偽典・女神転生―テメンニグル編―   作:tomoko86355

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魔界の門を目指し、再び呪われし塔―テメンニグルに侵入するライドウ。
一方、ダンテはシドによって深手を負わされたバージルを救助し、共に報復をするため、一時共闘するのであった。


ミッション21 『自己との対峙』

閉ざされし暗黒の回廊。

女神アリラトが宿った魔法剣が唸りを上げる。

次々に切り裂かれていく悪魔の群れ。

その間を一陣の疾風が如く、小柄な影が駆け抜けていく。

「!!」

殺気を予知した影―葛葉・ライドウが真横に飛ぶ。

すると先程までいた石畳に蒼白く光る槍が突き立っていた。

「フォールンか・・・また面倒臭いのが出て来たな。」

眩く白く光る羽根を持つ人型の悪魔。

肌は炭の様に黒く、目からは血の涙を流し、身体に第二の醜悪な悪魔の顔を持っている。

かつては天上界に居たとも言われている悪魔ではあるが、こんな異形の化け物を天使とはとても呼ぶ気にはなれなかった。

「羽根を壊さないと本体にダメージが通らない・・・さてどうしたもんか。」

空中を優雅に浮遊する4体のフォールンを前に、ライドウはさして狼狽している様子は微塵も無かった。

この後のシド戦を考えると最上位魔法の連発は自殺行為に等しい。

例え魔界に行けたとしても、ガス欠状態では戦闘どころではなくなる。

エーテルは、生贄拷問室で使ってしまったし、唯一魔力を補給出来るチャクラドロップも後僅かだ。

そうなるとなるべく魔法を使わず、近接戦闘で潜り抜けなければならない。

「ふん、吐いた唾は飲めねぇよなぁ!!」

着ているカジュアルジャケットの脇に手を入れサブマシンガンを取り出す。

地底御苑、上昇部に待機させてある大型バイク・ルージュに備え付けられているツールボックスから持って来た獲物だ。

銃器の類を扱うのは余り好きではないが、今更そんな悠長な事を言っていられる場合ではない。

サブマシンガンが火を吹く。

音速の無数の牙は、フォールンの纏う羽根の鎧を引き剥がしていった。

 

「酷い面だな?」

繁華街から二本ほど入り込んだ場所にある酒場―ボビーの穴倉。

何時もの様に店主のボビーが、バー・カウンターでグラスや食器を洗っている。

そのカウンター席でジンの入ったグラスを傾けているダンテに、同じ便利屋仲間のグルーが声を掛けた。

「女遊びも大概にしとけ、そのうち本気で刺されちまうぞ?」

40代半ばぐらいの壮年の男は、微かに赤くなったダンテの頬を見つめてそう言った。

「大きなお世話だ。それと刺されたぐらいじゃ俺は死なねぇよ。」

そんな悪態を吐いて銀髪の大男はグラスに残ったジンを一気に飲み干す。

彼の言う通り、悪魔と人間のハーフであるダンテは、常人より遥かに頑丈だ。

頭蓋に鉛弾を喰らっても死なない。

「別に強制するつもりは無いが、一人ぐらい決まった相手を作ったらどうだ?そうすりゃ仕事にも張りが出るし、生活面も多少は良くなる。」

「だから大きなお世話だって言ってんだろ?それともエンツォの奴に何か言われたのか?」

エンツォとは、荒事師などに仕事を仲介している情報屋の一人である。

金にがめつく何かと小煩い小男ではあるが、高額の仕事を良く酒場に持ち込んで来る為、同業者からはそれなりに人気も高い。

「別に・・・ただ、お前さんのその刹那的な生活態度が少しでも改善されればと思っただけさ。」

グルーは、大袈裟に肩を竦めてみせた。

彼にとって年若いダンテは、何かと頼りになる相棒ではあると当時に、若すぎる故か危なっかしい所が多々目立つ。

一番酷いのが性生活であった。

4人の子供を持つグルーでも、それなりに性欲はある。

今でも後腐れの無い女性と一夜限りの関係を持つ事だってある。

しかし、ダンテの場合は酷過ぎた。

女どころか気に入った同性なら、所構わず関係を持つ。

この時代、ゲイやレズビアン、ダンテの様なバイセクシャルなどさして珍しくは無い。

それに関してとやかく言う気は一ミリたりとて無いが、少しばかり度が過ぎると思う。

「お断りだね・・・決まった相手何て作ったら後が面倒じゃねぇか。」

ボビーに追加のジントニックを注文しつつ、ダンテは吐き捨てる様に言った。

「今はまだ若いから良いさ・・・でも、俺ぐらいの年齢になると無性に家族を作りたくなる。電気が付いてない暗くて寒い塒(ねぐら)に帰っても寂しいだけだからな。」

何時死ぬか分からない因果な稼業である便利屋は、老後の心配をする必要が無くて楽だ。

しかし、それでも一人寝は寂しい。

年齢をある程度重ねると、それを嫌と言う程感じてしまうのだ。

「生憎、俺にはそういう情緒とか全く無いんでね・・・今の束縛されない環境が酷く気に入っているのさ。」

そう、今はこのままで良い。

グルーの様に家族に囲まれる暖かさも心惹かれないと言えば嘘になるが、自分は一人で過ごす夜に慣れ過ぎている。

十数年前、最愛の母を失い、たった一人の兄弟と生き別れたダンテにとって、肉親とは重い鎖に思えて仕方が無かった。

大事なモノを作れば重荷になる・・・そう、思っていたのに・・・・。

 

17代目・葛葉ライドウが欲しい。

濡れ羽根色の長い黒髪を三つ編みで一つに纏め、ビスクドールの様に整った容姿を持つ、黒い眼帯を左目に付けた小柄な少年。

自分等よりも卓越した体術と剣術を持ち、強大な魔法力で全てを圧倒する。

初めて氷の門番の間で出会った時は、ムカつくだけの糞餓鬼だった。

からかわれた時は、本気で腹が立った。

でも今は違う。

(アンタは俺のモノなんだ・・・一生閉じ込めて俺だけのモノにしてやる。)

異常な程の妄執。

それが今のダンテを突き動かしている。

 

呪われし塔、『テメンニグル』に辿り着いたダンテと双子の兄、バージル。

始まりの回廊に足を踏み入れた時、二人は無数の悪魔の死骸を目の当たりにして息を止めた。

「人修羅の仕業か・・・?」

累々と横たわる悪魔の屍。

中には純白の羽根を持った、天使の様な悪魔もいる。

(的確に悪魔の急所である心臓を破壊している。無駄な攻撃が一切見当たらない。)

バージルの脳裏に闇を司どりし暗黒の頂で対峙したライドウとの一戦が思い出された。

父、葛葉キョウジから教えられた抜刀術が全く通用しなかった。

太刀筋をあっさりと見切られ、一太刀すら・・・否、相手に刀を抜かせる事すらも出来なかった。

徒手空拳で良いようにあしらわれ、成す術も無く精神波攻撃で眠らされた。

冷静になって考えると自分とライドウの力量は天と地ほども違う。

無数に転がる悪魔の死骸が、それを如実に現している。

「早く行こうぜ?バージル。見せ場を全部ライドウに盗られちまう。」

未だ塵に返っていない所を見ると、ライドウはこの付近のすぐ近くにいる。

早くあの悪魔使いと合流したい。

「・・・・・お前は、これを見て恐ろしくならないのか?」

「あん?今更何を言ってんだよ?アンタ。」

胡乱気に背後にいる双子の兄を振り返る。

「全ての悪魔が心臓を一突きされて死んでいる。流石の俺でもこんな倒し方は出来ない・・・シド・デイビスが言う様に、人修羅は人知を超えた化け物だ。」

月光を望みし天空の回廊で、シド・デイビスはこう言った。

『人修羅を甘く見るな。上級召喚術士は魔王すらも従える。噂では奴は最上級悪魔(グレーターデーモン)を3体も所持しているのだ。他の召喚術士共とは強さの桁が違い過ぎる。』

と、つまり剣術だけでなく、最深部・礼典室でシドが見せたマスター・テリオン並みの最上位悪魔を3体もその身体に宿しているのだ。

実の父・スパーダの力を手に入れても、人修羅には敵わないのではないのか?

そんな不安と疑問がバージルを襲う。

2000年以上前、悪魔の軍団から人類を救った英雄。

その英傑を遥かに超える怪物が、今追いかけている一人の少年なのだ。

「だから何だ?今のライドウは弱っているんだぜ?シドって奴に一撃でやられちまったろ?」

ダンテの言う通り、魔力が枯渇した人修羅は、最上位悪魔を喚べず、刀一本で塔内を徘徊する悪魔の群れと立ち回っている。

これ以上、兄の御託には付き合えないと先を進む弟の広い背中をバージルはぼんやりと眺める。

強大で偉大なる魔剣士・”スパーダ”の力を手に入れれば、幼いあの日の悪夢から抜け出せると思っていた。

しかし、その悪夢を超える怪物が現れたのだと確信したその時、彼の確固たるアイデンティティーは、脆くも音を立てて崩れてしまったのだ。

 

封じられし禁断の冥府。

そこに闇よりも濃い漆黒のカソックを身に付けた火傷(フライフェイス)の男が一人立っていた。

元ファントムソサエティのSS級召喚術師(サマナー)シド・デイビスだ。

「これがかつて魔剣士”スパーダ”が愛用していた魔具”フォース・エッジ”か。」

柄の所に三つの髑髏が彫り込まれている最強の魔剣士を象徴とする魔具(デウスオブマキーナ)。

異様な魔素を放つその魔剣を漆黒の神父は暫く眺めていた。

(漸く・・・漸く私が神の力を手に入れる・・・。)

緊張で震える手を大剣の柄に伸ばす。

丁度30年前、平崎市で自分が起こした戦女神・イナルナ姫降臨の事件。

後もう少しで太古の昔に平崎市を含む地域一帯を支配していた王国の女王の莫大な霊力を手中に収められそうだったのに、それを忌々しい組織『クズノハ』の召喚術師、13代目・葛葉キョウジに邪魔された。

だが今は、それと同等・・・否、それ以上の力が自分のモノになるのだ。

「待っているが良い、葛葉キョウジ・・・スパーダの力を得たらまず最初に貴様を血祭りに上げてやる。」

祭壇に祭られている大剣を引き抜き、高々と天へと翳す。

莫大な魔力が自分の躰に流れ込んで来るのが分かった。

 

闇と契約せし暗黒の頂へと向かうライドウ。

途中、魅惑せし化身の間に足を踏み入れた悪魔使いの身にある異変が起こった。

薄暗い室内にいきなり明かりが灯る。

不自然に伸びる己の影。

それは壁に到達すると、人の形となり、壁から抜け出て来る。

「悪趣味過ぎるんじゃないのか?」

壁から抜け出たソレは、ライドウと同じ体躯、同じ容姿をしていた。

唯一違うのは、その服装である。

カジュアルジャケットとビンテージジーンズ姿の悪魔使いの少年に対し、影は漆黒のマントに皮の肩当、腕には同じ革製のアームバンブレスに腰には、ファイティングナイフとクナイが収納されているベルトを下げている。

呪式が編まれた布で口と左目を覆っているその姿は、かつて”クズノハ”の暗殺者(アサシン)として活動していた自分自身であった。

「人の黒歴史引っ張り出しやがって・・・・自分と対話しろ?てか。」

恐らく、このドッペルゲンガーは、室内の各所に設置されている証明の造り出す特殊な光によって生み出された悪魔なのだろう。

それにしては、ライドウ自身が忌み嫌うかつての自分自身を模して現れるとは、随分と悪質な趣向である。

アサシン・ライドウは腰に吊るしてある七星剣を鞘から抜き放ち、悪魔使いの少年に襲い掛かった。

上段からの鋭い打ち込み。

それを同じく七星剣で受け止める。

(コイツは只の影だ・・・本体は、室内に設置されてあるあの6つの照明。)

ドッペルゲンガーは術師が造り出した幻影にすぎない。

何度攻撃してもすり抜けるばかりで、ダメージは決して与えられないのだ。

ライドウは相手の刀を切り上げると、背後の照明に手首に仕込んだクナイを叩き込む。

照明が破壊され、ガラスが砕け散る。

獣の様な唸り声を上げて苦しむアサシン・ライドウ。

「やっぱりな・・・。」

皮肉な笑みを口元に浮かべる。

相手の弱点は既に読めている。

ならばこんな茶番はとっとと終わらせてしまおう。

次の照明に移動しようとしたその眼前にアサシン・ライドウが躍り出た。

いくら悪魔が造り出した幻影の影とはいえ只の操り人形ではない。

ただ黙って弱点である照明を破壊される程、木偶の坊ではないのだ。

壊される前に息の根を止めてくれる。

アームバンブレスに仕込まれている小型の飛び出しナイフで、ライドウの右目を狙う。

それを身を逸らせて躱す悪魔使いの少年。

滑り込む様に足払いをするが、それを読んでいたアサシン・ライドウが後方に跳躍して避ける。

「ちっ、そう簡単には壊してくれないか。」

躱した際に頬を薄く切られたのか、右頬から血の雫が一筋流れ落ちた。

流が提示した1時間という制限時間。

もう既に20分以上が経過している。

こんな所で無駄な時間を消費している暇はない。

ライドウは一つ深呼吸をすると、七星剣を一度鞘に納める。

悪魔使いの少年の出方が分からず、七星剣と腕に仕込んだ飛び出しナイフを構えるドッペルゲンガー。

幾ら姿・形そして能力を8割方コピー出来ても、ライドウ本人の思考までは読み取れない。

暫しの静寂。

時間にして5分も経過していないだろう。

痺れを切らしたドッペルゲンガーが、先に仕掛ける。

「虚空斬波!!」

的確に人中を狙った刃の一突き。

鼻と口の窪んだ部分に向かって一直線に銀色の鋭い刃が放たれた刹那、閉じられたライドの双眸がカッと見開かれ、紫色に輝く魔力の光を帯びた刀身が音速の速さで鞘から引き抜かれる。

魅惑せし化身の間に吹き荒れる突風。

それは壁に設置された5つの照明を次々に破砕していく。

「ぎゃああああああああああ!!」

ドッペルゲンガーの断末魔の悲鳴。

勝機を確信したその相貌は、一瞬で絶望へと変わり、漆黒の肢体は霧の如く霧散していった。

時間にして1分も経たなかっただろうか?

後に残されたライドウは、がっくりとその場に片膝を突く。

「はぁはぁはぁはぁ・・・・。」

今にも薄い胸から飛び出しそうな程、打ち付けられる心臓。

激しい頭痛と吐き気で立ち上がる事が出来ない。

いくら女神アリラトの力を借りたとはいえ、魔力が枯渇したこの躰にあの大技は流石に堪えた。

(合体剣を持って来て良かった・・・・もし、草薙の剣を使っていたら此処でゲームオーバーする所だったぜ。)

正直、一か八かの分の悪い賭けであった。

見た相手の能力を8割方コピーする能力があるドッペルゲンガーでも、流石に合体剣の力まで複製する事は出来ない。

虚空斬波という剣技は、使用者に大きな負担を掛ける荒業だ。

生憎、歴代ライドウが使用していた赤身の鞘―草薙の剣は、自分の躰には合わない。

だが、女神アリラトが宿った合体剣ならば、ある程度の負荷なら耐えられると判断した末での作戦であった。

『化け物め・・・・・。』

ふと、脳裏に血塗れになって倒れる男の姿が過った。

憎悪と絶望に満ちた目で力なく自分を見上げる同胞の姿。

そして、その脇で男の返り血を浴びた長い黒髪の少女。

「糞!糞!糞!」

突然、何を思ったか、ライドウが硬い石畳に額を打ち付けた。

何の手加減もせず、ただ額を石畳に何度も何度もぶつける。

「やめて!ライドウ!!一体どうしちゃったのぉ!!?」

漸く目を覚ましたマベルが、主の異変を察し、懐から急いで這い出す。

滅茶苦茶に石畳に額を打ち付けたせいで血塗れだ。

それに構わず、マベルが止めさせようと主の顔に張り付く。

「はぁ・・・はぁ・・・糞・・・サンタ・・・月子・・・御免・・・俺は・・・。」

荒い吐息の中、無意識に言葉にならない文字の羅列を吐き出す。

訝し気な表情で、妖精が主の顔を見上げた。

「先代に・・・命令されたんだ・・・逃げた娘を連れ戻せと・・・俺は・・・師の・・・16代目の命令に従ったんだ・・・・でも・・・ああ・・・まさか、月子お嬢様を連れ出したのが・・・サンタだったなんて・・・。」

「ライドウ・・・・。」

ぽたぽたと床に滴り落ちる血に混じって、暖かい涙の雫が零れ落ちる。

肩から腰に掛けて袈裟懸けに斬られた親友のサンタこと三田夫。

組織『クズノハ』の暗部”八咫烏(ヤタガラス)”の同期。

共に厳しい訓練を耐え、技を磨き合い、”八咫烏”の中でも先鋭部隊と呼ばれる12神将に抜擢されるまでになった。

暗殺者(アサシン)の任務は反吐が出る程糞だったが、陽気なサンタがいたから耐えられた。

「ら・・・ううん、ナナシ・・・お願いだから私を見て?」

親友を手に掛けた悪夢に脅え、今にも自死しかねない程追い詰められているライドウにマベルが優しく声を掛ける。

「ねぇ?泣かないで・・・貴方は17代目・葛葉ライドウ・・・私の大事な夫であり、”明”と”ハル”の優しい父親・・・。」

血と涙で歪む視界の中・・・そこに居たのは、小さな妖精では無く、かつて自分が最も愛した妻(おんな)の姿があった。

優しい微笑を浮かべ、妻は優しく夫を抱きしめる。

「思い出して・・・貴方は今大事な任務の最中だったでしょ?ダークサマナー=シド・デイビスから、スパーダの力を・・・いえ、この街にいる人々を救う為に貴方は戦っている。」

「・・・・そうだ・・・俺は、葛葉ライドウ・・・”クズノハ”の使命・・・それは、人を悪魔から救うこと・・・。」

ライドウの双眸に徐々にではあるが、正気の色が戻って来る。

ゆっくりと瞼を閉じる。

深く息を吸って吐き出し、閉じていた瞳を開くと、そこには何時もの17代目・葛葉ライドウがいた。

「御免・・・やっと戻って来れたわ・・・。」

乱暴に袖で額の血と涙を拭う。

時々、ライドウは統合失調症の陽性患者の症状と同じ、幻覚、妄想、自我障害などの発作を起こす時がある。

きっかけは、何らかの精神的ストレスが殆どで、今回はドッペルゲンガーがコピーした暗殺者(アサシン)時代の自分の姿を見た為だ。

発作を起こすと先程と同じ、激しい自傷行為を行い、酷い時になるとナイフで自分の腕や脚を突き刺す事もある。

そういう時は、決まってマベルが病死した妻―葛葉・月子の姿になって主人の発作をいつも抑えていた。

「最近、発作起きて無かったのに・・・何で急に?」

元のハイピクシーの姿に戻ったマベルが、回復魔法を唱える。

「分かんねぇ・・・あの糞悪魔に自分のトラウマ刺激されたせいなのか・・・それとも、もっと別の原因があるのかもしれねぇ・・・。」

マベルの治癒魔法のお陰で、傷口は殆ど塞がった。

七星剣を腰の鞘に納め、徐に立ち上がる。

今は兎に角前に進まないといけない。

シド・デイビスが潜った魔界の門まであと少しであった。

 




主人公のライドウ君は一応妻帯者です。
強くてもメンタルが弱いキャラって萌えるww
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