偽典・女神転生―テメンニグル編―   作:tomoko86355

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ライドウと別れ、再び別行動になったダンテ。
一方、クーフーリンはベオウフルを圧倒するが、寸での所で取り逃がしてしまう。
そして、バージルはアーカムこと元ファントムソサエティーのダークサマナー、シド・デイビスに弟の持っていたアミュレットを渡されるのであった。


ミッション14『襲うもの、襲われるもの』

地下闘技場入り口前、長い黒髪を三つ編みに結った眼帯の少年が、ブツブツと呪詛を吐きながら橋の上を歩いていた。

「糞、糞、糞・・・何なんだぁ?この呪いのフルコンボは?マジックストーンを盗られただけじゃなく、よりによってエーテルまで盗まれるなんて・・・俺のせいなのかぁ?餓鬼だと思って甘く見ていた俺のせいなのかぁ?・・・・否、俺のせいなのか・・・・。」

あの後、ポーチの中身を何度も探ったが、大事なエーテルの小瓶が見つかる事は無かった。

盗んだ犯人の銀髪の大男―ダンテを探そうにも、『禁断の地』は存外広い上に、特殊な磁場に覆われている為、オートマッピング機能がまるで役に立たない。

念話で仲魔に連絡を取ろうにも、交戦中なのかちっとも返事を返してくれなかった。

これはもしかして・・・新たな虐めなのだろうか?

仕事の度に、無理難題を押し付ける無能極まりない主人に対する一種のストライキなのかもしれない。

「うわぁあああ!クー!マベルぅー!お願いだから返事してぇー!兎は寂しいと死んじゃうんだよぉー!!」

人の気配がまるでしない無人の橋の上をライドウの情けない声が虚しく響き渡った。

このままでは非常に拙い事態になってしまう。

幸いチャクラドロップは、結構持って来ていた。

急場凌ぎは出来るだろうが、最上位悪魔(グレーターデーモン)を呼び出す程の魔力を得られる事は叶わない。

何とかして番の所まで行かないと、リヴァイアサンクラスの上位悪魔に対抗出来ないだろう。

「うん?なんだありゃ?」

俯いていた顔を上げると橋の向こうに何やら灯が見える。

ドドッドドッと、橋を揺るがす地鳴りと共に青白い炎が此方に近づいて来る。

それは、凶悪な武器が積まれた戦車を引いている軍馬であった。

青白い炎の様な鬣と生気の無い瞳をしている。

「・・・・詰んだ・・・これは完全に詰んだな・・・・ダンテ・・・絶対に覚えてろよ・・・。」

頼みの綱のエーテルを失い、番は未だ遥か彼方。

ロクな魔力回復のアイテムが無く、おまけに化け物鯨の腹の中から脱出する時にかなりの量の魔力を消費している。

完全にやる気満々の上級悪魔―ゲリュオンを前に、ライドウは口からエクトプラズムを吐き出していた。

 

礼拝堂での激戦後、クー・フーリンとマベルは生贄搬送貨車の乗車口に辿り着いていた。

バージルとアーカムの気配は未だ感じない。

それどころか、主のライドウとも連絡が全く取れない状態であった。

「あー、もー、このノイズうざぁああああい!」

必死に悪魔使いの少年に念話を送っていたマベルが、とうとう癇癪を起してしまった。

人間界と異界の狭間であるテメンニグルは、様々な思考がまるで妨害電波の如く渦巻いている為、交信したい相手と距離が離れていると、中々、精神波が届かないのだ。

「落ち着け・・・マスターが生きているのは分かって・・・。」

そう言いかけた白銀の騎士の歩みが一瞬止まる。

強い気を線路の先、生贄拷問室から感じ取ったからだ。

これは、先程戦ったベオウルフとは、明らかに違う・・・沈黙せし石像の間で感じた闘気と同じものだ。

脳裏に深紅のロングコートを纏った銀髪の大男の姿が浮かぶ。

奴がこの先に居るのか・・・。

「どうしたの?志郎。」

急に黙り込んだ白銀の騎士を妖精が訝し気に覗き込む。

「マベル、悪いが此処で一旦別行動だ。君はマスターを探してくれ、私はこの先のキーアイテムを獲りに行く。」

華麗に跳躍し、貨車に乗り込むクー・フーリン。

小さな妖精を置いて、貨車は終点の生贄拷問室に向かって発車する。

「ちょっとぉ、勝手な事したらライドウに叱られちゃうよ?」

止める間もなく消えていく貨車。

後に残された妖精は、盛大な溜息を吐いていた。

 

黒曜石通路内を猛然と疾走する巨大な黒い影。

礼拝堂でクー・フーリンと死闘を繰り広げた魔獣―ベオウルフだ。

その深紅の隻眼は、怒りと歓喜に濡れ光っていた。

(もうすぐだ・・・もうすぐ奴に会える!我をこの忌々しい塔に封じ込めたあの憎き魔剣士に・・・!)

今でも覚えている・・・己の左目を抉った剣の感触を・・・。

神と悪魔の半神半魔であり、一番最初に創造された明けの明星の双子の弟。

その名は、スパーダ。

我等悪魔の同胞であり、神の軍勢に寝返った裏切り者。

(今度こそ貴様の喉笛を食い千切ってやる!我が主の無念、晴らしてくれる!)

幼かった自分の頭を優しく撫でる暖かい手の感触を今でも覚えている。

力なき者達の希望。

彼の方は、自分達魔族ばかりでは無く、か弱き人間達にも平等に接していた。

魔族、人間、その垣根を乗り越え、互いに協力し合い、誰もが平等に暮らせる世界。

その自由な世界を、卑劣にもあの魔剣士は奪ったのである。

 

生贄拷問室・・・その祭壇に祭られている紫色に光る玉―永久機関の前に立つ、深紅のロングコートを素肌に纏った銀髪の大男―ダンテ。

キーアイテムを手に取ろうとしたダンテの手が止まる。

アイスブルーの瞳を拷問室の入り口―大扉に向けると、そこに白銀の甲冑を纏った長い黒髪の美青年が立っていた。

生ける彫像の間で己の心臓に大剣―リベリオンを突き立てた悪魔、クー・フーリンだ。

「いよぉ、久しぶりだな?色男。」

「・・・やはり、生きていたのか・・・申め・・・。」

冬の湖面を連想させる蒼い瞳と燃える様な炎の蒼い瞳がぶつかり合う。

「マスター・・・私の主は一体何処だ?」

「知らねぇなぁ・・・もしかしたら、悪魔共に喰われたかもしれねぇな。」

お互いに殺意の刃をぶつけながら、距離を詰めていく。

数メートル・・・刃が届くか届かないかの絶妙な距離で二人は立ち止まった。

「あの時始末しておくべきだったな・・・。」

その明らかに人を馬鹿にした態度が気に喰わない。

恐らくリヴァイアサンの体内から脱出する為に、一時的ではあるがお互い協力したのだろう。

でなければ、こんなクズが一人であの化け物鯨の腹の中から出られる筈がない。

否、魔槍士は別段その事で腹を立てている訳では無かった。

ほんの僅かな時間とはいえ、同じ空間で敬愛する主と同じ空気を吸っていたという事実が、万死に値する行為であったからだ。

「言っとくが、俺はあの時と違って簡単にはやられねぇぞ。」

一方、銀髪の悪魔狩人は、何処か楽しそうに口元に笑みを浮かべていた。

これから起こるであろう血みどろの喧嘩が、楽しみで仕方が無いといった様子だ。

「ほざいていろ・・・クズめ・・・二度と蘇らないように頭を潰してやる。」

「言ってろ・・・その代わり、その清ました面に一発ぶち込んでやるぜ。」

深紅の槍を構える白銀の騎士と二丁の双子の巨銃を構える銀髪の男。

否応も無く高まる緊張感。

まるで合図でもしたかの様に、二人は互いの心臓を貫くべく走り出した。

 

地下闘技場の上に設えられた橋の上。

爆走する戦車をライドウが紙一重で躱す。

(これから先の事を考えると下手に魔法は使えない!補助魔法で肉体を強化しながら物理攻撃で戦うしかないな。)

相手は上級悪魔なのだ。

流石に魔法無しで戦うには不利過ぎる。

かと言って、何が起こるか分からない今の状況で、中位から高位の魔法を使うのも躊躇われる。

一番有効な戦い方は、回避と移動速度、そして物理攻撃と防御を魔法で底上げし、地道に剣で倒していくしかない。

(肉体強化の魔法だけなら、チャクラドロップで魔力を補える。完全に補填出来る訳じゃないけど、ガス欠になって動けなくなるよりマシだ。)

移動&回避強化(スクカジャ)、物理攻撃上昇(タルカジャ)、物理&魔法防御能力強化(ラクカジャ)を限界まで重ね掛けする。

魔法詠唱の合間にポーチからチャクラドロップを取り出し、口の中に放り込むが、大した魔力補填の足しにはなっていないかの様に思えた。

しかし、微々たる魔力回復量でも無いよりかはマシだ。

ゲリュオンが引いている戦車を反転させ、再び此方に突っ込んでくる。

その動きを読んで、ライドウが大きく跳躍。

戦車の屋根に飛び乗る事に成功する。

「お馬ちゃん!スピード違反は罰金刑ですよぉ!!」

ゲリュオンの背中に飛び乗るライドウ。

腰に吊るした七星村正を引き抜き、青白い炎の如き鬣に突き立てる。

突然襲った激痛にのたうち回る妖馬。

橋梁の上を矢鱈目たらに走り回る。

「このぉ!いい加減に大人しくしてくれって!!」

馬上で上下左右に激しく揺さぶられる悪魔召喚術士の少年。

突き立てていた魔剣―七星村正に魔力を注ぎ込む。

すると、剣に宿っていた威霊アリラトが呼応し、刀身が紫色に眩く輝いた。

「グガァアアアアアアアアアア!!」

怒りの咆哮を上げるゲリュオン。

周囲の空気が振動し、天井から漆喰が雨の様に降り注ぐ。

「後もうちょっと!!」

アリラトの刃が妖馬の心臓(コア)に届くまで、後数センチ。

しかし、それが届くか届かないかのうちに橋が、暴れ捲るゲリュオンに耐え切れずに崩壊。

少年を乗せた戦車は、そのまま下にある闘技場へと落下していく。

 




DMC5の内容も最高です!特にダンテが真の力に覚醒するとことかね。
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