偽典・女神転生―テメンニグル編― 作:tomoko86355
その前に道化師・ジェスターが現れ、公園で起こった猟奇殺人事件の犯人がバージルであり、奴が父親である魔剣士・スパーダの力を手に入れる為に少女達のマグネタイトを生贄に捧げた事を告げる。
一方、クー・フーリンに殺された筈のダンテが何者かの手によって再生。
自分を殺害した白銀の騎士に復讐するべく立ち上がる。
「この塔を作った奴、絶対性格が悪いと思うわ。」
床や壁、果ては天井から一定の間隔を置いて突き出る槍の雨を眺めながら、妖精は主の肩の上で不機嫌そうに言った。
現在、彼等は試練の間と呼ばれるエリアにいる。
最上階に登る為には、最低四つの鍵が必要だ。
此処まで来る道中、順調に三つ目までの鍵を解放した。
しかし、最後の一つ・・・塔の頂に行く為には二つの水晶髑髏を手に入れる必要があったのだ。
「まぁ、後1個、アレをゲットすれば無事終了だ。気張って行くぞ。」
闘の試練の間で手に入れた蒼く光る水晶髑髏を手の中で転がす。
それは、数多の化け物共を屠って手に入れた戦利品であった。
「マベル、危ないから此処に入ってろ。」
「了解。」
最早定位置となったウェストポーチの中に妖精が収まる。
目指すは、槍の雨が降り注ぐ先―水晶髑髏が安置されている台座の所。
補助魔法で筋力を底上げし、一気にゴールまで駆け抜ける。
両手を地面に付き、短距離走の選手がするクラウチングスタートの構えをとる。
「移動補強魔法(スクカジャ)。」
補助魔法を唱えるのと走り始めたのはほぼ同時であった。
移動&回避速度を上げる魔法の効果で、身体が軽い。
漆黒の弾丸となったライドウが、槍の雨を駆け抜けて行く。
槍の切っ先がパーカーの少年を捕えようと襲い掛かる。
しかし、そのどれもが紙一重で躱され、掠り傷一つ付ける事は叶わなかった。
「ほい、ゴールっと。」
槍の雨を潜り抜けた少年が、台座に収まった水晶の髑髏を手に取った。
時間にして数秒。
息切れ一つしていない。
「おーい、生きてるか?マベル。」
ウェストポーチの口を開けて中を覗き込む。
完全に目を回して気絶した妖精が大の字で寝ていた。
「大丈夫みたいだな。」
涎を垂らして白目を向いている妖精を確認して、ライドウが苦笑いを浮かべた。
すると唐突にゴーンっと鐘の音が回廊に木霊する。
見ると巨大な鎌を担いだ死神が時空の裂け目から現れた。
「おいおい、俺はちゃんと試練に打ち勝ってコイツを手に入れたんだぞ?そりゃルール違反じゃねぇのかよぉ。」
盛大に溜息を吐くライドウ。
どうやら、此処の塔を設計した輩は、マベルが言ったように相当性格が悪いらしい。
「!」
背後から感じる殺気に、条件反射で真横に横転して避けるライドウ。
見ると先程まで居た場所に巨大な鎌が深々と突き刺さっている。
「本当、ろくでもねぇよなぁ。」
いつの間にライドウの背後に忍んでいたのか、もう1体の死神―ヘル・バンガードが炯々と光る蒼い双眸でパーカーの少年を睨み付けていた。
「マスター!」
聞き覚えのある仲魔の声。
風を切る音と共に深紅の光が眼前に居たヘル・バンガードの眉間を貫く。
脳天を打ち砕かれ、背後に倒れる死神。
良く見ると額に深紅の槍―ゲイ・ボルグが突き刺さっていた。
「遅くなりました。」
白銀の騎士―クー・フーリンが回廊の入り口に立っている。
あの位置から寸分違わぬ正確さで、巨大な死神の額を愛槍で撃ち抜いたのだ。
槍は、持ち主の意志に従い回転しながら物凄い勢いで主の元に戻っていった。
「丁度良かった、そっち頼むわ。」
ライドウが仲魔に向かってひらひらと手を振る。
回廊内の空間がひび割れ、次々と下級悪魔が姿を現してくる。
仲間を殺された事への怒りか、もう一体のヘル・バンガードが怒りの咆哮を上げた。
同時刻、風と炎の門番の間。
深紅のロングコートを纏った銀髪の大男―ダンテがその大広間に入ると一変で空気が変わるのが分かった。
ゆっくりと背中に背負った大剣『リベリオン』の柄に手を掛ける。
「ほう、兄者。久しぶりの客人だぞ?」
頭上から重々しい声が聞こえる。
見ると大門の両側に巨大な台座が置かれていた。
その頂には、巨大な大剣を持った首なしの像が立っている。
「うむ、どうやら我が眷属の様だな。」
首なしの銅像の持つ刀の柄から声が聞こえる。
良く見ると柄頭の部分に人の顔が彫り込まれていた。
「客人なら是非もてなさねばならんな。」
「そうだな?兄者。1000年振りの客人だから、盛大にもてなさねば失礼だ。」
声はその柄頭から聞こえる。
1000年もの長きに渡る間、誰一人として訪れない門番の仕事が相当暇だったらしい。
声には何処か歓喜にも似た響きが多分に含まれていた。
「はぁ・・・気障野郎の次は刀の化け物兄弟か。」
正直、こんな奴等とまともにやり合う気など更々ない。
一秒でも早く、あの銀色の甲冑を纏った騎士を見つけて、『リベリオン』を叩き込まねば気が済まないのだ。
「兄者、客人の様子が変だぞ?」
そんなダンテの心情など知らない、首なしの悪魔―ルドラが隣にいる双子の兄、アグニに向かって言った。
「あれは溜息だな。どうやら客人は機嫌が悪いらしい。」
「むむ、それはイカン。折角来てくれた来訪者なのだ。手厚くもてなさねば天罰が下る。」
「その通りだ弟よ。1000年振りの客人なのだ。楽しませねば、我らの沽券に拘わる。」
「おい、お喋りはそれぐらいにしとけよ?糞悪魔共。」
これ以上、不毛な会話など聞きたくもない。
ダンテは大剣を背中から引き抜き、石畳に突き立てる。
「俺はその門を通って先に進みたい。お前等門番なんだろ?だったらやる事は一つだろうが。」
両腕を組み、不敵な笑みを浮かべるダンテ。
いくら半分、人間の血を引いているとはいえ、やはり悪魔は悪魔。
その好戦的な悪魔特有の感情を抑える事等敵わない。
「成程、そうなると話は違って来るな。」
「その通りだな?兄者。是非とも我等に力を指示して貰わねば困る。」
台座から飛び降り、ダンテの眼前に降り立つ2体の悪魔。
大剣を構えるその姿は、寺院の表門を守る仁王像さながらであった。
「へ、そうこなくっちゃ面白くない。」
突き立てた大剣を引き抜くダンテ。
戦いのゴングは今打ち鳴らされた。
大分無理設定がありますけど、ヴァチカンはクズノハを完全に下に見ており、どーでも良い下級悪魔が起こした事件とか面倒な輩は、全てライドウ達クズノハに押し付けてると考えて下さい。