ハイスペックボディで2度目の人生満喫しようとしたら、黒服になってた 作:
突然だが、私は転生した。
前世の私は一般家庭に生まれ、おおよそ皆が経験したであろうと変わらぬ程度に小学生、中学生、高校生、そして受験を挟み大学生。
それなりに真面目に生きてきたのが幸いしてなんとか一流企業に就職して、人並みに恋愛して嫁を貰い家庭を築いて、そして一生を全うした。
そんな私の一生を評価するとしたら可もなく不可もなくありきたり、と言うには少し惜しいので平均より少し良かった中の上とすることにしよう。
とまぁそんなこんなで期せず2度目の生を得た私は、折角だし前世ではあまり経験できなかったことも思い切ってやってみようと行動してきた。なんというかまぁ、俺Tueeeムーブをしてみたかった。
容姿に関しても前世で真面目に生きて徳を積んだと閻魔様に判決頂いたのか白髪赤目のアルビノ美少女。多少肌が日に弱いが体は健康そのもの、一度覚えたことは忘れないハイスペックボディ。最近の流行りでいうなら転生特典とでも言うべきだろうか。
とは言え日本人でアルビノは浮くと思いきやこの世界では髪の色も瞳の色も十人十色で色々と寛容な世の中のようだ。
小学生の時には某〇〇えもんのように株に手を出してみたり、中学生の時に厨二心が災いして始めた剣道で日本一になったり、文武両道を地で行っていた。
が、何もかもがいいこと尽くしであった訳でもなく、産まれてこの方風邪もひいたこともない超健康児である私に対し母親は私の幼い頃に亡くなっており、父親もまた、中学2年生の頃に死別した。
前世にて既に経験したことではあるが、両親を亡くすということで一番厄介なのは悲しみや喪失感や孤独感といった精神的なことではなく、事後処理と私の身の振りだった。
数少ない親戚同士でも何やら遺産だの親権だので揉めていたようだ。
色々な手続きがあり1年もの歳月が経った頃、私が子供だてら有能だったとこもあり紆余曲折を経て最終的に遠縁である弦巻家の養子となった。
そうしていきなり上流階級の一員となった私に待つのはシンデレラストーリーではなく厳しい現実だったのだが、持ち前のハイスペックを発揮して今では弦巻家御当主付きの秘書見習い。(ここまでの半生を記すだけで六法全書並みの自伝を書けそうだがここでは割愛するとしよう、大事なのは今だからね)
そしてゆくゆくは見習いも取れて財閥御当主様の美人秘書!
人生2週目で夢見た俺Tueeeムーブ完遂まであと少し!
だと思っていたのだが
「今、なんと仰りましたか? 旦那様」
突然の異動通達に普段はあまり仕事をしない表情筋も働いたらしく鳩が豆鉄砲を食らったような呆けた顔で聴き返してしまった。
15歳になる娘がいるとは思えない程若々しく無邪気な顔付きをしている弦巻家御当主兼父親はイタズラが成功した子供のような笑顔でこう言った。
「虚、お前明日からこころ付きの黒服な」
最後に改めて自己紹介をしてみよう。
私の名前は虚(読みはホロウじゃなくてウツホね)
弦巻 虚。
明日からは妹付き黒服の纏め役、隊長になります。
世界を股にかける弦巻家の秘書ともなれば忙しく、自然かわいい義妹に接する機会も少なかったので、これはこれでアリと思うことにしてみます。
最近バンドリ熱が高まって気付いたら書いていた。