何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅰ   作:ダークバスター

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歯車。
小さな歯車が動き出す。
それに連なって、周りの歯車も動き出す。
しかし、歯車と歯車の間には、アソビがある。
そのアソビが、遅れを生み出す時――。


第八話:出動

 

 

 朝一の海上訓練場。

 八神はやての宣言より、2週間が経った。

 3日間での、基礎訓練と言う名のシゴキに、今日までの部隊全体の訓練。

 その間にも、各武装局員の新型デバイスの開発が、確実に行われていた。

 数人のデバイス開発が遅れていたりするが、主に目立った問題は起きてはいない。

 さらに何人かは、デバイスの変更は行わず、補強と強化が行われた。

 そして、海上演習場で爆発が起き、何人か宙を舞った。

 

「相変わらずの鬼畜だな、これは」

 

 その光景を、遠目から眺めて呟く男が1人。

 

「前に受けた訓練より、さらに悲惨な事になってないか?」

 

 彼が受けた、高町なのはの訓練は――爆発で人が飛ぶのは、2人までだった。

 だが、今の爆発で飛んだ人間は、今いる位置で5人ほど確認できたのである。

 明らかに倍増し、かつ、人数が少ない事を考えると――前よりグレードアップしている事を、意味している。

 正直、鬱に成り掛ける男。

 だが、機動六課に正式配属される前になるのは、まだ早い。

 男は可能性を信じ、己が信念のままに進む。

 そう思う思いながら、振り向いて隊舎に向かうも、数歩後に止まる。

 

「…………――放り出して、逃げようかなぁ~」

 

 などと、ボヤくのであった。

 

 

 

 

 

「はぁ~い、今日の訓練はここまで!!」

 

 なのはが、空中で笑みを浮かべながら、元気良く言う。

 纏っているバリアジャケットには、所々に黒ずみや破けた部分がある。

 しかし、その地面には――相変わらず武装局員たちが、屍を築き上げて転がっていた。

 この光景は、部隊全体の訓練に入ってから、未だに変わらない光景である。

 

『おっ、おつかれさまでしたぁ』

 

 だが、3日前からではあるものの、この様に返事を返せるようになったのである。

 なのはにとっては、嬉しい事である。

 だが、訓練を受けている武装局員には、地獄と言っても過言ではない。

 

「あ、そういえば……前から声を掛けていた、スバルとティアナを含めた6人。デバイスも完成しているから、実戦用のモノと交換してもらうから」

 

 その言葉に、目を輝かせる者、喜ぶ者、驚く者など、様々な反応が現れる。

 ただ、レーレは渋い顔をしていた。

 長年使い続けた相棒を手放し、新型デバイスに変更しなければならない事に。

 だったら、強化・改良を施すべきであったが、デバイス自体古く、強化・改良の為の互換性のパーツが無い為である。

 特注で作る方法もあったが、今まで特注のパーツだったので、製作・コスト・時間の三拍子揃って大きすぎるのである。

 ラギュナスでも、そろそろ潮時の雰囲気があったが、ここで決定的になってしまったと言える。

 しかも、八神はやてからの命令のオマケ尽き。

 結果、デバイスを変更することになった。その代わり、デザインは同じものになっている。

 だったら、問題は無いのではと考える者もいるが、それは違う。

 デザインや形状が、寸分な狂いも無くても、長年使い続けてきたモノとは違うと悟る。

 

「それじゃあ、お昼ご飯食べ終わったら、今度はミーティングルームに集合。時間は、1330」

『はい、お疲れ様でした』

 

 数名ほど、完全に沈んでいたが、特に気にする事も無く終わった。

 で、レーレは、自分の愛用のデバイスを眺め、上に上げる。

 太陽の光が、愛用のデバイス――ダガーの刃に反射し、煌びやかな輝きを放つ。

 美しき、銀の光。

 輝きとも言える美しさと、洗礼された銀。

 それは、2つで1つであり、片方は、地面に軽く突き刺さっている。

 デバイスとしては、本当に必要最低限の機能しかない。

 詠唱サポートシステムと、待機モードの2種類しかなく、ストレージデバイスよりも機能は少ない。

 あとは、デバイス本体の強度の増加。

 それも、限界最大値まで上げていた。さらに、強度限界を超える為に、無重力合金を使用。

 なを、無重力合金とは、文字通り無重力で作られた合金である。

 本来、重力化で混ざらない比率・金属や液体でも、重力の法則を受けない事で混じりあって出来る合金である。

 ただし、少々説明、解説不足・勘違い解釈もある為、違う場合もあるので注意。

 つまり、レーレのデバイスの大半の使用材料は、無重力合金で開発されたモノである。

 よって新型デバイスは、強度の低下の変わりに、デバイス機能が向上された事になる。

 ちなみにレーレの戦い方は、2本のダガー型デバイスを組み合わせた体術である。

 

「こいつを受け継いでから、10年……か」

 

 そう言いながら、上に上げたダガーを引っ繰り返したりして、全体を眺める。

 そして、思い出す。

 このダガー型デバイスを持っていた恩師の事を。

 辛くも、充実した訓練の日々。

 恩師と共に作った料理を食べては、笑い合った夜。

 業火の中で、恩師と誰かが戦い――恩師の首が飛んだ瞬間を。

 恩師を殺した相手が憎い訳ではないが、何故かどうでも良かった様に思える。

 敵討ちなど、1度も考えたことも無く、追い求めた事も無い。

 ただ、強かったなと思うだけである。

 怨んでも、怒りに燃えても、悲しみに暮れても、絶望の淵に立たされようとも、死んだ人間は帰ってこない。

 復讐など、なお更である。

 すれば、あの世で恩師にぶちのめされる。

 恩師曰く、死んだ人間の思いや信念は受け継ぐのは良い。ただ、負の感情は持つ事も、受け継ぐ事も許されない。

 そんな訳で、復讐者になるのは駄目なので、普通に就職しようと考えた。

 が、同時、いくら就職年齢は低いミッドチルダでも、身元不明の子どもを雇ってくれる場所は無い。

 あるとしても、時空管理局くらいであるが、正義を掲げる偽善者としてしか見ていなかったので、対象外。

 そんな感じで、裏道で食料確保に勤しんでいた時に、ラギュナスのメンバーに拾われた。

 そのラギュナスの男は、数日後に戦死した。

 名前すら知らないので、誰かに尋ねるが、誰も教えてはくれなかった。

 拾われた恩義もあり、そのままラギュナスに居つく。そして、年月が経ち、権限もある程度与えられた。

 調べた結果――相当ランクの高い方だったらしく、情報が僅かしか閲覧できなかった。

 できたのは、名前と顔写真だけ。

 それ以上の事は、調べる事はできなかった。

 現在は、さらに閲覧する事ができたかもしれない。何せ、今はその情報は無いからである。

 理由は――5年前に、ラギュナス本部が壊滅したからである。

 現在の本部は、現長である桐嶋時覇が作ったモノであり、前の本部の管理者は、現在行方不明で前長、ロングイ・バウンティド。

 現時点での情報は、何も無い。

 個人的な人脈は無いので、組織に居座るしかない。

 リーリに頼る手もあるが、迷惑は掛けたくないのが本音。

 余計な事に巻き込みたくは無い。只でさえ、今は管理局とドンパチしている最中なのだから。

 どこで何が繋がっているのか、今の世界では判らなすぎる。

 結局、関係無いが……私たちは、どこへ向かっているのだろう。

 そう思いつつ、空に向かって、持っていたデバイスを放り投げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第八話:出動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 荒れ果てた荒野の世界――グァラオンドゥ・ゴゥーケ。

 時空管理局の未発見世界の1つであり、次元世界リ・バーレの世界の1つである。

 次元世界リ・バーレは、多数の次元世界と繋がっており、その世界を行き来して発展してきた。

 ある意味において、ミッドチルダと変わらない。

 なを、全部で23あるが、実際は禁止世界などを含めて、44の世界と繋がっていた。

 何故過去形か――理由は、転送装置が壊れてしまった。また、凶悪なモンスター徘徊世界、ゴミの投棄世界。特別な人間にしか行けない世界に、囚人が納められる世界に分けられているからである。

 まず、転送装置――ジャンピング・トンネルは、固定された場所から場所に飛ぶ装置である。

 それを発展かした装置――ハイ・ジャンピング・フィールドと呼ばれ、固定された場所から自分が指定した場所に飛ぶことが出来る。

 が、こちらは既に廃棄となり、使用及び製造を禁じている。

 理由は、言わずとも戦争である。

 禁止世界や、行けなくなってしまった世界も、それが原因である。

 行けなくなった世界は、軍の進撃を阻止する為にジャンピング・トンネル(以後、J・Tとする)を破壊。

 さらに、次元炸裂弾によって、ハイ・ジャンピング・フィールド(以後、H・J・Hとする)を無効化にした。

 が、結果、現地に兵士が残されてしまう自体が続発。しかも、無暗に使えば、全ての世界に影響が及んでしまう。

 これによって、次元戦争制限条約が結ばれるが、時既に遅く、影響を受けた世界も含めて7つの世界がH・J・Hの使用不可に。うち、3つが両方の使用が出来なくなってしまったのである。

 なを、次元炸裂弾は、ラギュナスが保有する時空拡散弾の強力版と考えた方が早い。

 簡単に言えば、次元が回復するかしないかの差である。

 よって、次元は裂けたままなので、救援に向かう事が出来ないのである。

 なら、時空管理局の様に、戦艦を造れば良いのでは思われるが、次元世界リ・バーレにはそこまでの技術は無い。

 時空間航行の技術は、J・Tの調整と補強・修理か、H・J・Hの製造くらいである。

 よって、完全にお手上げ状態になっている。ただ、それ以前に次元が裂けてしまっているので、戦艦も向かう事ができないが。

 さらに、禁止世界は、どこかの軍が極秘に開発したモンスターが脱走、繁殖してしまった結果の処理である。

 しかも、凶悪モンスターたちは、J・Tを使って進軍を開始。

 この出来事によって、戦争は中断・停戦となり、凶悪モンスターたちの進撃を阻止し始めた――後に、その出来事も含めて、次元戦争と呼ばれる。

 そして、仕方なくJ・Tを破壊して、二度と来ない様にしたのであった。

 これが、次元世界リ・バーレの一部の歴史である。

 話は戻り――グァラオンドゥ・ゴゥーケに、強化訓練をしに来ていたノーヴェと、つきそいでウェンディ。

 が、ウェンディは巻き込まれて、共に訓練に勤しんでいた。いや、強制の方が、適切なのかもしれない。

 

「いぃぃぃぃやぁっほぉぉぉぉおおおおおおおお!!」

 

 真っ青な顔をしながら、絶叫を上げながらボードを必死に操るウェンディ。

 

「うぅぅぅぅふぅぉぉぉぉ!! いい男ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 などと、錯乱しながら大地を駆け抜けるノーヴェ。

 後ろから、ミサイルや砲弾が飛んでくるのを、必死に避けながら全力で加速する。

 その2人の後ろから――闘牛ランチャーの群れ。数は30体いる。

 闘牛の背中に埋め込まれているミサイルランチャーと、腰の部分に備え付けられた対空砲。ちなみに、接近戦用に鼻バルカンとヒートホーンがある。

 最初に見た瞬間は、何この生物と言いたくはなるが、次元戦争の負の遺産である。

 凶悪モンスターの1種で、空を飛ぶモノを狙撃して、地面に落ちた瞬間に問答無用でミサイルランチャーの雨。

 トドメに、群れにより踏み潰し。

 なので、2人とも、空に上がれないで地面を爆走していたのである。

 何故こうなっているのか、原因は簡単である。

 この日、特別戦技隊・副隊長のトーラングス・L・ギームからの一言から、始まりだった。

 

「お前ら、ウォーミングアップして来い」

 

 それだけの為に、この世界に落とされたのである。

 しかも、闘牛ランチャーの群れのど真ん中に。

 鬼である。

 が、一斉に鼻からバルカンが放たれ、大慌てで回避&ボードで防いだ。

 で、角が赤くなり、熱を放ち始めた瞬間に突撃してきたので、今度は2人とも上空に回避――したのが運の尽き。

 闘牛が鼻からバルカンを放ってきた動揺と焦りで、腰の部分に備え付けられていた大砲に気が付けなかったのである。

 闘牛は、一斉に対空砲火を放つ。

 しかも、中には拡散弾もあったので、回避するのはほぼ無理に等しく、何とか被弾せずに地面に降りる。

 そして、現在に至る訳であった。

 

「いくら師匠でも、これは無しだぁ――ろぉ!?」

 

 師匠であるトーラングスの愚痴を零すも、後方から飛んできた対空砲を、体を横に捻ってかわす。

 ちなみに、この回転は5回転。スケートリンクだった場合、超高得点間違い無しであるが、プロでも現時点で4回転が限界だったはずである。

 

「それには同意ッス!! ――対攻撃拡散弾、発射!!」

 

 ライディングボード・タイプAの後ろの部分に取り付けられたボックスから、ピンポン玉のらしきモノがばら撒かれる。

 そして、爆発。

 その爆発から、紫色の球体が出現。直径75センチほどの大きさまで膨れ上がる。

 闘牛ランチャーの対空砲が紫色に触れた瞬間――弾丸が消滅。

 紫色の球体は、一回り小さくなった。当たらなくても、僅かに小さくなっていくが、当たると小さくなるのが早くなる。

 対攻撃拡散弾――物理・魔法・方術などのありとあらゆる攻撃を消滅させる、とんでもない兵器である。

 なを、その紫色の球体にぶつかれば、人間なども消滅する。

 が、弱点は、発動した場所から動かせない事。消滅させる事が出来るのは、あくまで紫色の球体に触れたモノのみ。

 しかも、少々コスト高なので、量産するのは難しいのである。

 動かせない事を逆手に取られれば、こちらが不利になる可能性も出てくる。

 よって、この対攻撃拡散弾の製造は終わっており、在庫があるだけとなっている。

 なを、製造年令は新暦より前の旧暦になる。

 何故、ウェンディが使っているのか――無断拝借である。

 そして、ライディングボード・タイプAとは、ライディングボードをベースに発展開発されたボードである。

 タイプAは、オプションの換装と装備。

 タイプBは、量産化を目的に。

 タイプCは、軽量化や素材変更などの開発・発展を目的に作れたモノ。

 この3タイプとなっているが、

 で、弾丸が消滅したのを見て、何かを感じ取ったのか、闘牛ランチャーたちは一斉に止まったのである。

 

『チャンス!!』

 

 この機を逃さんばかりに、全力で逃げたのであった。

 で、荒野から木々が生えている場所を発見。大慌てで滑り込む。

 そして、草むらの茂みから、戦闘機人の能力で視力を拡大し、遠くの状況を確認する。

 ……どうやら、巻いたようなので、2人一緒に安心して息を吐いた瞬間、通信モニターが開かれる。

 

≪お前ら、出撃する事になったぞ≫

 

 2人の疲労の原因を作ったトーラングスが、真面目な顔で伝える。

 

≪ミッドチルダの山岳のリニアレールは知っているか?≫

 

 その言葉に、反応したのは――ウェンディ。

 

「確か、貨物専用に成りつつある、あの?」

≪そうだ。一応、客も乗せているが、3分の2は貨物だな――で、だ≫

 

 トーラングスは、新たにモニターを表示させる。

 

≪その貨物に、レリックが輸送されている≫

 

 その言葉に、2人は目を細める。

 

≪それを探知したガジェット3種が追っている≫

「3種? 3種類あるのか?」

 

 その言葉に、ノーヴェが返す。

 

≪ああ、その通りだ。何時のも長細い奴がⅠ型として……戦闘機型と、人のサイズより大きめの球体の2体だ≫

 

 そう言いながら、トーラングスの顔のモニターは右上に縮小して映し出され、新たに中央に2枚のモニターが映し出される。

 右に戦闘機型が表示され、右下にⅡ型と表示されている。左に人のサイズより大きめの球体が表示され、右下にⅢ型と表示されている。

 なを、Ⅲ型のみに大きさの目安として、175センチほどの人が表示されている。

 

≪先に言っておくが、変形はしないからな≫

 

 その言葉に、ウェンディは少し凹んだ。

 

≪装備を整え直すから、戻って来い≫

『了解!!』

 

 その返事は、高らかに上り――闘牛ランチャーに、居場所を教えてしまったのであった。

 

『転送、転送!!』

≪動くな!! 座標が固定できんわ!!≫

 

 闘牛ランチャーのミサイル郡を掻い潜りながら、空間モニターに向かって声を出す2人。

 だが返答は、無茶苦茶なお言葉であった。

 誰しもが、同じ能力、持ってない、人それぞれに、合うモノがある。

 

『死ねと仰いますか!?』

≪ぅるせぃ!!≫

 

 

 

 

 

 その頃、ミッドチルダの首都クラナガン、機動六課・ミィーティングルーム。

 

「本局から配属された新人の――」

「クーガスト・イリュード三等空尉です」

 

 真面目な顔で、フォワードメンバーに名前を告げる。

 ただ、フォワードメンバーの大半がボロボロ状態でいるが、あえてスルーした。

 彼もまた、経験者だから。

 

「私は、研修の時に、高町分隊長の特別訓練を受けた経験があります」

 

 その言葉に、ある種の哀れみの視線が集中する。何せ、研修生がなのはの訓練を受けた事に対して。

 ベテランでも気絶する者がいるのに、研修生が受けるとなると、どれだけ悲惨な事になるのは想像できる。

 想像できるので、想像以上の悲惨な状態を生み出す。

 よって、フォワードメンバーは、誰1人聞く事は無かった。

 だって、誰も地獄の体験談は聞きたくは無い。現在進行形で、堪能中なのだから。

 

「久しぶりだね、クーガスト。元気にしてた?」

「日々地獄でしたよ」

 

 なのはの言葉に、率直な感想を述べる。

 

「あ、あとで八神部隊長から、連絡があると思いますが」

 

 なのはは、首を傾げながら聞く。

 

「俺、基本的に護送係をやらされるので、訓練とかには参加しなくても言いそうです」

 

 そう言葉を放った瞬間――フォワードメンバーから、殺気が放たれる。

 何故か、って? 同じフォワードメンバーなのに、地獄に参加しないから。

 クーガストも、さすがにたじろぐものの、気を取り直す。

 

「くっ、詳しくは――」

「うん、判ったからとっとと帰れ」

 

 世界停止。

 問答無用のお言葉&立てた親指を、地面に向けて放ったのである。

 まさに魔王の名に、相応しき言動と言えよう。

 

「あ――ごふぉ!?」

 

 クーガストの鳩尾に、ローリングソバット炸裂。

 後方に吹き飛びながら、ドアを突き破りながら廊下に弾き出された。

 余りの唐突な言動と出来事に、何も言えないで硬直するフォワードメンバー。

 むしろ、今、この瞬間に何も喋ってはいけないと、脳が警戒を促している。

 まさに、戦士の本能と言えよう。

 

「さて――」

 

 と、話を反らすためなのか、話題を変えたいからは判らないが、強引に話を切り替えるなのは。

 そして、クーガストは……血を吐きながらも、何とか立ち上がって壁に寄り掛かりながら、廊下を進む。

 

「いっ、一応……ここの技術部の管理者には、顔だけでも出すかはぁ!」

 

 吐血。

 ゲホォ、ゲホォと咳き込みつつ、鳩尾に回復魔法を掛ける。

 気休めではあるものの、やらないよりかはマシである。

 で、壁を伝いつつ、口元の血を垂らしながら向かう先は、精密機器室。

 

「失礼します」

「はぁー……大丈夫ですか?」

 

 デバイスマイスター(自称)のシャリオ・フィニーノは、入ってきた男性を見て一瞬だけ硬直。で、状況把握して、尋ねたのである。

 何せ、入ってきた男性――クーガストの状態は、一言で言えば酷い。

 服は少しボロボロで、口元には血の跡。

 さらに、腹に手を当てているのだから、大丈夫でない事は見て判る。

 ファッションと言えば、通る――事も無い。こんなファッションは存在しない。しても困るが。

 

「まぁ、色々ありまして――できれば、聞かないでください」

 

 顔を反らしながら、シャリオに言うクーガスト。

 シャリオもシャリオで、それを察して何も聞かなくなった。むしろ、聞きたくは無かったのかもしれない。

 

「で、ここには、どんな御用で?」

「ええ。今日、護送してきたモノがキチンと入ってきているのか、確認をと思いまして」

 

 その言葉に、シャリオは胸の高さ辺りで片手を拳にし、もう一方の片手のひらを叩く。

 

「ああ、あの3つですね? キチンと着てますよ。現物を見ますか?」

「では、お願いします」

 

 そう言って、シャリオの後についていく。

 どうやら、護送してきたモノは、奥にあるそうだ。詳しい記載は知らないが、ロストロギアの可能性があるらしい。

 シャリオは、胸ポケットからIDカードを出して、扉の横についているリーダーに差し込む。

 それから、リーダーのカバーがスライドして、空間パネルが展開される。

 そのパネルには、A~Zと0~9までの文字と数字と、エンター(決定キー)が表示されていた。

 シャリオは、30以上の文字と数字を打ち込み、エンターを押す。

 機械音独特のピーと言う音が鳴り、ドアがスライドする。

 

「結構厳重ですね」

「ラギュナスやスパイ、工作員対策です。あ、ちなみにパスワードは、1時間に1回変更されています」

「ってことは、今のパスワードも?」

「はい、使い捨てです。もちろん、正規のパスもありますが、それを仕えるのは八神部隊長か、中将以上の方のみです」

 

 結構ではなく、相当の方があっているな。などと思いながら、ドアを潜り抜ける。

 その部屋の奥に、自分――クーガストが護送してきた、3つの黒いケースが並んでいた。

 

「間違いは?」

「……無いですね」

 

 クーガストは、モノを見て納得する。

 開けられるらしいのだが、今まで誰1人も開ける事ができなかった。

 機械と魔法を使っても、傷すらすける事もできず、長年本局の倉庫で埃を被っていたのである。

 が、ある日、とある上司がコレを引っ張り出してきて、派遣されるついでに持っていけと言われて、持ってきたモノである。

 ロストロギアの倉庫にあったモノなので、取り扱いには注意しろという伝言付きで。

 正直、これが餞別だよって、笑顔で言われて泣きたくなった記憶はある。

 けど、泣いた所で何も変わらないので、仕方なくバイクの後ろに括り付けて、持ってきた。

 案の定、途中で『漁業戦隊ギョレンジャー』と呼ばれるテロリスト集団に襲われたが、何とか逃げ切った。

 まぁ、何か5隻の漁業船が変形合体までしたが、合体中の接続部分に爆弾を叩き込んでやった。

 言わずとも、爆散して終わった。

 テレビを見て思うが、何故敵は合体の最中に攻撃をしないのか。

 合体なら、敵の前でしないのは当たり前。

 まぁ、それをやったら終わりだけど、ご都合主義は羨ましい物だと思う。

 

「ところで……え~と」

「あ、自己紹介がまだでしたね。私は、シャリオ・フィニーノ一等陸士です。この機動六課のデバイスマイスターで――」

「それ自称でしょ? 閲覧可能な範囲で、個人情報を見せてもらいましたが、書いてなかったですよ?」

「…………」

 

 クーガストの痛恨の一撃に、黙るシャリオ。何とも気まずい空気が出てくる。

 

「俺は、今日配属されたクーガスト・イリュード三等空尉です。一応フォワードメンバーですが、基本的には護送係をやる事になっています」

「そうですか」

 

 素っ気無い回答が帰ってくる。この空気を打破するには、劇的な何かが必要なほど。

 が、そこで赤いライトが点滅し、警報が鳴り響く。

 

『!?』

 

 2人は、咄嗟に天井を見た。

 一種の人間の心理と言える行動。

 数秒後、全体放送が入る。

 

≪山岳地帯のリニアレールにて、ガジェットの襲撃が発生!! 直ちに、フォワードメンバーは出動してください!! 繰り返し――≫

 

 クーガストは、素早く部屋を出る。

 

「わっ、私も行きます!!」

 

 少し遅れて、後からシャリオが追い掛けて来る。

 隊舎内は、所定の配置の移動に大忙し。

 曲がり角辺りで、何回か交通事故に愛想になったが、間一髪でお互いに踏みとどまる。

 そして――作戦司令室。

 

「失礼します、状況は!?」

 

 その声に、眼鏡を掛けた男性が、顔を向けてくる。

 

「自分は、今日配属されたばかりの――」

「クーガスト・イリュード三等空尉、ですね?」

 

 そう眼鏡を掛けた男性が答える。どうやら、話は通っていたようである。

 

「はい、そうです!」

「私は、グリフィス・ロウラン准陸尉です。状況は――」

 

 グリフィスより聞いた状況は、以下の通りである。

 まず、はやては、聖王教会から最速で帰還中。

 フォワードメンバーは、なのはを筆頭に、ヘリで出撃。

 フェイトは、はやてを送った帰りにエマージェーシーコールを受けたので、近くのパーキングエリアから向かうらしい。

 しかも、リニアレールを乗っ取ったガジェットの数は、確認できただけで50体いるらしい。

 さらに、それが外壁の確認できた数で、内部はジャミングによって不明になっている。

 ただ、レリック反応は感知。場所は、リニアレールの列車の真ん中の車両だと判明。

 

「――と、言う訳ですが……イリュード三等空尉は、ここで待機をお願いします」

「了解しました。一応、ブリーティングルームで待機しています」

 

 お互い敬礼を行い、クーガストはブリーティングルームに向かった。

 なを、シャリオは、2人の会話中に作戦司令室に入り、通信を行っていた。

 ただ、精密機器室の奥の部屋に置いてある、3つのケース。

 それのロックが開いた音が、部屋の中に静かに響いた。

 

 

 

 

 

 そして、機動六課・屋上。

 

「各員、速やかに指定されているヘリに搭乗!!」

 

 なのはは、ヘリの音に負けない様に声を張り上げる。

 普通は、武装局員の数が多い場合、予算の関係で旧式が配備される事が基本である。

 だが、今、屋上に置かれているヘリは――全て最新型。

 多目的換装型特殊輸送ヘリ――MR405S・ショルド。

 ショルドは、ジュルイド社が開発したヘリで、『ディージョ』と呼ばれる次元世界で開発されたモノである。

 なを、ショルドをディージョ語から、ミッドチルダ語に略すと『衝撃の拳』となる。

 換装パーツは、現在2種類しか完成していない。

 戦闘用のBaシリーズ――迎撃用、殲滅用、防衛用の3タイプ。

 防御用のDeシリーズと、サポート用のSシリーズ。

 あとは、現在開発中の災害用のDiシリーズ、救急用のFaシリーズ、搬送用のTrシリーズ。

 Baシリーズにて、爆撃用が追加予定となっている。

 そして今、ジョルドにはDeシリーズが換装されている。

 今回は、ヘリによる迎撃ではなく、現場に魔導師の護送が目的である。

 

「高町隊長!!」

 

 と、後ろから声が掛かる。

 

「何か!?」

「ヴァイス陸曹のショルド1号機・ストームレイダー以外、まだ未調整のままで、発進に少々時間が掛かります!!」

 

 そうショルド2号機のパイロットが告げる。

 なのはは、軽く舌打ちをするも、その音は誰にも聞こえない。

 

「仕方が無いな……1号機だけ先行するので、2号機と3号機は調整が完了次第出撃!! 場合によっては、そのまま待機!! 判断は部隊長に仰いで!!」

「了解!!」

 

 ショルド2号機のパイロットは、敬礼しながら返事を返し、振り返って3号機へ向かう。

 なのはの指示を伝える為であろう。

 なのはは、そのままショルド1号機に乗り込み、通信回線を開く。

 

「2号機と3号機のフォワードへ。ショルド2号機と3号機が未調整の為、1号機の我々スターズとライトニングが先行います。乗り切れなく、2号機と3号機へ回ったスターズとライトニングは、他の隊の隊長の指示に従う事――ヴァイス陸曹!」

 

 そう最後に名前を叫びながら、通信を切る。

 

「了解!! 行くぜ、ストームレイダー」

≪はい≫

 

 ヘリのコクピット内に、デバイスの音声が響く。

 

「ヴァイス陸曹、ショルド1号機・ストームレイダー、出るぜ!!」

≪了解――発進、どうぞ!!≫

 

 備え付けられた通信機から、作戦司令室にいる女性の声が上がる。

 その瞬間、ヘリが浮上――空へ舞い上がり、山岳地帯を目指すのであった。

 

 

 

 

 

 山岳地帯上空。

 そこには、ラギュナスのショルドが飛行していた。

 

「――で、あれが目的の」

 

 開放されたハッチから落ちないように壁に手を置き、しゃがんで見るノーヴェ。

 なを、装備はジェットエッジにガンナックル。

 

「ああ、長も出ると五月蝿かったが、シグナムに見張りを頼んであるからな」

「……今は、関係無いと思うッスけど」

 

 初代のライディングボードを手に汗を垂らしながら、ヘリパイロットに突っ込みを返すウェンディ。

 なを、初代とは、ジェイルスカルエッティが開発した固有武装である。

 ラギュナスのタイプシリーズは、それをベースに発展・開発・量産を行っているのである。

 

「ともかく、第三副隊長から聞いての通りだ。上手く撃破して、レリックを持って帰ってきてくれよ。ただし、帰りは手はず通りに」

「判っているさ。こいつを使って、帰ればいいんだろ?」

 

 横顔を見せながら、防護ジャケットの懐から1枚の札を見せる。

 漢字に似た字で書かれているが、『転移符』と何と無く見える。

 

「ああ、そいつが凱螺の代物らしい」

「へぇ~、紙切れなのに……不思議ッスねぇ~」

 

 そう言いながら、ウェンディは札の裏や横を見る。

 裏には、墨が染み込んでいない事から、重ねたのか、元が厚いのかが思いつく。

 

「ちなみに、1枚10万なんだが」

『これで10万――って、当たり前か』

 

 転移技術を詰め込まれた紙のモノ。ミッドチルダから見れば、安い物だと思う。

 

「使い捨てで高性能らしく、50万するらしい」

 

 その言葉に、2人は化石化した。

 2人で100万――物凄いプレッシャーが圧し掛かる。

 

「気にするな――粛清の担当者は」

『聞いて後悔はしたくない』

 

 2人して言いながら、両耳を押さえる。

 それを見て、ヘリパイロットはクスクスと笑う。が、その笑いはすぐになくなる。

 ヘルメットに内蔵された通信機からの緊急連絡。

 内容は、機動六課が出撃した事。

 

「御2人さん、御2人さん」

 

 その声に、両耳から手を離す。実は、耳を完全に塞いではいなかったので、あのまま言えば2人は絶望していただろう。

 それを判っていて、あえてヘリパイロットは言わなかったが。

 

「機動六課が出てきたそうだ」

 

 その言葉に、2人の目の色は変わり――完全に戦士の目に変わる。

 

「数は配備された人数より相当少ないが……高町仕込みらしいから、気をつけろよ」

『了解』

 

 2人は、手に持っていた符を仕舞い、それぞれ開放されたハッチの手前に立つ。

 

「ご武運を――GO!!」

「RN-09!!」

「RN-11!!」

『出る!!』

 

 2人は同時に飛び出し、地面に落下していく。

 だが、ノーヴェはウェンディのライディングボードに乗り、リニアレールの屋根に取り付く。

 その瞬間、下の屋根からレーザーが放たれる。

 ウェンディはライディングボードでガードし、ノーヴェは右に左へ回避。

 そして、屋根を突き破って内部に侵入。

 壁を使っての3次元戦法を行い、ガジェットドローンⅠ型に蹴りを叩き込んで真っ二つにし、撃破する。

 

「連中が来る前にカタをつけるぞ!!」

「了解ッス!!」

 

 ノーヴェの激に答えるウェンディ。

 

≪気合を入れたばっかりで悪いのだが≫

 

 不意に、ヘリパイロットから通信が入る。何と無くだが、切羽詰っている様な感じである。

 

≪機動六課の連中が来たぞ≫

 

 その通信に、舌打ちをするノーヴェ。

 しかし、やる事は変わらないので、攻撃を回避しながら敵を撃破していく。

 ウェンディも、内部に侵入してノーヴェのアシスト。

 

≪ノーヴェとウェンディだったな――生き残れよ≫

 

 そこで通信は切れる。

 そこで、空間モニターが開かれて、こう表示されていた。

 

≪ショルド撃沈・パイロット死亡≫

 

 その表示に、2人は葉を喰いしばって、敵に八つ当たりするように攻撃を続ける。

 怒りに任せた攻撃は、単調になり易く、隙も出来やすい。

 だが、トーラングスの訓練により、怒りを露にしつつも冷静を保ち、確実に潰していくのであった。

 

 

 

 

 

 少しだけ時間が戻り――ショルド1号機・ストームレイダー内。

 

「――と、作戦説明はここまで。何か質問は?」

 

 なのはの問いに、フォワードメンバーが顔を合わせ合うも、特に無いらしい。

 しかし、キャロが震えている事に、なのはは気がつく。

 だが、キャロは胸元からペンダントを取り出し、それを両手で掴んで深呼吸。

 すると、徐々に体の震えが止まり、何とか持ち直したのである。

 なのははそれを見て、自分は必要無いのだと感じ取って、ヴァイスに声を掛ける。

 

「じゃあ、私は先行するから――ヴァイス陸曹」

「ウッス、ハッチ開放します」

 

 エアー音を立てながら、ハッチが開かれて風が入ってくる。

 

「作戦通りに。リイン、あとは任せるよ」

「了解です、高町分隊長」

 

 なのはの問いに答えながら、敬礼をしながら返事を返すリインフォースⅡ。

 そして、なのはとリインフォースⅡ以外の人間は、こう思った。

 

(いたんだ、リイン空曹長)

 

 フォワードメンバーとヴァイス陸曹の心が、1つになった瞬間であり、今まで空気化していた瞬間でもあった。

 それに気がついたのか、気がつかなかったのか、なのはは開放されたハッチから飛び降り――セットアップをする。

 それから、後から来たフェイトと合流して、ガジェットドローンⅡ型と交戦を開始。

 

「じゃあ、ひよっこ――もとい、ベテランさん方!! 目的の上空に到達!!」

「では、各自、指定されたリニアレールのポイントに飛び乗ってください」

『了解!!』

 

 そう言って、リインフォースⅡが先行して降り、次にスターズのスバルとティアナの先頭に4名降下。

 次にライトングは、1人降下してから最後にエリオとキャロ、フリードが降下した。

 だが――なのはとフェイトを抜けたⅡ型と、リニアレールの横や屋根の上、車内からのⅠ型の攻撃が飛び交っていた。

 おかげで、リインフォースⅡ、スバル、ティアナ、エリオ、キャロとフリードしか、飛び乗る事はできなかった。

 あとは、Ⅱ型のミサイルによって吹き飛ばされ、Ⅰ型の攻撃を受けて、森へ吹き飛ばされてしまった。

 ただし、スターズの2人は死亡。

 死亡原因は、セットアップする前に、Ⅰ型の攻撃に頭を吹き飛ばされる。

 セットアップしたものの、陸戦魔導師だったので、吹き飛ばされた先がリニアレールの真ん前だった。

 言わずとも、上半身だけ無事で、下半身はリニアレールにすり潰されたミンチと化す。

 ライトニングは、森に吹き飛んで助かったものの、右腕と左足を骨折。結局、戦闘不能に。

 その状況を聞いたなのはは、アクセルシューターを放ちながら、舌打ちをする。

 

「仕えないな、もう……当分は、スバルとティアナだけでいいや」

 

 そう言いながら、山勘で上空にディバインバスターを放つ。

 桜色の砲撃が放たれた先で――爆発が起きる。

 その爆発は、ラギュナスのショルドであった事は、なのはが知る由も無かった。

 

「邪魔者がいるぽいけど――あの子達なら、問題は無いかな」

 

 敵のミサイル攻撃を回避しつつ、アクセルシューターで応戦しながら、空を翔る。

 その空には、絶望しか広がっていない。

 それでも、なのはは希望があると信じて駆け抜ける。

 だが、そんなモノはこれっぽっちも無い。どんでん返しも無い事を、心の底から知ることになる。

 自分が信じ、生き甲斐とした空で。

 

 

 

 

 

 舞台は整い、ここに新たなる扉が開かれる。

 その扉は――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、彰浩(あきひろ)」

 

 学校の帰り、後ろから声を掛けられる。

 

「なんだ、友人S」

「だれが友人Sだ!? まぁいい――の奴だけど」

 

 と、彰浩が貸したDVDを、鞄から取り出して渡される。

 

「熱血バトルって……これ、本当に魔法少女か?」

「……………………………………………………………………………………多分」

「何だ、その長い間は!?」

 

 友人Sから、突っ込みは来るも、彰浩は笑って流す。

 

「とにかく、それは返したぞ」

「おう、次の貸すよ」

「いい。俺には合わないから」

 

 そう言って、友人Sと別れた。

 そして、返してもらったDVDを見る。

 

「言いと思うんだけどなぁ~」

 

 そうぼやきつつ、鞄にDVDを仕舞うのであった。

 

 

 

 

 

 ある家にて、掛け声と打撃音が鳴り響く。

 

「はぁああああああああ!!」

 

 緑の髪の女の子が、棒で突撃を掛けてくる。

 しかし、男――勇斗(ゆうと)は、棒の先端をいなして流し、一気に懐に潜り込む。

 

「――喰らえ!!」

 

 だが、緑の髪の女の子の方が1枚上手だったのか、拳法のカウンターを貰い――3、4メートル後方に吹き飛ぶ。

 が、彰浩はその反動を利用して、さらに距離を開ける。

 お互い構え直し、睨み合いをする――が、目覚まし時計の音で、その均衡は破られた。

 

「ありぁ、時間切れやな」

 

 緑の髪の女の子は、構えを時ながら言う。

 

「そうだな、お互い決着はまた今度か」

 

 勇斗も、同意の声を上げる。

 

「じゃ、アタシは買い物行くやけど――勇斗は?」

「後片付けをさせて貰おうか」

「うん、了解や。ほな、頼むでぇ~」

 

 緑の髪の女の子は、そう言いながら家に入って行った。

 

「じゃあ、片付けでも始める前に……シェイクダウン、シェイクダウン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界が交差し、常識と非常識、現実と空想が混合する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かに出逢う者たちの物語・外伝

第二部

魔法少女リリカルなのはTIWB

~二つの意志と狂いきった世界~

 

 

第八話

出動

 

END

 

 

 

次回予告

 

レリックを求め、ぶつかり合うスバルとノーヴェ。

そして、ティアナとウェンディ。

激闘の末に、レリックと同じ場所に積み込まれていた荷物が光りだす。

それは、別世界の切符であった。

 

 

 

次回、何かに出逢う者たちの物語・外伝

魔法少女リリカルなのはTIWB

~二つの意志と狂いきった世界~

 

 

第九話:交差

 

 

 

その時、世界は交じり合う。




あとがき
 何とか完成。(汗
 微妙に詰まっていましたが、何とか完成。ただし、締め切りオーバーしました。
 それに関しては、真に申し訳ありませんでいした。
 で、主人公出してないな~と思ったが、物凄く偉い立場なので、滅多に動かせない状況に。
 それに、主人公視点で書いていると――10話行くかな? 行くと思うが……余り長く続か無いかも。
 しかし、多数視点になれば、それなりに話は伸びます。
 目指せ、総数100話――は、無理かな。更新遅いし、何年掛かるのだろうか。(汗
 でも、完結はしますよ。超長編モノに成りつつありますが。
 でもって、相変わらずのスプラッター的な表現発生。(汗
 早速活躍前に、死亡者発生――でも、名も無い人物なので、問題無し。
 名前付けても良かったけで……下手に増やすと、誰が誰だか判らなくなって来るので止めました。






制作開始:2008/8/19~2008/10/1

打ち込み日:2008/10/1
公開日:2008/10/1

修正日:2008/10/5
変更日:2008/10/29
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