現実の隊長が聖十郎にインストールされたんだが! 作:ルイレツ
今回視点が骨喰藤四郎寄りになっております。
ここは聖十郎たちが去った後、骨喰藤四郎の部屋だ。
嵐のように現れて嵐のように去っていった二人。
しかし、聖十郎の骨喰を押し倒す暴挙は心に影を残した。
「なにさ・・・押し倒したと思ったらすぐ帰るなんて・・・」
まだ聖十郎に触れられたところが熱を持っている。
手が添えられた顔に触れてみる。
先ほどの主の言葉が甦ってきた。
俺はお前とこうしていたいんだ・・・
「あああーー!もうっ!恥ずかしすぎるってば!!」
自身の気恥ずかしさを紛らわすためにベットに潜った。
しばらくベットで悶えていると、次第に冷静になる。
どの主人に拾われても、しばらくすれば見放された自分。
各地を転々としていた自分を拾い上げてくれたのは聖十郎だ。
気を引きたくて大胆にせまったり、わがままを言ったりもした。
でも、今まで捨てられた記憶が甦り、また捨てられるならいっそ自分から出ていこうとした。
それでも自分は見捨てないと言った聖十郎。
それからは聖十郎を信じてずっと一緒にいると誓ったのだ。
「でも、あたしは主さまのことを・・・」
そこまで考えると骨喰は顔を振り、思考を断ち切った。
―――見捨てないと言ってくれた主さまがいるんだ・・・これ以上を望んだらバチが当たっちゃうよ・・・
見捨てられないよう、これからも同じように振舞おう。
心が痛み、涙が零れそうになる。
それでも、聖十郎に見捨てられたら今度こそ
己の心に蓋をして、また明日を主さまと楽しく過ごせるよう心を切り替える。
今日は色々あったが明日も頑張ろう。
そう心で呟いた骨喰はゆっくりと眠りについた。
そして翌日の朝。
骨喰はいつものようにめいじ館の朝食を食べて今日の任務をこなすことにする。
朝食を食べている骨喰の前に、聖十郎が食器をもってやって来た。どうやら一緒に食事を取るつもりのようだ。
昨日押し倒されてからたいして間を置かず顔を合わせた二人。
骨喰は表面上何でもない風を装うことにした。
「お、主さま。おはよう。どうしたんだい?」
「おはよう、骨喰。昨日は本当に済まなかった。」
三ツ鱗とも決着をつけれなかったな・・・
何やらモゴモゴと口走る聖十郎。
昨日の己のしたことが気恥ずかしいらしく、顔をこちらに向けて話していない。
骨喰も主の様子から昨日の出来事を思い出し、頬に朱が差す。
―――でも、昨日同じように振舞おうって決めたから・・・
己の迷いを閉じ込め、明るく話しかけた。
「なーにもごもご言ってんのさ!ほら、一緒にごはん食べよ!」
「お、おう・・・そうだな。」
アレだけのことをしても気にしてないのか・・・?女神かな?
なにやら聖十郎の様子がいつもと違い、上の空でブツブツ言っている。
あたしのこと気にしてくれてるんだ・・・
骨喰は嬉しくなる。
そして、上の空の聖十郎にチョッカイを掛けたくなった。
好きな子には悪戯したくなる心理である。
「なになにー?どうしたの~?もしかして昨日のこと思い出しちゃった的な?
主さまのえっちぃ・・・❤」
その発言に心外であると言わんばかりに目を見開く聖十郎。
エッチィ発言頂きましたァァァァッッッ!そうです私がエッチマンです!
聖十郎の内心など分かるはずもなく、怒っているように見えた骨喰。
怒らせちゃったら今度こそ見捨てられるかも・・・
脳裏に過ぎる最悪の展開にビクッと怯えると、違う言葉を話した。
「・・・うそうそジョーダンだよっ!昨日のことも言いふらしたりしないから安心しなって!」
あたしは寛大なんだぞ~
そういうと聖十郎はほっと息をはいた。
そして骨喰に向き直ると改めて昨日の謝罪をした。
「昨日は本当に済まなかった。謝っても謝り切れないな・・・」
「いいよいいよ!ちょっと構ってほしい的な気分は誰にもあるって!あたしは気にしてないよ!」
「それだと俺の気が済まない。何か詫びの品でも送りたいのだが・・・」
丁度今日は主と一緒に街を見回りする任務がある。
「じゃあさ、今日は主さまと一緒に任務あるでしょ?帰りにお店に連れてってくれればいーよ!それでチャラだよ!」
「・・・そうか?では、そうしようか。」
イエェェェイ!!!バミちゃんとデートだぜ!
胸のしこりが取れたのか、微笑んで快諾した聖十郎。
その内面でデートだなどと浮かれていることは骨喰は知る由もない。
良かった・・・いつもの主さまだ・・・
昨日の奇行と先ほどの怒っていた様子から、主に嫌われたかと感じた骨喰。
杞憂だったと知れて、自然に微笑みが浮かんだ。
・・・ヤバイ、俺とのデートでニッコリ微笑んでくれるバミちゃんマジ天使。結婚しよ。
聖十郎の内心とは大分温度差が激しいようだが。
見回りの任務の帰り、約束通りいくつかの店を回る二人。
二人は雑貨屋に入り、色々な小物を見ることにした。
狭い店内の割には、日用品から貴金属や宝石箱まで幅広く扱っている。
雑多に置いてある中で骨喰は指輪を見つけた。
子ども向けのおもちゃの指輪だが、自分の指に丁度合いそうだ。
少し主さまをからかってみようかな・・・?
そう考えると、骨喰への贈り物を物色している聖十郎に声を掛けた
「ねーねー主さまー!これどーお?みてみてー!」
聖十郎は振り返ると骨喰を見てギョッとした。
骨喰は左手の薬指に指輪をはめていたのだ。
「最近はさー、結婚すると相手に指輪を送るんだってね!主さまー。買って欲しいな~?」
面食らっていた聖十郎だが、しばらくすると頷き、自分も指輪を手に取った。
その目が怪しくキラリと光る・・・!
「そうだな・・・。だが、それだけだと間違いだ。正確には相手にも同じ指輪を送り、自分も同じ個所に指輪をはめるんだっ・・・!」
そういうと聖十郎は自分の左手に指輪を持っていく・・・!
そして、骨喰が指輪を付けているところと同じ個所にそれを付けた!
ボンッッ!!と骨喰は一瞬で自分の顔が茹でタコになるのを感じる!!!
勝ったな・・・!俺との結婚も満更じゃあなさそうだな・・・これはいけるっ!
そう思った聖十郎はダメ押しに顔を骨喰に近づけ言葉を囁いた・・・!
「じゃあ、これを二つ買うことにするか・・・?それとももっと上等なものにしようか?」
それを聞いた骨喰は限界だった!
聖十郎の左手についた指輪を引っ手繰るように奪うと、自分の指輪も外して元の棚に叩きつけるように戻した!
「あっあっあー!主さまはこーんなおもちゃがいいの?うけるー!!あたしはあっちにある雑貨が欲しいなー!的な!!ほらっ!行こっ!!!」
盛大にどもった骨喰。
ごまかす様に聖十郎の手を引いて違う場所に移る。
店を出ても指輪のことが頭にチラついてしまう。
結局聖十郎に詫びの品を貰うことなくめいじ館に帰るのだった。
「あーあ・・・あたしらしく無かったよね・・・」
自室に戻った骨喰は、先ほどの自分らしからぬ言動を悔いていた。
本来なら主のからかいに便乗して、体をくっつけてじゃああたしを貰ってね!くらい言えたのだが。
やっぱり主さまのこと、好きなんだ・・・
一度自覚してしまうとどうしようもなかった。
主の顔を思い出すだけで顔が日照る。
主の声を思い出すだけで心がざわつく。
「・・・・・」
そして寝台の横に目を向ける。
そこには先ほど主から奪って店に返した指輪が二つ置いてある。
主とめいじ館に戻ってからどうしても頭から離れず、急いで買いに走ったのだ。
指輪を手に取り眺める。
なんとなく、左手の薬指に嵌めてみる。
主との
だが、その思いを打ち明けて主に嫌われようものならば自分は文字通り錆付き、生きてはいられないだろう。
それならば、この気持ちを主に悟られないように、距離を置こう。
いつかこの気持ちに整理がつき、主と普通に接することが出来るようになるまで。
でも・・・
「やっぱり辛すぎるよ・・・主さまぁ・・・!」
己の思いを隠して生きていく。
冷めることのないこの気持ちに、骨喰はこんこんと涙を流す。
主さま、主さま、とあふれ出る自分の気持ちを呟く。
もう、じっと耐えるしかないのだろう。
とめどなく溢れ出る自分の想いに怯え、己の体を小さく丸めることしかできないのだった・・・
そんな展開はこの聖十郎が許すわけねぇだろうがッ!!!!!!
「骨喰―?おるか――?おるな!いくわッ!!」
骨喰の部屋の扉を強引にヤクザキックで蹴破る!!!!!ダイナミックエントリー!!!!!
「えっ!!何!なんなのっ!!!!」
骨喰は自身が置かれている状況が分からず布団の影に隠れた。
しかし、一瞬見えたその表情は涙で濡れ、悲しみに染まっていた!!!!
んんんんん―、許るさーん!!!!私のバミちゃんを泣かしよって!!!!!
即座に胸元からハンカチを取り出し骨喰の顔を丁寧に拭う。
驚愕の表情を浮かべている骨喰が落ち着くまで待ち、ゆっくりと口を開く。
「済まない。今朝、君にお詫びの品を送ると言っておきながら今までこれを渡すことが出来なかった。受け取ってくれるか?」
ここやでと、トントンと指で叩いた小箱の中には白金で作られた指輪が入っていた。
「え・・・これって・・・」
「最近は、結婚する相手に指輪を送るんだと聞いた。受け取ってくれるか?」
骨 喰 は 神 !
神にも匹敵する尊い存在である。その骨喰を泣かせた聖十郎は汚名挽回のチャンスを頂きたく。
行動はともかく真摯な気持ちで迫る。
骨喰は漸く自分が主から婚約を申し立てられていることに気付いた。
目からまた涙があふれてくるのを感じる。
だが、その感情は先ほどと全く違うものだ。
「うん・・・!喜んでっ!」
そして、骨喰は主に己の気持ちをぶつけるかの如く、思いっきり抱き着いたのだった。
その後のことは多くは語るまい。
二人は幸せに、末永く暮らしたのでした。おしまい。
しかし、実際にあった音声をダイジェストでお送り致します。
「お、主さま。どうしたんだい?」
「あれ?もしかして寂しくなっちゃった?」
「ふふ、どうしたの?構ってほしい的な?」
「主さまー。朝までかまってかまって?」
「人肌恋しいんでしょ?うん・・・あたしも・・・」
「ちょ、それは驚くって!」
「じー・・・じー・・・」
「どーこ触ってんだい!もー。」
「やんっ、いきなりそこはヤバイって・・・」
「あっ、ちょ、ダメだってばぁ・・・」
「あ、ううんっ・・・主さま・・・いいよぉ・・・」
「そういうことするなら責任取ってよね!」
「今日は逃がさないんだから!ふふ!」
実際の音声は天華百剣-斬-をインストールして聞いてみましょう(ダイマ)