぇふざけんな、何様のつもりだ!! 俺だってティーティー様と結婚したいわ!!」
「「「……」」」
再び無言になる三人。
「……いや、わしにどうしろと」
「そ、それはほら、ティーティー様がそれだけ慕われているってことでは?」
「そ、そうですよ!! 一人だけ地の文で様付けされるだけはありますって!!」
福ちゃんとかなづち大明神の必死のフォローも、ティーティー様は不満そうだった。
「そもそも、わしを伴侶にして何を期待しておるんじゃ。
家事をするにもこの身長だぞ。男女の営みも満足にできんわ!!」
「それはほら、そう言うのが好きな人も居るじゃない……」
「死ぬわ!! ひぎぃ、とかシャレにならんからな!!」
「確かにそれは笑えないですね……」
ビルーダーもかなづち大明神も、身長約16センチの神様の主張に何とも言えない表情をしていた。
「関係ないことですが、なんでその時マルースさんが付き人を? ハオちゃんはどうしたんですか?」
そこで福ちゃんが露骨に話題を逸らした。
「ふーむ、そのことも言っておくか。
最近、ハオの奴がお主に積極的にこき使われておるんじゃよ」
「あら、そうだったかしら」
「とぼけるでない。お主が来てから毎日五回は換えてくれたこのカップの紅茶が三回にまで減ったわ。
正直に言ってみよ、ビルーダー。
お主がハオに憑依した時、何をしたんじゃ?」
「うーん、どうしようかしら」
ビルーダーは他の三人の視線を受け、もったいぶった様子で小首を傾げた。
なお、ティーティー様ってビルーダー様を呼び捨てに出来るなんてすごいな、とこの時かなづち大明神は思っていた。
「まあこのまま私が悪者になるのも気分が悪いから教えましょう。
実はあの時、ハオちゃんに体を貸してもらった対価に、知力を上げてあげたのよ」
「なんじゃと!! 貴様、ハオの頭を弄くったのか!!」
「最後まで聞きなさいよ。
ティーティー様、あなた彼女に毎日、国語の勉強を見てあげているそうね。
彼女、結構気にしてたわよ。自分が勉強が苦手だから、ティーティー様に負担になってるんじゃないかって。
だから私に尽くせば、また知力を上げて貰えると思っているのよ。私はこれ以上、彼女の知力を上げるつもりなんて皆無なのにね」
その衝撃的な事実に憤るティーティー様に、ビルーダーはそう弁解した。
「……そうであったのか。
しかし、正直ハオの頭のデキは以前と大して変わっておらんように思えるのだが」
「私としては大奮発サービスで、以前より知力を二倍にしてあげたのだけど」
「1から2になっただけかい!!」
そりゃあ大差ないわ、とティーティー様はホッとしてカップの縁にだらりと体を預けた。
「健気な話じゃないですか、ティーティー様」
「そうよ、私が勉強を教えてあげるって言っても、今はティーティー様に教えてもらう為に頑張ってるから大丈夫ハオって。
泣けるじゃない、私そう言うの弱いのよ」
福ちゃんもこの話にはほっこりした様子で、ビルーダーも涙ぐむ仕草を見せた。
「まったく、ハオの奴め。
普段は明け透けなくせしてそういうところでやせ我慢しおってからに」
「今度、児童向けの学習用の絵本を見繕って送るわ」
「……助かる」
ハオが児童と同レベルと言われても言い返せないティーティー様だったが、ビルーダーの厚意を素直に受け取ることにしたのだった。
「ふぅ、ようやく終わりましたか。息がつまりそうでしたよ。
いつもあんな感じなんですか、あの二人?」
「悪いな、かなちゃん。今日はいつにもましてギスギスしておったわ」
程なくして、お茶会がお開きとなり、ティーティー様を持ったかなづち大明神がそそくさと離脱した。
「いえ、お気になさらず。
次は私からも何か話題を探しておきますね」
「かなちゃん、案外付き合い良いのな」
次も律儀に参加する気である彼女に、ティーティー様もフッと微笑んだ。
「何だか、気を遣わせてしまったようですね……」
「そうね……次からはこんな腹の探り合いみたいな真似、止めましょう」
そしてその場に残された二柱は、ふぅと溜息を吐いた。
「天界では派閥争いは珍しくありません。貴女が勢力を伸ばすのなら、いずれぶつかる日もくるでしょう。
私たちのいざこざは、その時まで取っておきましょう」
「賛成だわ、でも一つだけ聞かせて。
私と一緒に天界を統べ、来るべき時に地上を我らが恩恵で満たそうと思わない?」
そんなビルーダーの誘いに、福ちゃんは即答した。
「昔、あなたと同じようなことを私に言った者が居ましたわ。
そして、そうなっていない事こそが、私の答えです」
「そう。貴女となら、友達になれると思ったのだけれど」
その返答に一抹の寂しさを見せつつも、ビルーダーはさっさと割り切った。
「私は、貴女が羨ましいわ。神と言うのも不自由なもので、自身の性質に縛られてしまう。
ある意味では、人間よりずっと哀れな存在よ。私たちは」
「……そうなのかもしれませんね」
それに関して、福ちゃんは同感だった。
人間だって生まれ持った能力に人生を左右されるが、神々はそれが更に顕著だ。
「私も、あの子のように無垢で、純粋で、上から見下ろしてるだけで偉そうにしているような連中のようにはなりたくない、なんて思ってた時期があったのよ、信じられないかもしれないけど。
その頃の私はこの王国みたいに小さな島を治めていて、誰も傷つかず、誰も苦しまず、争わず、誰もが笑顔で私を敬い健やかに過ごしていたのよ。
ここにいると、そんな初心を思い出して懐かしいの。でも……」
「……でも?」
「今では私と敵対した者は、指を指してこう言うわ。
――お前は狂っている、って。間抜けな物言いよね。私たちは誰かの正気を保証する側だと言うのに」
そう言って、ビルーダーもその場から去って行った。
それ以降、福ちゃんが彼女の弱音を聞いたのはお互いに決着がついてからになるのだった。
「そう言うあなたが、自分の正気を信じていないでどうするのですか……」
彼女は、好ましくも嫌悪もし切れないあの女神に対し、複雑な感情の入り混じった溜息を吐いた。
『拠点内会話 キーオブパンドラ危機一髪!? 』
「デーリッチ、ちょっとその鍵貸して」
「いいでちよー」
貸してと言われてあっさりとビルーダーにキーオブパンドラを貸してしまうデーリッチ。
この後、阿鼻叫喚の様相を呈するとは誰も思わずに。
「うんぎゃー!!」
デーリッチの叫び声が、拠点に轟いた。
「どうしたんだ、デーリッチ!!」
そして真っ先に彼女の悲鳴に駆けつけたのは、言わずもがなローズマリーだった。
そんな彼女も、デーリッチが見た光景には絶句した。
「なになにどうしたの? って、えええぇぇ!?」
次にその場に現れたエステルは、目の前で行われている暴挙に驚愕した。
「き、キーオブパンドラが!! バラバラに!!」
がっくりと膝を折るデーリッチの目の前では、ビルーダーが未知の工具を持ち出しキーオブパンドラを分解してじっくりと見て回っていた。
「ああ、デーリッチの存在意義が……これからはリカバーするだけの機械として頑張ろうな」
「ちっとも励ましになってないでち!!」
涙目でそう返すデーリッチを、エステルはまあまあと宥めた。
「ええと、ビルーダー様、一体何をしているんですか?」
「見て分からない? オーバーホールしているのよ。だってこれ、千年物の遺物なんでしょう?」
「オーバーホールってことは、メンテナンスしているってことで良いんですね?」
「私が子供から玩具を取り上げて目の前で壊す性悪に見えるの?」
ローズマリーの反応に、やや不機嫌そうにビルーダーは答えた。
「ちゃんと戻せるんでちよね? 戻せるんでちよね!!」
「これは思った以上に精密機械よ。手元が狂うわ黙ってなさい」
「はい!!」
周囲で騒ぐデーリッチに更に不機嫌そうになってビルーダーがそう返すもんだから、彼女は直立不動になって固まった。
「ふーむ、空間移動装置をこのレベルにまで小型化できる文明ね。
あとで幾つかの遺跡を回って判断する必要があるかしら」
「あのー、一体何の判断ですか?」
「文明レベルの査定、要するにその文明がどれほどの技術や発展をしていたかの総合的評価ね」
「へ、へぇー」
恐る恐る尋ねてくるエステルに、いい加減周囲の視線が煩わしくなったのかビルーダーが作業の手を止めた。
「いい機会だから、私がどういう基準で人々に知恵や技術を授けるか教えておきましょうか」
彼女は三人以外も遠巻きに見ている王国の面々にも向けてそう言った。
「これが何だかわかるかしら?」
彼女はそう言って、虚空から一本の銃を取り出した。
「ああデーリッチ、触っちゃダメだよ。
これは、銃ですよね? だけど単発式じゃないようですし、材質もよく分からないや。ジーナさん、ちょっとこれ見てくれません?」
「あいよ」
興味深そうにしていたジーナに、ローズマリーはその銃を手渡した。
「ふむ、ほう、なるほど……」
「普通の銃と何が違うのかしら」
「正確には分解しないと分からないけど、多分私の技術でこれを再現するのは恐ろしく面倒だってことはわかるわね」
ジーナはそう結論を出して、エステルにそれを押し付けた。
「私はひとつの明確な基準として、その銃と同じレベルの代物を十分な数配備できる文明を、文明レベル50と定義しているわ。
その銃は射程距離、精度、連射性、どれをとっても魔物の脅威や剣と魔法の時代を終わらせるのに十分な性能を有しているわ。
それを持った十人の兵士が居るだけで、この世界の十倍二十倍の相手をものともしないでしょう」
「そ、想像以上にヤバイ代物だったわ……」
エステルはそっとその銃をビルーダーに返却した。
「外敵を排除し、安寧を得た人類は人口が爆発的に増え、文明レベル50以上は概ね加速度的に発展するわ。
キーオブパンドラを作成できる文明レベルは、およそ80から85と言ったところかしら」
「へぇ~、じゃあこの世界の文明レベルはどのくらいなんでちか?」
デーリッチが率直な疑問をぶつけてきた。
「およそ、40から45程度ね。よその世界から色々と技術が流入しているようだから正確には判別しがたいけれど。
この世界は丁度、騎士や魔法が戦場で台頭していて、大砲などの銃火器で長距離での撃ち合いといった戦争に移行する手前と言ったところかしら。
もっと大砲や銃が戦場で出回るようになったなら、文明レベル45以上と明確になるのだけど」
「じゃあ本当にキーオブパンドラを作り出した古代文明は非常に優れた技術を持っていたわけなんですね」
「まあ優れた技術が必ずしも人々に幸福を齎すわけではないのだけれどね」
感心したように頷くローズマリーに、ビルーダーは淡く微笑んだ。
「私はこのように文明レベルといった基準を設け、それに見合わない知恵や技術を人々に授けられないの。
これは私の意思とかではなく私の本体が決めたルールで、私にはどうしようもできないわ。
だからこの世界のハグレ達がいかに哀れで救われなかろうと、私の判断で異世界間を移動する技術を示すわけにはいかないのよ。
その理由は、言わずともあなた達が一番分かってるわよね?」
確認するように問うビルーダーの言葉に、三人は頷いた。
召喚と言う技術に多かれ少なかれ、ここにいる面々はその混乱や負の側面に巻き込まれ、向きあってきたのだから。
「まあ、仮に教えたところで異世界渡航の技術はよほど特異な技術の発展をしない限り、文明レベル90近い超高度の技術が必要になるわけだけど」
返してもらった銃を飴細工のように捩じって丸めて消滅させたビルーダーはそう説明した。
その銃も、この世界には過ぎたるもののようだった。
「まあ、これは私が与える一般的な文化の順序でしかないわ。
たった一人の天才が、文明レベルに見合わぬ技術を開発することもある。そんなことを幾百と見てきたわ」
「そこまで行くと、文明レベル100とかってどんな世界なんだか想像も出来ないわね……」
エステルがそう呟くと、ビルーダーは顔を曇らせた。
「えッ、あの、どうかしましたか!!」
「ああ、気にしないで。私もまだ神として未熟な頃、高度な文明こそが人々を豊かにすると思って失敗したことが有るのよ。
あの時は反逆されて滅ぼすのが大変だったわ。……あの時の人々には悪いことをしたわね、一瞬で皆殺しにしてあげられなくて、苦しみを随分と長引かせてしまった」
「い、言わなきゃよかった……」
きっと想像を絶する地獄絵図を思い浮かべ、エステルはげんなりした。
「うん? ちょっと待ってください。
一瞬で滅ぼす? 貴女は世界を滅ぼす時、あの使徒を大量にけしかけ地図を狭めるように空間を食い荒らし、人々を追い詰めるとマルースさんから聞きましたが?」
「なぜそんな回りくどいことをする必要があるの?
そもそも効率が悪いし、そんな方法で世界を滅ぼすなんて悪趣味だわ」
ローズマリーに対する疑問の答えに、あの時使徒と戦った面々は驚き顔を見合わせた。
「え、じゃあどうしてそんな方法でマルちゃんの世界のビルーダー様は人類を滅ぼしたんでちか?
あッ、もしかして、そのビルーダー様は偽物だったり?」
「いえ、多分私でしょうね。必要に迫られたら、私だって同じことをするわ。
さっき反逆された超高度文明の時もそうしたし」
「おうふ、デーリッチのフォローが……」
デーリッチは何とも言えなさそうな表情で、遠巻きに見ている面々からマルースが強張った表情で離れていったのを見た。
「ああ、やっぱりいくつかの部品が劣化しているわね。あとで交換してあげるわ。
それにしても、よくもまあこんな代物を武器として扱えるわね。ほら、これは間違いなくこの世界の至宝のひとつよ、大事に扱いなさい」
「あ、ありがとうでち、ビルーダー様……」
ぱっぱと組み立てられて元通りになったキーオブパンドラを返却され、一応お礼をいうデーリッチ。
「……あれ、このネジどこのだったかしら」
「ちょっとー!!」
デーリッチの切実な叫びが、拠点内にこだました。
「しかし、マルースさんの話を聞く限り、彼の住んでいた世界の文明はビルーダー様によって厳格に管理されていた。
それを彼女がいう所の、悪趣味な方法で滅ぼす理由とはなんだ?」
一人、ローズマリーは己の内に湧いた疑問を口に出した。
「……こればかりは私が答えを出す疑問ではないか」
だがそう呟いて、彼女は疑問を振り払った。
これは自分に与えらえた問いではないのだから。
今回は後の天界イベントで派閥戦のフラグを着々と立てているビルーダー様、と彼女の制約の話。
こういうしておくべき話は先に書いておかないとですからね。
次回はいよいよヅッチーとかゼニヤッタとかこどらとかが出ますよ!!
長引けば拠点内会話はあと二回ぐらいは書けるかもしれません。まあ、そう言う話がメインの作品ですからね!!
そういうわけで、また次回!!
お待たせあれ!!