ハイスペックボディで2度目の人生満喫しようとしたら、黒服になってた 作:
美しい……
ハッ!?
我が天使こころの水着姿に思わず放心しかけてしまった。
勢い良くラッシュガードを脱ぎ捨てたその下は勿論水着。
一緒に選んだからどんな水着かは知っていても身に着けてみれば私の想像を遥かに上回るかわいらしさと美しさ。
悩んだ末に決めたビキニタイプ、Simple is the bestということで無地で飾りもない真っ赤な水着。よく育ったお胸に眩しいふともも! 撫でまわしたくなるおなか!
両手を目一杯広げてとびっきりの笑顔を見せているこころ。
すかさず持っていたカメラを構えて連射する。
勿論私の網膜にも焼き付けることは忘れない。
あぁ、私はこの光景が見たかったんだ……
心の中で合掌しつつ努めて冷静を装い意識を切り替える。
このまま何時間でも眺めれるしシャッターを切り続けることは可能だけれども、今日はこころのお友達も来ている。
当然こころの関心もそちらに向いて次は誰かしら! と呼びかけている。
その声に応えたのはイヴちゃんだった。
一歩皆の前に出て、こなれた動きでラッシュガードを脱ぎ去っていた。
シンセングミをイメージしてみました!
というイヴちゃんの水着は肩紐が少し太めで背中で交差するようになっており成程ここがたすき掛けをイメージしているようだ。
色は水色と白のグラデーション、いやここは浅葱色と言うべかな?
そしてボトムは長めのフリルがあしらわれている。
流石モデルというだけあって堂々とした振る舞いのポージングである。
カメラを持って今更感があるが写真を撮っていいかと許可を取る。
ついでに順番待ちのリサちゃんたちにも断りを入れておく。
イヴちゃんはフィンランドとのハーフというだけあって肌も白くて足も長い。
そして日本人にはない外国人特有のくびれ!
そりゃモデルになるよねと納得するしかないスタイルだ。
さりとてポージングこそ決めてるものの表情は柔らかくいい笑顔である。
女の子はやっぱり笑顔が一番。
私、こころイヴちゃんと半数のお披露目が終わり、折り返し地点。
お次は誰かなーと思っていると元気よく手を上げたのはリサちゃん。
この前もこころの髪形やスタイリングに興味もあり私服もオシャレなファッションセンス抜群のリサちゃんである。
これは期待が高まるね!
じゃーん! とラッシュガードの下から現れたのは花柄の水着。
これは、ハイビスカス柄かな?
鮮やかな赤や黄色、暖色系の色でビキニ&ボトムスとハーフ丈のパレオの3点セットの水着だ。
ハーフ丈ということでちょっと肩に羽織ったり腰に巻いたり用途はたくさん。リサちゃんは今回は肩に羽織って胸元で結んである。
私はパレオは腰に巻く派なんだよね。脚の露出はなんというか気になる。ズボンも必ず長ズボンだし、スカートでもドレスでもなんでもロング。
まぁ私のことは置いといて、流石はリサちゃんだ。これがJK、これがギャルの力か……
カメラを向けると笑顔でピースしてくれてノリが良い。
このワンショットを擬音で表すとキャピキャピって感じ。若さが溢れてるよ。
眼福だなー。
お次は覚悟が決まったのか肚を括ったのか、おずおずと一歩を踏み出した有咲ちゃんだ。
がんばれ!
こころたちのように一気にラッシュガードを脱ぎ捨てることはせず、最後の砦と言わんばかりにゆっくり脱いでいる。
そういうのって逆にえろいから気を付けた方がいいよ!
そうして1分近くを掛けて有咲ちゃんの水着姿がようやく白日の下に晒された。
おっ、最近流行ってきてるタンキニ水着ってやつじゃないですか!
知ってる? タンキニってタンクトップとビキニを合わせたやつなんだけど。上下セパレートタイプだけれどもお腹周りも隠せちゃうっていう。
まぁタンクトップとは言いつつ実際は色々種類あるけどね、有咲ちゃんはキャミソールタイプのものをお選びになったようだ。
色は藍色で露出は控えめで落ち着きを感じさせるけれど、刺繍が施されておりしっかり押さえているところは押さえている。皆からのアドバイスがしっかり活かされている証拠だね。
あと大きなお胸のせいかチラチラ見え隠れするお腹が最高です。
いいよいいよーかわいいよー!
少し自信なさげにしてるけど有咲ちゃんも十分かわいい。
皆違って皆良い、だよ。
そしてすかさずパシャリ。うんよく撮れた!
今決めたけど、今日撮った写真纏めて編集して写真集にする。それがいい。
最後はひまりちゃん!
少し緊張してるみたいだけど、えーい、と元気な掛け声と共にラッシュガードを脱ぎ捨てた。
うわぁ、これはすごい視覚効果ですね。
今年の夏は攻めてみるのか色は黒! そのせいもあってか胸元に視線が集中しちゃうのは仕方ないよね。
驚異的だよ。
オフショルダーのレース付きの水着で、二の腕までカバーされているタイプ。
もっとかわいいを前面に押してくると思ったけどこれもアリ。JKがちょっと背伸びしてる感がツボを刺激する。
どうですか? と聞いてくるひまりちゃんに私はぐっ、と親指を立てることで答える。
いやしかしホント君たち豊満なお胸をお持ちですね。
特に有咲ちゃんとひまりちゃんなんてもはや凶器だよ。かわいい子ばっかりだしそんなんで海行ったら男の子皆前かがみになりそう。
いやー良いお披露目会でした。こころたちも皆で水着の感想を言い合って楽しそう。
この光景だけでまだ一滴もプールの水に触れてないのに私満足したよ。
思わず空を仰ぎ見ちゃうね。
まぁ本来は水着の試着だった訳で目的はもう達成されてるしね。
とはいえ、プールを目の前にして花の女子高生たちが大人しく出来るはずもない。
こころにお姉様もと言われれば私も頷かざるを得ない。
私もプールは久しぶりだし皆で遊んじゃおうか!
◆ ◆ ◆
最初は、イヴがうちに盆栽を見に来てただけだった。
それが気が付けば、とんとん拍子で話が進んでた。
この一言に尽きる。
リサさんたちから水着を買いに行くのを誘われたからアリサさんもどうですかとイヴに誘われて、私も新調するのに丁度良い機会だからって深く考えずにOKしちゃってた。
リサさんは勿論モデルのイヴやひまりちゃん、皆オシャレだからどんな水着がいいかアドバイスしてくれたらなーとしかこの時は考えてなかった。
だけれども、イヴと先に合流してから待ち合わせ場所に向かってると緊張してきた。
私の知る限りファッションセンス抜群の面子なんだけど、そこに混じって私浮かねーかな? 今更そんな不安が押し寄せてきた。
「り、リサさんとひまりちゃん……お、おまたせ」
元気いっぱいひまりちゃんやイヴに比べて、私はどもって微妙な挨拶になってしまった。
ともあれ、皆集まって出発だ。
ひまりちゃんの号令に私だけノリ切れなかったけれど、ひまりちゃんはそれでも何故か満足そうだったなぁ。
「有咲はどんな感じの水着にするの?」
店に向かうがてら皆で今日の目的の水着の話してて、私は会話に入るタイミングが分からずにただ聞いてるだけだった。矢継ぎ早に進む会話にこれが女子高生かと震える。
そんな私を察してくれたのか、自然なタイミングでリサさんが私に話を振ってくれた。
「えーと、ネットで少し調べてきたんですけど今回はた、タンキニ? ってやつにしようと思ってます」
「おーいいねー、最近流行ってきてるもんねー」
「うんうん! 気になるお腹周りもフォロー出来たりするしね!」
ひまりちゃんが私もそれにするか悩んだよーってお腹に手を当てつつ分かるよーと共感してくれた。
リサさんも話し上に手聞き上手でそれからも答えやすいような話を適度に振ってくれて助けられた。
やっぱリサさんのこういうところ尊敬するよなー、こう周りをよく見てるっていうか。
そのお陰で道中の会話でだいぶ私も馴染めてきた。
で、こっからが怒涛の展開だったんだけど、お目当ての店に着いたらなんとそこには弦巻さんとそのお姉さんがいた。
香澄たちから体育祭で弦巻さんのお姉さんと一緒にお弁当を食べたって話を聞いてたから弦巻さんに姉がいるのは知ってたけど会うのは初めてだった。
落ち着いた綺麗な大人のお姉さんって聞いてたけど、弦巻さんの姉だしどんな人とか思ってたがこれはその通りだと頷かざるを得ない。ちなみにおたえはうさぎみたいな人って言ってて参考にならなかった。
ひまりちゃんとの会話を聞いてたけど自宅にプールがあるってやっぱ弦巻家はすげーな……試着のスケールでかすぎだろ……
皆同じことを思ったのは顔を見たら一発だった。
そしたらあれよあれよのうちに弦巻さんの家に行く流れになって、太っ腹なことに弦巻さんのお姉さん、虚さんが私たちの分の水着まで買ってくれて、いつの間にか黒塗りの高級車に乗っていた。
あまりの展開スピードに戸惑ってしまうけど、奥沢さんはいっつもこんな気持ちなんだろうな……
屋敷についたらひまりちゃんとリサさんが家のでかさと立派さに感嘆の声を上げてた。
だよなぁ、普通に生きてたらまずこんな所これねーもんな。
着いて早々だけど、車の中でも話してたけど少し早めのランチということになった。
弦巻さんがうちのシェフのご飯はとってもおいしいのよ! って言ってたから少し楽しみだ。
出てきたのはペペロンチーノ。
私も食べたことはある、というか現代人なら誰だってあるだろう。
でもなんというか、本物ってのはこういうのっていうんだろうな。
もう料理がテーブルに乗る前からいい香りしてたし、目の当たりにするとただのパスタがそこはかとない高級感を漂わせてる。
あっという間に食べ終わってしまった。
これから水着を着るなんて話じゃなかったらもうちょっと食べたいくらいだった。
とはいえまだ昼前だし食休みも兼ねてティータイム。
まさに優雅、といった風情で紅茶を口にしていた虚さんにひまりちゃんが話しかけていた。
どうやら積極的に会話に加わるつもりがなかったのか虚さんは目を丸くしていたが、皆興味深々の様子だった。
かくいう私もその一人だった。そりゃあ弦巻さんの姉ってだけで気になるよなぁ。
弦巻さんも自慢の姉なの! と嬉しそうに色々話してくれて、リサさんたちと知り合った経緯とかも話していた。
その中で体育祭の時、私の選手宣誓も聞いてたらしくて少し恥ずかしかった。
他にも知り合いはいないのか話題になるとなんと紗夜先輩の妹の日菜さんとよくチャットしているらしい。
街中で知り合って連絡先交換して以来結構やり取りしてるとかなんとか。コミュ力ある人間ってすげーな……
この話の流れならいけると思ったのかひまりちゃんが私もと連絡先の交換を申し出ていた。
虚さんは快諾してそれならとここにいる皆とも交換することに。
やべー、弦巻財閥の長子の連絡先が私の携帯に登録されちまったぞ。
「遠慮せずに連絡頂戴ね?」
いや無理だろ!
悪戯っぽく笑う虚さんにハードルが高すぎだと内心突っ込みを入れる。
私たち学生と違って虚さんは働いててしかも世界の弦巻と呼ばれる程の一大グループの娘だぞ!? 恐れ多くて普通無理だろ!
と思ってたらそれすら見越したように虚さんが率先してこのメンバーのグループを作ってしまった。
勿論私にも招待はきた訳で、参加を押す指が少し震えてしまった。
とまぁそんなこんなでも会話は盛り上がり、そろそろお目当ての水着の試着をしようということになった。
更衣室の前で皆に水着の上から着る上着──ラッシュガードというらしい、を渡される。
折角だしファッションショーみたいに順番にお披露目しましょうって。
嘘だろ……この面子でファッションショーなんてハードル高すぎだろ……
私が感じている重圧をよそに皆結構乗り気なようで楽しそうにそれぞれが着替えに移っていった。
それで着替え終わったんだけど、この上着いいな。普通に欲しい。
なんて思ってると後ろから虚さんの声がした。
振り返ると水着姿の虚さんがいた。
いや、いやいや美人でお金持ちでエリートでスタイルもいいってスペック高すぎだろ。
非の打ちどころがない姿に思わず現実逃避してしまいそうになる。
そこいらのモデルよりよっぽど綺麗じゃねーか……
ひまりちゃんなんて熱の籠った息吐いてるし。
私たちの視線に気付いてポージングする虚さんは様になりすぎてもはや称賛の言葉しか出てこない。
「それじゃあお次は皆の番ね?」
期待を含んだ声で私たちに訴えかけてくる虚さん。
その瞬間、私たちは視線を巡らせた。
無理無理、絶対無理なんですけど。
これが美の模範解答ですみたいな姿見せつけられた次に披露するとかどんな拷問だよ。
そんな思いを込めて私が全霊で拒否する。
様々な思いが交錯し私たちの間に天使が通ったかのように数秒沈黙してしまう。
「それじゃああたしから行くわね!」
私たちの葛藤に気付かず首を傾げていた弦巻さんだが、私たちの間にあった沈黙をどう受け取ったのか一番手を名乗り上げてくれた。
助かった~!!!
姉妹だから気にしてないとか色々あるかもしれないが今ばかりはただただ感謝しかない。
それで虚さんはと言うと、いつの間にかカメラを構えていた。
え、写真撮るの?
なんて思ってると次はイヴが、その次はリサさんが順番に水着姿を披露していく。
写真も撮る流れになっちゃってるしこのままだと最後になっちゃうしで頭がぐるぐるする中で次行きますと恐る恐る手を上げる。
ジィィとファスナーを下して上着を脱ごうとするも緊張と恥ずかしさで中々披露するまでに至らない。
ううぅ、やっぱ私なんかがこんな綺麗かわいいしてる女の子の中にいるのは場違いじゃないかと思ってしまう。
1分程時間を掛けてようやく上着を脱ぎ去るも自信がなくて、虚さんや皆の視線を感じて肩を縮こませた姿勢になってしまう。
「とっても似合っているわ、有咲ちゃん。皆とはまた違った魅力があって素敵よ」
そんな中虚さんが私の眼をしっかり見据えて褒めてくれた。
全く嫌味を感じさせず、本当にそう思ってるだろうのが伝わってきた。
虚さんの言葉を聞いたから肩の力を抜けて、ささやかながら、私にとっては思い切って皆のようにカメラに向かってポージングを決めてみた。
人の上に立つ人間ってちげーなー、あれがカリスマか。と後になって改めて感じた。
私の次にラストのひまりちゃんがお披露目して、今回の目的は達成したのだけれどこんな立派な貸し切りのプールを前にして私たちが興奮を抑えられる訳もなく皆で楽しく遊んだ。
弦巻姉妹は魚もかくやと言わんばかりに水中を自在に駆け巡ったり、イヴがのしです! とどこから知識を仕入れてきたのか日本の古式泳法を披露してくれたり、ひまりちゃんやリサさんと水を掛け合ったり目一杯プールを満喫した。
撮った写真は後日また皆に送るねとのことだったので、私はてっきりパソコンとかに写真を取り込んでグループチャットにでも送られるか、現像された写真でも貰えるのかと思っていたのだが予想を遥かに上回ったものが自宅に郵送で送られてきた。
取り出したるは一冊の本。
まさかと思いつつ恐る恐る開いてみるとやはりと言うべきか、あの日撮影した写真で作られた写真集だった。
「これが、私……?」
余程良いカメラを使って、念入りに加工していたとしても驚く程綺麗に映っている自分の水着姿があった。
――素敵よ
ふとその時に言われた虚さんの言葉が頭によぎって顔が熱くなる。
ピロン♪
携帯から軽快な電子音が聞こえてきて恥ずかしさもあいまって写真集をパタンッと閉じる。
どうやら例のグループにチャットがきているみたいだ。
『あの日の写真を届けさせたのだけれど、気に入ってくれたかしら?』
その文章に続いてかわいいスタンプが押されていた。
すぐさまピコンピコンと通知が鳴って返事が表示される。
流石というかひまりちゃんとリサさんの2人が真っ先に返事をしていた。
私も何か打たないといけないと思って急いで両手で携帯を握って操作する。
『とても綺麗な仕上がりでした。ありがとうございます』と。
いやひまりちゃんたちに比べて硬すぎるかな?
でも虚さんも先輩どころか年上の大人だしこんなもんでもいいか……?
悩んでも仕方ない。ええい、これでいくか!
そこにイヴも加わって凄まじい勢いでチャットが流れていくが、ついていけそうにないから後で見直そうと画面をそっと閉じる。
取り敢えず、この写真集は香澄たちに見つからねー場所にしまっておかねぇとな。