何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅰ   作:ダークバスター

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出逢うはずも無い者同士が出逢う事。
それは、世界の常識を覆す出来事なのか。
それとも、ただの運命の悪戯なのか。
どちらにせよ、この世に神がいたのなら。
その神は、魔王として生まれて来るべきだったのかもしれない。


第十一話:枷に変わり無く

 

 

「はぁああああああああっ!!」

 

 バリアジャケットを身に纏い、リボルバーナックルを唸らせながら、空にいる不敵に笑う少女に殴り掛かる。

 しかし、少女は、無詠唱でシールドを展開。真正面から受け止める――のではなく、初めからスバルから見て左へ反れる様に、予め僅かにずらす。

 そのまま何も気がつかないまま、シールドの触れた瞬間、一気に斜めにして受け流したのである。

 スバルは、力を反らされてしまうも、マッハキャリバーを重石として遠心力を利用し、左足の踵を放つ。構図的には、歪な回し蹴りである。

 少女の不敵な笑みが、驚きに変わるも気を取り直したのか、その場に留まらずに後方に自ら吹き飛ぶ。

 

「バルカンバレッド――」

 

 ティアナが、少女が吹き飛んだと同時にバレッドを装填し、狙いを定める。

 それを見た少女は、ふと笑みを浮かべるも、ティアナから見えることは無かった。無論、スバルからも。

 

「――シュート!!」

 

 何の躊躇いも無く、魔法を放つティアナ。

 オレンジ色の魔弾が、少女に向かって放たれる。が、少女は、スバルの防御に使ったシールドを消したのである。

 それを見たティアナと、新たにウイングロードを展開して着地したスバルは、避けると考えた。

 だが、次の光景で、その考えは打ち砕かれる。

 行き成り、浮遊する金属の棒が3つ現れ、少女とティアナの魔力弾の間に出現。浮遊する金属の棒から、さらに3本の棒が飛び出てくる。ただし、片方は固定されたまま。

 それらが魔力の線を放ち、互いに結び合った瞬間、逆三角形が出現したのである。

 しかも、ティアナの魔力弾を弾く。

 その光景に、ティアナは舌打ちをして、距離を取る。すぐに封印したマグナムバレッドを使用しても良かったが、まだ見せるのは早いと考えたからである。

 だが、その距離を取らせんと言わんばかりに、さらに浮遊する金属の棒が出現。細くなっている先端から、魔力弾が放たれる。しかも、1発1発が、AAランク級の威力。

 おまけで、殺傷モードなので、着弾した場所の地面が抉れる。

 

「――っち!!」

 

 舌打ちするティアナ。そんな時、スバルから念話が飛んでくる。

 

(ティア、あの浮遊する金属の棒って――)

(十中八苦、デバイスでしょうね。もしくは、ファンネル?)

 

 縦横無尽に飛び回る、浮遊する金属の棒。それから放たれる魔力弾を、回避しながら考えに至った意見を、スバルに述べる。

 

(あ、それ、私も思った。特に、逆三角形の奴を出した時なんか、νガンのフィン・ファンネルを思い浮かべたよ)

 

 彰浩がやっていたスパロボシリーズの一場面を思い出して、同意するスバル。

 実際、それに匹敵する俊敏性を兼ね備えているものの、1発1発の発射される間隔は、余りにも開きがある。

 νガンダムのフィン・ファンネルが、1秒間隔放つ事が出来るとすれば、こちらは3秒ほど時間が掛かっている。

 ただ、その3秒は、スバルとティアナにとってありがたかった。

 何せ、ニュータイプという数秒先の未来を感知や、相手を理解して先回りする事ができる相手では、既に決着は着いているだろう。

 

「彰浩!!」

 

 物陰に隠れさせていた、彰浩の腕を掴むティアナ。無理やり立たせて、そのまま引っ張る。

 

「ディバイィィィィン――」

 

 スバルが、砲撃を放とうとしている。それに合わせる様に、ティアナが再び倉庫から魔力拡散弾・煙幕タイプを取り出して、後方に思いっきり投げる。

 

「――バスタァァァァアアアアッ!!」

 

 と、スバルは、砲撃を地面に向けて放ったのである。巻き起こる爆風と砂埃。ティアナの魔力拡散弾・煙幕タイプの煙の散布。

 少女が顔を覆うのには、十分なほどであった。

 爆風が収まり、煙を浮遊する金属の棒――デバイス、『九尾の尾』の内の1本を右腕と連動させ、煙を薙ぎ払う。

 下を見渡すが、抉れた地面。燃え盛る家々。魔力サーチを掛け様としても、魔力拡散弾の影響で、サーチは不可。デバイスも、自立稼動は可能なのだが、離れすぎると鉄屑化してしまう。

 結果、自分で散策するしかない。が、少女の表情は、悲観的なモノではなく、むしろ喜びの表情であった。

 まるで、遊びを楽しむかの様な。

 

「逃がさないよ――」

 

 そう少女は呟く様に言ったが、最後の部分は、家のガスか何かで引火した爆発音で掻き消されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十一話:枷に変わり無く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は、1時間ほど遡る。

 夕飯を買いに、3人で出掛けた事である。

 行き成り結界が展開され、空から大量の魔力弾が降り注いできたのである。その光景は、まさに中世の戦争で使われた、大量の矢が降り注いでくる様であった。

 慌ててスバルとティアナは、バリアジャケットを纏い、彰浩をかばう様にシールドを展開。

 大分魔力を持っていかれたが、倉庫に仕舞ってあった『マジック・リカバリー』を取り出して飲み、魔力を回復させる。

 ちなみに、『マジック・リカバリー』は、ラギュナスが関わっている会社の製品であるが、それは完全な裏話なので知るよしも無いが。

 なを、『マジック・リカバリー』の登場は、ミッドチルダを震撼させた。

 何せ、魔力は休んで回復する以外、回復方法が存在しなかったのである。にもかかわらず、RPGに出てくる魔力回復のアイテム的存在が現実と化したのである。

 架空の物が現実となる――それは、今までの常識を崩した、第一歩の存在と言える。

 だが、やはり今の常識を崩したくない科学者たちが、因縁を付けて徹底的に調べ上げた。結果、実用性を証明してしまったというオチもある。

 話は戻り、彰浩を守りながら周辺警戒をする2人だったが、堂々と目の前に少女が現れた。

 フード付きのマントを纏っていたが、フードはせずに顔を曝け出していたのである。

 その顔を見て、驚愕する彰浩。何せ、死んだ妹と似ているのだから。

 だが、彰浩はすぐに冷静さを取り戻す。世の中には、同じ顔を持つ人間が、3人いると言われているのを思い出したから。

 そのまま、妹に瓜二つの少女は、スバルとティアナに来いと言わんばかりに、手招き――戦闘開始。

 そして、今に至る。

 

「ったく、あのファンネルもどきは、何なのよ」

 

 そう、デバイスのカードリッジを交換しながら、吐き捨てる様にぼやくティアナ。取り替えたカードリッジは、その辺に捨てる事無く、倉庫に放り込む。

 

「それは同意。激しく同意」

 

 足に装備されているデバイス――マッハキャリバーのステータスを見ながら、ティアナの言葉に同意するスバル。

 ステータス上では、特に不具合は検索されていない。だが、何処と無くマッパキャリバーに、違和感を覚える。

 

「彰浩は――って、その格好は何!?」

「え――ふぇ!?」

 

 ティアナの言葉に、振り向いて驚くスバル。

 目の前には、何故かバリアジャケットを纏い、デバイスと思しき槍に、背中に浮遊する羽根の様な物体。ちなみに、3対3に判れていて、計6本。

 

「……俺も判らないけど、スバルとティアナが戦っている最中に、白い光に包まれて目を瞑ったけど。開けたら、この状態で、槍は目の前に転がってた」

 

 何がなんだか判らない内に、装備されていたらしく、それ以上の説明が出来ないでいる彰浩。

 どこの中二病だと叫びたいティアナだが、少女に見つかるので、ここは抑えておく。関係無いが、ティアナも、この世界のオタクに染まりつつあるのかもしれない。

 不意に、肩を突付かれたティアナは、そちらを向く。すると、スバルが瓦礫に張り付いていて、張り付いている瓦礫の先を指差す。

 ティアナは、少しだけ顔を出して確認すると――少女が、近くの上空を飛んでいたのである。

 魔力拡散弾の影響で、魔力サーチされないのが救いである。だが――少女の横顔、眼を見た瞬間、ティアナの背筋が凍った。

 怒り、悲しみ、憎悪、嫌悪感などという、生温いモノではない。

 狂喜の眼。そして、笑み。

 戦いそのモノを楽しんでいる訳ではない。

 狩りに見立てて楽しんでいる訳ではない。

 強き者に巡り合えた喜びを噛み締めている訳ではない。

 狂った眼と笑み。そう、純粋に狂っている者が作り出せる独特の笑み。だが、その眼と笑みは、人間が作れる様な笑みではなかった。

 人間であって、人間に在らず。すなわち、人であって人でならずの存在。

 では、何と言えばいい――化け物? 妖怪? 魔物? 違う、ただ其処に存在している。

 判らない。それが、ティアナの感想だった。

 不意に、少女は両手を、自分の頭より高く上げる。

 その言葉は――ここ一帯に響き渡った。

 

「震えろぉ世界」

<揺れ動く衝撃>

 

 少女の声に、デバイスが反応する。そのまま、少女は、頭上に上げた両手を、その場で叩く。

 一呼吸後、衝撃波が発生。全てを薙ぎ払うかの様に、辺りに衝撃を撒き散らす。

 3人の意識は、真っ白になりながら、その場に気絶する。

 

「あら、其処にいたんだ」

 

 以外に近くいたのに驚く少女。そして、3人を浮遊する棒1本で、それぞれ掴んで移動する。

 少し開けた場所を見つけると、そこに3人を下ろして、回復魔法を掛けたのである。

 

「……ぅ、あ……」

「……――ぃつぁ」

「……ぅ……こっ、ここは?」

 

 スバル、ティアナ、彰浩の順に意識を取り戻す。意識を取り戻す順の理由は、言わずとも判ると思うが、前衛、後衛、ド素人。

 素人は、素人。

 作者の見解であるが、喧嘩が強く、場を踏んだ程度では、素人の部類に入ると考えられる。素人に毛が生えた程度が、不良や暴走族が当てはまるのだろう。

 そして、プロと呼ばれる存在が、警察官、ヤクザ、ボディーガード、警備会社の社員などに当たる。

 その中で、戦闘――殺しのプロに当たるのが、軍か自衛隊だと考えている。

 自衛隊は、自国を守る組織であり、殺しのプロではないと抗議があると思う。だが、自国に攻めてくる相手を倒すには、武器を向けざるぅ終えない。

 なら、武器とは何か。脅しの為か? 確かに、相手を威嚇する事は出来る。

 だが、それでも相手が攻めてきて、自分たちに被害が出たらどうする――武器を使うだろう。

 そして、それによって人が死ぬ。

 戦争では、戦争だから仕方が無いで済ませられる。

 自衛では、自衛の為だったので仕方が無いと済ませられる。

 人を殺しても、上の2つの文章によって、免罪される。結果、それは人殺しで無いと言い張れる。

 だが、作者から見れば、所詮人殺しは人殺し。人々が罪を許しても、罪という人殺しの事実は、消えない。

 けれども、こんな偉い事を書いて置きながら、もし自分がその立場になれば、この文章を撤回するだろう。

 それが当たり前なのかもしれない。

 人は、自らを守る為に、色々な理屈や理由で心をガードする事がある。そうしなければ、自分自身が壊れてしまうからである。

 こういった定義や論理は、常にどの時代、どの世界、どの時間にも存在するだろう。

 それが、人が人である為であり、傲慢や贖罪などを生む結果でもある。

 まだ書きたい事もあるが、話がずれるので話題及第。

 彰浩たちは、頭を抑えながら、霞んだ意識と視界を戻していく。が、そこに声が掛かった。

 

「久しぶりだね……お兄」

 

 その言葉に、意識と視界が元に戻って硬直した彰浩。嫌な汗が、額から、背中から、流れ出てくる。

 知っている声。懐かしい呼び名。妹と似ている顔――全ての鎖が、1つに繋がった。

 

「鈴々(りんりん)……なのかぁ?」

 

 かつて、死んだ筈の妹の名前を言う、彰浩。

 

「ううん、違うよ。今は――藍(らん)」

 

 彰浩の言葉を、首を横に振りながら、かつての自分の名前を否定し、新たな名前を口にした。

 

「狐之藍(きつねのらん)――それが、今の私の名前」

「狐之……藍」

 

 否定したが、『今』と答え、自分自身の名前に狐が入っていた所で、彰浩は自分の妹だと確信する。

 妹は、狐に対して執念と言うほど愛していた。彰浩が所有している弾幕同人ソフトに、狐の関係が出ると判った瞬間に、興味を持たなかった同人ソフトを強奪するほど。

 その後、交渉によって、新しく買って来る事で返してもらえたが。コピーディスクで済ませ様としたが、プライドが許さないと言う事で、仕方が無く買ってきた。お金は、何とか徴収できたからよかったが、下手すれば丸損になりかけたのは、良い記憶――とは言いがたいが。

 

「そう。ちなみに、藍いいから、ねぇ。お・に・い♪」

 

 彰浩も、藍の顔を見た瞬間、ティアナ同様に背筋を凍らせた。

 

(妹、なのか?)

 

 先ほど繋がったはずの鎖は緩み、核心が揺らいだ。自分が知っている妹は、こんな顔を作る事は出来ない。

 だが、すぐに我に返る。妹と最後に過ごした時間から、数年経っている。だから、その数年に何かあったのだろうと思い立つ。

 

「凛り――」

 

 行き成り、右頬と腹に衝撃が貫く。そのまま吹っ飛ばされて、数メートルほど離れる。

 スバルとティアナは、行き成りの出来事に声を上げようとした。が、上げる前に、スバルは顎からの衝撃で体が浮き、彰浩と同様に腹に衝撃は貫いて吹き飛ぶ。ティアナも同様に、後頭部に衝撃を受けて、その場に倒れる。

 そして、その光景に満足したのか、藍は浮遊する金属の棒――デバイス『九尾の尾(きゅうびのお)』を操って、まず彰浩とスバルに九の柱をそれぞれ飛ばす。

 柱の1本が、クリスタルケージを生成して、彰浩を拘束する。なを、そのまま周りを浮遊し始める。

 成り立てとはいえ、魔導師は魔導師。デバイスを持っている以上、油断は出来ない。例えそれが、扱いきれないモノであっても、何かの拍子で使う事が出来てしまうかもしれないのだから。

 偶然が幾つも重なれば、それは実力と変わらないとも言う。つまり、幸運も実力の内に入ると言っても、過言ではない。

 藍は、足元に転がっている彰浩の槍のデバイスを、蹴り飛ばす。

 デバイスは、地面にスライドする様に滑り、瓦礫にぶつかる。ぶつかった衝撃で瓦礫が崩れ、下敷きに。

 それを確認すると、倒れこんでいたスバルの両手両足に、1本ずつ――計4本が取り付き、宙に上げる。

 上げると言っても、スバルの足から50センチくらいの高さである。

 

「ふふふっ……お兄のお気に入りの女の子……ぺろり」

 

 拘束されたスバルに近づきながら、下を出して口元を撫でる。

 

「どんな声を奏でてくれるのかしら?」

 

 その言葉を放つ瞬間、藍の目が狂喜に染まった。それを見たスバルは、全身に恐怖が走る。

 体を震わせ、逃げたい衝動に駆られる。だが、九尾の尾の柱の陣モードによって、両手両足を拘束させられている。

 さらに、先ほどの攻撃で、マッハキャリバーがエラーを起こしている最中であり、復旧作業中。

 つまり、今、まともに魔法を使えない状態だと言える。

 

「じゃ、やって」

 

 その言葉を言った瞬間――スバルは、全身焼ける様な感覚に襲われる。

 

「――――――――!!?」

 

 行き成りの出来事に頭は混乱し、全身は焼ける様に熱い――いや、熱いと言う表現は生ぬるい。つまり、熱さを通り越して、痛みに変わっているのである。

 声に出来ない叫びを、声が枯れるのではないかという勢いで叫び続ける。

 さらに、電撃も走り、痛みをさらに割り増しにさせる。しかも、魔法での精神攻撃なので、体に傷が残る事は無いし、おまけで強化魔法も掛けている。

 強化魔法によって、精神はより強固なモノとなり、そう簡単に壊れる事を出来なくさせる。さらに、神経の1本1本まで、細かな電流と炎の熱を交互に流して、感覚を麻痺させない様にしている。

 まさに、生き地獄とは、この事なのかもしれない。

 それが、1分か2分くらい経ってから、スバルが許しを請う言葉を放つ。

 

「イヤァァァァアアアアッ!! もう許してぇぇぇぇええええっ!! 助けぇ、助けてティアァァァァアアアアッ!!」

 

 そう言いながら、泣き叫ぶスバル。

 だが、ティアナは、藍の強襲によって気絶し、地面に横たわっていて、彰浩は、体を動かす事すら出来ない。

 唯一出来る事は、何とか動く手で、耳を塞ぐ事だけである。まさに、無力そのもの。

 そして、藍はその叫びに酔い痴れ、体をくねらせる。

 

「だぁ~めぇ♪ もっと、もっと聞かせて貰うわよ。お兄にも、聞いて貰う為に」

 

 右手で人差し指を立て、自分の口元に立てて言う。

 

「ぐぅぎぃぃぃぃいいああああっ!! あがぁぁぁぁああああっ!!」

 

 拘束された手足を外そうと、体を上下左右に動かし、顔も上下左右に振り回す。さらに、口から下を突き出し、涙と一緒に唾液を撒き散らす。さらに、股から液体が漏れる――俗に言う失禁という奴である。

 

「お兄――って、耳を押さえちゃ、聞こえないよ? で・も――」

 

 振り返り、兄の姿を見てガッカリする藍だったが、すぐに顔が笑顔に歪む。

 

「今度は、ティアナちゃんの無残な姿を、ご鑑賞願いましょうか!!」

 

 耳を押さえても、聞こえる様な声で言いながら、残った4本をティアナに飛ばす。

 1本ずつ足に取り付き、両手はバインドで1つに纏めて取り付く。最後の1本は、ティアナの周りを浮遊する。

 そして、ティアナを逆さに吊り上げ、回復魔法を掛けて強制的に意識を起こす。

 

「…………――――!?」

 

 気がついたティアナは、天と地が反転していた事に驚くが、藍の姿を見て気を取り直す。そして、スバルの叫びを聞く。

 

「スバル!?」

 

 だが、顔を向け様にも、後ろで行われて、腕が邪魔をして向く事が出来ない。

 さらに、ティアナの声は、既にスバルには届かなかった。それほど、激痛に全ての意識を持って行かれている証拠でもある。

 

「じゃあ、ティアナちゃん。1つだけで良いから答えてくれる?」

「誰がアンタなんか――」

「処女?」

「はぁ!?」

 

 藍の言葉に、ティアナは拒否するも、問答無用で爆弾発言を投下されて驚きの声を上げる。

 どう考えても、場違いな発言としか言えないのだから。

 

「んなぁ、馬鹿な事聞くか!? 今!? ここで!?」

「うん、聞くよ。だって……処女なら、お兄の前で散らしてあげようかと思って、ねぇ?」

 

 その言葉に、ティアナは硬直し、直感的に悟る。本気だと。

 藍は指を鳴らすと、ティアナの周りを浮遊していた1本が、Vの字に開き、真ん中に砲身が生えてくる。

 本来、それは敵を打ち抜く為に使うべき武装の1つなのが、ティアナの恐怖心を煽る。簡単に言えば、そのまま挿した状態で打ち抜かれる、という恐怖もある。

 スバルの叫びがBGMと成りつつある中、さすがのティアナも戦慄する。この状況で、この様な行いをする人物と対面し、挙句の果てに自分自身が餌食になろうとしているのだから。

 藍は、不意にスバルを見るや否や、口元を隠して笑い出す。

 

「あらあら。余りの勢いに、お漏らしまでしてしまうとは……その刺激が、よほど心地よいと見ました」

「なぁ訳あるか!?」

 

 藍の言葉に、さすがのティアナも突っ込みを入れる。どう考えれば、お漏らしが快楽に繋がるのかが判らないからである。

 

「ああ、ごめんなさい。アナタの時間でしたね」

 

 そう言いながら、ティアナに歩み寄って、バリアジャケットで生成されたパンツを剥ぎ取る。

 

「~~~~~~~~!!?」

 

 顔を真っ赤にして、声にならない声で怒鳴るティアナ。基本的に、行き成りパンツをひん剥かれては、誰だって怒鳴るだろう。

 断言できないのは、色々な人間がいる訳で。

 だが、そんな真っ赤な顔も、九尾の尾の1本を見た途端、顔を青くする。

 その1本が、ゆっくりと股の方に近づいていく。ついでに、股を軸として砲身が角度を変える。

 そして、砲身が真上に来た。

 何もする事が出来ないティアナに、藍は歪な笑顔を向け――ゆっくりと、人差し指で股をなぞる。

 その感覚に変えつつも、体勢が体勢なだけに、上手く力が入らずに時折甘い声を出してしまう。

 それに満足した藍は、問答無用でティアナの股に、砲身を奥まで突き刺した。

 ティアナは、声にならない声を、目を全開にして涙を流しながら上げる。さらに、砲身を上下に動かして、激痛を味合わせる。

 それに合わせる様に、声を上げるティアナ。下を突き出し、唾液と涙を地面に撒き散らす。

 

「あ、これオマケ♪」

 

 突き刺した砲身から、魔力弾が放たれ、下半身を一時的に膨張させる。5~10回に1回、押し込むと同時に魔力弾を叩き込む。

 いくら非殺傷モードでも、それなりの威力が体の中に打ち込まれているので、ケガをしても可笑しくは無い。が、砲身を突き刺す前に、藍がコッソリ強化魔法をティアナに掛けているので、ケガの心配は殆ど無いのである。

 ただ、威力があり過ぎるか、強化魔法の効力が消えれば――想像は、容易い。

 しかし、やられているティアナには、『死』と言う恐怖が付き纏う。言うなれば、生き地獄。快楽に溺れるよりも、心が恐怖に慄く。

 なを、BGM役のスバルは既に気絶し、地面に放置されている。

 

「まだまだ行くよぉ~!!」

 

 どこぞぉのエロゲの歌手の一部を言いながら、この惨状を高らかに楽しむ藍。

 その光景を止める事が出来ず、ただ耳を塞いでいる事しか出来ない彰浩は、己の無力さを呪った。

 覚醒して魔力を手に入れ、デバイスも手に入ったのに、満足に扱う事無く終わった自分自身に。

 絶望は続く、ティアナの悲鳴と言う名のBGMを流しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 変わって、ノーヴェとウェンディ側。

 こちらもまた、彰浩たちと変わらず、敵の襲撃を受けていた。

 

「ブラッディ・エア・マイン&レイン」

 

 男――襲撃者は、左手を空に掲げ、トリガーである魔法名を口にする。その左手に、赤く血の様な球体が1つだけ出現する。

 しかし、その球体の直径は、5メートルはあるのではないかと言わんばかりの大きさを生成する。

 

「どこが雨なのか、問い質したいのだが?」

「それは、コレを喰らってからにしてもらおうか」

<ロックオン――アクション>

 

 デバイスの音声と同時に、攻撃魔法が放たれる。

 5メートル在ろう球体は、襲撃者の手から放たれ――ノーヴェとウェンディとの距離が半分辺りになった瞬間に、辺りに弾ける様に球体が吹き飛ぶ。

 

『!?』

 

 その光景に、ノーヴェとウェンディは、防御体勢に移り――周辺の空間を把握する。

 目には見えないものの、無色透明の宙を漂う50センチほどの球体が、無数に散らばっていた。

 

「ゲェ」

「うぇ~」

 

 と言いながら、ノーヴェは少し引き、ウェンディはウンザリした顔をする。

 何せ、2人とも空を飛ぶと事は出来ない――ウェンディのライディングボードは除く――が、全方位に広がっているのが問題なのである。

 一応、球体同士がぶつかり合わない様に間隔を保っているが、魔法名から爆弾だと判明しているので厄介である。

 さらに、1つ爆発すれば誘爆が起こる可能性が高いので、下手に壊す事も出来ない。

 ただ、地面に何も仕掛けられていない事が唯一の救いである。

 

「どうするッスか?」

「どうするもこうするも……こいつは、なぁ……」

 

 ウェンディの問いに、ノーヴェは感覚を研ぎ澄ませ、周囲の空間を再度把握し直してから答える。

 確かに、球体同士が一定の間隔を開けている事は判るが、人が抜けられる隙間が存在しない。

 唯一空きがあるのは、上空のみ。言わずとも、誘っているのが丸判りの如く、隙間が開きまくり。それでも、誘爆できるように配置されているのは、敵ながら見事であると敬意を表すノーヴェ。

 ウェンディも、ライディングボードで上空に上がるべきか、否かを考えている。

 

「考えるのは良いが……時間は無いぞ?」

 

 と、2人に声を掛ける襲撃者。

 確かに、正論である。何せ――勇斗が、木に背を預けたまま俯いている。ただ、腕には金属の輪をはめていた。

 

「まぁ、魔力が目覚めてなければ、助かったのかもしれないが――後の祭りって奴だな、コレが」

 

 勇斗は、8日ほど前に、魔導師としてのリンカーコアが覚醒したのである。そして、この日戦闘の末、襲撃者の所有していた薬品――コア・イーターを飲まされたのである。

 そして、何故この様な状況になったのか。それを説明するには、1時間ほど前に戻る必要がある。

 

 

 

 

 

 家には、勇斗、ノーヴェ、ウェンディしかいなかった。他の人達は、用事があるとの事で、全員で掛けている。恭也のみ、例外であるが。

 で、留守を預かる事になった3人は、各自で分担して家事を終わらせ、庭で簡単な訓練をしていた。

 まぁ、家事を始めてやったノーヴェとウェンディは――色々やってくれた。

 まず、ベタと言えばベタだが、洗濯機に入れる洗剤の量を間違える。言わずとも、結果は思い浮かぶと思うので省略。

 次に、料理は……美由紀よりマシだが、ギリギリ食えるか食えないかのレベル。一週間ほど、桃子率いる料理が出来る人間からの指導により、平均レベルに達する。コレにより、美由紀は料理の才能の無さに、さらに絶望する事になったのは、言うまでも無い。

 で、完全にやる事がなくなったので、昼になる前に訓練をする事になり、庭に出た時に結界が展開。襲撃者の奇襲から、戦闘が始まったのである。

 

「せいやぁぁぁぁああああっ!!」

 

 ノーヴェが、気合の声を上げながら、襲撃者に右の跳び回し蹴りを放つ。

 

「リング・リン――って、長い! リング3!!」

<はぁ……イエス・マスター>

 

 デバイス名が長かったのか、略名でデバイスを起動させる襲撃者。どうやら、インテリジェントデバイスらしく、デバイスからもため息が出るほど飽きられている様子。

 だが、誰もその言葉に突っ込んでいる余裕など無く――ノーヴェの攻撃が炸裂。

 しかし、渋い金色の輪が出現し、輪という特性、物理法則、遠心力の法則などの法則を利用し、攻撃を受け流す。

 ノーヴェは、流された右足をそのまま地面に付け、左の回し蹴りを放つ。殆ど距離が無いので、当たる部分は脹脛(ふくらはぎ)辺りになる。

 さすがの襲撃者も、フラフープ並に大きさの輪型のデバイスでは、受け流す事は出来ない。かぁと思いきや、本当にフラフープの様に、自分の体を輪の中に入れる。

 攻撃は、またも襲撃者に当たる事無く、輪に当たるも、そのまま吹き飛ぶ襲撃者。地面に激突すると踏んだノーヴェだったが、襲撃者はそれすら防いだのである。

 何せ、縦に吹き飛んだ体を、輪ごと横にして手の平を広げて、輪を支える。そして、多少押さえきれない部分があったものの、タイヤの様に転がってダメージをほぼゼロにしたのである。

 

「なぁ!?」

 

 さすがのノーヴェも、この回避行動に驚く。ラギュナスでも、襲撃者と似た様な形のデバイスを使っている相手と模擬戦はある。だが今、襲撃者がやった様な回避行動は、見た事が無かったのである。

 その硬直を、隙だと判断した襲撃者。持っていた輪を、ノーヴェの上に向かって投げる。その投げた輪は、ノーヴェが輪の中に納まる様に真っ直ぐ落ちる。

 

「ノーヴェ!!」

「!?」

 

 ライディングボードに乗ったウェンディが、真っ直ぐ落ちてきた輪にボードで体当たりして弾き飛ばす。

 それを合図に、ノーヴェは襲撃者と輪から距離を取る。けん制で、襲撃者にガンナックルを向けて、エネルギー弾を放つ。

 だが、あくまでけん制かつ、乱雑に放った攻撃は、襲撃者に当たる事は無かった。が、その場から動かなくする事は出来た。そして、意表を突く事も出来た。

 行き成り、襲撃者から見て左に勇斗が現れ、それに驚いて顔を向ける。その顔を、勇斗から見て、左から持っていた棒を横から振り抜く。

 それをまともに喰らうと思いきや――

 

<プロテクション>

 

――防御魔法によって、防がれてしまう。

 

「くっ!!」

 

 勇斗は、そう吐き捨てて、地面に足を付いた瞬間、棒による突きを放った。

 

「っぅ」

 

 無駄だと変わらないのかと言わんばかりに舌打ちし、プロテクションを張りっぱなしのまま対応する。が、棒の先がプレテクションに突き刺さった瞬間、襲撃者の顔を吹き飛び、体を後方によろめかせる。

 

「――がっはぁ!?」

<貫通攻撃!? 魔力――いや、物理によるモノ!?>

 

 魔力も持たない人の攻撃に、頭の中が真っ白になる襲撃者と、初めての部類の攻撃に戸惑うデバイス。

 襲撃者は、リンディや桃子みたいに若作りされて、18歳に見えるのだが、実は50年以上生きている。よって、少なからず似た様な攻撃を受けていても可笑しくは無かった。

 だが、その襲撃者の全ての経験が、少なからず魔力を持った人――魔導師か、魔導剣士だけである。人間でなければ、似たような攻撃は存在した。存在したのだが、よもや人が使ってくるとは思いも寄らなかったと言える。

 伊達に50年生きていたのだが、やはり柔軟な思考は、老人の様に固まった思考になっていたのである。即ち、今までの経験が勝手に作ってしまった、無意識の先入観と価値観。

 精神は、肉体に惹かれると言われるものの、歳を重ねた結果がコレ――魔力も持たない人の攻撃を、防御魔法越しから貰う。

 襲撃者は、考えるよりも先に空へ上がった。ノーヴェとウェンディはともかく、魔力も持たない人――勇斗からは、逃れる事は出来る。

 

「逃がすか!!」

 

 案の定、その隙を逃がさないとばかりに、ウイングロードを展開して走って来るノーヴェ。

 

「援護射撃ぃッスよ!!」

 

 そう言いながら、ライディングボードを腕に装備し、砲身からエネルギー弾を放つ。

 

「ちぃ!!」

 

 この不利な状況に対して、吐き捨てる様に言う襲撃者。ウェンディのエネルギー弾を避け、弾き、ノーヴェの足技を受け流す。さらに、下から小石が飛んで来るので、プロテクションで防御。

 襲撃者は、ノーヴェをウェンディの射線軸の方に吹き飛ばしてから、下を見る。そこには、勇斗が持っていた棒をバット代わりに、小石を放っている姿があった。

 小ざかしい真似ではあるが、相手の注意を拡散させるには有効な手でもある。

 

<マスター、ウザイから先に潰しましょう。いや、潰せ>

「デバイスが、マスターに命令するな」

 

 デバイスのトンでも発言に突っ込みを入れつつも、同意する様に勇斗に襲い掛かる。

 勇斗は、歯を食いしばり、足を地にめり込ませる勢いで踏ん張りを効かせる。そして、棒に、体の中にあるエネルギーを流し込むイメージをする。

 

「一刀両断!!」

<ヒートリング・ハンドタイプ>

 

 襲撃者が持つ輪が淡く光りだし、一気に間合いを詰めて手前で一回転して、打ち放つ。それを勇斗は、棒を平行に持つも、左を少しだけ下げる。

 衝撃――と、思いきや、受けた瞬間に一気に左を下げ、受け流す形を取ったのである。その際、掴んでいた左手を開いて、支える様にする。火花を上げながら、リングは棒から地面に落ちていく。襲撃者も、やばいと思いつつも、勢いを上げたのが仇となった。

 襲撃者の持つリングは、地面に突き刺さった瞬間、地面を焼く。だが、勇斗にはそれを確認する余裕など無い。今が絶好のチャンスなのだから。

 流した体勢で、さらに体を左に回して1回転し、襲撃者の後頭部に棒を振り落とす。その際、左手は右手の近くまで持っていった。

 

<――プロテクション>

 

 が、案の定、デバイスの的確な判断によって、後頭部への打撃は弾かれる。その弾かれた反動を利用して体勢を立て直し、襲撃者の横顔に棒による突きを放つ。

 

「くっ、プロテクション!」

 

 棒の突きが来る所に、防御魔法を張るも――再び顔面が吹き飛ばされる。

 

「貰うスゥよ!!」

「でぃりゃあぁ!!」

 

 その追い討ちと言わんばかりに、ノーヴェとウェンディが突撃する。

 

「――ぁ」

 

 体を無理やり引き、体勢を整えて右手でリングを持ち、体を左に捻る襲撃者。

 

「けんなぁぁぁぁああああああああああああああああっ!!」

 

 その叫びと同時に、リングを右に振り払う。すると、手に持つリングと、地面に吹き飛ばされたリングを含めて、12の輪が出現する。

 勇斗は、襲撃者の反応に、ヤバイと感じ取ってバックステップを行う。しかし、襲撃者は、一気に間合いを詰めて、手に持っているリングは振付ける。

 

「ぐぅ!?」

 

 重い一撃。その証拠に、魔力で強化した棒が、少しだけ掛けたのである。マズイという嫌な予感は、これによって一層高まる。だが、襲撃者が行う攻撃に、逃げる隙すら無い。頼みの綱とも言える2人は、遠隔操作で動くのか、11個のリングの攻撃を防ぐのに精一杯の状況。

 放たれる攻撃に、受け、流し、防ぐ事で、次第に棒が傷だらけになる。

 そんな傷だらけ棒で、何とか攻撃を受け流しながら、不意に思い出したのである。ノーヴェとウェンディから、魔力の事を聞いた事を思い出す。

 

 

 

「リンカーコア?」

 

 2人の説明を聞いている最中に出た、聞きなれない単語を尋ね返す。確かに、魔力や魔法に関しては、ゲームや漫画、アニメによって何と無く判る。だが、魔力の塊であり、元となる核――リンカーコアと現す事は、初めてである。

 

「個人の魔力の核、リンカーコア。これには、個人特有の波長や色、魔力の元をひっくるめて現す言葉ぁッス」

「今じゃ、魔力の残留しによって、個人を特定する事も出来るようになっている。場所は、胸辺りに存在する」

「ふぅ~ん」

 

 と、2人の言葉に返事を返しつつ、自分の胸辺りを見る。

 

「もし、使える事を前提として聞くけど、使う場合は如何すれば良い訳?」

「基本的には、この――」

 

 ウェンディが、横に長けかけていたライディングボードを、ペシペシと叩く。

 

「――デバイスという道具が、必要となるぅッス」

「ちなみに、アタシのは、この――」

 

 右足を上げて、ごついローラーブレードを指で指す。

 

「ジェットエッジだ。大雑把見言えばデバイスだが、厳密に言うと少し違うけど」

 

 そう、ノーヴェとウェンディ――戦闘機人が使う武装は、あくまで個々の戦闘機人の能力を最大限に生かす為の、いわば剣や銃と同じ武器である。

 魔法を補助する機能があれば、ストレージデバイスの部類に入る。なのに何故、2人がデバイスといったのか。それは、ラギュナス技術によって、魔力圧縮による待機モードを取り入れたからである。

 それによって、ラギュナスは武器の部類である、『デバイス』の中に捻じ込んだのである。

 

「まぁ、デバイス無しでも使えるけど……発動するものによって、時間が倍以上掛かるぅッス」

 

 と、そのままウェンディが、補足を付け加える。

 

「あとは、基本的に魔力を使うイメージをする事、だな。慣れれば少し意識するだけで使える様になる」

「イメージ、か」

 

 ノーヴェの言葉に、勇斗は魔力をイメージした。

 それにより、少なからず魔力を扱う事が出来るようになった。が、魔法を使うほどの量が無いので、精々自分自身と持ち物の強化くらいである。

 ちなみに、持ち物が自分自身の手から離れた瞬間、効力は消えるが。

 

 

 

 そして、時間は戻り――襲撃者による一方的な攻撃に戻る。

 場違いな思い出しだったが、まだやられる訳には行かないと、心を強くする。

 だが、襲撃者の攻撃を捌く動作に、隙を見つけることは出来なかった。出来なかったのだが、ついに勇斗の限界が来てしまった。

 

「――っう!?」

 

 我慢できなくなった体の痛みに、右足を滑らせて、膝を付いてしまう。

 恭也と美由紀が使う流派――御神流の技である『神速』と改造版の『貫・改』を使ったのである。

『神速』とは、御神流奥義の歩法で、『貫』を極めた先にある奥義であるが、勇斗はそれを飛ばして偶然覚えてしまった奥義である。

『貫・改』とは、『貫』を勇斗による独自の技。『貫』は、相手の防御を見切る技であるが、『貫・改』は、内部破壊技である。

 さらに、覚醒しつつある魔力の使用による疲労。日頃から、戦闘訓練をしていればまだ持ったかもしれな。だが、所詮運動の延長戦くらいでしかやっていない、かつ碌な戦闘経験も無い。

 

「貰った!!」

 

 リングが、勇斗から見て左から迫る。しかし、痛みに耐え切れず、ついに左も膝を付いて倒れこんでしまう。

 それが運良く回避する行動となり、襲撃者のリングは、頭上を過ぎるだけとなった。

 

<運の良い奴>

 

 この光景に、悪態をつく襲撃者のデバイス。

 

「これでトドメ――と、思ったが、良い事を思いついた」

 

 トドメを刺す為に、リングを頭上に掲げるも、思い付きによりリングを下げる襲撃者。

 デバイスも、遠隔操作を行いながら、行き成りの出来事に困惑するデバイスだったが、懐から取り出したモノを見て理解する。

 襲撃者は、蹲る勇斗の髪を掴んで顔を無理やり上げて、取り出したモノを飲ませ、近くの木に寄り掛からせる。

 時折呻き声を上げる勇斗だったが、徐々に声を出さなくなり、規則正しい呼吸しかしなくなる。

 

「おい! お2人さんや!!」

 

 その言葉に合わせる様に、2人に襲い掛かっていたリングが離れ、一定の距離を開けて2人を中心にして回り始める。

 そして、襲撃者の声を聞いて、顔を向けた2人の先に、木に横たわる勇斗の姿。

 

「どこを見ている!!」

 

 その言葉に、今度は上を見る2人。

 そして、今に至る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彰浩は、ティアナの叫びと言う名のBGMを聞きながら。

 勇斗は、薄れ逝く意識の中で。

 絶望を噛み締める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かに出逢う者たちの物語・外伝

第二部

魔法少女リリカルなのはTIWB

~二つの意志と狂いきった世界~

 

 

第十一話

枷に変わり無く

 

END

 

 

 

次回予告

 

無残な姿を晒す、スバルとティアナ。

恩師を救う為に奮闘する、ノーヴェとウェンディ。

その戦いの中、彰浩は藍の、妹の過去の話を聞く。

勇斗は、薄れ逝く意識の中で、自分の過去を思い出す。

 

 

 

次回、何かに出逢う者たちの物語・外伝

魔法少女リリカルなのはTIWB

~二つの意志と狂いきった世界~

 

 

第十二話:力こそ全て

 

 

 

無力を呪い、強くなる事を決意する。それが、どんな結果になろうとも。




あとがき
 これ以上表現すると、18禁になるので自重。ってか、もうアウト?(汗
 2分割にすれば良かったと後悔するも、割り増しで凌ぐ事にしました。(号汗
 これでも、18禁ゲームや小説を持っているので、もう少し細かい描写ができましたが、さすがに一文目になるのでやめました。
 あとは……予告内容失敗。でも、手に入れた力を使いこなすのは、中二病扱いなんだよねぇ~。
 言われたくないから、ものすごっく端折った様な感じで、力を手に入れた事にしました。いや、こっちの方が中二病か?
 でも、使う暇ななくぶちのめされて、絶望タイムへ――でOK?(汗
 最後に、小文字いらないんじゃない部分がありますが、ワードだと赤字線を貰い、自分で発音すると必要だと判ったからです。
 なので、読み難い部分もあるかもしれませんが、基本的に自分の書く小説は、このスタンスを貫き通す予定でいます。

 P.S.オリキャラの襲撃者のデバイス名、愛名が『リング3』……やべぇ、リアルにある映画のタイトルだったよ。(汗
 と、製作途中で気がついた。(号汗
 でも、このまま。(爆





≪オリジナル魔法&技≫
・揺れ動く衝撃
 魔法と言うより、術の方が強い。
 あと、文字通り、辺り一帯に衝撃波を作り出す技。だが、あくまで空気を振動させるだけなので、周りの建物の被害は少ない。
 スタングレネードの音だけ強化バージョンだと、考えれば早い。


・ブラッディ・エア・マイン&レイン
 名前通り、風を爆弾にした魔法。雨は、強大な球体が分離して降り注がれる所からの由来。


・貫・改
 物語の中で、簡単に説明が出た通りの技。
 御神流の独自の改良技で、相手の防御を見切れないのならば、実際に貫通させれば良いと言う考えの下に編み出された技。
 この技の開発には、恭也も携わっているので、使用可能。ただし、美由紀は使用不可。ってか、この技の存在すら知らない。
 言わずとも、負担はデカイ。


・ヒートリング・ハンドタイプ
 襲撃者が使う、専用魔法と言っても過言ではない。
 輪の1つを熱して使う。使用する際、手には魔力コーティングして掴まなければ成らない。






制作開始:2008/12/26~2009/1/27

打ち込み日:2009/1/27
公開日:2009/1/27
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