【改定につき更新停止 】 ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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過去最長になってしまった…。
実はヨルムンガンドが本当に秘密兵器なのです…。


31話 UC0079年1月 一週間戦争

一週間戦争記

 

1年戦争が始まったのはUC0079年が明けて間もない1月3日である。

開戦に向けた準備を万端に整えていたジオン公国軍は、宣戦布告と同時に月と各サイドの駐留艦隊に対して一斉攻撃を開始した。

 

ソロモン近海に集結していたドズルとガルマ率いるジオン連合艦隊への対応に終始していた連邦軍にとってこれは完全な奇襲となり、ジオン艦隊と各地に潜伏していた特殊部隊との間に挟み撃ちにあった駐留艦隊は有効な反撃すら行なえぬままほぼ壊滅した。

ただ、これは連邦の油断というよりはジオン側が一枚上手だったというべきであろう。

連邦軍とてジオン艦隊の戦力をある程度掴んでおり、その戦力の殆どがソロモン近海に集結している事を確認していたが故に生じた隙をついたものであった。

後に公開されたジオン側の情報によると、当時ソロモンに集結していたジオン艦隊の約半数はダミーであり、残りの半数は各地に展開し様々な任務にあたっていたのである。

結局、開戦から僅か四十時間でサイド1、2、4の三つのサイドの駐留艦隊が壊滅し、補給・連絡が途絶した状況で最後まで抵抗していたサイド5の駐留艦隊も七十二時間後には全滅した。

 

一方連邦も5日になってようやくルナツーから第四、第六艦隊をティアンム中将を総司令としてソロモン近海に向け発進させた。これは駐留艦隊こそ壊滅したものの、コロニーや月都市への被害がほとんどなかった事から先にジオンの主力を叩くべきとの意見が大勢を占めた為である。

 

8日に入って、宇宙世紀において初の大規模宇宙戦が勃発する。また、この戦いはミノフスキー粒子の登場により連邦のレーダー神話が崩れた戦いであり、同時にモビルスーツが戦いの趨勢を決めた初めての戦いでもあった。

開戦と同時にジオン軍は大量のミノフスキー粒子を散布し、連邦軍のレーダーや通信機器を麻痺させることに成功。続いてビーム攪乱幕を展開し連邦のメガ粒子砲を無力化したジオン艦隊は、艦隊決戦砲「バハムート」と「ヨルムンガンド」による一方的な遠距離攻撃を開始した。

これはメガ粒子砲と違い核融合プラズマビームがビーム攪乱幕の影響を受けない事を利用したジオン必勝の策であった。

ミサイルによる攻撃をミノフスキー粒子で、メガ粒子砲による砲撃をビーム攪乱幕で防がれた連邦に遠距離から砲撃を繰り返すジオン艦隊を倒す術はなく、この状況を打破する為にセイバーフィッシュ隊を展開し近距離からの直接砲撃により勝負を決める為の突撃を開始する。

ただ、それはドロスという大型空母とモビルスーツという切り札をもつジオン軍に対しては最悪の選択であった。

 

ドロスやムサイから出撃したジオンのモビルスーツ部隊は数が少ない上に小回りの利かない連邦軍のセイバーフィッシュ隊を圧倒する。僅か十数分の戦闘でこれを壊滅させるとミノフスキー粒子によりLFCSDS(大規模艦隊統制防宙システム)が機能しない連邦艦艇に接近し次々と血祭りにあげていった。結果、開戦より五時間後には連邦艦隊は戦力の80%を消失して撤退する事になる。

 

この戦闘結果を聞いて色めき立つ連邦軍首脳部であったが、諜報部から入った情報により更なる衝撃を受ける事になる。地球圏に向けて移動していたアクシズが、当初の予定場所であった月軌道で停止せず地球に向かっている事が判明した為である。

そしてそのままの軌道を継続した場合の最終到達予想地点は連邦軍本部ジャブロー、今自分達がいるその場所であった。

 

やあ…諸君。新年あけましておめでとう。ギレン・ザビである。

開戦から今日迄の流れを戦記風に纏めるとこんな感じだろうか。

 

当初想定していたよりも順調な滑り出しで戦局が推移しているため、今はホッと一息いれているところだ。特に8日の大規模戦闘でミノフスキー粒子とビーム攪乱幕の効果を警戒して撤退され、そのままゲリラ戦でもされたらどうしようかと思っていたので正直助かった。接近されたらLFCSDSで迎撃すれば良いと考えていたんだろうが飛んで火に入る夏の虫である。只、艦艇をあれだけ沈めたのにティアンムが乗るバーミンガム級は沈められなかった。流石は0083当時としても有数の戦闘能力を誇る戦艦である。 まあ、第六艦隊の旗艦の方をランバ・ラルが白兵戦で制圧してきたのでとりあえずはよしとしよう。

 

さて、今頃連邦は我々の流したアクシズ落としの情報に色めきたって、艦隊を出撃させる準備をしているところだろう。

此方は、アクシズの民間人を全てモウサに移しサイド3宙域で切り離したので準備万端である。

後は連邦艦隊が集結してくれるのを待つばかりだ。

一度しか使えない手なのでできるだけ多くの艦が集まってくれると良いのだが。

 

さてそれではジャブローから出撃した第一陣を潰したらアクシズに帰るとするか。

ハマーン、ララァ、ダミーを使った奇襲は頼んだぞ。

 

一一一一一一一一一一一一

 

side

名もなきとある連邦士官

 

ジオンのアクシズ落としに対抗するためジャブローから宇宙に上がった我々第二地球軌道艦隊を待ち構えていたのは、単艦で連邦艦隊と戦えるように建造されたジオンの怪物艦であった。

 

赤く塗装された巨艦の放つメガ粒子砲が漆黒の宇宙を切り裂く。我々の射程の遥か外側から放たれたその砲撃は重装甲を誇るマゼラン級戦艦の装甲をいとも容易く貫通し、その内部に高温のメガ粒子を撒き散らしてその姿を巨大な火球へと替えてしまった。

 

「くそっ。また一隻喰われた!まだ此方の射程に入らないのか?!」

 

「駄目です!大気圏離脱するのにエンジンを限界まで酷使していたためこれ以上酷使するとエンジンが壊れます!」

 

「このまま沈められるよりはマシだ!爆発しても構わん!何とか此方の射程に入るまで敵艦に接近しろ!」

 

「…了解です。どうなっても知りませんよ?!」

 

士官学校を次席で卒業した私であるが、このような戦況での適切な対処法など士官学校では全く教えてくれなかった。

 

「ぐっ!」

 

先程沈んだ僚艦がデブリとなって本艦にぶつかる。最新鋭艦である本艦がこの程度で沈む事などあり得ないが、敵艦の主砲が直撃すれば自身もデブリの仲間入りする事は間違いなかった。

 

「これでマゼラン二隻、サラミス八隻だと?!まだ我々は一発も敵艦に当てていないのだぞ?!対艦ミサイル!発射できるか?」

 

「発射はできますが例のミノフスキー粒子とやらのせいでほとんど誘導できません!当たりませんよ?」

 

「構わん!牽制になれば良い。撃て!」

 

艦隊の主力を構成するサラミス級巡洋艦とレパント級ミサイルフリゲート艦から次々と長距離対艦ミサイルが発射される。

40隻近い艦艇から発射されたミサイルの雨は相手がどんな巨艦であってもデブリに変えてしまうだけの破壊力を秘めていた…当たりさえすれば。

 

「駄目です。ミサイルが明後日の方向に!」

 

「くそっ!」

 

ミノフスキー粒子とかいう悪魔の兵器のお陰で、レーダーばかりか電子機器も多大な影響を受けろくに機能しない。その存在を否定していたという科学者に会うことができたなら、きっと俺はそいつを殺して軍法会議行きになるだろう。だがそうするためにはまず生き残らねば。

 

「構わん!弾がある限り撃ち続けろ!」

 

「艦長!間もなく本艦のメガ粒子砲の射程に入ります!」

 

「ようし!我が艦の力を見せてやれ!撃て!」

 

5基の連装メガ粒子砲が宇宙を切り裂いて敵艦に向かうも、目視による手動照準に馴れていないせいか敵艦には掠りもしない。

 

「何をやっている!落ち着いてよく狙え!」

 

と思わず言ってみたものの自身が落ち着けていない事に気がつき大きく深呼吸をする。

 

「落ち着け。慌てても当たらん。それに間もなくマゼランやサラミスも敵艦を射程に収めるのだ。そうなれば此方の優位は揺るがない。」

 

そう言った途端敵艦が猛烈な勢いでメガ粒子砲を連射したかと思うと、今度は急にモビルスーツを射出し始めた。

 

「サラミス級巡洋艦、アシヤ、クレ轟沈!敵艦モビルスーツを展開し始めました!」

 

射出された緑色のモビルスーツはまるで盾になるかのように敵艦の甲板上に展開し始める。

 

「ふん!この距離でモビルスーツなど何の役に立つというのだ。構うな!そのまま撃ち続けろ!」

 

暫くするとマゼランやサラミスも敵艦を射程に捉え砲撃を開始した。

急速に増えた味方の砲撃と突然敵の砲撃が途絶えたことも手伝って敵艦に対する至近弾が増え始めた次の瞬間、それはおきた。

敵艦に直撃した!そう思った矢先メガ粒子砲が拡散し宇宙の霧となって消えたのだ。

 

「バカな!なんだこれは?!」

 

第四艦隊の交戦記録から、敵が何らかのメガ粒子砲に対する防御手段をもっている事は聞いていたが、正直今まで半信半疑だった。だがモビルスーツ相手の接近戦は無謀な事も分かっている。ここは一度後退してルナツーを目指すべきか…。しかしそれではアクシズの落下を阻止できない。そんな風に考えた次の瞬間だった。

 

「艦隊の左翼を隕石群が通過します。」

 

宇宙世紀においで隕石は特に珍しい存在ではなかったが、ブリッジ要員のその報告を受けて何気なく私がそちらを見た次の瞬間、隕石が弾け中からモビルスーツが姿を現した。

 

「左翼!敵機!」

 

私がそう叫ぶのとほぼ時を同じくして、我が艦隊左翼は白を基調にピンクのラインで塗装された機体と全身緑色に塗装された機体の2機を先頭に突撃してきたモビルスーツの群を相手に蹂躙された。

 

本来なら防空識別圏に入ると同時にLFCSDSにより自動的に迎撃されるはずのものがミノフスキー粒子のせいで全く機能せず、個々の艦の対空砲で迎撃するには敵の機体は余りにも速すぎた。

 

敵のモビルスーツは左翼外周部のレパント級を無視して艦隊防空圏の内側に入り込むと、手に持った大型ライフルにより次々とサラミスのメインエンジンを撃ち抜きながら艦隊中央部に向け進攻を開始した。

これに対し我が艦隊は、味方の艦が邪魔になり火力を集中できず散発的な対空砲火で個々に対応するしかなく、そして敵機はそんなもので落とせるほどなま易しいものではなかった。

 

「左翼艦隊散開!できるだけバラけて逃げろ!中央及び右翼は左翼からできるだけ距離をとる!急げ!」

 

「提督!右翼に敵艦が!」

 

その副官の声に思わず右翼をみれば、先程まで艦隊の正面にいた敵大型戦艦がモビルスーツ隊を射出しながら急速に右翼に向かって接近していた。

 

「バカな。一体何機搭載していると言うんだ!」

 

左翼を食いつくし中央部に襲いかかりつつある高機動型だろうモビルスーツだけでも20機近く。そして今、右翼を崩壊させつつある機体は少なく見積もっても50機はいるだろう。

 

「バカな!!なぜあの白い機体はあんな機動ができるのだ?!モビルスーツがこんなに速いなんて聞いてないぞ!!」

 

「あの緑の機体は未来が見えているとでもいうのか?なぜこれだけの砲火をいとも容易くかわせるのだ?!」

 

「こちらマクドナルト、航行不能。艦を放棄する。繰りか…」

 

「来た!青いやつだ!青い奴らの一つ目の群だ!!」

 

「こっちには緑のやつの群もいるぞ!セイバーフィッシュは何をやって…」

 

「いやだ!死にたくない!いやぁぁぁぁぁぁ…」

 

ミノフスキー粒子散布下でかすかに聞き取れる我が軍の通信は完全なパニックだった。

爆散する連邦軍の艦艇に一刀両断にされる艦載機。

逃げ出す巡洋艦に、情報部に「作業用」と言われていた新たなる兵器の群によって沈められていく戦闘艦。

もう軍隊として機能していない。

 

「提督…。艦隊のほぼ全ての戦闘艦が航行不能になりました。我が艦も砲塔の大半が使用不能です…。」

 

「そうか…。」

 

「提督!ジオン艦隊より通信です!貴君らの勇戦に敬意を表し残余のコロンブスに乗り現宙域より離脱するのならばこれ以上追撃はしない。以上です…。」

 

「…。総員退艦。」

 

「了解です…。ってっ提督?!」

 

こうして連邦軍第二地球軌道艦隊は、ジャブロー上空で、1隻の敵艦に捕捉され壊滅した。




先ずはCBさんいつも誤字修正ありがとうございます。
他にも何名もの方に誤字を修正して頂き私の作っている作品をよく見て貰えているのだなとても励みになっています。

ヨルムンガルドについてはジージェネェでIフィールド無効だったのでビーム撹乱膜も貫通するという設定にさせて頂ました。展開中でもビームサーベルなら使えるみたいですし。
甲板に展開したのはD型装備のザクⅡで小規模のビーム撹乱膜展開能力を持っているという設定です。

次期主力モビルスーツとして採用するなら次の機体のうちどれ?※このアンケートで選ばれた機体が本作の次期主力機になるかはわかりません。

  • やっぱり安定のゲルググ
  • みんな大好きギャン
  • ゲルググもギャンもいらぬ。ドムこそ至高
  • 次期主力機?もうジムでいんじゃない?
  • いっそのこと他の作品から持ってきてビルゴ

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