『73対71!! 残り時間5秒!! ここで、チームのエース十六夜御影にボールが渡った!!』
実況が叫ぶ。
目の前にはディフェンスが三人
抜くのはそうそう容易くはない。
だけど、俺には無意味
技術もないただのチェンジオブペースで抜く。
『十六夜選手、三人抜きました!! 後は2人どうする!?』
んなもん決まってる!!
「心の折れる高い逆転スリーだ。」
俺はハーフラインからシュートを打つ。
『なんと、ここで打ったーー!! ハーフからのスリーだ!! 打点も高い!! 決まれば逆転優勝だ!!』
ここでブザーが鳴る。
決まらなければ俺たちの負けだが、決まれば俺たちの勝ち。
でも、俺は負けるつもりもないし外すつもりもない。
そして、そのシュートはゴールに吸い込まれていった。
「ん?」
眩しい日差しとともに目が醒める。
「あぁ、懐かしい夢を見た。」
俺は棚にあるトロフィーに目を向ける。
「学校に行かないとな。」
俺は着替えて、部屋から出る。
リビングに入るが、誰もいない。
「ん、飯作るか。」
俺は朝食の支度に入る。
これがいつもの光景だ。
実家は勘当された。
理由は、家を継がなかったからだ。
でも、そのおかげで好きなバスケを続けてられる。
「さて、どんな学校だったかな?」
聞いてるのは去年まで女子校だったというぐらいか。
「ま、考えても仕方ないか。」
俺はゆっくりと朝食を食べ出す。
ふと時計を見ると8時だ。
「ん?」
もう一度時計を見る。
8時1分
「やばっ! 遅刻じゃん!」
戸締りと、ガス栓の点検をしてすぐに家を出る。
「やべぇ、初日から遅刻とか洒落にならねぇ。」
走りながらぼやく。
「間に合うか?」
走りながら考えていると、後ろから声が聞こえた。
「遅刻遅刻!!」
同じような奴がいたみたいだ。
後ろを見ると猫耳みたいな髪型をした女子生徒が走っていた。
なんか同類と思われたくないなぁ。
俺は速度を上げる。
「ちょっと、そこの人待ってくださーい!!」
待てと言われて待つ奴はいないぞ。
更に速度を上げる。
「ちょっと! さらに速度を上げないでくださーい!!」
「待てと言われて待つ奴がいるかぁ!! 俺は遅刻したくねぇーんだ!!」
気がつくと学校に着いた。
「ここか。花咲川着いたぞ。とりあえずは職員室だな。」
呼吸を整えながら職員室を探す。
「あっと、あったあった。」
職員室と書かれたプレートを見つけた。
「失礼しまーす。本日転校してきた十六夜御影と言います。担任の先生に挨拶に来ました。」
「お、来たね。私が担任よ。君のことはよく知ってるよ。」
「え?」
俺は半歩後ろに下がる。
「あからさまに引かないでくれるかしら? そういう意味じゃないわよ。あの日本選抜大会のことよ。」
「なるほど。」
「もう少ししたらSHRがあるからそれまでここにいなさい。」
「わかりました。」
俺は近くにある来賓用の椅子に腰をかけた。
「新しい場所での新しい出会いだ。楽しもうか。」