ハイスペックボディで2度目の人生満喫しようとしたら、黒服になってた   作:

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ソイヤ会を続けるか否か、それが問題だ。


5話 雨のち晴。だといいな

まーた今日も雨だよー。

私も雨がそんなに嫌いではないんだけど、足の裾とか濡れるのがすごい嫌なんだよねー。

ぶっちゃけ曇りの日が一番好き。ハイスペックとはいえ一応アルビノだからね、直射日光にすこし弱い。

それに私にとっての太陽はこころで、私の心の中はいつでも晴れやかなのさ!

 

 

で、私の太陽兼天使兼妹のこころちゃんはというと、運動服姿で太鼓を叩きにきております。

活発な女の子の運動服はそれだけで眩しい。あの子たちの周辺だけ晴れ晴れとしてるよ。私の目で見えてる分にはね。

 

 

へー、このお祭り起源は晴天祈願だったのか。

というかこころ晴天祈願知らないのか。やっぱ弦巻家の教育はアレだね。すこしグローバル過ぎたね。英語教育とかはしっかりしてたのに。

いや、でも私は華道も教養として習ってたしどうだろう。私が剣道華道と和に寄りすぎたからこころの教育は洋に傾いたのかな。

ううむ、ひょんなところで謎が生まれてしまった。

 

 

なんだか巴ちゃんや美咲ちゃんの話聞いてると、感覚派と理論派は噛み合わないって思い知らされるね。

どっちの意見も分かるからね、私は。前世理論派で今生では感覚派なので。なんというか、考え方って変わるもんなんだね。不思議。

それはさておき、美咲ちゃんにとっては災難かもだが君の周りにいる子は多分みんな感覚派だよ。

 

まぁそんな美咲ちゃんに私が敢えてアドバイスするとしたら、太鼓は思いっきり叩け! だ。

声は届かないだろうから念力飛ばしとくね。あ、なんかキョロキョロしてる。もしかして届いちゃった? 私エスパーの才能もある?!

 

 

習うより慣れろってことでこころたちが太鼓を叩き始めて早一時間。

巴ちゃんは流石というか叩き慣れてるのかまだまだ元気だ。

美咲ちゃんと香澄ちゃんは疲労が溜まって腕が痛い様子。

 

こころ?

こころはピンピンしてるよ。あの子も割と体力お化けだからね。

巴ちゃんの観察眼では体力だけでなく体の動きも評価してるみたいだ。

お目が高いね。

 

 

あ、こころがターンを決めながら叩いてる。天使が舞ってる!!

美咲ちゃんと巴ちゃんは驚いてるけど私は驚きよりも興奮が優ってしまう。

 

 

こころがあれだけ動けるのも私知ってるしね。知ってるというより、私がこころに体の動かし方を教えたのだ。

小さい頃から体力や力を持て余してたからこのままではこころも、周りも危ないと判断してお父様に頼み込んだのだ。こころのために時間をくれと。

力の入れ方ひとつで体への負担も随分変わるし、ましてや成長しきってない体とこころの持つポテンシャルが釣り合ってなかった。スポーツしてる子供とかによく言われるやつだね。

 

それからは柔軟に始まり、側転バク転鬼ごっこパルクールと色々遊びながら教え込んだ。

多分あの頃が一番こころと触れ合ってたんじゃなかな。楽しかったなぁ。

まぁそのせいかこころのやんちゃ具合が加速度的に増してしまったけど。

 

まだまだ子供と油断してたら黒服たちの眼をかいくぐるどころか撒いちゃってたからね。

そりゃ小学生が身の丈越える壁をものの数秒で乗り越えていくなんて想像できないよね。

 

 

こころが未だに太鼓を叩いてる中、休憩してる香澄ちゃんたちの会話はてるてる坊主になっていた。

君たちは数よりバカみたいにでかいてるてる坊主作りそうだね。

 

 

とか話しているとそこには新たな人影が。

おっあのヒナちゃんにそっくりな子、私知ってるよ。紗夜ちゃんって言うんでしょ。

ヒナちゃんとチャットしてるとよく話題にあがるもん。お姉ちゃんお姉ちゃんって。

私も姉だし妹が姉を慕っている話を聞くのは楽しくて、ヒナちゃんも思いっきり姉を語れるのが嬉しいのか写真もたまに送られてくる。

おそらく本人からの許可はとってないと思う。

 

 

 

ふーん紗夜ちゃんて雨女なんだ。結構紗夜ちゃんについて詳しくなった(ヒナちゃんと話してると自然とね)と思ってたけど知らない情報だ。紗夜ちゃんマイスターへの道は遠いな・・・・・・。

 

そんなことを思っていると、いつの間にか太鼓を叩くのをやめていたこころが会話に混ざり込んでいた。

紗夜ちゃんが砂漠に行けばみんなが笑顔になるとはなんて前向きでポジティブで希望に満ち溢れた考えなんだ・・・・・・まぶしい。

 

あまりの純粋さに紗夜ちゃんも顔を綻ばしている。

こころは間髪入れずその勢いのまま紗夜ちゃんをお祭りに誘った。やんわり断られてたけど。

しかし多少強引だがこんなに違和感なく誘えるとはやっぱコミュ力高いね。

 

 

 

 

そしてお祭り当日、最近一緒でもはや顔なじみとなった美咲ちゃんと香澄ちゃんとで集まっている。

こころが楽しみで寝付くのが遅かったと言えば美咲ちゃんが叱っていた。以前にも寝てないことがあったようだ。

でも安心して、昨日は私が寝かしつけてちゃんと寝てるよ! この前手を握ってあげたのが余程気に入ってくれたのか、昨日遠慮がちに一緒に寝ようと言ってくれたんだ。嬉しくて震えた。私にとってはご褒美だからもっと遠慮せず言ってくれていいんだよ。

 

それとなくそれを伝えてみたけど、こころの反応をみるとなんか逆効果だった気がしなくもない。なんでだ。

こころが何をしようが私の負担になるはずなんてないのにね。

 

 

 

あーこころはお祭りを楽しんでるなぁ。

弦巻家は家族旅行とかはするんだけど、家族でお出かけって気軽に出来ないんだよね。

だからこころが小さい時も家にいる間構うことはできてもどこかへ連れて行って家族団欒ってのは難しかった。

当然、お祭りなんて行ったことがない。

 

こころの笑顔をみると癒されるなぁ。

りんご飴食べてる姿もかわいい。

いや、何をしててもかわいい・・・・・・

 

 

お、いつの間にか紗夜ちゃんも合流してるぞ。

なんだかんだお祭りに来てくれてるなんていい子だ。

でもそんなんだからヒナちゃんにツンデレなんていわれるんだよ。

 

 

紗夜ちゃん射的うまいね。張り合うようだけど私もうまいよ射的。というか射撃?

しかし弓道と似てるって言うけど、似てるかな・・・・・・?

銃は片目で照準合わせるのに対して弓って両目だから逆に違和感ありそうだけど。

まぁ、本人が似てるって言うんならそうなんだろう。所詮出店の射的だしね。

 

ちなみにこころには射的とか一切やらせてないよ。

あの子に飛び道具持たせるのはよくない。流石に私でも分かる。

それでも本人がどうしてもっていうならやらせたけど、そんなに興味ひかなかったみたいだったし。

むしろ私が剣道してたからそっちを真似してたよ。棒振り回してたりしてた。危ないからちゃんと教えたけど。

 

 

とか言ってる間にぃー、こころたちの演奏の時間が近付いてきました。イェーイ。

皆気合入れてるし私も楽しみなんだけどさ、これ、雨降ってきてない・・・・・・?

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

行かないと決めていたはずのお祭りに、私は足を運んでいた。

通りかかっただけで、普段の私なら気にもせずに寄ることはなかったのだろうけれど、今日だけは何故か誘蛾灯に誘われるかの如く気付けばお祭りの会場にいた。

 

私は所謂雨女というもので、こういったイベントに参加すると大抵雨が降る。

もしかするとイベントの日に雨が降るという印象だけが強く残っているだけで実際はそうでもないかもしれないけれども、この場合は私がそうであると認識しているのにも関わらず、今までの経験則に逆らう行動をしているという点が重要な訳です。

 

普段と違った行動を選んでしまったのはやはり、この前の弦巻さんに言われた言葉が関係しているのだと思う。

私がいれば雨が降る。という言葉を、雨を降らしたいなら私を呼ぶ。と言葉遊びのように直様言い換えられてしまった。

そんな馬鹿な例え話、と一笑に付したいところではあるけれど、その馬鹿な例え話も元は私が雨を降らしてしまうと自らの言葉を発端にしている。

 

今まで信じてきた経験則か、それとも雨を降らすなどただの自信過剰だったのか。

どちらかハッキリさせたいと無意識のうちに考えていたのだろうか。思わされていたのだろうか。

或いは、自ら築き上げた固定概念が崩れて欲しいと期待しての行動だったのか。

 

 

 

結果だけを言うならば、祭りの最中に雨は降った。

けれども結果的に、雨はあがった。

 

奥沢さんの言っていた通り、天気予報が示していたように雨のち晴。ただ今日はそういう日だったというのは簡単です。

でも私は弦巻さんや宇田川さん、戸山さんの頑張りで定められた天気を変えてしまったようにも思えた。だからこそ柄にもなく応援して、あまつさえ踊ってしまったのだろう。

 

 

思えば、弦巻さんは不思議な方です。

皆さんが言うように突然奇天烈な行動を取る、という意味ではなく知らぬ間に周囲の人間に影響を与えている、という意味でです。

 

バンドをしているという共通項がありますが、それでも私たちはあまり接点がありません。

けれども私は弦巻さんを目で追ってしまうことがある。

 

それは、弦巻さんの天真爛漫な振る舞いがどうしても日菜を思い出させるからだろう。

劣等感を刺激するあの子と似ている。といっても苦手意識がある訳でもない。かといって進んで関わろうとは思わない。だから目で追うだけに留まっている。

私の中でそんな微妙な立ち位置にいるのが彼女だ。

 

 

そんな距離感にいる彼女の一言が私に与えた影響は、言葉にするよりも今日の私の行動をみれば明らかだろう。

柄ではないと自覚できるほどで、思い返せば少し恥ずかしいけれども嫌ではない。苦くも甘い、そんな気持ちです。

 

 

改めて、弦巻さんは不思議な方です。

 

理解できない妹に似た不思議な子、彼女ともっと話したならば、少しは日菜のことが理解出来るのだろうか。

いつも明るく無邪気な彼女にも、心の裡では悩みを抱えていたりするのだろうか。

 

仮に悩みがあったとすれば、それは私たちにも理解できるものなのだろうか。

 

 

 

 

 

 




前話で案外綺麗に纏まったからお祭り本番の話がかえって書きにくくなってしまった。
ということで紗夜ちゃんからみた弦巻さんのお話。

割と皆こころに尊みを感じてくれてて嬉しい。
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