何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅰ   作:ダークバスター

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銀の髪と赤き瞳。
身に纏うは、看護士の服。
目指すは、管理局医療区画・特別医療区。
そこに眠る王を、起こしに歩く。
そして、使えるものは何でも使う。
私は……アナタの傍にいます。


第二話:銀髪の女性

 

 

 時空管理局・医療区画、犯罪者など危険人物を治療する区画。

 そこへ向かう2人の女性。

 片方は、時覇を担当する女性看護士。

 もう片方は――腰の部分まで伸びている、長い髪。

 色は美しく、光を反射させる銀。

 瞳は真紅のように赤い。

 透き通るような、白い肌。

 すれ違うたびに、男女関係無くその場で立ち止まり、振り向いていく。

 けしてなびく事も無く、淡々と先輩についていく新人看護士。

 

「――と、まぁ~、こんな所です」

 

 と、先輩看護士が言う。

 ただし、先輩といっても看護士になって半年しか経っていない。

 確かに時空管理局に入ってから5年になるが、武装局員だった頃、ある任務で大怪我をしてしまう。

 その時、医者から武装局員として、今後の活動は危険と通告を受ける。

 だが、管理局を辞める気も無いが、デスクワークは向いていないことは百も承知。

 唯一、何をどう間違えたのか、看護士の資格を取っていた事を思い出し、転属する。

 管理局に入りたての頃、先輩たちが話しているのを、聞き耳を立てて聞いていたのだが、それが拙かった。

 その先輩方も、局員の制服を着ていた――これは当たり前である。

 が、その先輩たちは、武装局員と看護士という、別々の部署で活動している友人同士だった。

 よって、話の内容が武装局員と看護士を混合させたモノになっていた。

 先輩たちは相当乗っていたのか、会話で悪乗りをしていたらしい。

 だが、彼女は真に受けてしまった。

 それから、武装局員の任務とこなしつつ、看護士の一級資格を取ろうと奮闘。

 局に入ってから2年目に取得。

 期間は、僅か3ヵ月。

 しかも、2級と3級は未修得で1級を一発合格。

 もの凄い快挙を成しえた彼女であったが、上司のその事を話したが――思いっきり笑われた。かつ、自分の勘違いだと知り、1ヵ月ほど部屋に引き篭もった経歴を持つ。異色の看護士でもあった。

 まぁ、魔導師ランクAA保有者でもあり、それなりに重宝されていただけに、色々あったらしい。

 武装局員でやっていくのは危険ではあったが、あくまで武装局員での話。

 この看護士では、それほど危険も無く局員を続けても問題はないとされているので、この道を選んだ。

 ただ、こんな事で埃まみれになった資格が役に立つとは、思っても見なかったりする。

 人生とは、本当に判らないものである。

 話題休題。

 

「判りました、アリークシェアさん」

 

 新人が微笑みながら、礼を述べる。

 その微笑に、先輩看護士――アリークシェアが、頬を赤らめる。

 美しい。

 率直な感想で、その場に止まって見とれてしまう。

 

「あ、あの、私……何かしましたか?」

 

 その言葉に、アリークシェアが我に帰る。

 

「え――ええ、平気、平気!」

 

 慌てて返事をするが、新人看護士は首を傾げるのであった。

 どうやら本人は、人が見とれるほど美しいことに、まったく自覚が無かったようである。

 たとえ自覚していても、鼻にかけることは無い。

 最後に関係無いが、新人看護士は化粧をしてはいない。

 

 

 

 

 

 こちらは一般区画。

 相変わらず、扉の前と左右に計3人の武装局員が待機している。

 その部屋に、特級犯罪組織の人間が、ベッドの上にいる。

 名を、ゴスペル・エンペラー。

 銃器型のデバイスを扱う、中距離型の人間。

 ポジションと型が当てはまる、理想型でもある。

 そんな男は――カリカリと、ベッドの横に置かれている棚の染みを掻いていた。

 雑誌を19回も読み返し、飽きてやることが再び無くなってしまった為、何と無くやり始める。

 バレたら、また怒られるのは必然だと思う。

 ってか、その前に壁でやっていたが、運悪く通信回線が開かれた時に見つかった。

 例の如く怒られる――ついでに、自分で直せと言われて、道具を押し付けられる。

 仕方なく修繕。

 で、新たに染みを発見し、懲りずにやっている訳である。

 こちらも、バレたらバレたである。

 だが、今日の夕方辺りに、本局から別次元の刑務所に搬送される予定なので、前みたいに修繕する暇など無い。

 完全に計画的なやり逃げである。

 だが、今の女性監視係の性格から、直すまで搬送は禁止と通達が来そうである。

 飯は三食。

 風呂は2日に1回。

 悪くない入院生活であった。

 そろそろ行動を移す時間になる。

 2日前の最初で最後の通信となったデバイスの頼みを、実行に移す為に。

 昨日の昼間に通信で、今日の今の時間に脱走を行うので、準備しろと言われたからである。

 デバイスも、何時でも起動可能。

 通路のほうが騒がしくなる――そろそろ時間らしい。

 ベッドから、体を起こす。

 それからデバイスを展開し、バリアジャケットを身に纏いつつ、ドアにデバイスを向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二話:銀髪の女性

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 薄暗い通路。

 昼間にも関わらず、夜の病院のように静けさを保つ空間。

 そして、誰もすれ違うことは無い。

 会っても、本当に時々か偶然である。

 ともかく、2人の女性は進む。

 その足音は、通路全体に響き渡り――ある1枚の扉の前に立ち止まる。

 機械的な扉の横の壁に、ミッドチルダ語で『BQ-001』と書かれたプレートが張られていた。

 BQは『best quality』、特級の略である。

 

「ここが……私とアナタが担当する患者よ」

 

 そう言いながら、アリークシェアは胸ポケットからカードキーを取り出して、リーダーに挿し通す。

 すると、リーダーの横からキーパネルが浮かび上がる。

 暗証番号を打ち込み、もう一度カードキーを通す。

 そこで、厳重な扉が重々しく開かれていく。

 安全のためだろうか、完全に開ききるまで入り口付近には魔力の檻が下ろされている。

 早く開けば、完治して動けるようになった犯人から不意打ちを。

 遅ければ、待ち伏せを。

 その対象法の1つとして、この魔力の檻がそうである。

 他にもいくつかあるが、普段はこの檻が使われている。

 

「結構、厳重なのですね」

「ええ。ここは、仮にも特級又は第一級クラスの犯罪者が、人権で治療を受ける場所だからね。治療中に逃げられましたじゃ、それはそれで問題になるから」

 

 胸ポケットに、カードキーを仕舞いながら、部屋に入るアリークシェアだったが――頭に衝撃が駆け抜ける。

 

( !? )

 

 そう思いながら、地面に倒れる間際に、気を失った。

 

 

 

 

 

「では、やってくれ」

 

 首元に輝く階級のプレートは――提督にして、円卓の守護者の証が刻まれていた。

 円卓の守護者が1人、焔緑の理(えんりょくのことわり)。

 25歳という若さでありながら、管理局内の発言力は、他の提督よりも群を抜いている。

 しかし、年配やら長年いる提督たちには目障りな存在で話あるが、円卓の守護者に選ばれている以上、口出しはできない。

 下手に指摘すれば、降格か除隊される可能性があり、最悪消される可能性もある。

 現に、他の円卓の守護者が、気に食わない提督を極秘裏に抹殺したことがある。

 しかも、噂も立つが、10日ほどで消えてしまう。

 円卓の守護者の存在を知る者ほど、そういった話題に触れたくないからである。

 

「了解――デバイス・XGの人格プログラム、及び各機能の停止を行います」

 

 と、開発者Aが宣言した後、手をキーパネルの上に置いて走らせる。

 

「各機能、接続――接続完了。バイパスを表示します」

 

 開発者Bは、焔緑の理にも判るように、モニターを展開する。

 モニターには、開発者しか判らない数値は排除され、デバイスの事をある程度理解していれば判るように単略化されている。

 

(初期化させるのか……となると、ここまでか)

 

 悟る様に思うクロガネ。

 覚悟していたとはいえ、いざ直面すると、意志が揺らぐのが分かる。

 命乞いする人間の、命に対する執着が僅かだが理解できた。

 執着とは、こういう事なのか。

 

(やっと、使い手に出会えたのに……数日後でデリート。セミの様な人生だったな)

 

 各機能の低下を感じ取っていく。

 おかげで、色々な機能が作動しなくなっていく。

 プロテクトも看破され、時間稼ぎもできない。

 できたとしても、他の機能に侵食を回す程度しか手は無い。

 

「状況は?」

 

 モニターで見ても判るにも関わらず、開発者に声を掛ける。

 僅かに作業の進行の低下が、気に食わないらしい。

 

「もうすぐで、50パーセントに達します」

 

 開発者Aが答える。

 

「もう少し早くできんのか?」

 

 納得いかないのは判っているが、信頼できる2人にやらせているため、余り強く言えなかった。

 他の開発者ならば、すでに怒鳴り声1つ上がっている。

 

「やってみます――畳み掛けるぞ」

 

 相棒に、声を掛ける。

 胡散臭い部分もあるが、信用されているのならば、全力で答えるのみ。

 

「ああ、やってやるぜ」

 

 相棒が信用しているのならば、全力で答えればいい。

 互いの手のダンスは、更なる加速を生み出していく。

 そのキーパネルの音は、部屋に鳴り響くも、それは――1種の音楽でもあった。

 軽やかに舞う指。

 歯切れ良く奏でるキーパネルの音。

 デバイスの電子が輝き、回線がかき回される。

 デバイスに苦痛は無い。

 だが、この消えていく感覚に何かを感じる。

 多分――これが『恐怖』。

 

(恐怖か……デバイスの身でありながら、恐怖を感じ取れるとは、な。存在する事が、だれだけ大変なのか、垣間見られたかもしれないが……消える私には、無意味な結論だな)

 

 悟りを見出したデバイス。

 ある意味凄いデバイスではあるが、誰にも気づかれずに、この世から消える。

 そして――完全消去まで、あと30秒。

 

(銃王よ……主を頼む。礼の品は渡せなくなったが、最後まで力になってやってくれ)

 

 徐々に思考が低下していく。

 侵食率が早くなる。

 あと15秒。

 

(創造主よ……手はず通り)

 

 あと11秒。

 

(全て済ませた)

 

 あと8秒。

 

(使命も果たした)

 

 あと5秒。

 開発者がエンターキーを押す。

 そして、2人とも手が止まる。

 

(最後に時覇)

 

 あと3秒。

 創造主の意思、笑顔、仲間、時覇――これが、走馬灯と言うものか。

 

(創造主を)

 

 あと1秒。

 もう、これ以上苦しまないで欲しい。

 

(止めてく――)

 

 この世から、クロガネという人格は……跡形も無く、消えた。

 最初で最後の主である桐嶋時覇に。

 想いを、意思を、願いを託して。

 そんな事はつゆ知らず、モニターに完全に消去したという結果が映し出され、焔緑の理も満足に肯く。

 2人の開発者は、そのまま次の作業に入る。

 そこで警報が鳴り出す。

 

≪特級犯罪者である、桐嶋時覇が脱走! 動ける局員は直ちに探索を開始せよ! 繰り返す――≫

 

 

 

 

 

 時空管理局・総合管制室。

 各艦の定期報告通信や緊急要請、その他の通信や管制を管理している。

 普段から忙しい場所でもあるが、さらに忙しくなっている。

 特級犯罪者、桐嶋時覇の脱走により。

 書類は散乱し、オペレーターたちが右へ左へと走り回る。

 

「非武装局員は、大至急非難せよ! 上からの指示は!?」

 

 万年中間管理職の提督が指示を飛ばす。

 少し髪の毛が薄くなってきたが、元気の良さは現役の武装局員以上である。

 

「とにかく、桐嶋時覇を確保せよとの事です!」

 

 女性オペレーターが、上層部の意向を報告する。

 さらに他方も同じ報告がなされたのか、さらに慌しくなる。

 中には、大声や紙を見せ合って情報交換を行っている局員もいる。

 

「大変です! 特級犯罪者のゴスペル・エンペラーが脱走しました! 現在、近くを移動していた武装局員たちと交戦中との事!」

「何だと!?」

 

 この糞忙しい時に、さらに同級の犯罪者の脱走。

 胃の辺りを何気に押さえるが、今は気にしている場合ではない。

 

「モニターに出ます!」

 

 その言葉に数秒遅れて、前方の巨大なモニターに映し出される。

 そこには、見たことも無いハンドガン型のデバイスを持った、ゴスペルの姿があった。

 次々と一撃で打ち貫いていくゴスペルの姿は、一種の美学をかもし出されていた。

 撃てば、魔力弾を打ち落とす。

 撃てば、防壁を貫く。

 撃てば、一撃で沈黙させられる。

 まさに、針を通した様な作業である。

 

≪こちら、第78分隊! 至急増援を要請! このままでは押し切られる! 繰り返す! 至急ぞぅ――ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ……≫

 

 要請している最中に魔力弾を貰い、吹き飛ぶ男。

 それと同時に、モニターが砂嵐状態になる。

 

「こちら、総合管制室! 第78分隊、応答せよ! 繰り返す! 誰でもいい、応答せよ!」

 

 必死の呼びかけも虚しく、通信機からも砂嵐の音しか流れてこない。

 他のブロックも大騒ぎとなり、誤情報も飛び交い始める。

 ともかく、他のブロックとの情報交換は一時中止となっていく。

 そして、同室の3番ブロックも誤情報が飛び交っているが、レティが担当なので迅速に解決した。

 だが、次から次へと問題が発生してくるので、キリが無い。

 

「――くっ……レティ提督!」

 

 新たに問題が発生し、報告する男性オペレーター。

 

「今度は何!?」

 

 忙しさの余り、怒鳴り声で答えてしまう。

 

「クラッキングです! 外部と内部、同時に攻撃を受けています!」

「急いで対し――いえ、大至急チームを組んでから一掃しなさい! ただし、自分を含めた5人でお願い! 後からの増員は期待しないで!」

「了解! ――アリガ! クラッラ! 大至急人材のかき集め! レティ提督のお墨付きだ!」

 

 左右にいた友人に声を掛ける。

 が、返事が帰る前に体を動かす2人――アリガとクラッラ。

 2人は彼の幼馴染であり、姉妹でもある。

 ちなみに双子であり同時出産だったので、どちらが姉で、どちらが妹だと聞くと混乱してしまう。

 2人の親に聞いても、首を傾げられる始末。

 よって、姉妹でもとくに気にしてはいない。

 

「判った! 俺は左から回るから、アリガは右を!」

 

 それだけ言って、優秀な野郎の所へ行くクラッラ。

 髪はロングで、色は青。

 性格は強気と、可憐そうに見える姿とは真逆であるが、そこでいいと評判を得ている。

 能力は一流だが、性格に難点があるので余り関り無いのが、クラッラの意見である。

 

「うん! シュウヤは――」

「抑えられるが、数分しか持たんからな!」

 

 キーパネルに置かれている手は、すでにダンスを繰り広げている。

 外と内からの同時攻撃を、押され気味でありつつも抑えるショウヤ。

 元ハッカー上がりとは言え、能力は未だに衰えない。

 理由は、未だ遊び半分で本局のメインサーバーをクラッキングしているからである。

 

「ええ!」

 

 不安を吹き飛ばすほどの笑顔を見せて、先輩の下へ向かったアリガ。

 髪は三つ網で、色は銀髪と珍しいと思う組み合わせ。

 勝気そうに見えるが、意外にも柔らかい性格なので、男女問わず人気がある。

 最近は、先輩とアリガが付き合っていると聞いた事があるが、シュウヤには関係無い話である。

 が、実は先輩が一役買って出た嘘の噂であり、アリガがシュウヤの気を向けさせたかった為に流したものである。

 結果は――未だに関係無いという考えである。

 さすがのクラッラも涙したらしいが、これは別の話である。

 

「期待しているぞ!」

 

 モニターを見ながら、ニヤリと笑うシュウヤ。

 額には汗が流れるが、拭いている暇は無い。

 そんな暇はあるなら、1秒でも多く耐えるのが優先である。

 拭くならば、せめて増援組が来てからである。

 

 

 

 

 

 キーパネルが鳴り響く、部屋の中。

 モニターの前に、少女が座っている。

 

「コレでOK、っと」

 

 そこで、キーパネルの音が収まる。

 薄暗い部屋の中、明かりはモニターのみという、目に悪い環境。

 さらに、彼女の後ろは物が散乱し、ゴミもちらほら落ちている。

 黒く光る虫が出てくると騒ぐ――部屋を掃除すればいいのに。

 と、パシリ役の男性が涙ぐんでぼやいている。

 

「ったく、いきなりの電話で、いきなり管理局にハッキングしろ、って……何考えているのだろ、私に頼んだ奴は」

 

 椅子に背を預けきる。

 

「まぁ、経験値積むのも悪くないか。でも――」

 

 少女は勢い良く、背もたれから体を起こし、モニターと向き合う。

 

「これ以上は危険だね。約束通り、引かせてもらうわよ、依頼主さん」

 

 少女は、キーパネルのあるボタンを押した。

 

 

 

 

 

 時空管理局・14番区通路は、非武装局員でごった返していた。

 通路を右へ、左へと、目まぐるしくて慌しい光景。

 それを冷静な目で見る女性が1人。

 

「慌しいですね……でも、助かります」

 

 早足で荷台を押しながら進む、局員の服を着た銀髪の女性。

 先ほどまで看護士の服装であったが、ここからでは目立つ。

 ので、自分と同じくらいの体格をした女性局員を捕まえて、部屋に連れ込み気絶。

 服を剥ぎ取るが、そのままでは拙いので自分が着ていた看護士の服を着せた。

 ちなみに、荷台に置かれている荷物の中は、未だに寝ている桐嶋時覇が入っている。

 寝返りなどをうたれては困るので、なるべく誤魔化しが効くような場所を通っている。

 

「そろそろ引き上げの時間ですね……急がないと」

 

 なるべく怪しまれないように、転送ポートがある場所まで進む。

 だが、その行動を怪しげに見ていた、負傷中の武装局員が1人いた。

 そして、周りを見回してから、転送ポートが置かれた部屋に入る。

 負傷中の武装局員も入ろうとしたが、探していた担当医師と看護士に見つかり、結局入ることはできなかった。

 

「とにかく、ここから出ないと……場所は、ミッドチルダで市街地のパーギング」

 

 事前に用意してあった車が、そこにある。

 転送先を指定し終えると、荷物の中から時覇を出し、担ぎながら転送ポートへ進む。

 作動はタイマー形式にセットしてあるので、自動的に起動する。

 何とか出ると確信した矢先。

 

「おい! 何をして――そいつは!」

「 !? ――ブラッディ・ダ――」

 

 そこで転送ポートが発動し、指定場所に飛ばされる。

 そして、言わずとも転送ポートには、誰もいない。

 清掃局員は、すぐに通信回線を開く。

 彼は数日前のラギュナスで、レティと口論となり取り押さえられた、元上層部の人間。

 上に上がるために色々とやってきたが、レティが前々から調査していた。

 査問の時に、提出されたので降格処分を受けてしまい、今は本局の清掃員をやっている。

 職が無くならなくなっただけ、マシな方である。

 

「よっしゃ! ――総合管制室、聞こえるか!? 桐嶋時覇を目撃した!」

 

 清掃局員は、生き生きと報告する。

 上手くいけば、最悪でも清掃局員という役からは脱出できると思ったからである。

 

「先ほど第5転送ポートから、共犯者と思しき人物が桐嶋時覇を連れて、どこかへ転送した!」

≪それは本当か!?≫

 

 モニター越しから飛び出てきそうな勢いで、でかい顔を映し出される。

 さすがの清掃局員も、1歩引いた。

 

≪良くやった! 今、武装局員を向かわせる! そいつらに詳しい説明を! おい、大至急第5転送ポートに行かせろ! 他の管制ブロックの連中にも――≫

 

 

 

 

 

 小さな逃亡劇は、本局から地上へ移る――首都クラナガンを舞台に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かに出逢う者たちの物語・外伝

第二部

魔法少女リリカルなのはTTFS

~二つの軌跡と確定した未来~

 

 

第二話

銀髪の女性

 

END

 

 

 

次回予告

 

街中で繰り広げられるカーチェイス。

空と地上の連携した包囲網に、徐々に追い詰められていく。

そんな中で目を覚ます時覇は、助けてくれた女性を対面する。

だが、その逃亡劇の中で、ある少女を巻き込んでしまう……。

 

 

 

次回、何かに出逢う者たちの物語・外伝

魔法少女リリカルなのはTTFS

~二つの軌跡と確定した未来~

 

 

第三話:逃亡劇の中で

 

 

 

あなたの様に――強くなりたい!




あとがき
 はい、第2話完成。
 最初に考えていたプロットから、大きく反れたぜ!(親指立てる
 ……無軌道計画って、ホント怖いよね。(汗
 どんどん新キャラや、プチ(使い捨て)キャラなど、色々登場中!
 次もとんでもないことに、ってか、戦闘機人出しちゃおうかな?
 でも、カオスはラギュナスサイドだけにしたいかも。(汗
 しかし、PSPでこの小説を読んでくれる人がいたとは、驚きです。
 まぁ、Yahooのページなので、使っている環境だけなら判るのがいい。
 しかも、MaxのOSのパソで読んでいるとも……手抜きは死だな、これは。(号汗
 お目汚しになっていないというので、どんどん書いていきます。
 ただ、ワードのページ数が、10枚から11、12枚くらいになりつつありますね。
 ……まとめて、同人の即売会で売っても問題ないんじゃないかと、最近思い始める。
 とにかく読んでくれる人、読んでくれた人に感謝、感謝。
 では、第三話にて、お会いしましょう!






制作開始:2007/8/17~2007/9/3

打ち込み日:2007/9/14
公開日:2007/9/14

修正日:2007/9/27
変更日:2008/10/25
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