己自身の意志で決めた道を
だが、その片隅では真実と偽りが交差していた
それを見極められるかどうかは、まだ、誰にもわからない……
「口から出すモンも出したし……そろそろ止めてやるか――ディバインバスター、っ!?」
掛け声が終わると同時に、晴れることの無い煙から、砲撃魔法が放たれるはずだった。が、ロングイは緊急回避を行った。
先ほどいた場所に、橙色の砲撃魔法が通過し――シグナムに直撃。
爆発が起きた。
様々な法則に従って、地面に向って落ちていくシグナム。
ロングイは舌打ちしながら、
「――ゴスペルの奴、俺ごと撃ち抜くつもりだったな……ゴスペル、ヴォルケンリッターの将の回収を頼む」
すぐさま念話を繋ぐ。
『っ、何で俺が!?』
「心当たりは?」
『……わかった、わかったよ、やればいいんだろ? やれば』
上擦った声を出しながら、一方的に念話を遮断した。
「まだ、俺にはやる事があるのでな。……次のステップに進む為の、な」
そして、公園にあったアスレチック広場では、フェイトの異変に戸惑いを隠せないはやて、リインフォースⅡ、クロノがいた。
アースラと他の武装局員たちとの連絡が取れないまま、ドーム型のアスレチックの中に身を潜めていた。
「リインフォース、クロノくんの具合は?」
「はい、命に別状はありませんが……、戦闘はしない方がいいと思われます」
クロノに『癒しの風』を掛けているが、急激な回復は体力を消耗させる為、焦らずゆっくりと掛けていた。
「はっ……はや、て」
「クロノくん、大丈夫?」
「あっ、ああ……なんとか。しかし、気になるのはフェイトの方だ」
ゆっくりと、焦らずに起き上がる。
そう、クロノを串刺しにしたフェイトのリンカーコアの色は――白色だった。
「ですが、フェイトさん本人に間違えはありません」
そう答えるリインフォース。
「そういえば……クロノくん、リンカーコアの色って変えられるの?」
不意に思った疑問をぶつける。
「それは事実上不可能だとは、言い切れないが……もともとリンカーコアについては、まだ謎が多いんだ。だから、僕からの口からではあまり言えないんだ」
そう、リンカーコアは不可思議な部分が存在する為、他の地方でも研究は続けられているのだ。
その為、フェイト本人だとしても、どうすればリンカーコアの色を変えることが出来るのかが気がかりとなる。
『残念だけど、それを知ることは出来ないよ。アナタ達はここで消えるのだから』
アスレチックの外から、フェイトの声が聞こえた。
それを聞いた二人とデバイスは、すぐさま魔方陣を展開した。
「でも、遅い――アイシングブレイド!」
フェイトはサンダー・ブレイドの氷版を、ドーム型のアスレチック目掛けて放った。
地面に着弾。アスレチックに着弾。その周辺にも着弾――アイシングブレイドは、ドーム型アスレチックに突き刺さった途端爆発し、辺り一面を氷付けにした。
「これで……ふぅ」
肩を竦め、デバイスを構え直す。
「少し遅かったよ。ごめんバルディシュ、もう一仕事だから頑張って」
“ったく、わぁったよ。最後まで付き合うよ、マイマスター”
ぶっきらぼうに答えるバルディシュ・ネオ・アサルトバスター。
豪快な音を立てながら、氷を突き破って出てきたはやてとクロノ。
だが、防護服に僅かながら氷がこびり付いていた。
「いくぞ、はやて!」
「うん!」
二人が一斉にフェイトに向かったが――
「アイシングバインド」
二人の防護服に、こびり付いた氷が、砕いたような音を上げる。
「なっ!?」
「ふぇっ!?」
なんと、防護服にこびり付いていた氷がバインドとなり、手足や胴体、口を氷付けにしたのだった。
「ふふふっ、アイシングブレイドはこういった用に作られた二段構えの魔法なんだよ。攻撃が外れても、氷の欠片さえ服や大気に残存してくれていれば、バインドにもなるんだから。便利でしょ?」
笑いながら二人に言うフェイト。
「でも……情けで二人とも一撃で仕留めてあげるから――バルデュシュ」
“アイシングサンダーランサー・ファランクシフト”
冷気と電撃の玉が、フェイトの前に72個出現した。
それを見た二人も、さすがに言葉を無くした。
「さよなら、二人とも――アイシングサンダーラン――」
「ハーケンザンバー!」
声を重ねる様に叫び声が上がり、光の輪がフェイト目掛けて飛んできた。
「くっ!」
ギリギリの所でかわすがが――
「はあぁぁぁぁぁ!」
追撃と言わんばかりに、バルデュシュとバルディシュが交差する。
そして、高らかに響き渡る金属音。
「バルデッシュ!」
“ソニックモード”
相手の防護服が変わる。
「せい!」
三連激が、フェイトを襲うが――何とか凌ぎ、そのまま後退した。
そして、ある程度距離を取るとフェイトは言った。
「フェイト・T・ハラオウン」
「覚悟はいいですか……もう一人の私」
フェイト・T・ハラオウンは言い返した。
もう一人のフェイトに。
第五話:二つの決断(後編)
睨み合うフェイトとフェイト。
その光景を見た、はやてとクロノは唖然としていた。
どこからどう見ても、行き写しとしか言いようが無いほどのそっくりだったのだ。
「あの人、一体何やってるの?」
呆れるフェイト。
「まさか……アンタ、アイツに『この服着て、写真取らせてくれたら出すけど』とか言われなかった?」
「…………そんな事ないわよ」
少し赤らめながら言うフェイト。
「……もういい」
疲れきった顔をする。
「アナタが来てしまった以上、この戦いは無意味になっちゃたから、帰ります」
体を翻し、去ろうとするが、
「素直に帰すと思いますか、ロストロギアから生まれたもう一人の私――レニアスフェイト」
バルデッシュを、レニアスフェイトに向ける。
「……少し付き合ってもらうから」
正体を明かされた為、少し怒り気味に答えるレニアスフェイト。
その頃、はやてとクロノは、レニアスフェイトが放ったバインドを外す為、悪戦苦闘していた。
(クロノくん、クロノくん)
はやてが念話を繋ぐ。
(どうした、はやて?)
(さっきの話、聞いてた?)
(ああ、しっかりとな。リインフォース、今の会話は?)
(はい、きちんと録音してあります)
(助かる。今の話は、今後の役に立つからな……あと少し)
クロノに掛けられたバインドが、外れる兆しを見せ始めた。
(リインフォース、こっちの方は?)
(もう少し時間が掛かってしまいます)
だが、その光景――フェイトとレニアスフェイトの戦闘やアースラの状況などを監視する者がいた。
薄暗い空間。
その空間に、一人の男が立っていた。
そして、その後ろに女が、バインダーを脇に抱えていた。
「状況はどうなっている?」
男が、女に聞いた。
「はい、アースラは機能停止。高町はのははラギュナスに捕縛。それから――」
バインダーに記載されていた情報を言い上げていく。
その内容は、先ほどまで起きていた出来事から、今後の進展、時空管理局最高機密などがあった。
「――以上が、現状報告となっております」
女は、バインダーを脇に抱えて直して、男に言った。
「そうか……あとは、桐嶋時覇次第ということか」
それだけ言い残すと、男は薄暗い闇の中に掻き消えていった。
「……時覇の行動が……今後の計画に左右する、か」
その場に残った女は、ポケットから時覇が写っている写真を取り出した。
「ずっと、アナタを――」
女は、写真に何かを呟くのだった。
そして、時間は戻り、
「その女を渡せ」
時覇に、そう告げた。
しかし、困惑する時覇。
時覇と男――ゴスペルは、見詰め合っていた。
反らせば殺させる。そう、時覇に悟らせていた。
現に、自分――時覇を中心に、半径50メートル以内は男の殺気に包まれていた。
つまり、今下手に動けば、ゲームに出てきそうな銃で撃ち抜かれるのは必然。
この状況を、どう打破するか考えようとした時、男からの殺気は一段と増した。
「いい加減に答えろ。その女……渡すか渡さないか、どっちか言え」
そして、銃口を向け直す。
その出来事に――
対抗心が芽生えた 恐怖が植え付けられた
あとがき
改正前はなかったあとがき。
話をある程度改正。
最終巻が目茶苦茶厚くて有名な小説『終わりのクロニクル』の、文章の書き方を参考にしました。
あ、話の内容をパクった訳ではないので、そこはご了承ください。
で、選択肢の言葉も書き換え、選択後の初めの部分も、追加しなおしました。
ので、最後まで楽しんでいってください。
制作開始:2006/4/2~2006/4/3
改正日:2006/12/19~2006/12/22
打ち込み日:2006/12/28
公開日:2006/12/28
修正日:2007/10/4
変更日:2008/10/24