何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅰ   作:ダークバスター

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時は満ちた……
螺旋と言う名の、運命が動き出し――
今、二つの光がぶつかり合い……
身を滅ぼす、業が放たれる


第十話:「鉄‐クロガネ‐」という名の篭手

 

 

「デバイス・XGが……正常に起動しているだと」

 

 唖然と呟くクロノ。

 そして、支えていたシグナムも驚き唖然としていた。

 五年前――デバイス・XGの初起動時は、暴走によって一つの次元を崩壊させた。

 だが、今己の目に映っているのは、デバイス・XGの完全なる起動だった。

 暴走でも無く、押さえつけでも無く、ただ普通に起動していた。

 魔力があり、念話程度まで使えることは判ってはいたが……デバイス・XGを起動させる魔力は無かった筈だからだ。

 だが、この人から放たれる魔力波動は異常だった。

 それ以前に、魔力波動が僅かでも発生する事は、SSSランクを意味していた。

 

「時覇……なのか?」

 

 シグナムは、ただただ呟くしかなかった。

 

 

 

 

 

 アースラのブリッジでは、年末の大忙しのような勢いの騒ぎようだった。

 

「デバイス・XGの完全起動を確認! 暴走の確率――0パーセント!」

 

 エイミィは、驚愕しながら言い放つ。

 さすがのレティも、驚きを通り越して呆れていた。

 上層部の者との格闘。

 先ほどの魔力数値――487万という測定結果。

 これ位ならば、S+、SSランクだが、瞬間最大値――1369万。

 こちらは、文句無しのSSSランクであった。

 そして、トドメにデバイス・XGの暴走無しの完全正常起動。

 三連続の出来事で、感覚が麻痺してしまったらしい。

 

「はぁ~。ほっんと、人生何が起きるか判ったものじゃないわね」

 

 故に、自然と暢気な言葉が出てくる。

 

「ふっ、老け込むにはまだ早いですよ」

 

 一応フォローを入れる、女性オペレーターであったが、艦内通信が入る。

 

「はい、こちらブリッジ! ……え!? 本当なんですか! ――レティ提督!」

「何かしら?」

 

 この慌しい雰囲気の中、普段どおりに対処する。

 いつもと変わらない対応で。

 

「先ほど連行された者が、錯乱状態になったそうなのですが」

「錯乱状態? 薬物中毒か何かの類かしら」

 

 一般に漏れれば、時空管理局は信用を無くす様な発言を、サラリと口にするレティ。

 

「あ、いえ……どうやら、デバイス・XGの正常作動の事を聞いた途端、だそうです」

 

 それを聞いて、眉を顰めた。

 デバイス・XGは機密事項が多く、一部の者しか判らないからである。

 それが、正常に起動したことに対して錯乱を起こす事は、本来はありえない現象だと仮定が生まれる。

(あとは揺すりと証拠だけね)

 レティは、これまでデバイス?XGを独自に調べていたが、全くと言っていいほど情報が無かった。

 裏も含め、まともな情報は、『ラギュナスとの共同開発ではないか?』だけである。

 故に、真実は闇の中の闇に埋もれてしまっているのが現状である。

 もっとも、現時点で証拠は無いので、これから揺すって吐き出させるのだが、それは別の話である。

 

 

 

 

 

 時覇は悠然と構えていた。

 それこそが、あるべき姿だった言わんばかりに。

 だが、

 

「……ぅ、ふっははははぁ! はぁははははっ!」

 

 高笑いする三変形のデバイスを持つ男――ロングイ。

 行き成り笑い出したため、周りの者は困惑した。

 体を仰け反るほどの高笑い。

 笑いながら前屈みになり、

 

「――とぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 デバイス形状をランサーに変更し、突撃を掛けてきた。

 

“ディフェン――”

「キャンセル!」

 

 クロガネが、ディフェンサーを展開しようとしたが、管理者権限でキャンセル。

 そして、右斜め上から斬り込んでくる、ロングイ。

 左へ体をずらし、剣先が下へ行った瞬間、クロガネを腹部に叩き込む。

 だが、そのまま勢いを利用して、柄の部分を盾代わりにした。

 そのままロングイが押し返し、マテリアル変更無しでザンバーからランサーに切り替え――

 

「ランサー・ストライク!」

「ちぃ!」

 

 突きと同時に反り返り、デバイスを蹴り上げる。

 その場で空中一回転して――

 

「もらった!」

 

 時覇にデバイスを蹴り上げられた為、懐ががら空きになったロングイに、左の掌底を叩き込む。

 

「エア・プロテクト!」

 

 風の力を利用した盾に阻まれ、懐に届かなかった。

 だが、時覇は素早く手を引っ込め、防御魔法を軸に回り込むように、右肘をわき腹に叩きつける。

 

「ぐぶっ!」

 

 ガード越しに、吹き飛ぶロングイ。

 

(しまっ――)

 

 本当に完全にがら空きとなったロングイだったが、時覇は追撃を行わなかった。

 なを、ここまでの行動が5秒以内に行われた出来事だったで、周りの者はさらに唖然となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管理局サイド編

第10話:「鉄‐クロガネ‐」という名の篭手

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ――なぜ……何故やめた!?」

 

 わき腹を押さえなら怒鳴り散らす。

 

「…………」

 

 沈黙。

 しかし、時覇の表情はポーカーフェイスではなく、悲痛な表情だった。

 それが原因なのか、ロングイの表情は険しくなる。

 

「アイツへの……リューナへの罪滅ぼしか?」

 

 その言葉に、時覇は目を瞑り、ロングイは時覇を睨みつけながら、互いの脳裏に女の子の笑顔がよぎる。

 いつ、どこで、どんな状況でも笑って支えてくれた。

 時覇にとって最高のパートナーであり、ロングイにとって唯一の肉親でもあった。

 そして今は――もういない存在でもある。

 

「だったら俺は……俺は、ここには居ない」

 

 その言葉が終えたと同時に、何かを投げつけてくる。

 何か細長いものが空中で煌くのが見え、クロガネを盾にする。

 そこで二、三回金属音が聞こえる。

 すぐ確認すると、細い鉄針(てつばり)だった。二本ほど弾いて、二本ほど隙間に刺さっていた。

 どうやら、一つだけ重ね投げをしたらしい。

 この場合の重ね投げとは――二本を上下同時に投げ、相手の視界からでは一本にしか見えないようにする方法を指す。

 悲しみを秘めた目で、細い鉄針を見ながら抜く。

 

「やはり、お前の目的は……」

 

 目線を、細い鉄針からロングイに移す。

 その目に映るものは、復讐だけで動く男ではなく、何か方法を見つけ強行しようとする男の姿であった。

 

「そうだ……悪いが、リューナの命――」

 

 デバイスを構え直すと同時に、マテリアルが排出される。

 そして、新たにマテリアルを取り出す、ロングイ。

 

「――返してもらうぞ! マテリアル、セット!」

 

 デバイスに開いている穴に、宝石――マテリアルをセットし、杖に変形する。

 だが、時覇は構え直す所か、ただ突っ立っていた。

 

「追撃弾! 奴に食らいつけ!」

“ホーミング・ウルフ・シューター(追撃・狼の射出)”

 

 その場でデバイスを横に振ると、ログインの周りから光の玉が出現し、時覇目掛けて飛んでいった。

 魔法の弾丸は、ロングイと時覇の間を半分過ぎた辺りで、いきなり狼の姿に変わり、さらに加速して飛んでいった。

 それでも、時覇は動ずる事も無く、腰を少し落とし、両手首を合わせ、前に突き出す。

 そして、食らいつく距離まで来た途端――両手で円を描く様に回して、HWS(ホーミング・ウルフ・シューターの略)を全て掻き消した。

 全ての弾が、真ん前に飛んで来た事が、全段を掻き消す事が可能になっただけだが。

 

「ちぃ! ――ケロニカル、クニロカル……」

 

 その言葉に合わせるように、急に天候が変わり始めた。

 ただ一つ違うのは、詠唱が始まった瞬間に、である。

 本来は詠唱の半場差し掛かる頃に、天候が急激に変わるモノなのだが。

 どうやら、詠唱の省略化に成功したのか、何か道具か裏技を使用したと考えられる。

 

“天候操作魔法か? どうする、マスタード?”

「おいコラ、誰がマスタードだ? 一応、多段式魔法を三、四通り用意しておいてくれ」

“りょーかい”

 

 呆れ口調の鉄。

 それもその筈。多段式魔法とは、別々の魔法の詠唱を同時に行い、いつでも使えるようにする事である。

 言わば、複数の魔法――例えば、砲撃魔法とバインドを同時に使う。または例え、片方を使っても魔法陣展開と詠唱をすることなく使うことが出来る。

 

「……これを使うか」

 

 先ほどの鉄針を腰から取り出す。

 

「ラスタライドナル、レロニクス、トルベント……」

 

 詠唱を続ける、ロングイ。

 

「シグナム。悪いけどその人連れて、ここから離れてくれないか?」

 

 惚けた様な面で言う、時覇だが、どこか焦りを感じさせる。

 

「大丈夫なのか?」

 

 何かを察して、聞き返すシグナム。

 その顔は、時覇の身を案じる顔でもあった。

 が、その雰囲気と表情を吹き飛ばすように、

 

「ジョブジョブ、大丈夫だって。それより、その人手当てを早くした方がいいから」

 

 笑いとばして答えた。

 そして、クロノを目線で見る。

 

「わかった……行くぞ、クロノ提督」

「ああ」

 

 シグナムは、クロノを支えられながら飛び去っていく。

 

(ま、これで当面は大丈夫か)

 

 腰に左手を回し、ポートの中を弄った。

 そして、あるモノを掴んだ。

 同時に空を見上げる。

 

「本当は、俺がお前を止める資格は無いが」

 

 そこで深呼吸をして、ロングイを見る。

 

「彼女との約束を果たさせてもらう」

 

 詠唱中のロングイに、突進を掛ける時覇。

 

 

 

 

 

「 !? って、ロングイの奴、俺たちまで巻き込むつもりか――よっと!」

 

 ロングイが発動させようとしている魔法を感知し、止まって空を見上がるギア。

 そこに、ライガが砲撃魔法を放ってきたので、寸前の所でかわす。

 

「Rフェイト、ここから離れるぞ――わぁを!」

 

 振り返りながら、訳の判らない決めポーズをする。

 が、決まった瞬間に白い雷が走り、揉みきり回転風にかわす。

 

「誰がRですか! 誰が!」

 

 変な略の仕方に怒る、レニアスフェイト。変な決めポーズに関しては黙認としたらしい。

 

「いいから行くぞ」

 

 飛び去りぎわにレニアスフェイトの腕を掴み、ロングイから距離を取る為にその場を離れる。

 

「逃げるきか!?」

 

 逃げると思い、怒鳴るライガ。

 しかし、二人は振り向く事無く、ロングイの攻撃範囲内から出て行った。

 

「っちい!」

 

 それを知ってか知らずか、二人のあとを追いかけるライガだった。

 故に、あの魔法攻撃から助かったと言える。

 

 

 

 

 

 電撃が舞い、歌という名の詠唱が空に響き、魔法が奏でる。

 鈍い光を放つ黒い銃口からは、二人の小さき妖精を狙い、撃ち放たれる。

 二人の妖精は頷きあい、狩人に電撃と拘束を掛ける。

 

「……ちっ」

 

 フェイトとはやてのコンビネーション攻撃をかわし、射撃で牽制をしつつ舌打ちをするゴスペル。

 ロングイが、このエリアを吹き飛ばすくらいの強力な広範囲魔法を使おうとしているのがわかった。

 フェイトとはやても、何と無く気付いている様な素振りを見せている。

 だが、お互いその場を引かない。

 どちらかが背を向ければ、そこで終わる。

 それほど、お互いの実力がある事が判っているから。

 それでも、この場から離れるべきだと、三人の直感が作動している。

 

「はやて!」

「うん! ――クロック・ダウン!」

 

 一瞬の隙を突き、ゴスペルに魔法が掛かる。

 

「しまっ、た……、どうなっているんだ?」

 

 しゃべり方、動きまで遅くなった。

 クロック・ダウンとは――しゃべり方や動きを遅くする魔法。

 簡単にまとめれば、全ての動きを遅くする魔法。

 ただし、人間や生命体のみにしか効果は無い。

 ただ、効果がそれほど長く続く訳でもない為、多様は禁物の魔法であるが、不意打ちや相手から距離を取るには、役立つ魔法である。

 

「マイスター、今のうちに!」

 

 と、当たった事を確認したリインフォースⅡが叫ぶ。

 その叫びに、フェイトとはやては同時に背を向け、全速力で離脱をした。

 

「待ちやがれ……、はえ~な」

 

 『待ち』辺りで、既に5000メートル近くは飛んでいた事に感心した。

 クロック・ダウンの影響でもある。

 

「どこまで耐えられるかな」

 

 防御魔法発動の準備を始めるのだった。

 ついでに、他の武装局員やラギュナスの戦闘員も離脱する。それでも不可能だと判断した者は、その場に留まり、防御魔法の一点集中を行う事にした。

 

 

 

 

 

「天が転び、地が引き裂かれ……」

 

 突撃しながら時覇は、ポシェットからマイクロチップみたいに小さなチップを取り出す。

 そして、クロガネの甲の部分の水晶に当て、取り込ませる。

 

“プログラム認識、インストール――インストール完了、オーバーロード・ナックル”

 

 右の拳が淡く光りだし、無防備のロングイに殴りかかる。

 

「せいや! ――なっ!?」

 

 だが、何かによって弾かれてしまった。

 

「時が捻じ曲がり、空間が悲鳴を上げる……」

 

 何事も無かった様に、詠唱を続けるロングイ。

 それでも時覇は、攻撃を続ける。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 正拳、掌底、回し蹴りの三連撃。

 それも弾かれる。

 

「戒めと共に、滅びの歌を歌わん……」

 

 一旦距離を置く。

 そして、勢いをつけた攻撃を仕掛けようとしたが、すぐやめ、予め用意させていた防御魔法を展開する。

 

「エリア・デリート」

 

 展開と同時に、ロングイの詠唱が終わった。

 そして、何の前触れも無く空間のモノが消滅していった。

 ロングイを中心に、空気、雲、木、草、地面、水など、言葉通り消滅していった。

 一応魔法なので、防御魔法は有効であった。

 だが、防御魔法を展開していた武装局員やラギュナスの戦闘員は、圧力に負け何人もが消滅していった。

 離脱した者たちや、戦艦で待機していた者たちは、この光景を見て恐怖を覚えた。

 リンディも、アースラまで転送仕切れなかった為、ロングイの効果範囲外にいたクロノとシグナムと合流して、その光景を三人で見ていた。

 その光景を見て、三人とも言葉を無くす。

 はやてとフェイト、ギアとレニアスフェイトも。

 効果範囲外にいる武装局員とラギュナスの戦闘員も、言葉を無くし、恐怖を覚えた。

 敵味方関係無い、完全なる無差別消滅魔法。

 まさに、アルカンシェルそのものと言っても過言ではない。

 結局……効果範囲内で生き残ったのは、時覇とゴスペルの二人だけだった。

 

「……ロングイ」

 

 悲しみの瞳で、ロングイを見る。

 かつては友であり、仲間であり――

 

「貴様さえいなければ……あんな出来事は起きなかった」

 

 片手でデバイスをくるりと一回転させる。

 

「いるいない関係無い……俺があの時、勝手な行動をしなければ良かったんだ」

 

 目を瞑り、少し俯く時覇。

 

「今更悔やんでいるのか?」

 

 異物を見た様な顔で、時覇を見るロングイ。

 

「…………」

 

 否定も、固定もしない。

 完全なる沈黙。

 これこそ、曖昧という表現が相応しい姿は無いと言えるほど。

 

「この力……、どう思う、時覇?」

 

 辺り一面を見渡しながら尋ねる。

 

「……『過剰な力は滅びを生む』と、前隊長の言葉を忘れたのか?」

 

 焦りと困惑を抱きつつも、それを表に出さないように、平然とした顔で尋ねる。

 

「あんな老いぼれの言葉など、今の俺には不要なモノだ。その言葉の性で、俺の見る世界は変わった」

 

 デバイスを強く握りなおしながら、吐き捨てるように言い放つ。

 その言葉は、時覇の心に重く圧し掛かる。

 だが、時覇自身、ここで止まるわけには行かないのだが、ふと疑問が過ぎる。

 ロングイの魔力はここまで強かったのか?

 記憶の中に埋もれた出来事を掘り起こしていく。

 そして、一つの記憶にぶつかった。

 

「……第一級封印系統の魔法……それを使う魔力の量……こんな事は出来ないはずだが――ロングイ、お前まさか!?」

 

 してやったりと、笑みを浮かべる。

 

「そうだ。前が作り出したシステム……ロストロギアの発展応用型の、な」

 

 その言葉に、時覇の顔色が青くなった。

 目眩を覚えるほど。

 

「お前は……本当に、救い様の無い大馬鹿野郎、一歩手前まで行くんじゃねえよ」

 

 髪をゆっくりと掻き揚げながら言う。

 潤んだ目を隠すために。

 

「だから言ったはずだ――リューナが帰ってくる可能性があるなら、地獄からでも這い上がってくれるわ!」

 

 ランサーモードで、時覇に向かって突き進むロングイ。

 時覇は、ロングイを迎え撃つべく構える。

 

(ロングイ)

 

 拳を握り、構え直す。

 ただただ、自分のせいでここまで変わってしまった親友を、全て受け入れるために。

 そして、まだ引き返させる事が出来る今のうちに――全てを終わらせる。

 

 

 

 

 

 ラギュナスの戦艦、ゲシュ・ラ・ンペルドでは、マシントラブルが発生していた。

 

「エンジントラブルだと? どうなっている!」

 

 チーフらしき男の激が飛ぶ。

 戦闘が始まってから五分後に、急にエンジンの出力が低下を始めてのだ。

 その為、急遽作業チーム編成、調査に当たっていたのだ。

 

「わかるかよ! 全回線と配管調べてけど、異常なかったぞ!」

「だったら出力が上がらない訳ではないだろうが!」

 

 原因が全く判らない為、誰もがイラつき、報告も口喧嘩状態である。

 

「原因がわかりました!」

「本当か!?」

 

 その場にいた作業員たちが一斉に振り向く。

 

「はい! こちらに来てください!」

 

 と、先導する作業員。

 

「お前らは、一応ここで点検作業を続けろ! あとの連中はついて来い!」

 

 そこには五、六名が残った。

 散らかった工具を纏め、外した鉄板などを付け直す作業を始める。

 そして――

 

「あ、れ?」

 

 ある一人が膝を付き、そのまま倒れた。

 

「おい、どうし、た……、んだ」

 

 また一人、また一人と、糸が切れた人形のようにその場に倒れていく。

 

「ど、どうなっ……、て」

 

 最後の一人も倒れて――

 

「すっー、ぴぃー」

 

 寝てしまった。

 

「……さすが、なのはの使い魔」

 

 と、物陰に隠れていた、ヴィータが呟く。

 

「誰が使い魔だ! 誰が!」

 

 ワンテンポも置かずに、速攻で食い掛かる。

 クロノに使い魔扱いされて嫌がっているのに、ヴィータにまで言われたらな。

 

「まあまあ、ほらヴィータちゃん」

 

 エガオで言うシャマル。

 

「!? ――ごめんなさい」

 

 瞬速で謝る。

 周りの者も、少しだけ片足を引いたのだが、シャマルが気づくことは無かった。

 

「……どうでもいいが、高町の救出はどうする?」

 

 ポツリと喋る、ザフィーラ。

 

「そ、そうだった! 早く探さないと!」

 

 本来の目的を思い出す、ユーノ。

 

「リンバ執務官とカルナ戦技教官が、奴らを遠ざけている内に終わらせないと」

 

 辺りを見ながら答えるルーファン調査員。

 

「シュマルさん、お願いします」

 

 と、ユーノが言う。

 

「ええ――お願い、クラークヴィント」

“うん”

 

 探索魔法を発動させる。

 しかし、回りの機材はAMHと同じ効果で出来ている為に、探索が難航。

 その数分後――

 

「見つけた!」

 

 目をカッと開くシャマル。そして、ある通路を指差す。

 

「あの通路を550メートル行って、左のドアの先になのはさんがいます!」

「なのは!」

 

 誰よりも早く走り出すユーノ。

 それに続いて、慌ててあとを追いかけるのだった。

 ただ、近づいて行くごとに、周りからなのはの魔力を感じるのであったが、誰も気がつくことはなかった。

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「はぁ――せいやっ!」

 

 時覇の正拳を流し、ロングイのランサーモードによる高速の突きをかわし、デバイスとデバイスがぶつかり、弾け飛ぶ。

 

「バウンド・バインド!」

 

 時覇は、弾け飛んだ先にバインドを発動させる。

 そのバインドの中心が重なるように素早く編まれていく。

 そして、単位トランポリンみたいなモノが完成。

 それに両足を中心に預け――反動で、再びロングイに飛びつく。

 

「チェーン・バインド!」

 

 自分の手首辺りからバインドを発動、地面の大岩に巻き付かせ――振り上げる。

 

「 ! 」

 

 右下から、大岩が鉄球の如く襲い掛かってくるが、

 

「クロガネ、弾くぞ!」

“ちょ――パワード・ハンド!”

 

 デバイス全体が、魔力に覆われる。時覇は、手をかぎ爪の様に構え、目の前に大岩が来た時、手を掛けて流すように掃う。

 

“お前らの戦いは、無茶苦茶だぞ!?”

 

 バインドは、文字通り『拘束』の為の魔法であり、今のように使う物ではない。

 魔力も規格外にも関わらず、戦い方まで規格外と来ると、どう表せばいいのか定かではない。

 

「なら、もっと派手にやるから覚悟しておけ」

“ ぃ ”

 

 虫を噛み潰したような声が上がる。

 ロングイのデバイスが激しく変形し、時覇は砲撃を払い除け突進する。

 そんな中、時覇は昔の事を思い出していた。

 リューナとの出会い、共に歩いた日々を。

 

 

 

 

 

 俺が魔法と初めに出逢ったのは、今から一年前の事だった。

 その日の天候は、晴れ。

 ニュースの占いは、どれもトップという、逆に気味の悪い日であった。

 いつも道理、外を散歩してした時だった。

 そこへ、信号無視をしてきた車に跳ねられた。

 一瞬だけ体全体に激痛が走ると、次は何とも言えない浮遊感に襲われた。

 最後に体が下に向って落ちる感覚――言わば、ジェットコースターに乗った時の感覚だ。

 そして、再び衝撃。

 そこで意識は途絶えた。

 次に気が付いたら、ベッドの上にいた。

 どこかの病院だと判ったが、窓が無い為、どこの病院か判断がつかなかった。ついでに、何日、いや何ヶ月寝ていたのか、そんな事も気になった。

 ここまでくればベター言えば、ベターなのだが。

 そして――

 

「あ、起きたの?」

 

 と、女の人が入ってきた。

 服装は白衣などで無く、見たこと無い服装だった。

 何と言うかコスプレ? に近い服装だったのが印象だった。

 

「 ? まさか貴方――」

 

 女の人の言葉に、唾を飲み込んだ。

 

「私に一目ぼれ?」

 

 その言葉で、ベッドから落ちた。

 不思議なくらいに。

 

「っ……ぁ……」

 

 体を地面に叩きつけ、激痛が走った。

 

「だ、大丈夫!?」

 

 女の人は慌てて駆け寄り、肩を借りながら立ち上がり、再びベッドに寝かせてもらった。

 

「外傷は治っていても、まだ内部の怪我が完全に治ってないんですから。無茶はやめてくださいね?」

 

 その言葉に『誰のせいだよ』っと、心の中で突っ込みを入つつも返事を返した。

 

「あ、あと、自己紹介がまだでしたね。……私は、リューナ、リューナ・バウンテッド、宜しくね」

 

 リューナは笑顔で言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが、魔法との――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラギュナスとの――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女――リューナとの出逢いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管理局サイド編

第10話:「鉄‐クロガネ‐」という名の篭手・END

 

 

 

次回予告

ついに明かされる時覇とラギュナスの関係!

リューナという名の少女との関係とは?

そして、そこで何があったのか!?

だがその時、ゴスペルのデバイスが!

 

 

管理局サイド編

第11話:過去という名の罪

 

に、ドライブ・イグニッション!




あとがき
 ついに10話目まできました。
 が、ラギュナスサイド。一向に書いてねー。(汗
 前回はNGシーンがあったのですが、シリアスぶち壊しに繋がるので削除。
 どんどん改正化されていく小説たち。
 よりよい作品作りの為に、生まれ変わっていく。

 脳内爆走サイコー!
 想像よ、永遠に膨らめ! 広がれ! 駆け抜けろ!
 そして――具現化せよ!
 己が想いを! 魂を形にせよ!
 絵に! 文章に! 立体物に!
 作れ! 生み出せ! 生きた証を!

 などと、叫んでみる今日この頃。(苦笑
 でも、想像を何かの形にしないと残らないから。






制作開始:2006/6/1~2006/8/10
改正期間:2007/2/18~2007/3/3

打ち込み日:2007/3/3
公開日:2007/3/3

修正日:2007/3/7+2007/9/27
変更日:2008/10/24
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