偽典・女神転生―テメンニグル編― 作:tomoko86355
一方、悪魔殲滅部隊『ドミニオンズ』は、古の街を徘徊する悪魔全てを始末し、地上を制圧していた。
最深部・礼典室。
その大広間に設えてある円形の窪みに目の覚める様な蒼い長外套を纏った銀髪の青年は立っていた。
両手に銀と金のアミュレットを持っている。
まるで呼応するかの如く青白く光る二つのタリスマン。
宙に浮き、バージルの眼前で一つに合わさると、何かに引き寄せられるかの様にして、大理石の窪みの中へと消えていく。
「後はスパーダの血か・・・。」
片膝を突き、愛刀『閻魔刀』を鞘から引き抜く。
左手で鋭い刀身を握るとあっさりと皮膚が破れ、血が噴き出した。
苦痛に秀麗な眉根を寄せる。
切り裂かれた左掌を円形の窪みに翳す。
そこに満たされていた聖水は、バージルの血を吸い、瞬く間に深紅の色へと変わっていった。
SM15マシンピストルから吐き出される無数の鋼の牙が、古の街を徘徊している悪魔達を物言わぬ肉の塊へと変えていく。
まるで機械の如く的確な動きで悪魔の群れを駆逐していく歩兵達。
プロテクトギアに身を包み、真紅の暗視スコープが内蔵された特殊なマスクを装着している為、歩兵の表情は伺えない。
それが逆に不気味であり、悪魔よりも恐ろしい怪物に見えた。
「凄いねぇ、これが君、ご自慢の部隊か・・・。」
F.E.A.R.(First Encounter Assault Recon、)通称、第一種遭遇強襲偵察部隊チーム。
ロシア特殊任務部隊『スペツナズ』の中でも選りすぐりの人材を集め、対悪魔の訓練を叩き込まれた先鋭部隊である。
隊員の殆どが人体強化手術を受けており、ナノテクによって脳内にチップを植え込まれており、神経インターフェイスによって感情をコントロール。
恐怖心が撤廃され、機械の様に忠実に任務を遂行する戦闘マシンとなっている。
「神経インターフェイスの開発は僕も一時参加したけど、軍事利用にはとても向いてないと思ってたんだけどねぇ・・・。」
事故や戦争で身体の一部を失った人達に、神経インターフェイスを脊髄に接続。
インターフェイスから送られる電気信号を義手に内蔵されているAIが感知し、本物の腕と寸分違わず動かす事が可能になる。
その技術はサイバネテックアームに留まらず、パワードアーマーにも使用されている。
「彼等の思考は全て私の脳に埋め込まれているナノチップが管理しております。つまり、彼等は私の思考パターンをトレースして動いている訳です。」
「成程、つまり彼等は文字通り君の手足であり目と耳って訳か・・・。」
まさに女王蜂を守る働き蜂っと言ったところか。
”鋼の女王”を護る鉄壁の守護神達に、流は空恐ろしいモノを感じた。
「ううっ、ぞくぞくする・・・何かめっちゃヤバイ感じ・・・。」
悪魔使いの肩に座っている妖精が、震える腕で自分の身体を抱きしめた。
此処は、古の街・・・最深部―礼典室。
魔界の扉を開こうとしているバージルを止めるべく、ダンテとライドウは、マベルの魔法でこの場所に転送して来たのであった。
「今までより魔素が濃いな・・・・此処は現世と常世(かくりょ)の狭間だからか。」
バージルがいるであろう幾何学模様の大扉を見上げる。
扉の隙間から瘴気が流れ出ているのが見えた。
「魔導の知識はまるで無い俺でも分かるぜ・・・コイツは確かにヤバイ。」
銀髪の大男は、大扉を両手で押し開ける。
ぶわりと広がる異界の風。
息を呑む一同の目の前―礼典室の中央に彼・・・バージルがいた。
「何故作動しない!何かが足りないのか!??」
かつて父親が持っていた二つのアミュレットは捧げた。
己の身体に流れるスパーダの血も使っている。
なのに、魔界へと繋がる筈の扉は一向に開く気配が無かった。
「もっと血を捧げろとでも・・・・?」
分からない。
アーカム・・・シド・デイビスの指示通り、アミュレットとスパーダの血を生贄に捧げた筈である。
まさか奴に騙されたのか?否、義理の父―13代目・葛葉キョウジの敵だった男だ。
二人の間に何があったのかは知る由も無いが、自分を騙して利用するつもりで近づいたのだろう。
「随分とご機嫌斜めだな?お兄ちゃん。」
「・・・・!!!」
背後から聞こえる双子の弟―ダンテの声。
慌てて振り返るとそこには、赤いロングコートの大柄な銀髪の男と、その背後に長い黒髪を三つ編みで一つに纏めた眼帯の少年がいた。
「バージル・・・お前じゃ魔界の扉は開かない・・・大人しく人間の法に従って裁きを受けるんだ。」
「黙れ!人修羅!!」
闇を司どりし暗黒の頂で受けた屈辱が蘇る。
怒りで視界が真っ赤に染まり、本能的に閻魔刀を鞘から抜き放っていた。
「手を出すなよ?お嬢ちゃん。コイツは俺の獲物だ。」
「お嬢ちゃんじゃなくて、”ライドウ”な・・・それとヴァチカンの先鋭部隊がコッチに来てる。時間が惜しいから二人でやるぞ?糞坊主。」
こんな非常事態でもお互い軽口をぶつけ合うのは忘れない。
暫しの睨み合い。
異様な静寂が辺りを包む。
「そういえば、貴様は魔導の知識が豊富だったな・・・?」
冷酷な笑みを口元に浮かべたバージルが、抜いた閻魔刀を再び鞘に戻す。
眩く輝き出すバージルの四肢。
白銀色の光は、禍々しい形をした具足と籠手に姿を変える。
「たっぷりと痛めつけて、魔界の扉を開ける方法を聞き出してやる。」
「言っとくが、俺から情報を引き出すのは無理な相談だ!」
ライドウの右掌から魔法陣が展開、そこから火球が生み出され、バージルに襲い掛かる。
音速を超える炎の弾丸を上空にジャンプして避けるバージル。
しかし、それを予測していたライドウが開いていた右掌を握る。
四方に分かれる炎の弾丸。
それは、上空へと逃れたバージルを正確に追い掛ける。
「ちっ!!」
白銀色に光る籠手と具足で、炎の弾丸を撃ち落とす。
そのバージルの背後に大剣『リベリオン』を上段に構えたダンテが躍り出た。
頭蓋を叩き割らんと大剣の切っ先を振り下ろす。
重い一撃をベオウルフの籠手で受け止めるバージル。
ダンテの鍛え上げられた腹を蹴り破らんと旋回蹴りを放つが、ライドウのスクカジャで回避速度と移動速度が格段に上がった弟を捉える事は出来なかった。
あっさりと躱され、大きな隙を作ってしまう。
タルカジャによって大幅に攻撃力を上げられたダンテの鋭い刺突。
咄嗟に両腕でガードするがその威力を殺す事は叶わなかった。
衝撃が情け容赦なく、バージルの臓腑を抉る。
「ぐあっ!!」
礼典室の壁に叩き付けられるバージル。
そんな蒼いロングコートの青年に向かって、ライドウが氷結系中級魔法”ブフーラ”を唱える。
無数に降り注ぐ氷の槍。
常人よりも遥かに優れた反射速度で避けるが、右肩と左足を氷の刃で貫かれてしまう。
「ぐぅ・・・こんな程度でこの俺が・・・・。」
即席とはいえ、優れたコンビネーションだ。
成す術もなく、地に這わされてしまうバージル。
何とか立ち上がろうとするも、右肩と左足を貫いている氷の槍がみるみるその体積を増し、床に縫い留めてしまう。
「もう、諦めろ。その氷の枷はお前の魔力を吸って成長している。下手に動くと魔力全てを喰われるぞ。」
ライドウの言っている事は全て事実だ。
修練の間で、ヘル=バンガードを氷の柱に閉じ込めたのもこの魔法だ。
「もう一度言う・・・大人しく俺達に捕まって人の裁きを受けるんだ。お前は人間だ・・・例え半分、悪魔の血が流れていてもお前はこの世界に生まれ落ちた限り、人間にしかなれないんだよ。」
「黙れぇ!!」
人間の世界で生きている以上、人間としての生を全うするしかない。
ライドウの言葉はどう足掻いても覆る事が叶わない絶対的な定義だ。
しかし、それで納得してしまう程、バージルの心の中に抱える闇は浅くはなかった。
「貴様に俺の何が分かる!何も知らん部外者が知った風な口を叩くな!!」
「兄貴もう止めろ、いい加減、無様過ぎて反吐が出るぜ。」
それまで黙ってライドウとバージルのやり取りを聞いていたダンテがうんざりとした様子で口を開いた。
「今更親父の力を受け継いでどーすんだよ?ライドウの言う通り俺達はこの世界で生まれた以上、人間の決めた糞ったれなルールに従って生きるしかねぇーんだ。」
「ダンテ・・・腑抜けた奴め・・・母さんの仇を討ちたいとは思わないのか。」
大袈裟に両手を広げて溜息を吐く弟を侮蔑を多分に含んだ相貌で睨み付ける。
あの嵐の夜、自分達は失ってしまったのだ・・・愛する肉親(ははおや)を・・・。
「お袋を殺した悪魔は見つけ出してそれなりの報復は受けさせるさ・・・その為に悪魔相手の便利屋なんてやってんだからな・・・だからって、態々親父の力を手に入れる為に魔界の扉を開いて行こうなんて、面倒な事は思わねぇよ。」
自分はこの糞みたいな掃き溜めしかない人間の世界を酷く気に入っている。
ボビーの穴倉にいる血の気の多い荒事師達。
親父みたいに色々世話を焼いてくれる便利屋のグルー。
かつては「45口径の芸術家」と呼ばれた偏屈なガンスミスのニール。
そのどれもが、ダンテにとって愛すべき世界であった。
「普通に学校に行って・・・普通に友達を作って・・・普通に恋愛をして・・普通に家庭を作って・・・普通に子供達に囲まれて・・・普通に最期を迎える・・・それがどんなに尊い事か・・・お前は知らないんだ。」
バージルのすぐ傍らに膝をついたライドウが独り言の様に呟く。
その時、銀髪の青年の脳裏に義理の父、キョウジの言葉が蘇った。
『普通に大学出て、普通に就職して、普通に結婚して、普通に家庭を作って、子供と孫に囲まれて余生を送るって人生は、やっぱりお前には合わないか。』
そう言った父の表情は、何処か寂しそうな顔をしていた。
「復讐に生きたところで何も残らない・・・シド・デイビスみたいな糞野郎に利用されるのが関の山だ。」
「黙れ・・・・。」
「お前は人間なんだよ・・・バージル。」
「煩い・・・それ以上喋るな・・・。」
苦しい・・・胸が押し潰されてしまいそうだ。
覚悟をしていたのに・・・・人間としての一生を捨て、悪魔として生きる道を選んだのに・・・なのに、なのに何故、こんなにも苦しいんだ。
その時、礼典室の片隅で何者かの拍手をする音が聞こえた。
3人が其方に視線を向けると、入り口の大扉のすぐ近くに漆黒の道化衣装に青と赤のオッドアイをしたピエロが立っている。
彷徨える禽獣の間で出会った下級悪魔―ジェスターであった。
「中々泣ける話だねぇ・・・いくら魔剣士”スパーダ”の血が流れていようとも、人間の世界に生きている以上、人間の定めたルールで生きるしかない・・・全く救い様が無い悲劇じゃないか・・・。」
態とらしく泣き真似をして、懐から出したハンカチーフで下品に鼻をかんでみせる。
「ジェスター・・・何でお前が此処にいるんだ?」
「知り合いか・・・?」
この場にそぐわない闖入者を知っているかの様なライドウの口振りに、ダンテが訝し気な表情で聞いた。
「ちょっとな・・・奴の話だとこの塔内を徘徊している悪魔の一人らしい。」
彷徨える禽獣の間の主、ギガ・ピートを倒した時に何処からともなく姿を現した下級悪魔。
呪われし塔『テメンニグル』を復活させた張本人がバージルで、その目的もライドウに教えたのがこの悪魔だった。
「あーあ・・そうそう、何で魔界の扉が開かないか分かるか?バージル。」
勿体ぶった仕草でジェスターは懐から掌に収まるぐらいの茶色い瓶を取り出す。
そこには青白く光る液体が満たされていた。
「それはだな・・・この塔に捧げる供物が足りなかったからさ・・・一番重要なモノがな・・・。」
「マグネタイト・・・・!!!?」
ジェスターの持っているモノの正体を知ったライドウは、慌てて道化師の所まで走り出す。
しかし、奪い取ろうとしたその手は虚しく宙を掻いただけであった。
「おーっと・・・人修羅ちゃんは、この塔を動かす仕掛けを知っているんだったな?流石”クズノハ”魔導の知識に関してはピカイチじゃん。」
「てめぇ!!」
この悪魔は、マベルと同じ様に転移魔法が使えるらしい。
魔法を使って、礼典室の天井付近に設えてある青銅製の七つの巨大な鐘の一つに移動していた。
「あの娘達を殺したのはてめぇか!何の目的であんな事をしたんだ!!」
「殺した?違うな・・・彼女達は、自ら死を望んだんだ。」
先程までとはガラリと口調を変える道化師。
見るとその姿は、漆黒のカソックを纏った火傷(フライフェイス)の神父へと変わっていた。
「彼女達は行き場所を失っていた・・・この世界は敵だらけで、誰も自分達を守ってはくれないとね・・・だから、私が彼女達を救ってやったんだよ。」
「・・・・!!シド・デイビス!!」
ライドウが唇を噛み締める。
今の今迄、自分達がこの男の掌で良いように踊らされていた事に漸く気が付かされた。
「ああ、そうだった・・・説明が途中だったね?どーして魔界の扉が開かないのか?それは、大事な動力源が無いからさ・・・膨大なエネルギーがねぇ?」
再び道化師姿に戻ったシドが、態とらしく舌を出してバージルを挑発する。
そして徐にガラス瓶の蓋に手を掛けた。
「やめろ!!」
何をしようとしているのか察したライドウが、同じく転移魔法を使ってジェスターのいる鐘の所まで飛ぶ。
しかし、当の道化師は逸早く別の鐘へと移動していた。
「17代目・葛葉ライドウ・・・君は、人間に高邁(こうまい)な思想を持っているらしいがそれは違う。人間という生き物は、悪魔よりも残酷で、卑屈で・・・そして脆い生き物なんだよ。」
そう言うのとガラス瓶の蓋が開くのは、ほぼ同時であった。
中に封じられていた少女達の七つの魂が、それぞれ礼典室の天井に設置されている鐘の中へと吸収されていく。
すると鐘の表面に少女達の顔が浮かび上がった。
悲痛な鳴き声と共に鳴り響く七つの梵鐘。
それに呼応するかの如く、礼典室の中央部分にある窪みが上にせり出した。
異変は、当然、地上を制圧したF.E.A.R.(第一種遭遇強襲偵察部隊)チームにも知れ渡った。
大きく揺れる大地。
隊の隊長であるヒメネス伍長がすかさず司令官であるマウア・デネッガーに無線で連絡を入れる。
「大佐、やばいぜ・・等々祭りがおっぱじまりやがった。」
『アーサーの予見通り、17代目は間に合わなかったみたいだな・・・。』
アーサーとは、移動要塞『アイアンメイデン』の指令コマンドを勤める疑似人格プログラムの事である。
因みにこの疑似人格AIのプログラムを担当したのが射場・流であった。
『仕方ない、全員安全地帯まで退避、地底湖にいる連中はすぐにその場を離れろ。崩落する危険性がある。』
「了解。」
『スペツナズ』時代のかつての上司の言葉に素直に応えると、ヒメネスはすぐに禁断の地並びに大地底湖にいる全隊員に指示を飛ばした。
轟音と共に円形の床が上へと登って行く。
バランスを保てず床に片膝をつくダンテ、バージルに至っては氷の戒めに右腕と左足を石畳に縫い付けられている為、動こうにも動けない。
「ヒャハハハハッ!最初からあの半魔の餓鬼共何てどーでも良かったんだ。此処におびき寄せて二人をぶち殺してアミュレットと血をぶん盗る計画だったんだからさぁ・・・でも一個だけ計算が狂った。それがお前だよ?人修羅ちゃん。」
漆黒のカソックを纏った神父から、再び甲高い声をした道化師へと変わる。
「まさか、クズノハ最強と謳われるお前が出て来るのは予想外だった・・・流石の私でもお前みたいな化け物相手では骨が折れるからな・・・。」
ジェスターからシドへ、シドからジェスターへと目まぐるしく姿を変えていく。
手品の種明かしにしては、余りにも悪意が込められ過ぎている。
「御託は良い!今すぐ彼女達を解放しろ!!」
血の涙を流してこの世界に呪いの唱を歌い続ける哀れな生贄たち。
この娘達が自ら死を望んだとは思いたくない。
だがもしそれが本当だとしても、こんなゲス野郎に道具として良い様に使われるのだけは我慢ならなかった。
「まだそんな事を言っているのか?マグネタイトとなった人間が元に戻れる道理など無い事等、貴様が一番良く知っているだろうが。」
「やかましい!!」
七星剣を鞘から抜き放ち、漆黒のカソックを纏う神父に斬り掛かる。
しかし、神父の背後から現れた半透明の巨大な腕が女神アリラトの宿った刃を難なく受け止めた。
「”ヨハネの黙示録”曰く、我、天より堕ちた竜の支配下に置かれた破滅の代行者であり、世界を42か月間に渡り支配する権利を持つ、666の獣也(なり)。」
シドの言葉に応えるかの様にして、半透明の悪魔がその異形の姿を露わにする。
羊の様な二つの角、血の様な赤銅色の肌、口は耳元まで裂け、鋭い歯が覗いている。
背には鷲の羽根を背負い、腰の辺りから九つの黒い蛇がチロチロと赤い舌を出していた。
「”黙示録の悪魔(マスターテリオン)”か!??」
新約聖書に登場する七つの頭と十本の角を持つ怪物。
それはキリスト教を迫害するローマとローマ軍の象徴とも言われている。
「魔力が弱まり、一番肝心な番をGUMPに戻すとは正に愚の骨頂。否・・・それが貴様の甘さなのだよ?17代目・葛葉ライドウ。」
万全なコンディションで戦っていれば此方が圧倒的に不利であった。
『不殺の精神』などという便所の鼠にも劣る信念が、この男の致命的な弱さの表れである。
シドのグレーター・デーモン=マスター・テリオンは、女神アリラトの宿った剣を振り払う。
吹き飛ばされていく華奢なライドウの身体。
黒曜石の硬い壁に打ち付けられ、下に落下していく。
「ライドウ!!」
それまで一部始終を傍観していたダンテが、慌てて上へと登って行く円形の台座から飛び降りた。
魔人に変身し、背の羽根を使って飛翔。
落下する悪魔使いの少年を空中で受け止める。
「さて、残るはお前だけになってしまったな?バージル。」
登り往く台座に転移魔法を使って移動したシド・デイビスが、氷の戒めで未だ身動きが取れないバージルを冷酷な双眸で眺めた。
「貴様ぁ!良くも俺を利用したな!!」
「利用?ハハッ何を言っているのかなぁ?このお馬鹿ちゃんは?お前だって俺っちが用済みになったら始末仕様って腹積もりだったんだろぉ?」
何時の間にそこにいたのか、漆黒の道化師が侮蔑を含んだ赤と青のオッドアイでバージルの顔を覗き込む。
そう、バージルもまたアーカム・・・シド・デイビスを利用していた。
魔界の扉を開く装置までの水先案内人として生かしていただけなのである。
「安心しろ・・・私が神になったその曙には、君の父上・・・13代目・葛葉キョウジも地獄に送り届けてやろう。」
そう言ってバージルに向かって右掌を向ける。
すると深紅の魔法陣が展開、疾風の刃―ザンマオンがバージルの身体を切り刻んだ。
マスターテリオンってデモンベインのラスボスの名前でもあるんですね?知らなかった。