ハイスペックボディで2度目の人生満喫しようとしたら、黒服になってた   作:

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ながらくお待たせしました。
Twitterで見かけたモブ女失恋合同というものが気になるこの頃です。


エポスカードのこころのポニテが最高でした。
かわいい


13話 こうみえてもバリバリ働いてるので癒されたい

お父様の命でこころ付きの黒服に配置換えされ早数か月。

部下の皆も指導の甲斐ありメキメキと能力を上げてきて日常を安定してサポートできている。私の黒服ではなくお父様の娘、『弦巻』としての仕事も良好だ。

 

私はお父様の秘書であったが、同時に弦巻でもあった。

お父様のサポートは勿論、代理でもあったのだ。

弦巻という姓はそれほどまでに力がある。

 

そのせいもあり、私が日本を拠点として戻ってきたのは大変に意味のあることだったりする。

世界の弦巻と評されるように、海外を飛び渡っていて中々捕まえることの出来ないお父様。

そんなお父様の代わりに日本のお偉いさまと交流しなければならない。私が日本に滞在している以上これは仕方のないことだ。

お茶会やパーティ、会食と言ったような場は財閥の役職だけではなく、弦巻の血縁に繋がる人物が出席することに意味がある。

そこに養子か実子かは大した問題ではない。要は弦巻か否か、だ。

 

仕事が安定してきて余裕が出てきた今、先に先にと引き延ばしていたそれらの要件も消化していかなければならない。

今日も丁度その日で、夜は会食に出なければならない。

 

それがどういうことか分かる?

そう、そうなんですよ。

こころとね、一緒にご飯を食べれないの。

 

こころがどんな一日を過ごしたのか話してくれるのを聞くのが私の楽しみだったのに。

いや、私はまだいい。

私は黒服として一方的にではあるが、日中にこころを見たり接することが出来ている。けれどこころが姉の私と会えるのは基本的に夕飯の時だけだ。

勿論同じ家にいる以上多少の接触は出来るがきちんと時間を取って話せるのはその時だけだ。

後は精々寝る前だけど、私も仕事がある以上必ず時間を取れる訳じゃない。

私にとってはこころが何よりも優先すべきなんだけれども、その他がどうでもいい訳でもない。

それが分かっているからこころも滅多に私に会いに来ることはない。

 

同じ家にいて会いたいのに会えないだなんて、何が家族か。

こんな恵まれた能力を持っていて忙しいなど言い訳にもならない。

出来る限り時間を作ろうとはしても、結局のところこころに我慢をさせている。

 

 

ふぅ、こうして朝から鬱になってても仕方ないし気持ちを切り替えていこう。

1人になるとどうも思考がマイナス方面に寄って良くない。私の悪癖だ。

 

朝の仕事はこころの通学を見守ることから始まる。

通学路に関しては黒服たちが日に何度も安全を確認しているが、こころはその時々によって学校までの通学ルートを変えてしまうので油断は出来ない。

 

だから私たちは遠目に、されど離れすぎず、こころに悟られずを意識しつつ警戒を怠らない。

偶に一緒に登下校する美咲ちゃんが潜んでる黒服に気付いたりもするが概ね現状に問題はない。とは言え、流石に私は気取られた事はないがよく黒服を察知することが出来るね。よく周りを見てるものだ。

 

とまぁこのように私たち黒服は毎朝こころの登校を見守っている。

学校に到着しさえすれば後はある程度の安全は保障されているので詰所に2,3人だけ待機しておくばかりだ。

私はその間に書類仕事や電話対応、メールでの連絡に追われる。

パソコンを複数起動して画面と睨めっこしつつも違う案件の電話を対応する。

所謂マルチタスク、分割思考というやつだが創作の世界だけのスキルかと思っていたがやってみたら案外出来た。私やっぱハイスペックすぎ。

 

合間合間に休憩を挟みつつ夕方を迎える。

この時間になると学校を終えて放課後に突入したこころを見守るべく黒服たちが動き出す。普段は私もここに加わるのだが、今日は会食の日なので涙を飲んでそちらへ向かう。

 

 

屋敷に帰るとこころがお出迎えしてくれて、おかえりなさいをしてくれる。

ただいまと頭を一撫でして名残惜しいと思いつつも夕方以降に溜まった仕事を処理する為に、私は自室へ向かう。血の涙を流す思いである。

でも、ここの頑張り具合がそのまま私の休暇時間に繋がるので気合を入れなければならない。

まぁこころニウムを補充した私はスピードにバフが掛かって無敵状態になるので今日は日付も変わらないうちに全て終わるだろう。

 

 

なんか思った以上に早く終わったので晩酌をしてみる。

今日は満月のようで外を見上げればまんまるお月様が顔を出している。美女が夜更に月見酒、あぁなんと優雅な風情だろうか。

 

このハイスペックボディ、当然のように内臓も強靭であり、アルコールの分解速度も滅法速い。つまり、私はザル。

なのだが、肌の色素が薄いことも相まってか頬は僅かに紅潮する。

これも私の悪癖の1つなのだが、私はお酒を飲むと酔ってしまうのだ。

アルコールに、ではなく自分に、だ。ざっくり言えば雰囲気酔いである。

まぁお酒飲む時って誰でもそういうとこあるよね。あるよね?

 

ふと、扉の外に人の気配を感じた。

10秒、20秒経っても扉の前にいるだけで動きはない。

だから私はその来訪者を自ら迎えに行く。

 

扉を開けるとそこには驚く顔の我が愛しき妹、こころがいる。

なんで分かったかって? 私がこころのこと分からない訳ないじゃないか、はは。

 

仕事も早めに終わって気分良く晩酌していた私にご褒美かのようにこころが訪ねてきて私はもう有頂天。

なんて素晴らしい日なのだろうか。

テンションも上がって調子に乗った私はこころを膝の上に乗せて後ろから手を回すようにして座り直した。

 

あ~癒される~。

寝巻姿のこころもかわいいし良い匂いもするし抱き心地も抜群で何もかもが愛おしい。

何時間でも永遠にでもこうしてられそう。というか、できる。

 

こころも気持ち良さそうな声を出していたけど、机の上に置かれてた飲みかけのグラスを見つけて問い掛けてくる。

お酒っておいしいの? って。

んー簡単なようで難しいこと聞くねーこころちゃん。

 

なんだろうね説明するのは難しい。飲んでみたら分かるって言いたいけど未成年飲酒を勧めるようなことをしてはいけない。

あぁでもこころが成人したら一緒に飲みたい。めちゃくちゃ強そうだけど。でも酔った姿も見てみたい。

じゃなくてちゃんと質問には答えないとね。

 

そうだねー、味そのもので言ったらジュースとかのがよっぽどおいしいと思う。

嗜好品だし絶対に必要なものではないけど、飲み過ぎなければたのしいし気持ち良い。

 

んん? たのしいのに飲み過ぎたらダメなのって?

お酒はね、適量じゃないと酷い目に合うんだよ。

人によって量の違いはあるけど、程々がいいんです。

二日酔いとか潰れると悲惨だぞー。外聞的にもみっともないし。

過ぎたるは猶及ばざるが如し、ってやつ。

 

何もお酒だけじゃないからね。

たのしいことでも、正しいことでもやりすぎちゃダメってことは覚えておくんだよこころ。

 

うん、いい返事だ!

取り敢えず覚えておくだけでも損はないからね!

 

 

 

それからはいつもこころがご飯の時にしてくれるように、今日はどんなことがあったとか色々なことを話した。

まだまだこうしていたいけどこころもそろそろ眠そうだし、こころの健康のことも考えるとここらで切り上げなければ。

なんなら既に遅いが、これくらいならまだちょっとした夜更かし程度で済む。高校生だと考えると寧ろ健全なくらいだ。

 

よーし、という訳で今日は一緒に寝ましょう。

こころを布団に運んで、ささっと着替えて私も布団に潜り込む。

いつもと同じように手を繋ぐ。かわいいお手てだ。

寝入りのいい子でこころはもう寝息を立てている。

 

寝顔もかわいくてずっと見てたいけど私も寝ないとね。

こころと一緒に寝れるなんてあんまりないから堪能したいけど、寝れる時に寝とかないと、睡眠は大事。

 

 

出来る事なら毎日でも一緒に寝たいくらいなんだけどねぇ。こころが嫌じゃなければ、だけど。

 

こころの顔を見ながら今日の一日を振り返る。

偶々今日はこうして夜にこころと過ごせたけれど、会食の日やらでタイミングが悪いと下手すれば朝に一言二言交わすだけで終わる日もある。

こころも高校生だし今時そんな家庭は珍しくもないだろうけど、毎日一緒に暮らしてたらそういう日もある、って話だ。

 

だけれど私たちは違う。ここ数年なんて一緒に暮らすどころか週に一度も会えるかどうか。

ようやく一緒に暮らせるようになったと思えば仕事仕事でこの有様。

今までの分も埋め合わせるくらい一緒にいようと思ったのに情けないね。

 

こころはこうして慕ってくれてはいるけれど、私はダメなお姉ちゃんかもしれないなぁ。

 

 

不意に、きゅっと手に力が入った気がした。

そんなことはない、って言ってくれた気がしたのは都合が良すぎるかな?

それでも今日は、私もよく寝られそうな気がしてきたよ。

いつも私のことをお姉ちゃんって呼んでくれてありがとうね、こころ。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「こころのお姉さんって普段どんな仕事をしてるの?」

 

学校で美咲とお話していたら、美咲がそういえば、とお姉様のことを聞いてきたわ。

 

「んー、お仕事で忙しいのは分かるのだけれど、どんなのと言われるとあんまり考えたことはなかったわね」

 

「ふーん。答えを期待してた訳じゃないけど、やっぱそういうもんなのかな。あたしもお父さんがどんな仕事をしてるか具体的には知らないしね」

 

美咲はそれだけ言い終えると、どこか納得したように肩をすくめて大きく息を吐いたわ。

確かにお姉様はお仕事で忙しいのだけれど、実際にその姿を見た事はほとんどないわね。

うちでは自分のお部屋で机に向かって難しい顔をしているのを見かけるくらい。

 

お姉様はお仕事中でもいつでもあたしがお部屋に近づくとすぐに気付いてしまうから、邪魔にならないようにあまり寄らないようにしているの。

黒い服の人に聞いてもどこにいるかは教えてくれるけれど、どんなことをしているかは教えてくれないのよね。

 

あぁ、そういえば今日はお姉様は夜もお仕事で外に行くからご飯は一緒に食べれないと言っていたわ。

ハロハピもはぐみと薫は部活で、花音はバイトだって言ってわ。美咲もミッシェルは今日は用事があると言ってたから、練習はお休みだし、どうしようかしら。

 

そうだわ!

なら今日はお姉様がどんなお仕事をしているのか調べるのよ!

帰ったら黒服の人とお屋敷の皆に聞いてみましょう!

 

 

「虚お嬢様のお仕事、ですか」

 

「えぇ!」

 

 

学校からお家に帰った時にはもうお姉様は出掛けていたから、その隙にお屋敷のみーんなに聞き込み調査ね!

まずは執事のおじいちゃんから!

 

 

「そうですなぁ。少なくとも、この屋敷にいる人間の中で一番の働き者は虚お嬢様でしょう」

 

 

次は黒服の人たちね!

 

 

「ここにお戻りになられた頃は私たちへの指導を主にされていたと思います」

 

「この地域のこともお調べになられていたようです」

 

「最近ですと今日のように旦那様の代わりに会食や取引の会談が増えてきておりますね」

 

 

お次はメイドさんたち!

 

 

「そうですねぇ、私たちメイドもそれなりに朝が早いのですがその頃には虚お嬢様は起きてらっしゃいますね」

 

「私たちの仕事には来客の準備も勿論含まれているのですが、その方たちの対応も執事長や虚お嬢様がされております」

 

「旦那様が御不在である以上、娘であり秘書であった虚お嬢様が代わりを務めてますものねぇ」

 

 

皆に聞き込んでいるうちにもうご飯の時間になってしまったわ。

いつもと同じお料理なのに、少し物足りないと感じてしまうのはやっぱりお姉様がいないからね。

少し前まではこれが当たり前だったのに。

 

分かってはいたけれど、お姉様はとっても忙しいのね。

夏休みの宿題を1日でこなしているようなもの、なんて例えていた人もいたくらいだもの。

今まで一緒にご飯を食べていたこの時間ですら、お姉様が頑張って時間を作ってくれていたからだったのね。

 

 

お姉様はいつも何でもないようにしているけれど、みんなのお話を聞くととっても大変なことだと思うの。

昔から暇があれば、あたしと遊んでくれるお姉様。あたしはお姉様と遊ぶ時間はだいすき。

でも、本当はその時間をおやすみに使った方がいいんじゃないかと思ってしまうの。

そうじゃないと昔みたいに()()、お姉様が倒れちゃうんじゃないかって。

 

 

ご飯を食べ終わってからもうーん、と考えていると執事のおじいちゃんが声を掛けてくれたわ。

そういえば、あたしが生まれる前からここで働いてるって言ってたわね。お姉様のことも家に来た時からずっと見てたって。

 

 

「虚お嬢様は、このお屋敷に来た頃はほとんど笑われることがありませんでした。けれども最近は、こころお嬢様とおられる虚お嬢様は本当に楽しそうにしておいでです」

 

難しい顔をしていたあたしを見る執事のおじいちゃんは、とってもあったかいえがおだったわ。

 

「きっと──こころお嬢様のことが大好きで、愛おしくて仕方ないのでしょうなぁ」

 

 

その言葉と笑顔で、さっきまで頭の中でぐるぐるしていたのも吹き飛んで、あたしの胸がポカポカしてきたわ。

 

 

「さて、そろそろ虚お嬢様もお帰りになられる時間ですな」

 

 

続けて、執事のおじいちゃんはまるで薫がお芝居をしている時のような仕草で時計を見ながら呟いたわ。

 

 

「それじゃあ! あたしお姉様をお迎えしてくるわっ!」

 

 

思わず玄関まで走ってしまって既に待機していた黒服の人に驚かれてしまったわ。

けれどすぐにいつものようにピシッと直立して、あたしにもうすぐお姉様が帰ってくると教えてくれたの。

 

 

まだかまだかとわくわくしてること数分、ついに玄関の扉が開いたわ!

 

 

「おかえりなさいお姉様っ!」

 

 

元気いっぱいのえがお! 自分でもかいしんのえがおだと思うわ!

 

 

「ただいま、こころ」

 

 

お姉様も驚いたみたいで目をまんまるにしてたわ!

その後に優しいえがおであたしの頭をなでてくれたの!

 

 

「お迎えありがとうね。ふふ、こころに元気を貰えたお陰で今日はいつもよりも速く仕事が終わりそうな気がするわ」

 

 

お姉様もそう言ってくれたのがうれしかったわ。

 

 

あたしもあのあとお部屋に帰ってきたものの、ついにやることもなくなって寝ようかどうしようと思っていたらノックの音が聞こえてきたの。

誰かと思ったらコックさんでどうしたのかと聞いたら、お姉様が先程お仕事を終えたそうだと教えてくれたの。

厨房で明日の準備をしていたらお姉様が仕事を終えて飲み物を取りに来たって。

今日あたしがお屋敷のみんなに色々聞きまわってたのを知ってたから、伝えに来てくれたんですって!

 

コックさんにちゃんとお礼を言って、お姉様のお部屋に向かったわ。

お部屋の前に着いたはいいけれど、本当にお邪魔していいのか少し迷ってしまったの。

でも執事のおじいちゃんの言葉を思い出してノックしようとしたその時。

 

 

「部屋の前でどうしたのこころ? そんなところにいないで、入ってくればいいのに」

 

「あ、お姉様……どうして」

 

 

お姉様が扉を開けて出迎えてくれた。

お姉様はいつもどうして、あたしがいるのが分かるのだろうか。

つい口から零れた言葉を聞いてお姉様はんー、と不思議そうな顔をして

 

 

「私がこころのことを分からない訳ないじゃない。おいで?」

 

 

となんでもないように言って、あたしの手を引いて部屋にいれてくれたわ。

そしてそのまま、あたしの両脇をひょいと持ち上げ抱え込むようにしてお姉様の膝の上に乗せられた。

 

ふんわりと抱きしめられて頭をなでられて、気持ちよくてねこさんみたいな声がでちゃった。

あんまり心地よくてずっとこうしてて欲しいと思っていたら、机の上に飲みかけのグラスが置いてあるのを見つけた。

 

 

「ねぇお姉様、お酒っておいしいの?」

 

「おいしい、かぁ。どうでしょうね。味そのもので言えばそんなにおいしいものではないかもしれないわね」

 

「? おいしくないのに飲んでいるの?」

 

「でもお酒は嫌なことを忘れさせてくれたり、たのしい気分にさせてくれたりするのよ」

 

「それじゃあみんなでたくさん飲んだらとーってもたのしくなりそうね!」

 

 

お酒ってすごいのね!

あたしはまだ飲んだらいけない年だけれど、大丈夫な人はいーっぱい飲んだらそれだけたのしくなれるのね!

あたしも飲んでみたくなるわね!

 

そう思ったのだけれど、お姉様はちょっと困ったような顔をしてしまったの。

 

 

「お酒もそうだけれど、何事もほどほどが一番なのよ」

 

「どうして? いっぱいたのしい方がいいんじゃないの?」

 

「勿論たのしいのは良いことよ。たとえばねこころ、おいしいお料理がたくさんあってお腹いっぱいになるまで食べれたらそれは良いことでしょう?」

 

えぇ、おいしいものを食べるとみんなえがおになれるもの!

 

「でも、お腹いっぱいになったけどまだまだ食べてと言われたらどうする? おいしいから喜んで食べ続けれるかしら?」

 

お腹がいっぱいになると苦しくなるでしょう? とお姉様は続ける。

 

「たのしいことでも、正しいことでも、やりすぎてはダメ。その人にとって必要な分だけ、それ以上はたのしくなくなってしまうわ」

 

 

あたしはお姉様のお話を想像して思わずお腹を押さえてしまう。

お姉様はそんなあたしの様子を見ながら頭をなでてくる。

 

 

「今のは例え話だけれど、そういうこともあるってことは覚えておいてね? 世界を笑顔にしたいと思うなら、大切なことだと思うわ」

 

「えぇ! わかったわ!」

 

「良いお返事ね。それじゃあ次は、こころのお話を聞きたいわね?」

 

 

それからはいつもご飯を食べる時のように今日はどんなことがあっただとかをお話したわ。

でも段々と眠たくなってきて、うとうとしてしまったわ。

ぽーっとしてて気がついたらいつの間にかベッドの上に。

 

手にお姉様の温もりを感じて安心して夢の世界に行けそうだと思っていたら、お姉様の呟くような小さな声が聞こえてしまった。

 

 

「毎日でもこうしてあげられたらいいのに、私は……あまりいいお姉さんではないかもしれないわね……」

 

 

それは違うわ、と言いたかったけれどもう目も開かなくなって口も開けなかった。

それでも、違うと繋がっていた手を握りしめたわ。

今日だけでも色々なことを知ったの。あたしが当たり前と思っていたことも本当はお姉様がとっても頑張ってくれていたものだって。

 

それに、こんなにもあったかいんだもの。

おてても、むねも。

あたしをいつもポカポカさせてくれるお姉様がだいすきなの。

 

 

「ありがとう、こころ」

 

 

完全に夢の世界に旅立つ前に、お姉様の声が聞こえた気がしたわ。

 

 

 




あまりプロットとかもなく気ままに日常をつらつらと書いてきましたが、そんな日々を過ごしていく中で虚がこころに救われる。
この小説はきっとそんなお話になるんだろうなとふと思いました。
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