【改定につき更新停止 】 ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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8話 UC0069年8月②

サイド3 ギレン邸

 

やあ…諸君。前回からの続きである。

 

前回、ジオン公国宣言に反発した一部のダイクン派が爆弾テロを計画し、それをキシリア配下の治安部隊が制圧した事については説明したと思う。だがその爆弾テロを計画した事になっているのが数少ないダイクン派の議員であるカーウィン議員であり、治安部隊による拘留中に死亡した事は伝えていなかったと思う。

 

治安部隊の捜査によりカーウィン議員が議会に持ち込もうとしていたカバンから時限爆弾が発見され、その後の調査でカーウィン議員の自宅で押収されたパソコンから爆弾テロを計画したデータが出てきたことで犯人と特定された。

まあ、最初から最後まで本人は関与を否定していたらしいので正直俺はキシリアによる自作自演の逮捕劇ではないかと思っているのだが…。

それよりも今重要なのは、死亡したカーウィン議員が無実かどうかでなく彼の娘であるメイ・カーウィンについてである。

 

メイ嬢は登場したゲームの中で弱冠14歳でありながらエンジニアとして天才的な才能を持っており、10歳のころからジオニック社の一員としてザクの開発に携わっていたとされている才媛である。 

元々彼女のファンだった事もあり何とか彼女を味方にしたいと考えていたのだが、俺がアクションを起こす前に今回の事件がおきてしまった。そして父子家庭であった彼女は父を失い、親戚からも拒絶され、全ての身内を失ってしまったのである。

ダイクン派の中には彼女を引き取りたいと考えている者がいるかもしれないが、表向きとはいえ爆弾テロを起こした者の身内を引き取るのは二の足を踏むのだろう。今彼女は国の施設に入っており、どうやらその中で凄絶な苛めを受けているようであった。

あきらかにザビ家の被害者なので出来れば俺が引き取って助けてあげたいのだが、彼女から見れば俺は父親の敵のようなものだ。果たしてそれが助けになるのかどうか…。

 

「うーん…。どうしたものかな…。」

 

書斎でメイ嬢の資料を読みながら悩んでいるとアイナ嬢がメイド服姿で入ってきた。

 

「失礼します。閣下。コーヒーをお持ち致しました。」

 

「うむ。ご苦労。」

 

いやぁやっぱりメイド服は良いね!

 

「何かお悩みですか?」

 

「ああ一つ難題があってな。先日爆弾テロの主犯とされて亡くなったカーウィン議員の娘が国営の孤児院に入ったのだが、そこで苛めなどで苦しんでいると聞いてな。それで私が引き取ろうかと考えたのだが、はたして彼女がそれを望むかと思ってな。」

 

「…私は閣下がなさりたいようにされるのが宜しいかと思います。メイさんがどうしたいのかは彼女にしかわかりません。もし閣下が引き取られてなお彼女が施設に戻る事を望むのならばその時にまたお悩みになったら良いのではないでしょうか?」

 

「フム…。だが、仮に私が引き取った場合、おそらくアイナの仕事が色々増える事になるぞ?」

 

「閣下のお陰でこうして充実した時間をすごさせて頂いています。多少仕事が増えるくらい何でもありません。」

 

そう言いながら微笑むアイナ嬢マジ天使。本当は背中から羽とかはえてね?

 

「わかった。ではメイ嬢を引き取る事にしよう。少し席を外してくれ。」

 

こうしてアイナが退室した後、デギンにメイ嬢を引き取る旨を連絡するギレンだが、より一層ロリコン疑惑が深まりそれに伴うトラブルが起きる事をまだ彼は知らないのであった。

 

一一一一一一一一一一一一

 

side

メイ・カーウィン

 

「お父さんがそんな事するハズない!」

 

何度私はそう周囲に訴えた事だろう。だけど周りの返事はどれだけ繰り返しても何もかわらなかった。

 

「でも君のお父さんの荷物から爆弾が発見され、君のお家のパソコンからも爆弾テロを計画したデータが見つかっているんだよ。」

 

前に私が見た時にはそんなデータなんて何処にもなかったと言っても、容疑者の身内で子供の私の証言など誰も信用してくれない。

そんなやり取りを何度も繰り返している内にやって来たのは、父が取り調べ中に急病で死亡したと言うさらなる凶報だった。

 

健康だったハズの父が突然急死するハズもないのに急病だと言われ、その亡骸を求めても捜査中を理由に拒否され、結局父が私の元に帰ってきてくれた時にはその姿は骨だけになっていた。

 

その後、父の遺骨とともに親戚の所へお世話になる予定だったが、爆弾テロ犯の娘など面倒をみれないと断られてしまい、行き先の無くなった私は国の運営する孤児院に入る事になった。

 

そしてその孤児院の中は私にとって外の世界以上に地獄のような場所だった。世間に流布されている情報しか通じない孤児院の中で私は凶悪な犯罪者の娘であり、それはつまり私が凶悪な犯罪者として扱われるのと同義だった。

孤児院で一番狭く汚い部屋に押し込まれ、僅かな私物も取り上げられた上に、私がテロをおこさないようにと自由は極端に制限された。そして、そんな私は孤児院で抑圧されている子供達にとって格好の苛めのまとだった。日々繰り返される苦しみの中で私が父の後を追いかけようかそう思い始めたその時、その人は現れた。

 

「カーウィン!すぐにこの服に着替えて応接室まできなさい!」

 

孤児院の職員が以前に没収した私の服を持って随分慌てた様子で部屋に入ってきた。言われた通り服を着替えて応接室に入ると、そこには思いもよらない人が私を待っていた。

 

「はじめましてカーウィン家の娘よ。ギレン・ザビである。」

 

「は…はじめまして…。メイ・カーウィン10歳です…。」

 

「ウム。先ずはお父上のご冥福をお祈りさせて頂こう。」

 

父を殺したザビ家の人が何を…。事務的な表情で言う目の前の男に思わずそう思っても、今の私にそれを口に出す勇気はなかった。

 

「信じて貰う事は出来ないだろうが、私は君のお父上がテロを起こそうとしていたとは考えていない。故に君が謂れ無き罪で苦しんでいると聞きほうっておけなくてな。君さえ良ければ、私の屋敷にくる気はないかね?」

 

「…。え?…。」

 

「君のお父上の無実を証明する事は私には出来ない。その権限が私にはないからな。だが、君をこの施設から出し不自由のない生活を送らせてあげる事ならばできる。それにザビ家の後ろ盾があれば不要な嫌がらせを受ける事もなくなるだろう。」

 

「…。それは…。そうかもしれないけど…。」

 

「もし屋敷に来て、それでも此処に戻りたいと思うなら直ぐに戻れるように手配しよう。それでどうかね?」

 

「…。本当にお父さんが無実だと思ってくれているの?」

 

「確証はない。しかし、君のお父上がテロを起こす必要はどこにもなかった。だからそう思うだけだ。」

 

…。正直ザビ家の事は憎い。でもこの人は私の知る大人の中で只一人自分から、お父さんが無実だと言ってくれた。そんな人の所ならこんな場所に居るより多少はましかもしれない。そう思った私は、意を決して口を開いた。

 

「…。わかりました。ただ…。ひとつだけお願いしても良いですか?」

 

「何かね?」

 

「もし、もし父が無実だという証拠を私が見つけたら。父の無実を晴らすお手伝いをしてもらえますか?」

 

「…。確約は出来ない。君のお父上の無実を晴らす事でジオンが混乱し、国の大事となるような状況であれば私は協力する事は出来ない。だが、そうでなければ可能な限り協力する事を約束しよう。」

 

100点満点の回答ではなかったけど、それがかえってこの人なりに考えて出してくれた答えなんだと感じる事が出来る。

 

「…。それで十分です。どうかよろしくお願いします。」

 

だから私は歩き始める事にした。新しい明日に向かって。




そら豆さん誤字修正ありがとうございます。
Reppu さんに至っては文脈まで直してもらい助かりました。
年齢設定が原作と異なるキャラクターが出てくると思いますので年齢の部分については多目にみて頂けると助かります。

次期主力モビルスーツとして採用するなら次の機体のうちどれ?※このアンケートで選ばれた機体が本作の次期主力機になるかはわかりません。

  • やっぱり安定のゲルググ
  • みんな大好きギャン
  • ゲルググもギャンもいらぬ。ドムこそ至高
  • 次期主力機?もうジムでいんじゃない?
  • いっそのこと他の作品から持ってきてビルゴ

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