しかし、まだ戦いは終わっていない
だけど……今は休息の時
再び戦火が上がる、その時まで
第六話:俺の彼女だ!?
「うっ……うっ、んん、ふぁ~ああ、うん」
時覇は目が覚め、起き上がり際に背伸びをしながら欠伸をした。
“おはよう御座います”
「ああ……おはよう、レヴァンティン」
寝ぼけ眼で答える時覇。
そして、階段の音がドンドン大きくなっている事に気づき、大慌てで飛び起きる。
「 !? やべ!」
そして、着ていたパジャマを脱ぎ捨てる。
次の瞬間、ドアが開かれた。
「おっはよ~って、きゃああああああああ!」
勢い良く閉まる。
妹――真里菜(まりな)が、ノック無しでドアを開けてきた。
その真里菜がみた光景は――時覇のパンツ一佇姿だった。
「せっ、セーフ」
“……女性に対して、不埒では?”
「しかたないだろう、シグナムの事……説明するのが大変なんだから」
そうして、時覇の平凡では無い、一日目の始まりだった。
台所から、リズミカルな音が鳴り響く。
リビングの方からは、今日のニュースが流れる。
そして、上からは――
『おっはよ~って、きゃああああああああ!』
娘である真里菜の悲鳴が聞こえてきた。
「朝っぱらから騒がしいな」
呆れ口調で、ごく当たり前のセリフを吐く父親。
「どうせ、またノック無しで入ったんでしょ?あの娘は」
テーブルに、料理の乗った皿を置いていく母親。
リビングのドアが、荒々しく開く。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
息を荒げ、整えながら椅子に座る真里菜。
「今日はどうした? また変な物でもあったのか?」
「ううん、バカの裸を見ただけ――いっただきま~す」
ご飯の入ったお茶碗を持って、料理を食べ始めた。
「そうか……だが、ノック無しで入るお前も悪いからな」
「うっ」
父の指摘に、真里菜の箸が止まる。
「はぁ~、この娘ったら」
頬に手を当てながら、呆れる母。
「おはよ~」
「今日は、起きるのが早いわね。どうしたの?」
席を立ち、時覇のお茶碗にご飯を入れながら、いつもと違う行動に尋ねた。
「今日は学校の創立記念日で休みだから、勿体無くて寝てられないよ――いただきます」
時覇は、母からご飯を受け取り、朝食を取り始めた。
管理局サイド編
第六話:俺の彼女だ!?
「すまないな、レヴァンティン」
“気にすることはありません、主”
先ほど気がついたシグナムは、レヴァンティンから、今まで起きた出来事を聞いたのだった。
「あと、あの時覇という男にも、礼は言わないとな」
不意に、ドアが開かれる。
「 !? 」
シグナムは、すぐさま体制と取る。
「ふぇ~、やっと行ったぜって、気がついたのかシグナム……さん」
「何故、私の名前を?」
警戒するシグナム。
「なに、レヴァンティンから大雑把な事だけを聞いたに過ぎないさ……俺の名前は桐嶋時覇、時覇でいいから」
ドアを閉めながら、自己紹介をする時覇。
「……そうか、感謝する」
「そういえば、腹の方は大丈夫か? 飯ならすぐに作るけど」
と、言いながら何故か、お盆の上には和風の料理があった。
しかも、出来立ての。
その状況を見て、固まったシグナムだったが――お腹の鳴る音が聞こえてきた。
「…………」
「…………」
“……主?”
時覇の部屋から、賑やかな声が上がった。
――三十分後
「ご馳走様でした」
手を合わせるシグナム。
「お粗末さまでした」
お盆を下げる時覇。
“すいません、私まで”
刃が綺麗に輝いているシュベルトフォルムのレヴァンティン。
「なぁに、前のバイトでやっていた事があったからな」
嬉しそうに話す時覇。
「バイトか……時覇の職業は何だ?」
「ああ、十八歳だけど高校二年兼ガソリンスタンドのバイターだったけど、昨日でクビになった」
レヴァンティンを磨くのに使った道具を片付ける。
「何かやらかしたのか?」
「ふっ、色々とあっただけさ」
時覇の背中は、異様なまでにすすけて見えたので、それ以上追求はよそうと、心に決める。
「そんでもって、話してもらうぞ……昨日の事」
道具を片付け負え、食器を横に置いた時覇が、真剣な眼差しで言った。
「……恩はあるが、こちらにも事情があるのでな。悪いが、簡単に話させてもらっていいか?」
「レヴァンティンよりは、な」
そして、途中質問、簡単な解説を含めながらの説明は、一時間費やすことになった。
「……大体はわかったけど、これからどうするんだ?」
「一旦海鳴町に戻る事にする」
「そうか……、なら、俺も行っていいか?」
「まあ、問題は無いが……」
少し考えるシグナム。
「考えても始まらないなら、着いて行く事決定」
そを言って、横に置いてあったお盆を取って、立ち上がった。
「待て、まだ私は何も――」
「レヴァンティン、あと頼んだ」
“お任せを”
戸惑っているシグナムを置いて、男とデバイスは僅かな言葉だけ交わした。
「時覇、レヴァンティン」
面を喰らった様な顔をするシグナムであった。
そして、あれよあれよと言う間に、支度が整い、玄関にいた。
「シグナム、準備は?」
「問題無い、お前こそどうなんだ?」
「ああって、財布忘れた」
自分の部屋に、取りに戻る時覇。
「全く、自分が忘れては意味がないだろうが」
呆れるシグナムであった。
その後、海鳴町に行くが……そこには翠屋はなかった。
続いて、なのはが通っているはずの学校も、すずかとアリサの家、そして――
「主の家も……無いなんて」
愕然となるシグナム。
確かにここは、海鳴町である。
一応、なのはやフェイトに似た人物は見つけたが、親が違かった。
どうやらこの世界は、なのは達が居た世界とは異なる世界だとわかった。
そして、そのまま夕方になってしまい、途方にくれた時覇とシグナムは、住宅地の公園にいた。
ついでに言うと、二人ともブランコに座っていた。
「なあ、シグナム」
「……なんだ?」
「行く当てないなら、俺が何とかするが……どうする?」
その言葉に黙る、シグナム。
それに釣られて黙る、時覇。
二人の間に、何とも言えない沈黙間が生まれた。
が、それを打ち破る、救世主が誕生した。
“(時覇)”
(なんだ、レヴァンティン?)
シグナムに内緒で、念話し合う。
ちなみに念話の事については、朝の説明で聞いていた。
あと、時覇には魔力があるが、シグナム曰く、念話できる程度の魔力しかないらしい。
“(主を頼む)”
(はぁ~、わかったよ)
念話を終えて、ブランコから立ち上がる時覇。
「シグナム、何か飲むか?」
「いや、遠慮しておく」
「じゃあ、俺はコーヒーMXで、シグナムは――」
“(抹茶系の飲み物を)”
すかさず念話で通達するレヴァンティン。
「――お茶系の飲み物を買ってくるから」
シグナムは、自分の好きな物を言い当てられて、目を丸くした。
「え、あ、時覇!?」
「じゃあ、行ってくる」
手を上げて、自動販売機に向かって、走り出す時覇。
「ふぅ……レヴァンティン、お前か?」
“何のことでしょうか?”
とぼけるレヴァンティン。
「……先ほどの念話は、気のせいだったか」
脱力したように言った。
だが、シグナムの顔は、リラックスした顔だった。
それから二人は、公園を後にし、人気がほとんど無い道――商店街の裏道を歩いていた。
ここならば、公に魔法の事や、平行世界という会話をしても、怪しまれないし、聞かれることが無いからである。
簡単に言えば文字通り、本当に人気の無い道、と言える。
「で、これからどうなるかぁ~」
バス停から、五分くらい歩いた頃に、時覇が呟いた。
「確かに……ここが平行世界の一種であるならば、私は当てが無いといっていい」
「家にくればいいんだが……親に何と言えばいいのやら」
肩を落す時覇。
「気にするな。これしきの事くらい、何とも無い」
夜天の王兼現主、八神はやてに出会う前の出来事を思い出したシグナム。
その時、時覇が見たシグナムの横顔は、痛々しいくらい暗かった。
「……シグナム」
「 !? っな、なんだ時覇?」
感傷に浸っていた時に、不意に声を掛けられたので慌てた。
時覇の方を向くと、手のひらが視界に広がっていた。
「そのまま、目を瞑ってくれないか……大丈夫、変な事はしないよ」
真面目な顔で言う時覇。
ただ、その瞳は偽りの無い真剣そのものだった。
「そうか」
言われたとおり、目を瞑るシグナム。
そして、時覇の手が次第に淡く光だした。
氣功術の一つで、精神に直接安らぎを与える技。
一分か二分たったのか、手から淡い光が消え、時覇は手を引いた。
「どうだ、少しは楽になったか?」
「……何だか、不思議な感覚だったな」
呆然としながら言った。
「落ち込んでいる時は、嫌な事は忘れるに限る」
苦笑しながら笑みを浮かべる時覇。
シグナムから見たその表情は、どこと無く暗かった。
「……って、何時から居たんだ!?」
家に向かって歩き出そうと振り向いた途端に、妹の真里菜が居たのだった。
「 !? 」
とっさに飛び退くシグナム。
そこには、父親と母親が居た。
「いつも息子がお世話になってます、シグナムさん」
などと口走る母。
『はい!?』
同時に叫ぶ時覇とシグナム。
「む、違うのか?」
「違うわ!」
素でボケる父に、鋭い突っ込みを入れる時覇。
「じゃあ、何で昨日アンタの部屋で寝てた訳?」
真里菜の指摘に、言葉が詰まる時覇。
「まさかと思うけど……法に触れた行いでもした?」
「してないよ!」
的外れの言葉攻めに、ゲンナリする時覇。
「ああ、それはされていないから、問題無い」
時覇の弁護をするシグナム。
(シグナム、頼みがある)
(なんだ?)
(口裏合わせてくれ、俺自身、何口走るかわからないけど)
(善処する)
約五秒間のやり取りだった。
「シグナムは――」
「彼女」
「そう俺の彼女なんだ!?」
後悔した。
友達と言おうとしたが、真里菜が『彼女』と会話の途中で出したせいで、勢いで言ってしまった。
おかげで、それで話を通すしかなかった。
ちなみに、シグナムの視線が痛かった事も
「何故疑問系かは、置いといて」
などとジェスチャーする母。
「じゃあ、今日のご飯は赤飯ね」
母よ……と、時覇は地面に崩れ落ちた。
「時覇」
顔を上げると、そこには――
「私にどうしろと?」
怒りのオーラが見え隠れしているシグナムの姿であった。
で、急遽家に帰宅し、リビングで祝いの宴会が開かれていた。
「うた~う、ことば~もしっ、らずに~♪」
「母さん、つまみを」
「は~い」
歌う真里菜に、酒のつまみを食べる父、母は母で色々している。
時覇とシグナムは――
「シグナムさん?」
「…………」
時覇の問いを無視して、持っていたお茶を飲む。
(ま、怒るよな。普通は)
時覇も、『ハジケ祭り』を飲んだ。
ちなみに、『ハジケ祭り』とは――
昔のコーラ並みの炭酸、発ガン性があるといわれる着色料の青を使用。
簡単に言えば、2006年3月に出た『ポー○ョン』がベースとなっている品物である。
「ねえねえ、シグナム義姉様♪」
「っぷ、んっぷは、はぁはぁ、な、なんだ真里菜?」
「ブッウゥゥゥゥゥゥ!」
義姉発言に、飲んできたお茶を噴出しそうになりつつも、何とか堪えた。
だが時覇は、耐えられず噴いた。
今のコーラでも、耐えるのがキツイのに……それを昔の炭酸量だとすると、とても耐えられる品物ではない。
「 む? 」
もの凄い速さで、ソファーから一センチくらいの高さの状態で、いとも簡単にかわす父。
さすがのシグナムと真里菜も、その俊敏性に少し驚いていた。
「げほっ、げほっ……真里菜、何故シグナムを義姉と?」
肩を上下させつつ、口元を拭きながら、尋ねる時覇。
「そんなことよりも、キチンと吹いておきなさいよ」
と、母から雑巾を投げつけられた。
「わかってるよ」
渋々言いながら、振り向く事無く雑巾を空中で掴む。
「時覇」
「なんだ、父よ」
雑巾でテーブルや、床を拭く時覇。
「シグナムさんとは、何時結婚するのだ?」
コケた。
シグナムと同時に。
しかも盛大に。
「どうしたの、ご両人?」
「なんでだよ!?」
「へ、結婚前提のお付き合いじゃなかったの?」
「何時、どこで、結婚前提と言った!?」
母の突っ走りに突っ込みをかます。
「だって……」
エプロンのポケットから、カセットレコーダーを取り出して――再生した。
『大体はわかったわ、時覇』
『ご理解ありがとう御座います』
『で、何時知り合ったの?』
『……出会い系サイト』
『か、堅物の時覇が、出会い系サイト行くなんて……まさかシグナムさんと既に!』
『やってない!』
『でも、俺は出会い系サイトなんか行くかって、よく言ってた人がねぇ~』
『で、出会い系でも、びっ、BBSの集まりみたいなモンだよ。冷やかしで書き込みしただけだ』
『怪しい~』
ちなみにこの時、父母妹の三人に同時に言われた。
『……もう、好きにしてくれ。シグナム、先帰ろうぜ』
『ああ、私も少し疲れた』
『じゃあ、こっちで何かしてもいい訳ね?』
『ああ』
そこで録音会話が終わり、スイッチを切る。
「 ね♪ 」
ぶりっ子して言う、母。
「ね♪ じゃねっ――ぶは!」
時覇が来るのを待っていたかの如く、既に突き出されていたフライパンを、顔面に直撃した。
倒れながら、
(何でフライパンで、ダメージを受けなきゃいけないんだ? ってか、俺、悪いことでもしたのか?)
そう思いながら、視界はブラックアウトした。
管理局サイド編
第六話:俺の彼女だ!?・END
次回予告
何故か結婚前提のお付き合いになった時覇とシグナム。
次の日、時覇が学校へ行くと……
その頃シグナムも家で……
今までと違う日々が始まる。
管理局サイド編
第七話:何時もと違う日常……、かな?
に、ドライブ・イグニッション!
あとがき
やっと半分一歩手前まできました。
でも、神曲奏界ポリフォニカのクリムゾンシリーズの書きたくなってきた。
主人公設定も、脳内で完成してますし、パートナーも出来ています。
あとは、書き起こすだけ。
連載しまくっているのに、さらに首を絞める行為が思いつく男。
ま、頑張ります。
制作開始:2006/4/8~2006/4/18
改正日:2006/12/29~2006/1/18
打ち込み日:2006/1/18
公開日:2006/1/18
修正日:2007/4/24+2007/10/4
変更日:2008/10/24