【改定につき更新停止 】 ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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12話 UC0070年9月

アナハイム・エレクトロニクス社

フォン・ブラウン工場

 

やあ…諸君。ギレン・ザビである。

今日はアナハイム社から連邦軍の最新鋭戦艦であるマゼラン級の進宙式に呼んで貰ったので月のフォン・ブラウンまで来ている。

ハマーン様事件の後、アイナの対応が冷たくて事務的な口調でしか口を聞いてくれず家に居づらいからとかでは決してない。

 

さて我がジオンでもムサイ級(ムサイ後期型の設計仕様)の設計と試作は完了しているものの、現時点で本格的に量産に入ると連邦軍の警戒が強くなるため今はムサイ級に容易に改造できるように設計した輸送船アルカナ級の建造を開始し、新興企業のGNCで運用を始めている。

 

GNC(ギレン・ネットワーク・カンパニー)は早い、安い、うまい…ではなく手続き簡単を売りに俺が立ち上げた私設の物流企業である。本来軽巡洋艦として開発された事に伴うアルカナ級の足の速さと、使い勝手の良いモビルワーカーとのセット運用による大幅なコスト削減、職権乱用による簡単手続きが売りで他のサイドからも問い合わせがくる程の人気ぶりとなっていた。

 

それはさておき、今日の主役は連邦の戦艦であるマゼランである。まだ連邦ではメガ粒子砲が完成していないため、主砲はレールガンとなっている。そのため主砲の形状は多少違うものの、それ以外は俺が知っているマゼラン級と大差はなかった。今のところ連邦の大艦巨砲主義に変化はないようなのでほっとしていると、アナハイム社のビスト会長が話しかけてきた。

 

「自分でご招待しておいて何ですが、まさかギレン閣下にお越し頂けるとは思いませんでした。どうですかな?このマゼラン級戦艦は?」

 

「素晴らしい艦だな。宇宙海賊に対抗する為に開発されたと聞いたが、どんな海賊があれに対抗できるというのやら。私としてはあの強大な砲口が我が国に向くことがないよう祈るばかりだ。」

 

まだ計画段階らしいが、将来的にはマゼラン級戦艦だけでも50隻近く、サラミス級巡洋艦やレパント級ミサイルフリゲートを含めれば400隻近い艦艇を建造する計画だという。それをコロニーの税金で造るというのだからサイド3のみならずスペースノイド全体から抗議の声があがるのもやむ無しというものだろう。

 

「ハハハ。そのような事態にならぬようジオンとは今後は仲良くしていきたいものですな。」

 

く、人事だと思って余裕ぶりやがって…

ん?そういえば確かこいつは…

 

「私もアナハイムとは仲良くやっていければと思っている。そういえばビスト会長のフルネームはサイアム・ビストでよろしかったか?」

 

「?はい。そうですが…それが何か?」

 

間違いない。こいつが「箱」を持っているサイアム・ビストだ。

 

「クク…。やはりそうでしたか…。「箱」の力を持ってすればアナハイム社は今後も安泰。そういう事ですかな?」

 

「!!?!?な…。は、箱とは何の事でしょう?」

 

「ほう。このような人目のある所で「箱」について語っても良いのか?「羊飼い」殿」

 

「!!!!…。いったい何処までお知りに…いえ、よろしければ場所を改めてお話しさせて頂ければと思います。」

 

「そうですな。それでは場所を移すとしましょう。」

 

フフフ。混乱しているな。自分以外に知る人のいないハズの秘密をもっとも知られてはならない人物に知られていたと言うのだからそれも当然というものだが。

 

「ここならば周囲の目を気にしないで話して大丈夫です。」

 

「ウム。」

 

「単刀直入にお伺い致します。ギレン閣下は何処まで「箱」についてお知りになっているのですか?」

 

「ウム。私が知っているのは「箱」を貴方が握っていること。「箱」の正体。そして貴方が羊飼いとして「箱」を入手した経緯位のものだ。」

 

「いったい何処でそれを…?」

 

フム…。脅して従える事もできるだろうがユニコーンでみた限りサイアムは味方にできる可能性がある。ここは一つ賭けに出るとするか。

 

「サイアム会長。貴方は「夢」を見たことはおありかな?」

 

「?夢ですか?」

 

「そうだ。一つ目の巨人が宇宙を飛び回りコロニーが地上に向け落下していく夢だ。」

 

「!!…。まさか…。」

 

「私は見たのだよ。その夢を。夢の中で首相官邸ラプラスが砕けちり貴方が「箱」を入手する姿を。そして我らがコロニーの大地が地上に落下し砕け散っていく瞬間を。

初めは可笑しな夢だと思っていたのだが繰り返し同じ夢を見る事で次第に夢の内容について興味を持つようになり調べ始めた。その中で貴方の存在を知る事で、私は単なる夢を見ていたのではなく過去や未来を覗き見ているのではないかと思い至るようになった。

だがそれはこれから先コロニーが地上に落ちるような大戦争が起きる可能性があるという事だ。」

 

「何と…。まさか…。あれがまさか未来の姿だとお考えなのですか?!」

 

「ラプラス事件が真実であった以上、それ以外の部分も真実として考えるべきであろう。だが、過去と違い未来はまだ変える事が出来る。

少なくとも今の私にはコロニーを地球に落とすような戦いをする気はない。しかし我がジオンが独力で連邦軍に勝とうとするならコロニーを落とす位の事をせねば勝ち目がないのもまた事実だ。故に私に貴方の力を貸してほしい。サイアム・ビスト。」

 

「私の力…ですか?」

 

「そうだ。我らジオンに巨大複合企業アナハイムと連邦すら恐れる「箱」の力が加わればコロニー落としなどせずとも連邦と渡り合う事も可能になるかもしれん。」

 

「…我らアナハイムは連邦と深く関わり過ぎております。閣下の望まれるような全面的な協力をさせて頂くのは困難かと思いますが…。」

 

「当面は陰ながらの支援でかまわない。わがジオンの製品をアナハイムでも積極的に導入する等のな。」

 

「その程度の事なら確かに私の裁量でも可能ですが…。」

 

「それから先はまた互いに誠意を示し、信頼関係を築いてから改めて相談できたらと思う。」

 

「…いいでしょう。ではまずはそのような形で。」

 

ふぅ…。なんとかサイアム・ビストとのファーストコンタクトは無事に終了した。

これでアナハイムがジオン規格の製品を多く使うようになれば開戦後に月を占領してからアナハイムと協力するのが容易になるだろう。

それでは最後にひとつ取引を提案してからボロが出る前に帰る事にしよう…。

 

一一一一一一一一一一一一

 

side

サイアム・ビスト

 

宇宙世紀元年、貧困のため報酬目当てでテロに加わった私は、仲間とともに作業艇で逃亡する最中、艇内に仕掛けられていた時限爆弾により船を爆破されてしまう。

たまたま外で作業中だった私はその衝撃で吹き飛ばされ宇宙を漂う中であり得るはずがない幻を見た。

それは、一つ目の巨人の群れが宇宙を飛び回りコロニーが地上に向け落ちていく地獄絵図だった。

幻が去り我に帰った私は爆破されたラプラスの残骸の中に漂う不思議な箱形の物体を発見し、その後民間船に救助され今に至る。

 

その後「箱」の話をした事はあってもそれ以外の事を語った事は一度たりともなく、故にその事を知る者は誰もいないと思っていた。今日までは。

 

「まさか私の過去を知る者が現れ、それがかのギレン・ザビだとは…。だが…。」

 

だがそれ以上に一つ目の巨人とともに地球に向かって落下していくコロニーの姿が幻ではなく未来だというのなら、「箱」はその未来を防ぐ為に私の所に来たのだろうか?

 

そして同じ幻を見たギレン・ザビはその未来を変える為のカギとなるとでもいうのだろうか…?

 

「わからんな…。まあとりあえずジオンと取引を増やす位なら問題なかろう。問題は…。」

 

最後にギレンが提案してきた技術情報の裏取引についてだ。

 

現在連邦が運用している61式戦車とミデア、それに開発中のセイバーフィッシュの設計データと引き換えに、チベ級と次世代兵器のメガ粒子砲の設計データをジオンが提供するか…。

 

チベ級のデータはともかく次世代兵器のメガ粒子砲の設計データは喉から手が出るほど欲しい。

それさえあればサラミス級の建造についてもわが社で独占する事が可能になるかもしれん。

 

ここは一つ提案にのってみるとするか…。




とりあえず形になったので投稿します。

次期主力モビルスーツとして採用するなら次の機体のうちどれ?※このアンケートで選ばれた機体が本作の次期主力機になるかはわかりません。

  • やっぱり安定のゲルググ
  • みんな大好きギャン
  • ゲルググもギャンもいらぬ。ドムこそ至高
  • 次期主力機?もうジムでいんじゃない?
  • いっそのこと他の作品から持ってきてビルゴ

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