何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅰ   作:ダークバスター

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色々な想いが交錯し、飛び交う
翻弄し続けたのか、され続けたのか
この出来事に気づいていたのか、気づかなかったのか
判るのは、まだ先の話――


第八話:始動する思惑(前編)

 

「――指定ポイントの到着確認完了!」

「時空及び魔力修復プログラム起動!」

「管理局に動き無し、あとカウントまで61秒!」

 

 ラギュナスの母艦――ゲシュ・ラ・ンペルド。

 とある時空世界のトーラス語と呼ばれる言語で、『屍の戦艦』と言われている。

 

「よし、修復開始! あと、管理局の動きにも注意しろ!」

「了解!」

「よ~し、腕が鳴るぜ」

 

 それぞれのいつも道理の返事をして、作業を続けるオペレーターたち。

 

「状況は?」

 

 ローブを纏った者が現れて、ロングイに声を掛ける。

 声からして、男であることが判る。

 

「少し問題が起きた」

「デバイス・XGの事ならば、問題は無い。アレは、私が用意させたのだからな」

「……時間合わせ! どうなっている!?」

 

 先の言葉を聞かなかった事にしたのか、聞き流したのか分からないが、それを誤魔化す様にオペレーターに激を飛ばす。

 

「す、すいません! ――時間合わせ、あと25秒!」

「修復プログラム起動完了、時間合わせと同時に展開します!」

「管理局に動きあり! ……3時間後に、ここへ来ます!」

「こちらの動きを掴んだのか!?」

「いえ、向こうの都合です!」

 

 ブリッジに、オペレーターたちの情報が飛び交う。

 

「……慌しいな」

 

 ローブの男が呟く。

 

(ここまで仕組んでおいて、よく言えるな)

 

 心の中で吐き捨てるロングイ。

 

「――時間合わせ、5、4、3、2、1――作戦開始!」

「修復プログラム展開!」

 

 オペレーターが言い終わると同時に、ロングイの命令が飛ぶ。

 

「展開!」

 

 

 

 

 

 アースラ格納庫の近くにある休憩室では、クロノ、リンディ、レティの三人で、今後の事を話し合っていた。

 敵の情報も掴み、三時間後に出動する為の最終的な手はずを話し合っていた。

 

「クロノ提督、リンディ提督、レティ提督、大変です!」

 

 そこに、エイミィが慌てて休憩室に入ってきた。

 

「何があった?」

 

 聞き返すクロノ。

 ちなみに、三人が飲んでいたのは順に、お茶・砂糖入りお茶・紅茶である。

 

「桐嶋時覇がいる次元の周囲の空間と魔力が、異常なスピードで修復されているのです!」

「何ですって!?」

 

 驚くリンディ。

 

「まさか、ラジュナスの?」

 

 聞き返すレティ。

 

「母艦らしき反応が僅かに確認されているので、他の組織の可能性もあります」

「第三勢力だったらマズイな。レティ提督、至急動ける局員を集めて頂けませんか?」

 

 飲みかけのお茶をテーブルに置いて頼む。

 

「ええ、30分で集めます。クロノ提督と、リンディ提督、それと、エイミィ管制司令官は至急アースラへ」

「わかりました。クロノ提督とエイミィ管制司令官は、先にアースラへ。私は、上層部に掛け合ってきます」

「了解しました」

「はいはい、行きますよ、クロノ提督」

 

 一足先にと、部屋を出て行くエイミィ。

 

「はぁ~。それでは、また後ほど」

 

 続いて、呆れながらため息をついて、あとを追うクロノだった。

 

 

 

 

 そのあと、リンディが上層部と掛け合ったが、一方的な通知だけで、こちらの話は一切取り次いでくれなかったそうだ。

 これも、ローブの男の仕業とは、誰も気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管理局サイド編

第8話:始動する思惑(前編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はぁ!」

 

 布団を履く様な、勢い良く飛び起きる時覇。

 

「って、ぐおば!」

 

 体中に走る痛みに、変な叫び声を上げた。

 まあ、腰を中心に後転しつつ、きりもみ回転しながら地面に15回バウンド。そして、電柱にぶつかって止まったのだから。命があるだけ、奇跡である。

 ちなみに例の如く、グローブが淡く光っていた故、この程度で済んだに等しい。

 

「……しかし、何故(なにゆえ)魚屋に、冷凍マグロが?」

 

 などと、論点の違う部分に疑問を持つ時覇。

 そこでドアノブが音を立て、扉が開かれる。

 

「ん? 気がついたか」

 

 シグナムが、水とタオルが入った桶を手に持って、部屋に入ってきた。

 

「どうだ、調子は?」

 

 ドアを閉めながら尋ねるシグナム。

 

「体中が痛いのは、確か」

 

 男ならここで『大丈夫だ』と、多分答えるのだと思うが、素直に答える時覇。

 

「それ以外は?」

「……平気っぽい」

 

 少し体を動かして、確認した。

 

「あの人身事故のような状態だったのに、よく体が痛いだけですんだな」

 

 呆れ口調のシグナム。

 

「まあ、回復力には自信はあるんで」

 

 苦笑しながら答える。

 

「そういえば、瑠々は?」

「廼王寺瑠々の事なら、母上に相当絞られたそうだ」

 

 タオルを絞りながら、どことなく怯えているシグナム。

 

(ママン……貴女は、何をしたんですか?)

 

 横になった状態で、暗くなり始めて、星が出始めた空を見る時覇であった。

 

「シグナム、明日辺りデートしないか?」

「で、ででっ、でーとっ!」

 

 顔を真っ赤にしながら、動揺しまくるシグナム。

 おかげで、桶がひっくり返し――

 

「しまった!」

「あ!」

 

 二人して慌てて受け止めようとするが――胸辺りに、水を被ってしまったシグナム。

 しかも、同時に時覇も突っ込んできた。

 

「おわっぷ!」

「うわぁ!」

 

 やはり、体が完全に治りきっていないため、自分自身を支えきれず、シグナムにダイブしてしまった。

 

「っ、何を――」

「ぁぐごが!」

 

 全身に衝撃が走ったため、痛みが暴発して雄叫びを上げる時覇。

 体勢は、シグナムの上に時覇が覆いかぶさった上に、顔は胸にあるという羨ましき状況だが、そうも、言っていられなかった。

 

「い、いかん!」

 

 シグナムは、大慌てで時覇をベッドに戻した。

 

「え、えっと、こ、この場合は……」

 

 母・謳華より貰い受けた、『ド素人でも判りやすい医療』という本を開くのだった。

 

 

 

 

 

 その頃、ロビーの上から、大きな音が響いてきた。

 

「何をやっているのだ?」

 

 少々困惑する父。

 

『ぁぐごが!』

 

 続いて、時覇のうめき声。

 

「母さん、本当に大丈夫かな?」

 

 いつもは、兄である時覇の事を気に掛けない真里菜だが、さすがに心配になってきた。

『い、いかん!』

「やっぱり……、付いて行ってあげるべきだったかしら」

 

 こめかみに指を当てて少しばかり後悔する謳華。

 そこで――ピンポ~ン! と、チャイムが鳴った。

 

「は~い!」

 

 謳華は、玄関に向かった。

 

 

 

 

 

 玄関先で、律儀に男がチャイムを鳴らす。

 

「隊長、本当にいいのですか? これは、命令違反ですが」

 

 剣型デバイスを持っている男が、隊長に尋ねる。

 

「いいのだよ。どうせ、障害になるなら排除したほうがいい」

 

 カードを懐から取り出すと、トンファー型デバイスに変化した。

 

『は~い!』

 

 家から、女性の声が聞こえた。

 

「来ます」

 

 ハンドガン型デバイスを構える女。

 その言葉通り、玄関が開いた。

 

「どちら様でしょうか?」

 

 ひょいっと顔を出した。

 それが合図となり、魔力を込めたトンファーを力一杯、玄関に叩き付けた。

 悲鳴すら上げる暇も無くそのまま吹き飛ぶ、謳華。

 

「魔力結界、展開!」

 

 ハンドガン型デバイスを持つ女が空に向かって打つと、結界が展開した。

 

「行くぞ!」

 

 トンファー型デバイスを持つ男――隊長を筆頭に、桐嶋家に雪崩れ込んでいった。

 

 

 

 

 

『どちら様でしょうか?』

 

 のんびりと茶を飲む、父・桐嶋悟朗(きりしまごろう)。

 娘も、テレビを見ているので、平和だと思った矢先――玄関が砕かれる音と、何かが壁にぶつかる鈍い音が聞こえてくる。

 

「何だ!?」

「きゃあ!?」

 

 非日常的な音だけに、二人は声を上げた。

 

「おじゃまします」

 

 そこで、コスプレ風の服を着た女性が、土足で入ってきた。

 

「ちょっとアン――もがっ」

 

 悟朗は、娘の口を素早く塞いだ。

 理由は、手に収まっている黒くて鈍く輝くモノを見たからだ。

 

「望みはなんだ? いや、その前に玄関に居た女性はどうした?」

「死んではいませんが、危険な状態とだけ言っておきます」

 

 デバイスを構えながら言う、女。

 

「望みは、桐嶋時覇とシグナムの捕獲、または抹殺です」

 

 その言葉に、悟朗は全てとは言えないが、最低の出来事は理解できた。

 

 

 

 

 

 下から何かが砕かれた音が聞こえてくる。

 

『 !? 』

 

 その音に、二人は反応した。

 いや、反射的に動いたと言った方が適切化と。

 時覇はと飛び起きたが、体はまだ不完全のために背を少し丸め、シグナムはドアを見た。

 そして同時に、何かが広がっていくのを感じ取った。

 

「シグナム」

「ああ、これは魔力結界だ」

 

 そう言いながら、レヴァンティンを起動させるが――

 

「――起動できない!?」

「この結界は、あらかじめ登録されている魔力以外は無力化されるのさ」

 

 ドアを見る二人。

 

「ども~、ラギュナス人事管理部のスカウトマンの者です、って!」

 

 トンファーを持った男が、場違いな挨拶をしている最中に、後ろの人に頭を叩かれた。

 

「隊長が出世できないのは、こういう事をしているからなのですよ?」

 

 男は、呆れながら言った。

 

「いきなりで悪いですが、我々と共に来ていた――」

「あっ!」

 

 いきなり声を出しながら、驚きの顔をする時覇。

 隊長と男は後ろを振り向いた。

 が、何も無く、部屋から窓が砕ける音が聞こえた。

 

「 !? 」

 

 再び視線を戻すと、時覇とシグナムはすでに居なくなり、窓ガラスが割れていた。

 

「くっ! バス、ラランを呼んで来い、俺は奴らを追う!」

「アイアイサー!」

 

 隊長は窓から飛び立ち、バスはラランを呼びに一階へ降りていった。

 静寂と化す部屋。

 そこで、独り出にクローゼットが僅かに開く。

 

「……行ったか?」

「ならば、奴らをお――」

「まだ早い。少し待ってから、一階に下りて様子をみよう」

 

 

 

 

 

 上から窓が砕ける音が聞こえ、狭い庭にガラスの破片が降り注ぎ、一筋の光が軌道を描いていった。

 

「ん、二階から……時覇の所からか」

 

 謳華を看病しながら冷静に分析する父――悟朗(ごろう)。

 

「よくわかるね」

 

 タオルを絞る真里菜。

 

「それなりに、な」

 

 娘の問いに、曖昧な答えを出しながら、タオルを受け取る吾朗。

 

「ララン!」

「どうした?」

 

 廊下から響いてきた。

 

「ターゲットが外へ逃げ出した!」

「何!?」

「お前と合流後、すぐに来いと」

「わかった、いくぞ!」

 

 外に出る、奇襲者たち。

 そして、数十秒後――轟音が鳴り、遠ざかっていった。

 

「……お父さん、行っちゃったみたい」

 

 様子を覗こうとした真奈美だったが、既に二人は玄関から出て行った跡だった。

 

「……あ、アナタ」

 

 気がつく謳華。

 

「大丈夫か、謳華?」

「痛い所はある、お母さん?」

 

 母に駆け寄る真奈美。

 

「それより……二人は?」

「シグナムと時覇の事か……大丈夫、そう簡単に捕まる事は無いさ」

 

 柔らかい表情で、答える悟朗。

 

「もしかしたら、まだ家に隠れているかもしれんな」

「いや、確定だから」

 

 などど、突っ込みを入れながら部屋に入ってきた、時覇とシグナム。

 

「シグナム義姉さま、大丈夫でしたか!?」

 

 と、兄である時覇を無視して、シグナムに駆け寄る真里菜。

 

「あ、ああ、時覇のおかげで、戦闘を避けることができた」

 

 真奈美の勢いに少々戸惑いながら答える、シグナム。

 

「だが、奴らが戻ってくるかもしれないから、早くココから出ないと」

「そうか……怪我だけはするなよ」

 

 静かに言う悟朗。

 

「父さん、母さ……」

 

 寝ている母が目に入り、言葉を無くす時覇。

 

「私は……大丈夫。……だから、行きなさい」

 

 弱弱しく答える謳華。

 

「……母さん」

 

「事情は聞かないわ……一年前だって、いつの間にかいなくって。でも、キチンと帰って来たのだから」

(そうだ……一年前も理由も無く帰らなかったのに、理由も聞かずに「ただいま」と迎えてくれたのだっけ)

「……必ず、全て終わらせて帰ってくる。だから、安心して休んでいて」

 

 母に言い聞かせると、父の顔を見た。

 何も言わずに頷く父。

 

 それに答えるように、時覇も頷き返す。

 

「真里菜……俺の留守の間、瑠々を頼む。アイツの暴走、変わりに止めてくれ」

「気が進まないけど……任された。でも、早めに帰ってきてよ? 私でも、止められるかどうかわからないのだからね」

 

 事情は良く判らないが、両親が許可したからとやかくは言わない。

 

「了解。……シグナム、行こう」

「ああ」

 

 部屋から出て行く二人。

 

 

 

 その後、先ほど襲ってきた三人と出くわし、戦闘中に、時覇はシグナムを庇い、結果――左脇に穴が開き重症。

 そして、遅れて到着する管理局。

 時覇は、そのままアースラで治療兼保護観察に入るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拡大していくラギュナスとの戦いは……急激な加速を見せる事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デバイス・XGの起動によって……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管理局サイド編

第8話:始動する思惑(前編)・END

 

 

 

次回予告

先の戦闘でシグナムを庇い、重症になる時覇。

次第に、ラギュナスの目的が判明していく。

そして、時覇を呼ぶ謎の声は?

陰謀という螺旋と、仕組まれた運命を超える為の力が、今覚醒する。

 

 

管理局サイド編

第9話: 「鉄‐クロガネ‐」という名の篭手

 

 

に、ドライブ・イグニッション!




あとがき
 改正といっても、言い回しの修正と効果音の訂正。
 あとは、簡単なデバック。
 いい加減、就職活動しなきゃ、不味い時期に。
 とにかく、頑張りますよ。

 そして、この話は相変わらず短い。(汗






制作開始:2006/6/1~2006/6/16
改正期間:2007/01/24~2007/1/31

打ち込み日:2007/01/1/31
公開日:2007/01/1/31

修正日:2007/9/27
変更日:2008/10/24
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