ご協力感謝です。
今回も新しいアンケートを設置しますので、引き続きご協力くださると幸いです。
『拠点内イベント “今日から神様!? ” 』
「ベロベロス~、今日のごはんでちよー」
その日、デーリッチはいつものように拠点の入り口でベロベロスに餌をやっていた。
彼もバウバウと鳴いて三つの顔を器用に使い餌を食べ始めた。
「カタちゃんも食べるでちー」
そしてデーリッチは拠点の外に鎮座しているベロベロスの数倍の巨体の使徒にも餌の皿を置いた。
ビルーダーからは餌をやる必要はないと言われているが、デーリッチは毎日欠かさず餌を上げていた。
「あれ、もう何か食べたんでちか?」
しかし使徒カタちゃんは何やら口をもごもごとしており、もうすでに何かを食べたのかと彼女は小首をかしげていると。
ぶほッ、と使徒は何やら長方形の物体を吐きだした。
「うおッ!? カタちゃん、一度口の中に入れたものを吐き出しちゃダメでちよ!!」
デーリッチがカタちゃんを躾の為に叱ろうとそう言ったのだが、使徒はくいくいと触覚で自分が吐き出したそれを指示した。
「うん? これって、ゲームの筐体でちか?」
それはどこからどう見てもゲームセンターに置いてあるゲームの筐体であった。
「なになに、『資料を送ったんだからそっちもサンプルを提供しなさい』ですって?」
「どういうことですか? ビルーダー様」
「この間のお茶会で読むための資料をうちの神域にいる資料室の管理人に頼んだのよ。
そしたら実験室の私の分体が、せっかく色んな価値観の人種がいるんだからこれを使ってシミュレートしてみなさい、って送ってきたのよ」
「はぁ、要するにビルーダー様たちがいる本部からうちにゲームを遊んでもらう為に送ってきたんですか?」
「おおむねその認識で構わないわ」
拠点の共有スペースに運び込まれていた筐体を見て興味深そうにしている面々を見ながらビルーダーとローズマリーが筐体に付属していた手紙を読んでそんな会話を交わしていた。
「うおー、すげぇゲーセンみたいだ!!」
「ビルーダー様!! 早く遊んでみたいでち!!」
そうしていると、一番前で陣取っているヅッチーとデーリッチが二人に向かって催促をし始めた。
「ちょっと待ってて、はい起動、と。
ゲームタイトルは“今日から神様!? ”って、これ研修用の奴をこの世界の文明レベルに合わせてスケールダウンさせた奴ってことかしら。
ええと、シナリオは……まったく、むかつくわ」
ビルーダーは筐体を起動させていくつかの操作をすると、急に不機嫌そうになった。
「これはどういうゲームなんですか?」
横から福ちゃんが覗き込んで彼女に。
「私たち分体は何らかの原因で消滅した場合、補充されるのよ。
でも私たちはそれなりに個体差があって、そうした新しい分体は研修を受けて希望の部署に配属されの。
そしてこれはその研修の際に使われるシミュレーションゲームってわけ。
ゲームの中でプレイヤーは実際に神として振る舞ってそこに住む人々を導いて、その結果無数に用意されたエンディングのいずれかに到達して最後に神としての評価が出るって感じかしら」
「なるほど、興味深いですね。私も遊んで良いんですか?」
「このハグレ王国はいろいろな種族や価値観を持つ人間がいるでしょう?
だから皆に遊んでもらってそのログを収集したいらしいわ、だからどうぞ」
ビルーダーは福ちゃんとみんなに向けてそう説明し、筐体を指示した。
「はいはい、デーリッチ王様!! 王様特権!! だから最初にやるでち!!」
「あー、ずるいぞ相棒ー!!」
「こらこら、喧嘩しないでじゃんけんで決めなさい」
ローズマリーが子供二人を窘め、厳正なるじゃんけんの結果、やっぱりデーリッチが最初となった。
「まあ、サンプルとしては最初にデーリッチがプレイするのが妥当かしら」
と、ビルーダーは興味深そうに椅子に座って筐体に向かうデーリッチを見やった。
「ええと、シナリオは孤島編でいいんでちか?」
タイトル画面からシナリオ選択画面に移り、孤島編とフリーシナリオが選択できるようになると、デーリッチが尋ねてきたので彼女は頷いた。
デーリッチが決定ボタンを押すと、ゲームが始まった。
“あなたは今日から神様です。
どんなことも、口にするだけで自由自在です。
そこに住む人々に対し、やりたいことも、させたいことも、好きに言葉にしてみてください。
あなたの望むイベント、望む結末が訪れるでしょう。
どんな結果になったって、誰もあなたを咎めません。
だって、あなたは神様なんですから”
と言ったモノローグが下から上へと流れていき、ゲーム画面が移り変わった。
チュートリアルをしますか? という質問に、デーリッチは“はい”を押した。
『このシミュレーションゲームは、マイクに向かって口頭で様々な事象をゲーム内に引き起こすことができます。
試しに、マイクに向かって何か話してみてください』
「むむ、そう言われると悩むでちね……」
「チュートリアルなんだから、試しに好きなことを言ってみればいいじゃないか」
「そうでちねー、じゃあ今日はデーリッチ神の降臨記念ということで島民全員プリンを食べる日にするでち!!」
「君らしいなぁ」
ローズマリーがデーリッチを見て和んでいると、ゲーム内画面の島民たちの手元にプリンが現れ、彼らは空に向かって感謝をささげながらプリンを食し始めた。
「おおー!! みんなデーリッチの授けたプリンを食べてるでち!!」
「へぇー、すごい技術だ、どうなっているんだろう」
ローズマリーが画面を見ていると、画面右端にある数値が変動したことに気付いた。
同時に、新たな説明がその数値を指示す。
『この信仰値と介入値について説明します。
信仰値はどれだけあなたを信仰しているかの値になり、介入値はどれだけあなたが人々に直接介入したかを示します。
この数値とあなたの行いによって、そこに住む人々とあなたの結末が決まっていきます』
とのことだった。
「さあ、ここからは自由に操作できるわよ、
スティックでカーソルを島民に合わせると詳細が見れるわ。まあ、何かをやらせるならそれを参照すればいいわ」
「ほうほう、面白そうでちね」
そうしてデーリッチ神の采配によって孤島の運命が決まるのであった。
「ふっふっふ、口にしたことがなんでも実現するならこんなのヌルゲーでち。最高のハッピーエンドは見えたかな」
と、イキってゲームを始めたデーリッチだったが、三十分後。
「みぎゃー!! 無し無し!! 今の無し!! やり直し!!」
シナリオの結果、島民たちが虐殺されデーリッチが筐体を叩いてマイクに叫んだところで、画面が真っ白になった。
だがすぐに白い画面が晴れると、ゲーム開始当初の光景が広がっていた。
そして。
“エンディング№1
結末『神の微睡』
信頼値100
介入値100
評価:すべてを無かったことにしようとしたあなたは、神として失格です。
全ては微睡の中の出来事、あなたのしたことに意味はありましたか? ”
という散々な結果だった。
それを見ていた面々は思った。これは辛い、と。
「毎年デーリッチ神降臨記念日に島民たちがプリンを食べてたのを喜んでただけにこの結末は悲しいですわね……」
エンディング画面を見て呆然としているデーリッチを見て、ヘルラージュがやるせなさそうにそう言った。
「う、うう、びえぇぇぇん!!」
「ああ、泣き出しちゃった!?」
このゲーム、島民たちとカーソルを合わせて会話もできるシステムがあり、頻繁に島民たちと交流を図っていたデーリッチはダメージが大きかったようだ。
ローズマリーがあやしながら彼女を椅子からどかした。
「いよーし、このヅッチーがデーリッチの仇を討つぜ!!」
と、次にヅッチーが意気込んでプレイしたのだが。
「な、なんでじゃー!!」
二十分後、島民は虐殺され全滅した。
“エンディング№06
結末『魔王降臨』
信頼値99
介入値60
評価:島にやってきた勇者たちを理由もなく撃退しましたね?
その結果、魔王が復活し人々は魔物に蹂躙されました。あなたは世界の滅亡を引き起こしたのです”
「うわ、エグ……これ、勇者たちに魔王を倒してもらわないとゲームオーバーってことでしょ?」
「でも勇者たちは孤島に不和を齎すし、どうすればいいのかな」
ヤエと雪乃がこのゲームのシナリオのエグさにドン引きしていた。
「このシナリオはゲーム中盤に、プレイヤーを頼りにやってくる勇者たちの対応が結末に大きく影響するわ。
でも彼らは孤島には無い大陸の魅力を島民たちに語り、その結果人々の心は揺れてしまうのよね。
さあ、次はだれがプレイするの?」
「くっそー、相棒、仇は取れなかったぜ……」
ヅッチーが椅子から退くと、ビルーダーの呼び掛けに誰もがしり込みする様子を見せた。
「誰もいかないなら私が行こうかな」
そして次なるプレイヤーはローズマリーだった。
彼女は二人の犠牲を無駄にすることなく、堅実なプレイで島を発展させていった。
中盤、彼女は勇者たちに伝説の剣を授けて早々に返すと、言い争う島民たちを仲裁し始めた。
島の外の大陸にあるものがほしいと言えば島の文明レベルを引き上げ、それでも島を出ていく者は引き止めなかった。
「堅実なプレイですね」
「問題はここからですよね」
固唾を呑んでローズマリーのプレイを見守る面々。
そう、問題はここからだった。
ここで勇者たちの対応を間違えたり不満を持っている者を島から出ていかせると、邪教の蔓延る島だとされ、大陸の一神教だという巨大宗教が教化、すなわち虐殺にやってくるのだ。
デーリッチはこれで島民を全滅させる羽目になった。
これに対するローズマリーの対応は、島民たちの武装化や島の要塞化だった。
そして虐殺にやってくる遠征軍を蹴散らし、見事ゲームクリアとなった。
”エンディング№7
結末『鉄の管理人』
信頼値55
介入値100
評価:あなたは立派に島民たちを繁栄させ、島を守り切りました。
これからはあなたの手が無くても彼らは無事にやっていけるでしょう”
「まあ、こんなもんかな」
おおー、と拍手が巻き起こる。
「ありがとでち、ローズマリー。島民たちの仇を討ってくれたでち」
「いやいや、これは二人の失敗があったからだよ」
すっかり泣き止んだデーリッチにローズマリーは謙遜してそう言った。
「これ、同じシナリオでも信頼値や介入値によって内容が分岐するから、ローズマリーがクリアしたからといって同じようにやればクリアできると思わないことね」
「いやー、結構細かく指示出してたし、そう簡単に姉御の真似できるかねぇ」
ビルーダーにそう言われ、むしろ彼女に関心するニワカマッスルだった。
「各々、自由にやってみなさい。じゃないとサンプルにならないから」
というビルーダーのお言葉により、この筐体は自由に解放された。
ハピコは復活した魔王とギャンブル対決し敗北、『失墜』という結末に。
ニワカマッスルは沢山の島民たちを筋肉隆々に鍛え上げ、図らずにも仲間割れを阻止し『筋肉の壁』という結末に。
ヤエはシナリオそっちのけで宇宙船を開発させ島民を地上から脱出、『新世界へ』という結末に。
雪乃は雪だるまキックを普及させチームを作り復活した魔王と雪だるまキック対決に至り勝利、『魔王撃退』という汎用エンド。
ハオは島民に狩猟技術を教えて狩猟民族と化した島民たちが大陸に進出、『狩猟民族の進撃』という結末に。
ティーティー様は中盤にやってきた勇者たちと共に自ら魔王討伐に乗り出し撃退『魔王撃退』の汎用エンド。
こたつドラゴンは指示が不適切で信仰値が低くなり、島民たちは全て出て行き、『無人島』という結末に。
エステルは“親友”“後輩”“自分”という独自ユニットを配置し魔王討伐に乗り出し楽々とクリア、『神話の戦い』という汎用エンドに。
ゼニヤッタは不慣れなプレイで島民たちを見守っていたが全滅、怒った彼女は神の力で討伐軍を撃退、『神の怒り』という結末に。
ジュリアは傭兵団を組織し、理不尽な暴力から島民を守り、『守護神』という結末に。
ヘルラージュはゲームでも秘密結社を組織したが、突発的なランダムイベントにあたふたし全滅、『評価値せず』という辛辣な結果だった。
ジーナとアルフレッド、ブリギットは不在のマルースと共に不参加だった。
皆が新しい攻略法を見つけたり、奇天烈なプレイをするたびに歓声を上げたり、その結末に一喜一憂する。
手すきになった者が別の者を呼んできて、どんなプレイになるかで盛り上がった。
そして。
「ああー!! 島民たちが反逆を!! なぜ、なぜだー!!」
かなづち大明神が筐体に手をドンと叩いた。
画面には島民たちが怒って孤島を出ていくさまが映っていた。
画面中央の『淫猥なる神』という結末が彼女のすべてを物語っていた。
「中盤まで結構いい感じだったのに、セクシーイベントなんて乱発するから信仰値が下がるんだよ。会話内容もセクハラばっかりだし」
「これは妖精王国から追放されたのも納得でち」
すっかりゲームのプレイ風景に見慣れた子供二人が悔し涙を流すかなづち大明神を見てそう言った。
時刻はすっかり夜になり、食事をはさみギャラリーは減ってもうすぐ就寝の時間だ。
「ふわぁ、もうお休みの時間でち……」
「そろそろ寝ようぜ、相棒~」
おねむな子供二人は目をしょぼしょぼしながら去って行った。
「残りは福ちゃんだけですか、どうぞ」
「ええ、そうですね」
福ちゃんはかなづち大明神の巨体が椅子から退くのを見て、入れ替わりに彼女は椅子に座った。
福ちゃんのプレイは福の神らしい介入値を最低限の抑え、住人との会話などで信頼値を上げる堅実なものだった。
勇者たちへの対応も手慣れたもので、祝福を与えて大陸に返した。
対応が良く邪教の烙印を押されることなく、大陸の新しい文化を求め島から出る者も不満も持たせず呼び止めなかった。
やがて島は高齢化し、人は誰も居なくなり、プレイヤーを祭る神殿だけが残り家屋も朽ちていく。
結末の名は『忘れ去られた神』だった。しかし評価はその手際を褒め、もっと住人達に踏み込むよう勧めていた。
「うーん、必ずしも介入値が低く抑えてもハッピーエンドになるわけではないんですね」
「でも大きな問題は起こさなかったじゃない、さすがの手際だわ」
「褒められているのにそこはかとなく上から目線なのはなんででしょう……」
「それは被害妄想よ。みんなのおかげでいいデータが取れたわ。
これで資料室と実験室の連中も満足するでしょう」
釈然としていない福ちゃんにそう言ったビルーダーに、声をかける人物がいた。
「なあ、これうちの店に置いてもいいか?」
「え?」
「えっ、て……駄菓子屋にゲームの筐体は付きものだろう?」
そんなブリギットの提案にビルーダーは目を瞬かせた。
「まあ、ログは送ってあるし置きっぱなしでも大丈夫だと思うけど」
「ええでも、いいんですか、ビルーダー様。
これって明らかにこの世界に不釣り合いな技術で作られてますよね?」
「ああそうね、言ってなかったわ。うちは娯楽に関しては寛容なのよ。
あっちがこれを送って大丈夫だと判断したのなら、それでいいんじゃないの?」
ローズマリーの質問に、筐体の扱いが面倒になったのか投げやりにビルーダーはそう言った。
「どうせ盗んだって解析なんてできないだろうし、好きにすればいいわ」
「じゃあ、あとでこいつは運んでおくわ」
そうして話はまとまったのだが。
「ちょっとヤエさん、早く代わってよー」
「待って!! 今、スペースヤエちゃん編が佳境に入ったところなんだから!!」
フリーシナリオで希望のシナリオをランダム作成して遊べることに気付いた拠点の住人達が筐体を放さず、王国内でこのゲームが大流行したのだった。
そしてこの筐体が駄菓子屋に並べられるまで、結局十日を要したそうな。
※次回以降、会議でビルーダーの新店舗提案が受けられるようになりました。
デーリッチ達がゲームで遊ぶ光景を書いていたら楽しくてそれだけで一話使ってしまった……。でもだれがどんな結末になるのか考えるの楽しかったです。
今回で妖精王国建国記念日の話を入れる予定だったんですが、それだと長くなるのでザンブラコの話と合わせて次回にしますね。
マルース君とビルーダー様のキャラ設定は二章のアナザーストーリー終了後に執筆する予定です。
こうして私の書いたオリキャラたちを見ていると、当初はこれ以上増やすべきではないとおもうのですが、執筆し拠点がにぎやかになって行くにつれ迷いが生じました。
原作に習い、エピソードごとにオリキャラを増やすべきなのでは? と。
アナザーストリーはこれからも章の終わりに入れていこうとおもうのですが、これ以上キャラを増やしても当初の想定通りごっちゃになるだけな気もします。
ですので、冒頭のとおりアンケートを実施します。重ねてご協力くださると助かります。
アナザーエピソードごとに、オリキャラを増やすべきでしょうか? 作者は迷っています。増やす場合、面倒な設定は付与しないつもりですが。
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イエス、もっとにぎやかになると楽しい!!
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ノー、これ以上キャラは必要ない。