現実の隊長が聖十郎にインストールされたんだが!   作:ルイレツ

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ごめんよ城和泉・・・






VS夢切り国宗 その2

夜も更け、めいじ館の巫剣もすっかり眠りについたころ・・・

聖十郎も既に寝息を立てていた。

しかし、なにやらうなされている様子で、苦しそうな声をあげている。

一体どのような夢を見ているのだろうか・・・

 

 

 

 

 

ふと、気がつくと聖十郎は暗い街中に佇んでいた。

一体いつの間に外出したのだろう?

周囲は戦いでもあったのか、家や地面が荒れている。

 

イマイチ事態が把握できない。

呆然と突っ立っていると、突然声を掛けられた。

 

「あるじ・・・!あるじ!」

 

振り向くと、紅色の髪を二つに束ねた少女が声をかけてくる。

顔がハッキリと見えず、何故かボロボロの服を着ており、息を荒くしている。

ツカツカと近づいてくる少女だが、聖十郎は相手がハッキリしないにも関わらず親し気に声を投げかけた。

 

「ああ・・・■■■か・・・どうしたんだその恰好は?」

「どうしたんだ?ですって!!」

 

どうやらその少女はご立腹のようで怒りに震えた声をあげている。

ふと、その少女の後ろに顔をむけてみる。

二人ほどボロボロになった服を纏っている少女が見えた。

 

「ちょっと!聞こえてるのあるじ!」

「ああ・・すまん、すまん。で、なんだって?」

 

ぼんやりとした思考で声を掛ける聖十郎。

それに声を荒げた少女は矢継ぎ早に言った。

 

「よくもまああんなにヒドイ任務に行かせたわねっ!地獄よ地獄!!一発で刃こぼれさせて来るような危ない禍憑の群れに何回出撃させる気よ!!!もうたくさんだわ!!!」

 

ああ!怒らないでくれ■■■!!君には林檎の花のような慎ましいながらも可憐な笑顔が良く似合うというのに!!

 

聖十郎の内心など関係ないと言わんばかりに、怒りが収まらないのか険しい表情をした少女の話は続く。

 

「あなたはあの禍憑をいっぱい倒したかったんでしょうけど、付き合わされた私たちはもうくたくたよ!」

 

そして自らのボロボロの服を広げる。

色々と穴が開いて見えそうだ。

扇情的なその姿に聖十郎は興奮を隠すのに忙しい。話半分にしか聞こえていない。

 

「見て!この穴だらけの服!今日の出撃で服を何度交換したか数えきれないわ!!」

 

正直すまんかった。次は刃こぼれしないよう頑張って指示を出します。

余りの剣幕に聖十郎は申し訳なく思い頭を下げた。

 

「もう・・・仕方ないわね・・・今日は許してあげる!」

 

烈火のごとく怒っていたのに一回謝るだけで鎮火した。

なにこれチョロインかな?

 

だが、問題はまだあるようで、後ろに控えていた二人の巫剣も話に入ってきた。

 

「だけど隊長くん。君がわたしたちの服を脱がしたいのはいいんだけど、こんな何回も服を破かれたら予備の服が無くなっちゃうよ?」

「あ、主様!ずっとこの格好は恥ずかしすぎます!!」

 

近寄って来る二人。

あられもない姿で、特に大きな胸が破れた服からこぼれそうになっている。ヤベェ・・・暴力的な大きさだ・・・!

 

そこで、小柄ながら大きな胸を持つ少女がポンと手をコブシで叩き、名案を思いついたといった表情をする。

 

「わたしはこのまま隊長くんを誘惑してもいいんだけど・・・この格好のままだと君は困るよね」

 

私は一向に構わんッッッ!!!!!!!

そう伝えたかったのだが、何故か体の動きが緩慢で、口を開けなかった。

 

小柄な少女が聖十郎に腕を組み、甘えるように体をすり寄せた。

あの、当たってますよ。

 

「ふふ、当ててるんだよ?」

 

最高かよ。

胸の感触を楽しむ聖十郎。

それを余所に少女の話は続いた。

 

「それでね?確か隊長くんは銅貨をいっぱい持ってたよね。使い道が無いって愚痴を言っていたのを覚えているよ。」

 

タンスの肥やしになっている銅貨のことだろうか。

数えてないのだが、それならいっぱい持っていたはずだが・・・

 

「その銅貨でわたしたちの破れた服を買って欲しいんだ。余っているんだったらいいよね?」

 

もちろんいいですとも!!余っている銅貨でいっぱい服買ってあげちゃうぞー!!!

 

快諾した聖十郎に満面の笑みを浮かべて少女は更に腕を抱きしめる力を強めた。

やったぜ桃源郷。

 

「主様・・・本当によろしいのですか・・・?」

 

遠慮がちにもう一人の少女が了承を伺う。

 

いいぜ!俺の銅貨に余裕が無いと思ってんなら、まずはその幻想をぶち壊す!!

 

意味不明なテンションで叫んだ聖十郎。

感極まった様子の少女はそのまま聖十郎に抱き着いた!

 

「主様!とっても嬉しいです!ありがとうございます!!」

 

顔面に直接胸が当たってませんか!!!

超最高かよ。

 

美少女二人に抱きしめられた聖十郎は、まさに有頂天といった様子だ。

 

しかし、そこに残った慎ましやかな胸の少女の声が聞こえる。

 

「あるじ・・・?そんな安請負していいの?あの服高いよ?」

 

任せろ!俺の銅貨は汲めども尽きぬ無限のイズミ―よ!

でも気になったので値段を聞いてみる。

 

「銅貨だと一着一億円ね。」

「はい?」

 

なんかとんでもない値段が聞こえたんですが。

 

「50回近く戦闘に駆り出されて服を脱がされちゃったから、大体60着分くらいかな?」

「合わせて60億円ですね・・・主様、大丈夫でしょうか・・・?」

 

ロ ク ジ ュ ウ オ ク エ ン ?

 

いくらでも腐って置いてある銅貨でもそんなに一杯あるわけがない・・・

というかそんなに高かったのあの服?

 

余りのとんでもない値段に気が動転する。

目を泳がせていると、小柄な少女が安心してと言う。

 

「足りなくても大丈夫だよ隊長くん!君には金貨という非常手段があるじゃないか!!」

「そうですね!金貨ならば一着100円です!」

 

全部合わせてもたったの6000円だ!安い!

 

これはお買い得だと手持ちの端末にクレジットカードの番号を入力して課金を行う!!

 

「皆!これからは刃こぼれしても安心だ!全て俺が買いそろえてやるからな!!!!」

 

やったー!

 

三人が嬉しさのあまり聖十郎に抱き着いてくる。

勢いのあまりもみくちゃになる四人。

美少女に抱きしめられて聖十郎はウハウハだ!!!

 

人生の絶頂、最高の一時である。

三人の感触を確かめながら、聖十郎は喜びを噛みしめたのだった・・・

 

 

 

 

「今回は一段とヒドイ夢ですね・・・主、大丈夫ですか?」

「ふぁい?」

 

気がつくと三人の姿は消えており、目の前には夢切り国宗が呆れた表情で聖十郎の顔を覗き込んでいた。

 

「夢切り・・・?これは一体どういうことだ・・・?まさか夢の中なのか?」

 

三人の至高のおっぱいは何処にいったのだ・・・?

周りを見回してもそれらしい影が見えない。

 

「おっぱ・・・相変わらず欲望が駄々洩れですね、夢の中の主は。」

 

夢切りは何を言っているのだろう?

 

「欲望・・・?何を言っているんだ?」

 

聖十郎はクールでイカす決め顔を作り、質問する。

彼女は聖十郎のフェロモン溢れる表情でメロメロだろう!

 

「くーる?いかす?主は独特の表現を使われますね。」

 

何かがオカシイ。

これでは夢切りは聖十郎の言葉と会話していると言うより、心の内と直接会話しているようではないか!!

聖十郎の表情に動揺が走る!

エッチィ妄想に浸っていることがバレると男の尊厳が死んでしまう!!

 

「・・・?聞こえていますよ?安心してください。その程度で尊厳は死んだりしませんから。」

 

終わった・・・

夢の中と言えど夢切りにこんなことを知られては明日からどうすればいいのだろうか。

余りの衝撃に膝をつく。

 

ため息をはいた夢切りは、聖十郎に手を差し伸べる。

 

「ほら、立ってください。あんな程度ではあなたのことを嫌ったりしませんから。」

 

なんということか!

あれほどまでに低俗な思考を晒したというのに夢切りは気にしないと言うのだ!

何と言う心の広さか!例えるならば雄大に広がる晴天の海の如し優しさ!

夜空に広がる無限の宇宙の如し包容力!!

夢切りは知勇兼備の至高の巫剣である!!!

 

至高の夢切りへの賛辞で荒ぶる聖十郎の心の声に、彼女は顔を真っ赤にする。

 

「夢の中の主は大げさに過ぎます・・・まったく、手のかかる人ね・・・」

 

困ったように照れ笑いをする。

そのはにかんだ笑顔に聖十郎のハートは撃ち落とされた。夢切り愛してる。

 

聖十郎はとち狂った思考を垂れ流しにしたままである。

更に顔を赤くした夢切り。

 

しかし、聖十郎のヒドイ妄想を目にした割にはあまり驚いていないように見える。

その疑問を直接聞いた。

 

「なあ、夢切り・・・その、俺の本性を知った割には動揺が見られないんだが・・・」

「あなたの夢の中に入るのは初めてではありませんから・・・最近はよくお邪魔しています。」

 

―――お嫌でしたか?

 

少しだけ影のある表情で聞いてくる夢切り。

 

あなたの為ならば年中無休!二十四時間営業で眠っていつでも待っていますとも!!!

 

毎日二十四時間眠っていると死んでしまう気がするが、聖十郎は本気で眠っているつもりであった。

その心の声が聞こえたのか、苦笑した夢切り。

 

「では、明日もお邪魔します・・・ところで、今日はどうしましょうか?随分奇妙な夢は終わってしまったみたいですが。」

 

銅貨消費だの課金だのを進めてくる巫剣が出てくるという変な夢だった。

しかし、積極的に迫って来る巫剣はかなりエッチかったです。

 

「そうだな・・・夢の中なら大抵のことは出来るのだろうが・・・」

「主の役に立つ・・・それがわたしの願いです。なんでも、言って構いませんよ?」

 

何でもいいんですか?(歓喜)

欲求が鎌首を上げてくる・・・

 

「ええ、好きなようにして構いませんよ?」

 

マジか。なら遠慮なく。

 

夢の中ゆえに短絡的な思考しか出来ない聖十郎!

夢切りの発言を自分勝手に捉え、彼女に襲い掛かった!!!

 

「うおおおぉぉぉぉぉ!!!!夢切りィィィィィ!!!」

「ちょっ・・・ちょっと主・・・」

 

これが夢の中なら何してもオッケーだよね!!

先ほどの巫剣の夢の猛りが残っていた聖十郎!勢いで夢切りを襲ってしまう!危うし夢切り!!!

 

「ん・・・意外と強引なんですね」

 

男は狼だからね。仕方ないね!

 

そのまま強引に抱きしめる。

夢切りは抵抗もせずされるがままである。

抵抗らしい抵抗をしない夢切りに行動がエスカレートした聖十郎。

顔を彼女に近づけ頬擦りをした。

 

くすぐったそうにする夢切りは笑みを浮かべて聖十郎の頬を優しく撫でた。

 

「もう・・・子どもですか、あなたは」

 

ここまで無理矢理襲っても受け入れてくれるとは・・・女神かな?

更に調子づいた聖十郎は夢切りの服を脱がしにかかったのだが・・・

 

「調子にのらないで下さい」

 

突如空間から大蛇の姿が現れた。

その分厚い体で聖十郎の動きを止めてしまう。

 

冷たい笑みを顔に貼り付けた夢切りは身動きの取れない聖十郎に向かって声を掛けた。

 

「あなたはいつもそう。隙を見せたらすぐに襲い掛かってきて・・・呆れたものね。」

 

此間の夢もそうだったわ・・・

 

どうも以前の夢の中でも彼女を襲っていたらしい。

しかし、その記憶は聖十郎には一切残っていない。

これは一体どうしたことなのだろうか。

その疑問を持った心の声に彼女が答える。

 

「所詮は夢。夢は起きたら殆ど忘れてしまうわ。その忘れてしまう夢の空間を少しだけ借りているだけよ。」

 

なんと、せっかく夢切りと親密になれたというのに起きたら忘れるというのか!!

余りにも残酷な運命に聖十郎は神を呪った!!おおジーザス!

 

「でも、わたしにとっては好都合。ここでは何をしてもあなたは忘れているもの・・・」

 

妖しく、色気のある笑みを表情に浮かべた夢切りは、聖十郎の頭を数度撫でると、ゆっくりと頬に手を当てる。

 

蛇に睨まれたカエルのように動けない聖十郎。

しかし、心は期待に胸を躍らせている!

 

「寝る前もわたしを抱きしめて、期待させておきながら帰って・・・今日はオシオキしてあげますね・・・?」

 

両手を頬に添え、夢切りの顔がゆっくりと近づいてくる。

一体どんなことをされてしまうのか!

興奮が絶頂をむかえる聖十郎!

 

長い、長い二人の夜がこれから始まるのであった・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在の時刻は朝。

また、同じように一日が始まるのだ。

 

だが、唇に何かが触れたような感触が残っているような・・・

しかし、その感触も眠気の前に消えてしまう。

 

倦怠感を抑え、目を開ける聖十郎。

そこには見知った顔が見えた。

 

「おはよう・・・夢切り。今日もいい日になりそうだな」

「ええ。おはようございます」

 

頬に何かが触れている感触。手を伸ばしてみる。

そこには夢切りの手が添えてあった。

 

優しく頬を撫でる手に、聖十郎はまどろみに沈みそうになる。

しかし、彼女が起こしてくれたのだろう。

目の前で二度寝をするのは失礼だ。

 

体を起こした聖十郎。

視線は自然と夢切りの方に向いた。

 

「・・・?」

 

その優し気な表情に違和感を覚える。

先ほどまでは何か妖艶な表情だったような・・・

そんな既視感を感じた。それをそのまま伝えることにする。

 

「なあ、夢切り。さっきまで夢の中で君と一緒だったような気がするんだが・・・もしかして俺の夢の中に来ていたのか?」

「わたしと夢で会った気がする?・・・気のせいでしょう、きっと。」

 

夢切りは、頬をそっと撫でていた手を離し、窓へと向かった。

 

首を傾げる聖十郎。何かを忘れているような・・・

そんな違和感を覚えていた。

 

夢切りは部屋の窓を開く。

 

朝の新鮮な空気が聖十郎の胸をいっぱいに満たしてくれた。

 

振り向いた夢切り。

夜空のような色の目を細め、あどけなく微笑む。

 

「いい夢、見れましたか?」

 

不思議な充足感が胸の中にある。

 

きっと、いい夢を見れたのだろう。

聖十郎は彼女の笑みに応えるように表情をほころばせた。

 

 

 

 

 






悪夢(ゆめ)は見れたかよ?


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