お嬢様と男の子の「恋」   作:モンターク

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久しぶりの二人です



今回は自分だけだとかなりしっくりこなかったので校正をお願いいたしました。

校正協力 
紗月ゆき様
https://yuki-satsuki.amebaownd.com/


帰り道の二人

日直がさようなら、と挨拶をすると、クラス全員がその後に続いて復唱した。ミナと聡太がいる四年一組の教室では帰りの会が終わり、生徒達は一斉に帰る支度をし始める。一緒に帰ろうと声を掛け合っている生徒達もいれば、一人でいつの間にか教室を後にしている子、まだまだ体力が余っていて友達と早速校庭に行こうとするグループなど、様々だ。

 

「あの、聡太さん……」

「わ、ミナちゃん、どうしたの?」

 

帰り支度をしていた聡太にミナが話し掛けてきた。ミナはしっかりと帰る準備が終わっており、トートバッグを片手に落ち着かない様子で聡太を見つめている。彼女はランドセルを使わない。

 

「今日、一緒に帰ることってできます……?」

「一緒に?僕と?」

 

聡太は不思議そうにする。いつもは校門前に明らかに高級そうな車が停まり、それに乗ってミナは帰宅する。今日も当然そうだと聡太は思ったのだ。

 

「いつもならじいやが迎えに来るの。でも今日はじいや風邪を引いてしまっていて……」

「そうなんだ……それは心配だね」

 

ミナはなかなかない事態に戸惑っているようで、不安げに瞳を揺らした。表情は暗く、今にも泣きだしそうに見えた。歩きで帰る事、友達を帰りに誘う事……普通の子にとって簡単なことでも、ミナにはハードルが高いのだろう。

 

「帰り道はわかりますの……でも、一人で歩くのが……」

「いいよ、一緒に帰ろう」

「……!ありがとう存じます……!」

 

花が咲いたかのように、一気にミナの表情が明るくなり、頬がほんのりと染まる。その様子を見て、引き受けてよかった、と聡太は思ったのだった。

 

 

 (って、引き受けたのは良いんだけど……)

 

  昇降口で靴を履き替える時に、靴を靴箱に入れるミナを見て聡太はどきりとする。よくよく考えてみれば、“二人っきり”で“一緒に帰る”ということは、かなりすごいことなのではないだろうか……?

 それに気づいた瞬間、聡太の顔はみるみる間に火照っていく。

 

「聡太さん?」

「ふっ……?!ど、どうしたのミナちゃん」

「いえ……聡太さんのお顔が赤くなっているので……どうしましたの?」

 

 ミナに言われ聡太は壁にある鏡を横目に見ると、耳まで赤くなっている自分の姿が映った。

 

「あ、ちょっと……な、夏になってきたから暑いからだよ!うん!」

「そうですわね、今日も汗ばみますものね」

 

 にっこりと笑いかけてきたミナにまた動悸が速くなったが、何とか誤魔化すことには成功したらしい。靴の左右を間違えそうになりながらも、外に出ることが出来た。

 

 

「この道はこんな景色だったのですね……」

 

 ミナと聡太は桜の木が道の両脇に植わっている通りを歩いている。春には満開の桜がまるでトンネルのように見える道だ。もちろん既に時期ではないため、今は枝先に緑が生い茂っている。心地よい風が吹いて、葉が揺れている。

 

「いつもは車から見ているので……新鮮ですわ」

「そうなんだ……結構違うものなんだね」

「はい……あ、これもいいですわ……」

 

 ミナは辺りを注意深く、興味津々に見渡しながら歩いている。その様子はやはり“同い年の女の子”らしい姿であり、いつも自分が考える遠い存在ではなかった。

 

(……やっぱり、……うん、かわいい)

 

 聡太はそのミナの様子を見て胸がぐっと締め付けられる。こんな風に毎日一緒に帰れたら……もっと話が出来たら……聡太の気持ちは落ち着かない。

 

「聡太さん?もっとこちらに寄ってはいかが?」

「う、うん……」

 

 ミナをじっと風景と一体として見るあまり、段々と遠のいてしまっていたようだ。気になったミナは聡太に声を掛ける。聡太は慌ててミナに近くに寄り、隣を歩く。ミナは背筋をぴんと伸ばして長い髪をふわりとなびかせながら歩みを進める。聡太はその可憐な姿に見惚れる。

 

(絵本の中のお姫様みたい……)

 

改めて二人っきりであることを意識してしまい、結局聡太はあまり喋ることが出来なかった。

 

 

 時間が過ぎるのは早く、気付くともうミナのお屋敷の門前だった。ミナは門の前に止まると、聡太の正面に回り込んだ。目の前にミナが立ったことで聡太は心臓が跳ね上がる。

 

「もう大丈夫ですわ、聡太さん」

「そ、それはよかった……じゃあ、また!」

「あ……!」

 

 ミナの脇をすり抜けて、聡太は門前をそそくさと後にする。後ろにミナの視線を感じてはいたが、今は振り返って手を振る余裕など持ち合わせていなかった。

 

(まだ、心臓が……ドクドクしてる……!)

 

 聡太はランドセルの肩ベルトをぎゅっと掴むと、歩く速度を速めた。その背中を見つめながら、ミナは残念そうにつぶやく。

 

「……もう少しゆっくりお話したかったのですけど……お急ぎのようでしたし、仕方がありませんわね……」

 

 小さくなっていく聡太を見送って、ミナは柔らかく微笑んだ。

 

「また、明日」

 




尊い…尊い……!

引き続き子供同士研究中で
そのせいか同人誌が段々積まれていくが気にしない気にしない
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