色んな別れがあって……
今日が明日になるように
少しずつ、世界は変わる
「行ってきま~す」
と、桐嶋家から声が上がった。
「いってらっしゃい、真由美。ほら、時覇も行った、行った」
母に、シッ、シッとやられる。
「わかっているよ――行ってきます」
真由美のあとに続いて、玄関を出てったが、顔だけ玄関に入れてきた。
「母さん、シグナムに変なことするなよ?」
「大丈夫、大丈夫、服の着せ変え程度しかしないから」
「……行ってきます」
そして、玄関を閉めた。
そのまま道路に出て、学校へ向かいながら、シグナムに念話をした。
(シグナム、聞こえる?)
(どうしたんだ、時覇?)
(母さんに気をつけろ。隙を見せれば、玩具にされるぞ)
(……もう、遅い)
(……ごめん)
そこで念話は終わった。
キーンコーンカーンコーン……ガシャーン! と、タイミング良くガラスが割れる音が、学校全体に響き渡る。
「おっ、落ち着け。き、気分を損ねたなら謝罪する、だから机を投げるのやめてくれ」
時覇は、壁を背に床に座り込んで命乞いをしていた。
周りの連中も、少々……いや、すでに教室から逃げ出していた。
「時覇が悪いんだから!」
彼女の名前は、廼王寺 瑠々(だいおうじ るる)。
一言で表すと、俺の幼馴染だ。
瑠々が投げてきた椅子を、時覇は伏せてかわした。
その椅子は、机や壁にぶつかりながら転げまわる。
「あっ、ぶねって!」
とにかく教室を出ようと、ドアへと走るが――地味な音を立てながら、無情にも、外に避難していた生徒らにドアを閉められた。
その際、教員も一緒に閉めていたのが、ちょっぴり見えた。
ついでに言うと、その教員と目が合ったが――教員から目を逸らした。
「お、お前ら!」
「と~き~は~の……、馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
教卓が、勢い良く飛んできた。
ちなみに、回避不可能の直撃コースである。
「ちょまっ――ぶがっ!」
時覇の視界は、ブラックアウトした。
管理局サイド編
第7話:何時もと違う日常……かな?
地鳴りのような駆け足が廊下に響いてきた。
音は次第に大きくなり、とある教室の扉で止まると思いきや、勢い良く開かれた。
「真里菜!」
時覇は、鬼のような顔をしながら、真里菜のクラスに乱入してきた。
「まっ、真里菜ちゃんなら、さっき出て行きました」
クラスの女の子が、少々驚きながら教えてくれた。
「ちっ、アイツ以外、瑠々に情報リークする奴はいないからな……、家に帰ったら覚えとけよって、伝えといてくれ」
渋りながら呟いて、伝言を頼むが――
「 嫌 」
即答。
一瞬で一蹴りされてしまう。それで一気に凹む、時覇。
仕方なく、真里菜のクラスを後にするのだった。
それを確認した女子生徒。
『と~き~は~!』
『げっ、瑠々って!』
の、会話と後に、コンクリートが砕けるような音が聞こえてきた。
『ていや!』
『うおわ!』
「この学校……大丈夫かしら?」
そう言わずにはいれなかった女子生徒であった。
最後にまた、ガラスが割れた音が遠くから聞こえてきた。
一方、桐嶋家にいるシグナムは――
「あの、母上」
「何、シグナムさん?」
「……もっと別な服はありませんか?」
ただいま、シグナムが着ているのは、何故かメイド服。
ちなみに今まで着ていた服は、時覇の母の策略により、ただいま洗濯中であった。
「ならこっちの服を着る? それともこのフリル?」
右手にはナース服、左手にはゴルロリ服。
引き攣りながら固まる、シグナム。
「どっちがいい?」
無邪気な顔をした母に聞かれるが、
「……このままでいいです」
無き崩しに諦めつつも、時覇の帰りを願うシグナムであった。
この暴君を止められるのは時覇くらいだかなら。
シグナムは、この時そう確信していた。
(時覇、早く帰ってきてくれ)
そう思う、シグナムだった。
だが、その考えは夕食の買出しで打ち砕かれたのだった。
その頃、管理局とラギュナスは――
「……そうか、あの世界はなのは達が居る世界ではなかったのか」
時空管理局のとある医務室で、クロノはエイミィから今までの状況の説明を受けた。
しかし、目覚めたとはいえ、まだ絶対安静にしなければならなかった。
「それで、あとは何か動きは?」
「特に何も……ただ、上の人達が……デバイス・XGを使うと言い出して」
リンゴの皮を剥きながら答えるエイミィ。
「デバイス……XGだって!?」
クロノは静かに驚いた。
「あのデバイスは、五年前に暴走を起こして、永久封印になったはずの代物なのに……上の連中は何を考えているのだ?」
「どうも、そのデバイスの特殊能力……それを当てにしているらしいの」
「特殊能力?」
初めて聞いた言葉に訝しげに眉を寄せる、クロノ。
「いったいどんな能力が?」
首を横に振るエイミィ。
「それが全く判らないのよ。リンディ提督も判らないらしいから」
「ふぅ、しかたないさ。デバイス・XGの出した被害は、対処を一歩間違えていたら次元崩壊を起こすほどだったからな」
そこで言葉を区切り目を瞑る、クロノ。
「一応慎重に事を運んでいる訳だ」
そこで、ドアが開いた。
「クロノ」
リンディが入ってきた。
「母さん」
「提督」
クロノとエイミィは、それぞれの呼び方で言った。
「ありがとう、エイミィ。クロノの事を見てくれていて」
微笑みながら礼を言う、リンディ。
「いいえ、私は別にたいした事は……」
「それでも、ありがとう」
「はい」
微笑みあう二人。
「ところでクロノ、体の方は?」
「当分は絶対安静だそうです」
「そう」
少し顔が暗くなるリンディ。
「そういえば、フェイトとはやては?」
その言葉に、黙り込む二人。
「……フェイトちゃんとはやてちゃんは、例の爆発の衝撃波からアースラを守ってくれたんだけど……。でも外傷は特に無かったんだけど……未だ、昏睡状態なんだ」
リンディの代わりに、答えるエイミィ。
そして、静まり返る医務室。
同時にクロノは、自分の無力さを恨んだ。
仲間以前に、家族である妹すら守れなかった事を。
この事がキッカケとなって、あんな出来事を生むことになるとは、まだ……、先の話である。
次元空間に漂う、ラギュナスの戦艦。
今か今かと、その有り余すエネルギーを蓄積しつつ、浮遊していた。
その戦艦の通路で、二人の男女が出会った。
「ロングイ」
「レニアスフェイト、どうしたんだ?」
通路で出会った二人。っと、言うよりも、レニアスフェイトが俯きながら通路の壁に寄りかかっていて、ロングイの足音に気がいた所である。
「ごめんなさい。……また癇癪起こしちゃった」
「その事か。別にいいさ、お前が無事だったからな」
「っでも! っでも! っでも、でも……」
ロングイに優しくだから、頭を撫でられて、気持ちが静まっていく、レニアスフェイト。
「今日は疲れただろう、そのまま眠るといい」
その言葉に従うかのように、レニアスフェイトは眠りについた。
「東野、いるのだろ?」
「なんだ――」
「――その格好は?」
東野が区切る前に、そのまま言葉を繋げる、ロングイ。
「マスクドライダー・ZO」
聞いて呆れる、ロングイ。
「……とにかく、レニアスフェイトを部屋まで運んでおいてくれ」
そう言い残して、奥の管制室へ入っていった。
「……アイツが使った業は……確か、前隊長の『氣』を使うモノだったな」
そう呟きながら、レニアスフェイトをお姫様だったして、部屋へ運んでいった。
「状況は?」
管制室に入ってくるや否や、オペレーターに尋ねる、ロングイ。
「ん~? 見れば?」
茶を啜りながら答える、オペレーター。
「……ここでの飲食を禁止とする」
その言葉を聞いた途端、茶を飲むのを止め、エイミィがキーボードを打つ速さよりも、さらに速い速度で打ち込んでいった。
「時空拡散弾の影響は52.369%-8.24、魔力無効化弾47.3598%+2.498だよ」
僅か十八秒で終わった。
エイミィでも、このデータを整理するのに、一分近くは掛かる。
「時空拡散弾の誤差が-5以上とは……、これだと、計画を急がなければならないな」
「でも、魔力無効化弾の誤差が+2以上あるから、五分五分って所じゃないの?」
「そうも、言ってなれない。管理局はデバイス・XGを使用するからな」
「デバイス・XG……不完全なデバイスを?」
「不完全とは。アレは一応完成しているのだが?」
それを聞いて苦笑しながら答える、ロングイ。
「使い手が居ないデバイスなんて、ただのガラクタよ」
言い切る、オペレーター。
「でも、あの特殊能力については、高く評価しているわ。ある一点を除いては」
そう言って、デバイス・XGのデータを出す。
「仕方ないさ、過剰な能力や力は、常に何らかのリスクが付きまとう」
ロングイは、ただただデバイス・XGのデータを見つめながら言った。
時覇が通う、学校の放課後――
「廻裏(かいり)!」
――未だに続いていた追いかけっこの中、時覇目掛けて、氣を纏った飛び膝蹴りが飛んできた。
「防壁!」
学校の階段の横の壁に取り付けられている壁を、瑠々の前に出した。
バボハン! と大きな音と同時に、防火扉に大きな窪みが出てきた。
ちなみに、少しだけ穴も開いた。
『死』、この言葉が、脳裏を過ぎった。
「氣雷(きらい)!」
氣が雷に具現化して、レールガンのように飛んできた。
ちなみに、防火扉を貫通して。
当たり前だけど。
「せいらっ!」
後ろに振り向き、前に飛び込み前転してかわす。
一発、お尻を掠った。
そのまま階段を転がるように下り、窓から上着を投げ捨てて、廊下の影に身を隠す。
「――そっちね!」
少し遅れて、瑠々も窓から出て行った。
ちなみに、ここの窓は二階です。
地面に片足がめり込みながら着地し、抉りながら足の軸を回転させて、校門方面へ向かった。
物凄い轟音を上げながら。
「……おやっさん、娘が化け物に成りつつあるんですが?」
瑠々の父親に、文句を呟く時覇だった。
「こんにちは~」
八百屋の店主に挨拶する母。
「おっ、桐嶋の奥さんじゃないかって、こちらの方は?」
八百屋の店主は、新撰組の格好をした女性を見て、尋ねてきた。
「ええ、息子の彼女、シグナムさんです」
「別嬪さんではあるが、何というか……オタクとかいうこれは……こすぷれ、って奴かい?」
「義母上に、無理やり着せられました」
顔を真っ赤にして、俯きながら答えるシグナム。
「あら、お似合いじゃないの」
ほのぼのと答える母。
(時覇……もう嫌だ)
シグナムは涙目を浮かべながら、赤くなりかけた空を見上げるのだった。
その頃、時覇は――
壁に背にしたり、茂みに隠れたり、しゃがんで進んだりと、有名なゲームのアクションを行いながら、商店街を移動していた。
「ったく、何でメタギアの真似事せにゃ~あかんの、俺?」
そう言いつつも、瑠々が怖くて青いポリバケツに入って移動していた。
傍から見れば不審者だが、見回りの警察官も素通りするほど見慣れた光景だったりする。
「おや? 時ちゃん、また瑠々ちゃんと揉めたね?」
「ああ、違うよ。一方的に瑠々から来たから」
瑠々が居ない事を確認しながら、青いポリバケツから出てきた。
「ってことは……女絡みだね?」
興味津々と言うか、茶化していると言うのか分からないが、おばちゃんは聞いてきた。
「一応図星とだけ答えておくよ」
「あらやだ、あの話は本当だったの」
驚きながら答えるおばちゃん。
「あの話って?」
服についた埃を払いながら、聞き返す時覇。
「出会い系サイトで彼女を見つけてきたけど、偉い別嬪さんだったて話」
「…………あのヴァヴァ!」
ポリバケツを地面に叩きつけて一目散に走り出す、時覇。
ポリバケツはバウンドして、向かいの散髪屋の窓に当たる。
「この時間だと、しゃもさんの魚屋に居るはずだよ!」
「ありがとう御座います! って、近!」
――そして……
「ゴラァ! 母さ――」
言い掛けた言葉と足が同時に止まり、埃を巻き上げながら、シグナムと母の横を通り過ぎる、時覇。
「どうしたの? そんなに慌てて」
「母上様、こちらのお美しい方は?」
新撰組の格好をしているシグナムを、再確認するために尋ねる。
場合によっては、どっきりを行う為に、全世界から探し出して雇った可能性があるからだ。
○ ○ ○
ここまで手の込んだどっきりはしないとコレを読んで考えているアナタ……、甘いです。砂糖よりも杏仁豆腐よりもチョコレートケーキよりも甘いです。
桐嶋謳華(きりしまおうか)という人物は、己が楽しめれば、地球の裏側だろうが、墓地の中だろうが、強制連行したり、掘り返したりするという、神と魔王が同時に素足で逃げ出すほどの人である。
何故、神と魔王が出てくるのかは別の話なので、伏せさせてもらいます。
○ ○ ○
「私の自慢の義理娘兼アナタと共に人生を歩むパートナーである、シグナムよ」
「……ごめんシグナム。お世辞ウンヌンの前に、謝罪させてください。ごめんなさい。」
その場で土下座しながら言った。
「いや、気にするな。……嫌というほど判ったから」
悟りきった様に口走るシグナム。
「……まだ序の口だぞ?」
時覇の発言に、石化するシグナム。
「そして遅くなったけど、似合っているよ」
テレながら答える時覇。
「そっ、そうか」
顔を真っ赤にさせながら、短く答えるシグナム。
その光景を、母・謳華と商店街に来ていて人と近くの店主が眺めていた。
冷やかしてもよかったが、朴念仁であるはずの時覇が、女性にお世辞を言っているのだ。もう少し見てみたいという衝動に駆られていた。
だが、それを打ち砕く様に――
「見~~~つ~~~~け、たっ――――!!」
大気を震わし、衝撃波が広がり、野良・飼われている動物達が一斉に逃げ出したのだ。
「ゲェ!」
「なっ、敵襲か!?」
シグナムは、すぐレバンティンが使えるように、手に仕込もうとするが――
「はいコレ」
謳華から、木刀『村正・桜花』を渡された。
「あの、一体何処から……」
「さあ、頑張って」
シグナムの問いを、笑顔で返す。
次第に足音が段々大きくなって来たが、一瞬だけ聞こえなくなった。
一瞬の静寂後、また聞こえてきたのだ。
「時覇の――」
やはり瑠々だった。が、手に持っているのが――
「何故、大マグロ!?」
青森の冷凍化された本マグロが、片手に装備されていた。
あの艶といい、大きさといい、時価600万から800万くらいの代物である。
「瑠々ちゃ~~ん、返しておくれ~~~~!」
どうやら魚屋からかすめて来たらしい。
「ってか、何であんの!? って、そう突っ込んでいる場合じゃ――」
気づくのが遅い、既に振り抜く事が出来る射程内にいた。
ちなみに謳華は、何故か自ら武装させた、シグナムと共に避難済みである。
「――馬鹿ち――――ん!!」
本マグロの攻撃により、人類が出しちゃいけない音と共に、時覇の顔にジャスト&クリティカルヒットした。
そのまま振り向かれて、宙をきりもみ回転+腰辺りを中心軸に大きな後転をしながら吹き飛んだ。
地面に着弾したが、勢いが殺せずに七、八回バウンドした辺りで、時覇の意識がブラックアウトした。
管理局サイド編
第7話:何時もと違う日常……かな?・END
次回予告
あれから数日経ち、時空拡散弾と魔力無効化弾の威力が弱まり始めた。
動き出すラギュナスと管理局。
誰かを待つように、静かに稼動を始めるデバイス・XG。
そして、再び戦の光が輝きだす!
管理局サイド編
第八話:始動する思惑
に、ドライブ・イグニッション!
あとがき
第七話の改正版、いかがでしたか?
やっと折り返し地点に到達。
言葉も訂正しつつ、追加していく日々。
課題やりつつ書いてましたが、大半がコッチへ。(汗
何やってんだ、俺?
2007/01/24現在、明日テストを控えている人間。
ついでに明後日も……、コッチが大変なんだけどね。
明日のテストは持ち込み可! ノートの見直ししておけばOK!
追試にならないように頑張らないと。
制作開始:2006/04/19~2006/5/29
改正期間:2007/1/9~2007/01/24
打ち込み日:2007/01/24
公開日:2007/01/24
修正日:2007/9/27
変更日:2008/10/24